IVR―手技,合併症とその対策

改訂版

IVR―手技,合併症とその対策

■監修 山田 章吾
高橋 昭喜

■編集 石橋 忠司

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • B5判  436ページ  1色,一部カラー
  • 2005年3月22日刊行
  • ISBN978-4-7583-0829-8

最先端の「IVR技術」を「手技のポイント」や「合併症とその対策」を中心に詳説した秀逸の1冊!!

 本書は,IVRのテキストとして1998年4月に初版が刊行されたが,この間にIVR技術も進歩し,「適応範囲の拡大」「新しい手技の確立」それに伴う「治療成績の向上」「新しい合併症対策」など,大きく変貌を遂げている。特にIVRの適応範囲は広がり,「遺伝子治療」「再生医療のIVRへの応用」「子宮筋腫への塞栓治療」「移植医療へのIVR」など,その応用範囲は広がっている。そこで,今回の改訂では,初版の内容に加えて最先端のIVRについて新たに項目を立てて解説するとともに,初版の項目については,臨床の現状に則して加筆・訂正・削除を行っている。また,画像診断装置(X線透視,CT,MRIなど)の性能向上に伴い画像のqualityも格段に上がったことを踏まえ,症例については新しい症例,新しい画像に差替えてある。さらに,昨今,医療事故の増加とその対策が緊急の課題としてあげられているなかで,IVR治療において「インフォームド・コンセント」を得るためには複雑なIVRの手技やリスクを患者に理解してもらう必要があり,今回の改訂ではその点を視野に入れて各項目の最後に「Q & A」方式のページを設け,実際に患者さんに対して説明を行う際に役立つものを提供できるようになっている。


序文

改訂版 監修の序

 本書の初版の刊行から早7年が経過した。この度,全面改訂となり再び世に出すことができるのはうれしい限りである。放射線領域のこの間の進歩は目を見張るものがある。特にIVR領域の進歩は著しく,従来放射線医学は診断,治療,核医学と決まっていたのに,ここにいたってIVRが放射線医学の新分野として確立しつつある。IVRは当初外科治療の補完的役割を果たすにすぎなかったが,現在は独自の領域を切り開き,外科と同等の評価を得るに至っており,現に当教室員の何人かは外科から移籍してきている。知識,技術,評価とも急速に変化しているIVRの現状に対応するため,本書も全面改訂となった次第である。高度高齢化社会は今後も急速に進行するであろうし,またQOL重視の風潮もますます強くなることが予想される。低侵襲でQOLを保つのに最適なIVRの需要は今後もますます増えるであろうし,またその技術もどんどん改良されていくであろう。
 ところで,IVRを行うにあたって,知識はもちろん重要であるが,核心は技術の習得である。手術と同様,技術には個人差がつきまとう。経験者はなかなか“こつ”を教えてくれないし,また合併症とその対策については聞きにくいものである。本書はIVRを行うに当たっての基本的な手技を“こつ”を混じえて提示し,起こりうる合併症と対策について述べた実践書であり,実際の診療の役に立つことを第一に考えて企画されたものである。
 情報過多時代で,巷には情報があふれている。インターネットを通してどんどん新しい情報を入手することができる。こうした時代に本書のような書物が必要であろうかという議論があろうが,氾濫している情報は情報の断片である。本書のようにまとまったもので情報のリフレッシュができるのではないかと信じている。
 さて,私どもは臨床家である。患者さんのためにこの道を選んだのである。本書を通してより質の高い医療を提供していただければ,これに勝る幸せはない。

2005年2月
東北大学医学系研究科放射線腫瘍学分野教授
山田章吾
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改訂版 監修の序

 放射線診断は病院診療の quality control に密接に関わっていますが,患者さんや一般の方にはなかなかわかりにくいと思われます。その点,IVRは患者さんからの理解も得やすく大変遣り甲斐のある領域です。それだけではなく,臨床医に放射線科医の存在の認識を新たにさせ,その地位を相対的に高める役割を果たしていると言えるのではないでしょうか。
 本書は石橋忠司博士を中心に企画編集され,東北大学放射線科とその関連病院のたゆみないIVR症例検討の中から生まれたものです。IVRの基本的事項が豊富な症例とイラストレーションによってわかりやすくかつ実戦的に解説されています。今回は装置,カテーテル,塞栓物質,ステント等の開発・改良に伴った IVR 技術の進歩に対応し,また子宮筋腫塞栓療法,RF 治療,骨形成術などの up to date な内容が取り入れられて大幅に改訂されました。
 IVRには手術よりも早期の社会復帰やQOL向上が期待できるなど大きな利点があり,minimally invasive therapy として今後ますます様々な領域に新たな治療法の可能性を広げていくと予想されます。一方で,かつて放射線診断部門の一大領域を占めていた診断目的の血管造影件数は最近とみに少なくなってしまいました。装置・技術の進歩によって,血管の形態評価については非侵襲的なMDCTやMRIによってかなりの部分がカバーされるようになったからです。そのこと自体は大変喜ばしいことですが, IVRの主要な手段である血管造影件数の減少は,若手医師の技術習得の困難性をもたらしているという側面もあります。そういった時期だからこそ,IVR の基本的事項・手技などの基本に立ち返ることがとても大事になっていると考えられ,本書はそのような目的に大いに役立つのではないでしょうか。IVRを目指す研修医をはじめ,放射線科医や実地医家の座右の書としてご活用いただければと願っております。

2005年2月
東北大学大学院医学系研究科量子診断学分野
高橋昭喜
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改訂版 編集の序

 初版の出版からはや7年経過しようとしています。初版本は数多くの読者の皆様から多くの反響をいただきありがとうございました。当時としては合併症にまで踏み込んだ教科書がなかったこと,広範囲の領域をup to dateの知識として提供できたこと,数多くの文献を引用し,実際の症例で治療のコツや予測される合併症,その回避すべき方法を解説したことが好評であった理由と思われました。
 今回,大幅な改訂をするにあたり,初心を踏まえて,さらに新しい領域(子宮筋腫塞栓療法,RF治療,骨形成術など)を新たな著者に参加いただき新項目を設けました。遺伝子治療などの将来のIVR医に必要と思われる基礎知識も設けました。
 インターベンショナルラジオロジーの領域の進歩は目覚しいものがあり,海外で認められていても日本国内では保健診療としての未収載事項がたくさんあります。当然治療道具も薬事未承認であることが多いわけです。しかし,新たなIVR医療を日本に定着させるためにはその治療法の利点,欠点,成績などを患者さんにインフォームし,納得していただいた上で治療を行わなければなりません。その上でエビデンスを作っていかなければ保健収載になりません。そのためにもIVRそのものを多くの方に理解して,協力していただく必要があります。この書籍から患者さんに納得診療できるような情報を提供する事を心がけました。今回,インフォームド・コンセントを得るための患者さんの立場からのQ & A項目を各治療法の最後に作成していただきました。
 また,大学病院では入院治療の保健診療報酬は包括医療となりました。一部の治療は病院によっては高度先進医療に取り込んで治療されているところもあります。医療環境は大きく変化してきています。IVR医も治療法の有効性ばかりで強調してはなりません。医療費がどのくらいかかるのか,材料費がどのくらい請求できで,保健請求できない器材がどのようなものかも知っていなければなりません。そこでIVR医が知っておかなければならない保健請求できる費用に関する知識も網羅いたしました。
 数多くの方に読んでいただき,御意見を頂戴できれば幸いです。

2005年2月 
東北大学大学院医学系研究科量子診断学分野
石橋忠司
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目次

I 総論 
 1 IVRの歴史:過去,現在,未来
 2 IVRに必要な造影手技と道具
 3 造影剤の副作用とその対策
 4 IVR装置と被曝とその対策
 5 IVRに必要なnew vascular imaging(CTA,MRA)
 6 遺伝子治療,再生医療のIVRへの応用
 7 IVRのリスク・マネジメント
II 頭頸部 
 1 頭頸部悪性腫瘍に対する動注療法
 2 頭頸部血管腫のIVR
 3 難治性鼻出血のIVR
III 胸部 
 1 経皮的冠動脈形成術(PTCA)とステント治療
 2 経皮的弁形成術
 3 血管内異物除去
 4 肺腫瘍のラジオ波焼灼療法
 5 肺AVF
 6 喀血のIVR
 7 気管・気管支ステント
 8 食道ステント
IV 腹部 
 肝 
 1 肝腫瘍
  1−1 原発性肝癌の治療
  1−2 肝腫瘍に対するラジオ波凝固療法
  1−3 転移性肝癌に対するインターベンション
 2 TIPS(transjugular intrahepatic portosystemic shunt)
 3 BRTO
 4 肝移植に対するインターベンション
 胆道 
 1 経皮経管的胆道ドレナージ
 2 胆道ステント
 膵臓 
 1 急性膵炎動注療法
 2 膵術後出血
 脾臓 
 1 脾機能亢進症のIVR
 消化管 
 1 消化管出血
  1−1 上部消化管出血
  1−2 下部消化管出血
 2 急性腸管虚血
 腎臓 
 1 腎・副腎腫瘍
  1−1 腎臓腫瘍
  1−2 副腎腫瘍
 2 腎血管性高血圧のIVR
 3 大動脈解離症例における腎動脈ステント
 4 腎動静脈奇形・動静脈瘻
 5 腎機能廃絶術
 外傷のIVR 
 1 腹部外傷
V 骨盤 
 1 骨盤骨折
 2 骨盤AVM
 3 子宮筋腫に対する動脈塞栓療法(UAE)
VI 脊椎 
 1 経皮的椎体形成術
 2 spinal AVM
VII 四肢 
 1 四肢末梢の血管奇形
VIII 大血管 
 1 胸腹部大動脈瘤ステント治療
 2 腹部動脈分枝の動脈瘤
IX 末梢血管 
 1 血栓溶解療法
 2 末梢血管形成術(PTA)
 3 ステント治療
 4 透析シャントのIVR
X 静脈系 
 1 SVC stent
 2 IVCフィルター
 3 Budd-Chiari症候群のIVR
 4 精索静脈瘤
 5 副腎静脈サンプリング
XI その他 
 1 膿瘍ドレナージ
 2 CTガイド下生検
 3 乳房生検
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