Common Diseaseをおさえる

胸部画像診断ベスト65

基本所見とvariation

胸部画像診断ベスト65

■編集 高橋 雅士

定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
  • B5判  228ページ  2色,写真390点
  • 2008年7月4日刊行
  • ISBN978-4-7583-0844-1

胸部画像診断のcommon diseaseをおさえる!

頻度の少ないまれな疾患の画像を的確に診断することは,画像診断医の高い能力を表すものであるが,一般臨床において,画像診断医に求められている,より重要なスキルは,比較的頻度の高い疾患の画像診断を的確に,危なげなくこなすことである。胸部画像診断においても,common diseaseの診断の要点を押さえ,またそのvariationを知っておけば,そのスキルはより確実なものになる。頻度の高い疾患を列挙し,その診断のコツ,病態のバリエーション,鑑別診断について記述することで,専門医試験受験者のおさらい用に,またそれ以上のレベルの読者の知識の整理にも役立つ一冊となっている。


序文

胸部common disease診断のassorted chocolate box

 フィルムリーディングセッションは,放射線科の学会におけるプログラムの花であり,大きなエンターテインメントのひとつでもあります.あまり聞きなれない鑑別診断を列挙し,最終的な診断が見事正解に至る解答者の姿は,若い先生にとっては大きな憧れでしょうし,ベテランの先生にとっては明日からの勉強への大きなモチベーションになります.
 それでは,場所を学会場から病院に移してみましょう.
 日常臨床における放射線科医が,最も臨床医にアピールすることとは一体何でしょう? 主治医が思いもしない鑑別診断を並べ,最終の画像診断が病理診断とピタッと合致するというホームランは,そのアピールという点では非常に重要です.ホームランを1本飛ばすと,臨床医からの信頼は一挙に強いものになります.学会場だけではなく,臨床においても放射線科医はある程度エンターテインメントを意識する必要があります.しかし,もっと大切なことがあります.それは,われわれの日常診療において,最も頻繁に遭遇する疾患,いわゆるcommon diseaseを危なげなく,確実に診断していくことです.バントが必要なときには,正確に一塁線ぎりぎりに球を転がし,一塁走者を着実に二塁に送ることが重要なのです.この10本のバントは,1本のホームランに匹敵します.このバントをいかに正確に危なげなく決めることができるか? 実は,これこそが,臨床医の信頼を勝ち取る最も大きな要因なのです.最近,若い放射線科の先生と話しをしていると非常に高度な知識をピンポイント的に持っているのですが,common diseaseの診断になると非常に危なっかしいものを感じる時があります.画像のmodalityが増え,覚えるべき疾患も増え,画像診断のすべてを体系的に習得することがますます困難な時代になってきたことは事実です.しかし,common diseaseの診断を大切にすることが,放射線科医として最も“かっこいい”ということを今一度よく理解していただきたいと思います.そして,基本的な画像所見に加え,さまざまな“variation”を知ることが,よりcommon diseaseの診断を危なげないものに変えます.
 この教科書の企画は,私のこのような私見からスタートしました.
 各先生方への執筆依頼にあたっては,例によって,おおまかなフォーマットを決めただけですので,各章のスタイルはバラバラで,一貫性に欠けるきらいは否めません.しかし,実は,これは編集者が意図していたところであり,逆に,執筆者の先生方の個性がきらきら光る超一流のassorted chocolate boxに仕上がっています.日常診療に多忙な先生方に無理なお願いをいたしましたことをお許しいただきますとともに,期待以上のすばらしい原稿を頂戴いたしましたことに深くお礼申し上げます.また,メジカルビュー社の小森幸さん,川村義照さんの多大なご支援に対し,厚くお礼申し上げる次第です.
 この小本が,若い放射線科医のみならず,呼吸器診療に興味をお持ちの多くの医師の方々に支持され,少しでも胸部の画像診断に興味をもっていただく先生方を増やすことができましたなら,編者としてこれに勝る喜びはありません.

2008年6月
滋賀医科大学医学部附属病院放射線部 高橋雅士
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目次

腫瘤性病変neoplasm and benign nodular disease
 肺野型肺癌
  腺癌,細気管支肺胞上皮癌  村上陽子
  扁平上皮癌  楊川哲代ほか
  小細胞癌  楊川哲代ほか
  カルチノイド腫瘍  楊川哲代ほか
 肺門部肺癌
  扁平上皮癌,小細胞癌  高橋雅士
 気管・気管支腫瘍
  腺様嚢胞癌  松迫正樹
  粘表皮癌  松迫正樹
  カルチノイド腫瘍  松迫正樹
 転移性肺腫瘍
  転移性肺腫瘍  高橋雅士
 癌性リンパ管症
  癌性リンパ管症  下山恵司
 肺炎症性良性結節
  肉芽腫,器質化肺炎  大城康二ほか
 肺良性腫瘍
  過誤腫,硬化性血管腫,炎症性偽腫瘍  大城康二ほか
 肺血管性結節病変
  肺動静脈奇形,肺動静脈瘻  新田哲久
 肺リンパ増殖性結節病変
  肺内リンパ装置  負門克典
  BALTOMA  負門克典
縦隔疾患mediastinal diesease  
 胸腺腫瘍
  胸腺腫  中園貴彦
  胸腺癌  中園貴彦
 胚細胞性腫瘍
  奇形腫  佐久間明洋ほか
 悪性胚細胞性腫瘍
  精上皮腫,非精上皮腫  佐久間明洋ほか
 悪性リンパ腫
  縦隔悪性リンパ腫  牧 大介
 縦隔嚢胞性病変
  胸腺嚢胞,心膜嚢胞  井上敦夫ほか
  気管支原性嚢胞  芦澤和人
 神経原性腫瘍
  神経鞘腫,神経線維腫  芦澤和人
感染症infectious disease
 市中肺炎
  細菌性肺炎  南部敦史
  マイコプラズマ肺炎  南部敦史
  クラミジア肺炎  岡田文人ほか
  ウイルス性肺炎  岡田文人ほか
 日和見肺炎
  ニューモシスチス肺炎  岡田文人ほか
  サイトメガロウイルス肺炎  田中伸幸
  肺真菌症  田中伸幸
肉芽腫性感染症
  肺結核  氏田万寿夫
  非結核性抗酸菌症  氏田万寿夫
びまん性肺疾患diffuse pulmonary disease
 間質性肺炎
  特発性肺線維症(IPF/UIP)  岩澤多恵ほか
  非特異性間質性肺炎(cNSIP/fNSIP)  岩澤多恵ほか
  特発性器質化肺炎  叶内 哲
  急性間質性肺炎  叶内 哲
 膠原病肺
  関節リウマチ  牧 大介
  多発筋炎・皮膚筋炎  坂井修二
  シェーグレン症候群,全身性強皮症,全身性エリテマトーデス  坂井修二
 肉芽腫性肺疾患
  サルコイドーシス  高橋雅士
  ランゲルハンス細胞組織球症  山城恒雄ほか
  ウェゲナー肉芽腫症  山城恒雄ほか
 びまん性肺疾患  
  リンパ脈管筋腫症  藤本公則
  肺胞蛋白症  藤本公則
アレルギー性肺疾患allergic pulmonary disease  
  過敏性肺炎  吉村孝一ほか
  アレルギー性気管支肺アスペルギルス症  吉村孝一ほか
  急性好酸球性肺炎  高桜竜太郎
  慢性好酸球性肺炎  本多 修
  単純性好酸球増多症(レフレル症候群)  高橋雅士
気道病変disease of airway  
  肺気腫  高橋雅士
  気管支拡張症  高橋雅士
  びまん性汎細気管支炎  西本優子ほか
塵肺・石綿pneumoconiosis/asbestos related disease
 粉塵吸入性疾患
  塵肺  高橋雅士
 石綿関連肺胸膜疾患(病変)  
  良性石綿胸水,びまん性胸膜肥厚  加藤勝也
  胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)  加藤勝也
  悪性中皮腫  加藤勝也
  石綿肺  三浦幸子ほか
胸膜・胸壁疾患disease of pleura and chest wall  
  胸膜孤立性線維性腫瘍  桑原好造ほか
  肺癌胸膜播種  桑原好造ほか
  慢性出血性膿胸  峯瀬真理子
  胸壁軟部良性腫瘍  峯瀬真理子
発生異常(先天性肺疾患)developmental disease
  気管支閉鎖  原 裕子
  肺分画症  赤田壮市
その他miscellaneous
  肺動脈塞栓症  永谷幸裕
  肺挫傷  三品淳資

コラム
 知っておこう,病変の肺内分布
 多発肺結節,空洞性病変,石灰化病変のGamut
 多発嚢胞性病変の鑑別のポイントは?
 粒状病変のHRCT診断アルゴリズム
 肺癌取扱い規約の要点−1
 肺癌取扱い規約の要点−2
 小児の気管支閉鎖
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