即活用!

急性期脳梗塞rt-PA静注療法実践マスターガイド

適応・診断・管理のコツ

急性期脳梗塞rt-PA静注療法実践マスターガイド

■監修 塩川 芳昭

■編集 栗田 浩樹

定価 4,950円(税込) (本体4,500円+税)

安全で確実なrt-PA静注療法を実施! 脳卒中スタッフによる適応・治療・患者管理を完全マスター

2005年10月に認可された急性期脳梗塞に対する治療薬rt-PA(アルテプラーゼ)を用いた血栓溶解療法には「発症後3時間以内に投与」という条件があり,本治療を施行するにあたって狭き門となっている。“患者搬送後の画像検査や神経学的検査などの迅速な対応”と“画像結果や所見により「適応可能」か「禁忌」かという判定を短時間に見極めること”が本治療を成功させる鍵となる。
本書では,厳密な適応基準を見極め,慎重にかつ確実・短時間に検討し,安全に施行するためのノウハウとさらに速やかな治療後のケアの方法までを詳しく解説している。連携のとれた杏林大学脳卒中センターのチーム医療の日頃の実践を収載した書籍である。

  • B5判  168ページ  2色,写真100点
  • 2009年9月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-0923-3

序文

序にかえて

 既存診療科による縦割り方式を全廃した脳卒中センターが杏林大学病院で稼動して早3年が経過しました。医局講座という支持基盤を持たない我々のグループですが,若手脳卒中医を中心にしたチーム医療をその柱として,rt-PA静注療法にも積極的に取り組んで参りました。この間,救命救急医,神経内科医,脳神経外科医,リハビリテーション科医が同じ「脳卒中医」として診療し,全職種の意見を集約して治療計画を実践する,という我々の新しいスタイルが,院内外で徐々に認められつつあることを大変嬉しく思います。
 そんな折,約1年前に本書の編集を仰せつかりました。rt-PA静注療法に関しては,すでに経験の豊富な施設から多くの良い成書が出版されており,我々の少ない経験の中から,本当に役立つ本が出版できるのか大きな不安におそわれました。また,どのような本にしたら今までにない視点で読者に楽しみながら臨床に役立つ知識を提供できるかとても悩んだ末,出した結論は「実際の診療現場をできるだけ正確に伝えるようにしよう」というものでした。大体の構成を考えた後,実際に救患に対応してrt-PA静注療法を自身で施行している若手に,できるだけ自由に,かつ日頃疑問に思っている事や困っている事を含めて,実直に書くように頼みました。その結果,本書では,rt-PAの薬理効果や大規模試験の成績のreviewなど,すでに他の成書に詳しい事項は最小限の記載にとどめ,症例提示に多くのページが割かれたとてもpracticalな構成になりました。著者のほとんどは卒後数年目の若手医師と,当センターを屋台骨として支えてくれているコメディカルたちです。拙劣な文章や表現,あるいは問題のある症例の提示や対処方法もあるかもしれませんが,上記の事情を鑑みどうか御容赦下さい。無論,本書のみでrt-PAに関する十分な知識が得られる訳ではありません。読者の皆様は,本書で示した我々の診療システムや提示した疑問点,適応に悩んだ症例などをたたき台として,それぞれの施設におけるrt-PA静注療法の「next step」に繋げて頂ければ幸いです。
 最後に,忙しい臨床の間をぬって原稿を書き上げてくれた脳卒中センターのスタッフに深謝します。本当にありがとう。またメジカルビュー社の尾高亜希さんには,原稿の度重なる遅れを始めとして,大変ご迷惑をおかけしました。本書を辛抱強く出版まで導いて頂き,ここに改めて深甚の謝意を表します。

2009年 盛夏

杏林大学医学部脳神経外科・脳卒中センター
栗田浩樹
全文表示する

目次

I rt-PA静注療法の現状
 脳虚血治療のなかのrt-PA静注療法の位置づけ −riskとbenefit  栗田浩樹
  rt-PA静注療法の治療成績/rt-PA静注療法の現状と解決すべき課題/まとめ
  
II rt-PA治療のためのトリアージ
 プレホスピタルケア  西山和利
  脳卒中患者の救急搬送/脳卒中の病院前スケールについて/救急隊・地域医療との連携と病院内体制の関連
 院内受け入れ体制  西山和利
  脳卒中治療機関としての施設基準/迅速な院内対応が必要とされる背景/rt-PA静注療法の体制構築と脳卒中専門医の役割/当センターにおけるrt-PA治療体制/SCUホットラインへの通報から患者病院到着まで/患者到着からrt-PA静注療法の適応決定・治療開始まで/rt-PA静注療法施行中,rt-PA投与後の管理/院内受け入れ体制整備のまとめ
  
III rt-PA治療の適応と診断の指針−診断のコツ
 慎重投与例と禁忌例の境目  西山和利
  rt-PA静注療法のチェックリスト/確認事項/禁忌規定/慎重投与項目の扱い/その他の議論
 NIHSSによる重症度の評価と注意点  岡野晴子
  NIHSSの評価
  画像診断の鑑別ポイント
 CT  小林洋和
  施設要件/rt-PA静注療法の適応評価方法/early CT signとは/rt-PA静注療法におけるearly CT signの範囲のとらえ方
 MRI  小林洋和
  MRIでの虚血範囲の判定の意義/MRI画像での利点/早期虚血性変化の範囲と灌流障害について/当センターにおけるMRI撮像
 rt-PA投与において治療適応の判断が問題となった具体的症例
  1 多重慎重投与項目  岡村耕一,栗田浩樹
  2 超高齢者  岡村耕一,栗田浩樹
  3 血管解離(頭蓋内動脈,大動脈)  岡村耕一,栗田浩樹
  4 急性心筋梗塞合併症例  岡村耕一,栗田浩樹
  5 MRIで虚血巣なし  岡村耕一,栗田浩樹
  6 その他  岡村耕一,栗田浩樹
   未破裂脳動脈瘤合併症例/神経症状軽症例/インフォームド・コンセントに関わる問題
  
IV 臨床現場の実際
 杏林大学脳卒中センターにおける現状と成績,展望  脊山英徳
  対象/結果/臨床上の問題点/考察/まとめ
  
V rt-PA治療における看護師の役割
 脳卒中看護の一環として  松本由美
  rt-PA適応患者受け入れ時の看護師の役割/患者来院まで/患者来院からrt-PA投与まで/集中治療室での管理/Stroke Unitでの管理
 摂食・嚥下機能訓練  新名由利子
  摂食・嚥下障害とは/摂食・嚥下障害に対する看護師の役割/摂食・嚥下訓練/直接訓練,食事介助のポイント
  
VI リハビリテーション
 rt-PA患者に対する急性期リハビリテーション  山田 深,門馬 博
  当センターにおけるリハビリテーション/rt-PA患者に対するリハビリテーション介入/まとめ
  
VII セルフチェック:画像診断トレーニング
 セルフチェック:あなたはどう診断する?  本田有子,田中雅樹,栗田浩樹
全文表示する

関連する
お勧め書籍