超音波でわかる運動器疾患

診断のテクニック

超音波でわかる運動器疾患

■著者 皆川 洋至

定価 8,580円(税込) (本体7,800円+税)
  • B5変型判  328ページ  2色(一部カラー),イラスト140点,写真1,080点
  • 2010年6月2日刊行
  • ISBN978-4-7583-1032-1

電子版


超音波画像で運動器疾患がここまでわかる時代の到来!

超音波は器械の進歩により,その解像度は以前に比してはるかに鮮明になり“骨”, “筋”, “靱帯”, “血管(ドプラー使用)”という運動器分野の特徴が十二分に理解できるようになってきている。解像度がアップしたことで読影法も平易になり,超音波本来の利点であった“被爆ゼロ”, “外来の場で即座に診断できる簡便さ”, “ハンディータイプの利用によりスポーツ現場に持ち込める手軽さ”がさらなる特徴となり,現在その注目度は上昇し,かつ広く活用されるようになってきた。
本書は,実際に超音波検査を行うためのマニュアルとなるように構成されている。上肢:肩関節,肘関節,手関節,手指,下肢:股関節・大腿,膝関節,下腿・足関節の7章から成り,各章は4方向からのアプローチ(掌側走査,背側走査,橈側走査,尺側走査)で構成されている。各アプローチは“検査体位(肢位)”, “検査手順”に分かれ,検査手順では「どの部位をどのように描出するか」がStep 1,Step 2〜の順で解説されている。また,見たい部位を的確にとらえるにはプローブの扱い方が最大のポイントになるので,超音波画像には常に“プローブの動き”が明記されている。さらに“Q&A形式”による整形外科疾患の診断法,プラス情報として“超音波検査に役立つ実際の解剖写真”も掲載されている。


序文

 はじめてプローブを握ったのが大学4年生,今から24年前のことです。伊東紘一先生(自治医大臨床病理名誉教授)主催のゼミでした。観察対象は心臓や腹部臓器,当然ながら靭帯や末梢神経など眼中にありません。超音波は内臓を見るもの,そう思っていました。卒後,整形外科医としての道を歩み始め,診断の武器が単純X線写真,CT,MRI,いわゆる”3種の神器”となっていきます。何がなんだかさっぱりわからない超音波画像には,全く魅力を感じませんでした。
 2001年に登場した携帯型超音波診断装置Sonosite180が大きな転機をもたらします。Sonic Japanの松崎さん,大槻さんから装置を紹介され,当時の秋田大学整形井樋栄二教授(現東北大整形教授)が早速購入してくださいました。一緒に働いていた高橋周先生(気仙沼市立病院整形),山本宣幸先生(東北大整形)はじめ後輩らと共に,外来診療,スポーツ現場,ときには村の集会所まで足を運び,とにかく使いまくりました。2008年9月,現在の城東整形外科に赴任してからは,水谷羊一院長のご配慮もあり,20か月間での講演,セミナーが56回を数え,全国から研修に来た人が30名を超えました。整形外科にとどまらず,麻酔科(ペインクリニック),放射線科,リウマチ内科,さらに地域医療を担う総合医の分野まで多岐にわたる点が特徴です。
 アメリカ,ヨーロッパほとんどの国で,画像診断装置が放射線科管轄です。超音波検査を予約制にしては,リアルタイムに観察できる魅力を半減させることに気付かないのでしょうか。超音波診断装置は,視診,触診しながら診断,治療までを最短距離で突っ走る医者のパワーアシストスーツです。今では超音波検査を使いこなすことで,毎日100人を超える外来診療を,汗もかかずに時間内でこなせます。足関節捻挫,五十肩といった俗語病名も使わなくて済むようになりました。日本は,各専門科の医師が超音波診断装置を自由に使える世界でも特殊な国です。だからこそ,一つの外来診察室に一台,さらには一人に一台の超音波診断装置が常識,そんな日が近い将来やってくると思います。
 本書は多くの方々からの熱い要望に応え,運動器超音波解剖学をメインに,身体各部位へのアプローチ法を分かりやすく解説しました。運動器超音波学の入門書に位置づけられます。画像理解に不可欠な解剖資料は,秋田大学解剖学教室の阿部寛教授はじめスタッフの方々から多大なご協力をいただきました。また,素晴らしい書籍へ大変身させてくださったメジカルビュー社の松原かおるさん,藤原琢也さんには大変なご苦労をおかけしました。この場を借りて心からお礼申し上げます。
 本書が,少しでも読者の方々のお役にたてれば幸いです。

2010年5月
皆川洋至
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目次

超音波 早わかり
運動器の構成体のみえかた
 1. 骨
 2. 軟骨
 3. 筋
 4. 腱
 5. 靱帯
 6. 末梢神経
 7. 血管
 
超音波で診る 上肢
手指
 ■掌側走査
 検査肢位
 検査手順
 母指屈筋腱の描出
  Step 1 長母指屈筋腱(FPL)長軸像の観察
  Step 2 長母指屈筋腱(FPL)短軸像の観察
 示指から小指屈筋腱の描出 
  Step 1 浅指屈筋(FDS),深指屈筋(FDP)長軸像の観察
  Step 2 浅指屈筋(FDS),深指屈筋(FDP)短軸像の観察
 手内在筋の描出 
  Step 1 母指球筋短軸像の観察
  Step 2 母指球筋長軸像の観察
  Step 3 小指球筋短軸像の観察
  Step 4 小指球筋長軸像の観察
  Step 5 虫様筋,掌側骨間筋の観察
  Step 6 背側骨間筋,掌側骨間筋の観察
 
 ■橈側・尺側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 母指MP関節の側副靱帯の観察
  Step 2 示指から小指の側副靱帯の観察
 
 ■背側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 伸筋腱短軸像の観察
  Step 2 伸筋腱長軸像の観察
 エコーanatomy 
 
手関節
 ■掌側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
 手根管入口部の描出 
  Step 1 豆状骨,舟状骨結節の観察
  Step 2 屈筋腱,横手根靱帯,正中神経の観察
  Step 3 Guyon管の観察[尺骨神経(UN),尺骨動脈(UA)]
 手根管近位部の描出 
  Step 1 正中神経短軸像の観察
  Step 2 正中神経長軸像の観察
 手根管遠位部の描出 
  Step 1 手根管遠位部の観察
 
 ■橈側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 伸筋腱第1区画の観察[長母指外転筋(APL),短母指伸筋(EPB)]
 
 ■背側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 伸筋腱第2区画の観察[長橈側手根伸筋(ECRL),短橈側手根伸筋(ECRB)]
  Step 2 伸筋腱第3区画の観察[長母指伸筋(EPL)]
  Step 3 伸筋腱第4区画の観察[総指伸筋(EDC),固有示指伸筋(EIP)]
  Step 4 伸筋腱第5区画の観察[固有小指伸筋(EDQ)]
 
 ■尺側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 伸筋腱第6区画の観察[尺側手根伸筋(ECU)]
  Step 2 TFCCの観察
 エコーanatomy 
 
肘関節
 ■前方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
 上腕骨遠位部の描出 
  Step 1 上腕骨骨幹部の観察
  Step 2 橈骨窩,鉤突窩の観察
  Step 3 小頭,滑車の観察
 腕橈関節の描出 
  Step 1 腕橈関節長軸像の観察
  Step 2 腕橈関節近位部の観察
  Step 3 腕橈関節遠位部の観察
 腕尺関節の描出 
  Step 1 腕尺関節長軸像の観察
  Step 2 腕尺関節近位部の観察
  Step 3 腕尺関節遠位部の観察
 
 ■内側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 前斜走線維(AOL)長軸像の観察
  Step 2 肘部管の観察
 
 ■外側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 長軸像の観察
  Step 2 短軸像の観察
 
 ■後方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 肘頭窩の観察
  Step 2 肘頭の観察
  Step 3 上腕骨小頭の観察
 エコーanatomy 
 
肩関節
 ■前方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
 上腕二頭筋長頭腱の描出 
  Step 1 上腕二頭筋長頭腱の観察
  Step 2 短軸像の観察
  Step 3 長軸像の観察
 肩甲下筋腱の描出 
  Step 1 長軸像の観察
  Step 2 短軸像の観察
 
 ■外上方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 腱板長軸像の観察
  Step 2 腱板短軸像の観察
 
 ■後方走査 
 検査肢位 
 検査手順
  Step 1 関節裂隙の観察
  Step 2 内外旋での動的観察
 
 ■腋窩走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 上腕骨頭の観察
  Step 2 前下方関節窩,関節唇の観察
 
 ■内上方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 上方関節唇の観察
  Step 2 90°外転位における動的観察
 エコーanatomy 
 
超音波で診る 下肢 
下腿・足関節
 ■前方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 脛骨の観察
  Step 2 距腿関節の観察
 
 ■外側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 外果の観察
  Step 2 前下脛腓靱帯(AITFL)の観察
  Step 3 前距腓靱帯(ATFL)の観察
  Step 4 踵腓靱帯(CFL)の観察
  Step 5 腓骨筋腱(PT)の観察
 
 ■内側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 三角靱帯の観察
  Step 2 足根管の観察
 
 ■後方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 腓腹筋,ヒラメ筋の観察
  Step 2 アキレス腱の観察
 エコーanatomy 
 
膝関節
 ■前方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
 膝蓋骨近位の描出 
  Step 1 膝蓋上嚢の観察
  Step 2 大腿四頭筋腱の観察
 膝蓋大腿関節の描出 
  Step 1 膝蓋骨の観察
  Step 2 膝蓋大腿関節の観察
 膝蓋骨遠位の描出 
  Step 1 膝蓋腱の観察
  Step 2 大腿骨荷重部の観察
  Step 3 前十字靱帯(ACL)の観察
 
 ■内側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 内側側副靱帯の観察
  Step 2 内側半月板(MM)の観察
  Step 3 鵞足の観察
 
 ■外側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 外側側副靱帯(LCL)の観察
  Step 2 大腿二頭筋腱の観察
  Step 3 腸脛靱帯(ITT)の観察
  Step 4 外側半月板(LM)の観察
 
 ■後方(膝窩)走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 Baker嚢腫(膝窩嚢腫)の観察
  Step 2 後十字靱帯(PCL)の観察
  Step 3 ファベラの観察
  Step 4 神経血管束の観察
 エコーanatomy 
 
股関節・大腿
 ■前方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 股関節の観察
  Step 2 腸腰筋,神経血管束の観察
  Step 3 下前腸骨棘(AIIS)の観察
  Step 4 上前腸骨棘(ASIS)の観察
  Step 5 大腿直筋の観察
 
 ■内側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 内転筋短軸像の観察
  Step 2 内転筋長軸像の観察
 
 ■外側走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 短軸像の観察
  Step 2 長軸像の観察
 
 ■後方走査 
 検査肢位 
 検査手順 
  Step 1 坐骨神経の観察
  Step 2 ハムストリングの観察
 エコーanatomy 
 
 索引
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