低侵襲,妊孕能温存をめざした

実践 婦人科腹腔鏡下手術

病態・診断・術式の選択・手技のすべて

実践 婦人科腹腔鏡下手術

■著者 長田 尚夫

定価 16,500円(税込) (本体15,000円+税)
  • i_dvd.jpg
  • B5変型判  400ページ  上製,オールカラー,DVD-Video付き,写真400点
  • 2009年8月12日刊行
  • ISBN978-4-7583-1062-8

在庫僅少です。


マイクロサージェリー〜腹腔鏡下手術のエキスパートである著者の集大成,堂々の刊行

長年「低侵襲」,「妊孕能温存」というキーワードにこだわり続けてきた,マイクロサージェリー〜腹腔鏡下手術のエキスパートである著者による,豊富な経験に基づく腹腔鏡下手術の実践書である。
婦人科領域の主要疾患を取り上げ,病態生理から治療法の選択も含めて,トータルな手術療法を解説。腹腔鏡のみでなく,低侵襲手術を追求していく上で著者が考案するに至った画期的な治療法などについても解説している。手術から疾患をとらえ直す,産婦人科医必読の書。


序文

刊行にあたって

 1994年4月より多くの術式が保険適応になってから15年が経ち,腹腔鏡下手術も急速に普及し,今後,婦人科の中心的な標準術式になるものと考えられる。この間にも自動縫合器や超音波メスなど便利な医療機器が開発され,ある意味で手術が容易になってきたと言えるが,問題も多い。腹腔鏡下手術には開腹術にないガス栓塞,腸管損傷,血管損傷など合併症があり,緊急対処を要することも多く,対処を誤ると大事に至ることもある。腹腔鏡下手術に際しては,常に合併症を念頭に基本的な原則に沿った手技を実践する必要がある。
 筆者は,丁度30年前の1979年にMainz大学(ドイツ)で2年間,Prof. FriedbergのもとでProf. Knapstein,Prof. Inthraphuvasak,Prof. Brockerhoffらに腹腔鏡下手術や卵管形成術を,また短期間ではあったがBasel大学(スイス)にてProf. Käserから腟式手術の手解きを受けて帰国,1982年より日本で,一貫して“基本的な手術機器でできる腹腔鏡下手術”を実践してきた。 この間にあって1996年8月には「産婦人科腹腔鏡下手術」を出版し,幸い多くの方々のご支援を頂いた。この領域での参考書として腹腔鏡下手術の普及にいささかの貢献をすることができたことと思っている。
 この度,腹腔鏡を始めて30年の節目に当たり,これまでの経験に基づく実践的な腹腔鏡下手術書の作成を目指して,実例を豊富に取り入れ,更に代表的な症例をDVDに収録した書籍を刊行することとなった。
本書の基礎編では,これから腹腔鏡を始めるために必要な知識と安全かつ確実な腹腔鏡下手術を行うための基本手技を紹介,とくに気腹法(closed法,Open法)についてはDVDに納めた。臨床編では,何処でもできる経済的な腹腔鏡下手術を目指して“基本的な手術機器で行う腹腔鏡下手術”の実例を多数紹介し,代表的な症例23例はDVDに収録した。また子宮腺筋症については,筆者が行っている新しい手術療法である“3重フラップ法による子宮腺筋症摘出術”をDVDにて紹介した。また異所性妊娠については,MTXに代わる新しい治療法である“異所性妊娠のアルコール局注療法”ならびに腹腔鏡下手術,PEP予防法などをDVDにて紹介した。本書が腹腔鏡下手術に興味ある先生方の参考になることを祈念している。
 最後に,ご指導いただいた吉田孝雄教授,津端捷夫教授ならびに教室員各位に感謝申しあげたい。また本誌刊行にあたり企画編集に多大な協力を頂いたメジカルビュー社の浅見直博氏,清澤まや氏,原鎮夫氏に心からお礼を申しあげたい。
 本書はドイツ留学の道を開いていただいた故馬島季磨教授,故高木繁夫教授,故小林茂三郎元医学部長の御霊前に捧げたい。

平成21年7月吉日
日本大学教授 長 田 尚 夫
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目次

腹腔鏡の実施法  
  腹腔鏡実施への道
  腹腔鏡下手術の必要な機器
 腹腔鏡の基本操作 
  術前処置
  腹腔鏡下手術の体位
  モニター,機器,Mayo台の配置
  腹腔鏡下手術の麻酔
  ★気腹
  メイントロッカーの穿刺
  処置用トロッカーの穿刺
  腹腔内観察
  手術の終了
  術後管理
  手術所見とその記載法
  腹壁吊り上げ法
  ★その他の気腹法
  腹腔鏡下手術に必要な縫合処理法
  深部静脈血栓症(DVT)の予防と対策
  電気メスの漏電による皮膚障害とその予防

子宮内膜症  
 子宮内膜症を理解するために 
  病態
  臨床進行期の分類
  診断
  治療法
 子宮内膜症に対する腹腔鏡下手術 
  手術療法の選択
  子宮内膜症性嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞)に対する腹腔鏡下手術
  卵巣チョコレート嚢胞と卵巣癌との鑑別診断
  卵巣癌が疑われるチョコレート嚢胞に対する腹腔鏡下手術の是非
  卵巣チョコレート嚢胞に行う腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術(核出術)
  実践手技[1]体外法による腹腔鏡下チョコレート嚢胞摘出術(核出術)
  実践手技[2]体内法による腹腔鏡下チョコレート嚢胞摘出術(核出術)
  ★ [症例1]悪性が疑われた両側のチョコレート嚢胞
  ★ [症例2]破裂が疑われた両側のチョコレート嚢胞
   [症例3]悪性が疑われた両側のチョコレート嚢胞
  チョコレート嚢胞に対する腹腔鏡下子宮付属器切除術
  [実践手技3]体外法による腹腔鏡下子宮付属器切除術
  [実践手技4]体内法による腹腔鏡下子宮付属器切除術
  子宮内膜症性嚢胞として経過観察中に診断された類内膜腺癌
   [症例4]2.5cm大の子宮内膜症性嚢胞
  ★ [症例5]悪性が強く疑われた子宮内膜症性嚢胞
   [症例6]子宮内膜症性嚢胞
 子宮内膜症性嚢胞に対する腹腔鏡下嚢胞壁子宮内膜症焼灼術 
  病態
  採卵数の低下原因
  焼灼術の効果
  結果
   [症例7]典型的な子宮内膜症性嚢胞
  ★ [症例8]子宮内膜症性嚢胞
 膀胱子宮内膜症に対する手術療法 
  病態
  臨床症状
  診断
  治療法
  ★ [症例9]月経時,血尿が認められた膀胱子宮内膜症

子宮腺筋症  
 子宮腺筋症を理解するために 
  病態
  治療法
 子宮腺筋症に対する手術療法 
  腹腔鏡下腹式子宮腺筋症摘出術
  妊孕能温存のための子宮腺筋症摘出術の必要条件
  妊孕能温存手術に関しての手術の工夫
  手術に際しての子宮腔開放の意義
  腹腔鏡下手術による子宮腺筋症摘出術
  重症子宮腺筋症に対する子宮腺筋症摘出術
  子宮筋3重フラップ法による腹腔鏡下腹式子宮腺筋症摘出術の特徴
  [実践手技1]子宮筋3重フラップ法による腹腔鏡下腹式子宮腺筋症摘出術
  術後の臨床検査
  術後成績
  手術の完遂度と合併症
  術後の臨床症状(月経痛と過多月経)の改善効果
  術後の妊娠成績
  ★ [症例1]前壁の重症子宮腺筋症に対する子宮腺筋症摘出術
  [実践手技 2]子宮前,後壁の子宮筋3重フラップ法による腹腔鏡下腹式子宮腺筋症摘出術
  ★ [症例2]子宮前,後壁の重症子宮腺筋症に対する子宮腺筋症摘出術
   [症例3]子宮前,後壁の重症子宮腺筋症に対する子宮腺筋症摘出術
   [症例4]重症子宮腺筋症摘出術後の双胎妊娠例

卵巣腫瘍  
 卵巣腫瘍を理解するために 
  病態
  組織分類とその特徴
  症状
  診断法・手順
  治療法
 卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下手術 
  利点,欠点(問題点)
  適応
  良性卵巣腫瘍に行う腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術(核出術)
  [実践手技 1]体外法による腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術
  [実践手技 2]体内法による腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術(核出術)
  ★ [症例1]成熟嚢胞性奇形腫
  ★ [症例2]悪性が疑われた卵巣腫瘍
  [実践手技 3]卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下子宮付属器切除術
  [実践手技 4]悪性腫瘍が疑われた場合の腹腔鏡下手術
  ★ [症例 3]悪性が疑われた卵巣腫瘍
  ★ [症例 4]若年者の両側性巨大卵巣腫瘍
  ★ [症例 5]悪性が疑われた両側性巨大卵巣腫瘍
   [症例 6]悪性が疑われた若年性の両側卵巣腫瘍
  ★ [症例 7]若年者の両側卵巣腫瘍
 多嚢胞性卵巣症候群 
  病態
  PCOSの診断
  PCOSの治療法とその選択
 卵巣・腹膜の漿液性表在性乳頭状腺癌 
  病態
  SSPCの歴史的背景
  SSPCの診断基準および組織像
  卵巣・腹膜のSSPCの病態と診断
  [実践手技 5]腹腔鏡を用いたSSPC
  SSPC6症例の臨床的経過
  [症例 8]3回の腹水細胞診が陰性であった高度腹水症例
  [症例 9]原発巣不明の癌性腹膜炎

子宮筋腫  
 子宮筋腫を理解するために 
  病態
  診断
  治療法
  薬物療法
 子宮筋腫核出術 
  子宮筋腫の治療法の選択
  子宮筋腫核出術の方法とその選択
  LM・LAMの適応の変遷
  LMの適応とその限界
  LAMの適応とその限界
  術中,術後管理の留意点
  インフォームド・コンセント
  [実践手技 1]腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM)
  ★ [症例 1]超成人頭大の漿膜下子宮筋腫
  ★ [症例 2]小児頭大の多発性子宮筋腫
   [症例 3]子宮内腔に突出する子宮筋層内筋腫
  [実践手技 2]腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(LAM)
   [症例 4]成人頭大の子宮筋層内筋腫+子宮頸部筋腫
  ★ [症例 5]小児頭大の子宮筋腫
 腹腔鏡下腟式子宮全摘術(LAVH) 
  術式の概略
  [実践手技 3]LAVHの術式
  子宮付属器切断
  凝固,切断法
  凝固,切断,結紮法
  結紮切断法
  自動縫合器を用いる方法
  ★[症例 6]成人頭大の子宮筋腫
 腟上部切断術を併用した腹腔鏡下子宮全摘術:TLH(LTSH) 
  術式の概略
  [実践手技4]TLH(LTSH)の術式
  子宮頸部支持靱帯,子宮動脈の処置
  腹腔鏡下手術による子宮動脈の凝固・切断
  子宮動脈の見つけ方
  腟上部切断術を併用するTLHでの子宮動脈の処理法
  ★ [症例 7]成人頭大の子宮筋腫(未婚者)
 粘膜下筋腫 
  臨床症状
  過多月経による貧血の治療
  診断
  治療
  レゼクトスコープによる粘膜下切除術
  粘膜下筋腫摘出術の合併症とその予防
  ★ [症例 8]粘膜下筋腫
 子宮内膜ポリープ 
  病態
  診断
  治療法

異所性妊娠(子宮外妊娠)  
 異所性妊娠を理解するために 
  筆者らの治療方針
  診断
  治療法
  治療法の選択肢
 異所性妊娠の薬物療法 
  MTXによる異所性妊娠の治療
  異所性妊娠に対するアルコール局注療法
  経腟的アルコール局注療法の実際
  腹腔鏡検査と異所性妊娠手術
   [症例 1]異所性妊娠:卵管峡部妊娠
   [症例 2]異所性妊娠:間質部卵管妊娠
   [症例 3]異所性妊娠:頸管妊娠
  [実践手技 1]卵管妊娠に対する線状切開術
  ★ [症例 4]卵管峡部妊卵
   [症例 5]卵管膨大部妊卵
  ★ [症例 6]卵管峡部妊卵
  ★ [症例 7]卵巣妊娠

卵管性不妊—IVF-ETの成績向上のために—  
 卵管性不妊を理解するために 
  病態
  生殖医学における手術療法の進歩—卵管を中心として—
  卵管性不妊の原因
 卵管性不妊の検査,診断 
  感染症検査—クラミジア感染症—
  卵管疎通検査—卵管通気・通水検査—
  子宮腔,卵管疎通検査—子宮卵管造影検査(HSG)—
  子宮卵管エコー図検査—超音波下子宮卵管造影検査—
 卵管形成術の適応,限界 
  卵管形成術の成績
  卵管形成術(salpingoplasty)
  選択的卵管造影と卵管カテテリゼーション
  卵管鏡下卵管形成術(falloposcopic tuboplasty)
  ★ [症例 1]卵管間質部閉塞
 術式別にみた卵管形成術 
  腹腔鏡下癒着剥離術(laparoscopic adhesiolysis)
   [症例 2]卵巣卵管周囲癒着
  腹腔鏡下卵管采形成術(laparoscopic fimbrioplasty)
   [症例 3]卵管采癒着
  腹腔鏡下卵管開口術(laparoscopic salpingostomy)
  ★ [症例 4]卵管留症(軽症例)
   [症例 5]卵管留症(重症例)
  IVF-ETを優先した不妊治療の選択
   [症例 6]重症卵管留症
   [症例 7]重症卵管留症
   [症例 8]巨大卵管留症
  腹腔鏡下卵管端端吻合術(laparoscopic end-to-end anastomosis)
   [症例 9]開腹術による卵管端端吻合術
   [症例10]卵管峡部閉塞

  ★=DVDに動画が収録されている項目
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