コルポ診の臨床ABC

改訂第2版

コルポ診の臨床ABC

■著者 栗原 操寿
塚崎 克己

定価 9,900円(税込) (本体9,000円+税)
  • B5変型判  136ページ  オールカラー,写真266点
  • 2013年3月26日刊行
  • ISBN978-4-7583-1227-1

コルポスコピーの手技を習得したいすべての産婦人科医におくる,待望の改訂版

コルポスコピーは,子宮頸癌検診を行う産婦人科医が習得しておくべき重要な手技である。本書は,その第一人者である慶應義塾大学の栗原先生,塚崎先生によりまとめられ,その手技と診断法のすべてを掲載し好評を博した「コルポ診の臨床ABC」を,分類を改めて新たにアップデートした待望の改訂版である。
すべての産婦人科医におくる,コルポスコピー関連書籍の決定版。


序文

改訂第2版序

 本書は慶應義塾大学名誉教授故栗原操寿先生が,長年の産婦人科診療を通して収蔵した膨大な数のコルポ写真,細胞診標本,組織標本を基に,コルポ診の臨床において蓄積したノウハウをまとめたコルポ診の入門書である。
 本書第1版は2004年4月に発行されたが,この時すでにBarcelonaで2002年に開かれた第11回International Federation of Cervical Pathology and Colposcopy(IFCPC)にて,コルポスコピー所見分類の改正が行われており,国内においても大筋でこれを受け入れる方向での議論が進んでいた。しかしながら,国内での正式な新コルポスコピー所見分類が未だ発表されていなかったことから,第1版ではコルポスコピー標準図譜(日本婦人科病理・コルポスコピー学会編,1994年)に記載された旧分類を採用することとした。そのため,2005年に日本婦人科腫瘍学会から発表された新コルポスコピー所見分類(日本婦人科腫瘍学会編,2005年)とは多少異なり,本書購読者に御不便をおかけしてしまったことに関しては心よりおわび申し上げるとともに,改訂の必要にせまられていた。今回,第1版発行より9年を経て,前述した所見分類の変更に加え,細胞診におけるベセスダシステム採用の流れ(ベセスダシステム2001準拠子宮頸部細胞診報告様式の理解のために,日本産婦人科医会,2008年)や,異形成および上皮内癌の組織学的基準の変更(子宮頸癌取り扱い規約,日本産科婦人科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会編,2012年)などに対応するために改訂版を発行することになった。
 本書によって読者のコルポ診への理解と興味が高まり,そのことが頸癌患者の診断や治療の向上に少しでも役立つことができれば,子宮頸癌の研究に情熱を注がれた栗原名誉教授にとってなによりの喜びであろうと思う次第である。

2013年(平成25年)2月吉日
塚崎 克己
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第1版序より
コルポスコピー(コルポ診)と私の出会い

序にかえて
 コルポスコピー(コルポ診)は1925年ドイツのHinselmann Hによって開発された。Hinselmannは視診では見えない小さい頸癌を双眼顕微鏡で拡大して診断しようとして精力的に研究を続けた。しかし,そのまま拡大診するだけでは初期癌は期待通りに見えないために,はじめの間,普及は遅々として進まなかった。
 10年以上経過した1938年にHinselmannらが開発した酢酸加工法によって,視診では全く見分けることができなかった良性者と異常者を鑑別することができ,しかも異常者は狙い組織診で病変の進行程度を最終診断するという癌の新しい診断法が確立された。
 以上の経過をたどったコルポ診はHinselmannをはじめ,ドイツ,オーストリア学派のMestwerdt, Ganse, Glattharr, Cramerらによって臨床に常用され,主にヨーロッパを中心に普及した。アメリカなどの英語圏での普及は,Papanicolaouの剥離細胞診(Pap Smear)の勢いに押されるまま,このときはまだはかばかしくはいかなかった。コルポスコピーの業績や所見の用語がドイツ語であり,しかも統一がなかったことも遅々として普及が進まなかった理由であった。
 このあと1950年代から1970年を迎えて,Glattharr(1955),Cramer(1962),Kolstad(1974),Staf(l 1974)らの特筆されるコルポスコピーに関する優れた業績の発表が相次ぎ,ようやく婦人科臨床医にとって,欠かせない新しい癌の診断法としての認識が世界的に広まった。
 
 わが国では今から約60年以前(1930年代の後半)に,笠森周護教授(金沢大学),岩津俊衛教授(千葉大学)らがHinselmannの初期の時代のコルポスコープを外遊時に日本にもちかえり,臨床に試みたが,普及するまでに至らなかった。
 日本でコルポスコープが再び注目されはじめたのは戦後の1950年(昭和25年)以降のことである。私の恩師安藤画一教授は戦後間もなくPapanicolaouの開発した細胞診を高く評価し,その普及に尽くされたが,同時にコルポスコピーにも絶大な関心を持ち,ドイツにHinselmann教授を再三訪ねて親交を重ね,日本における普及に情熱を注がれた。
 コルポスコピーは産婦人科医が常用すべき新しい癌診断法であるという固い信念から,当時双眼式コルポスコープはかなり高額であったため,普及を目的に安価な手持ち式単眼コルポスコープを開発し全国を行脚された。私はちょうどこのころ,慶應義塾大学医学部産婦人科学教室に入局し(昭和25年),研究テーマ「子宮頸部の上皮内癌」を安藤教授にいただき,全国行脚にたびたびお伴する幸運に恵まれた。
 このあと,私は外来に癌クリニックを開設し,細胞診とコルポスコピー(コルポ診)を臨床に導入して大きな成果を挙げることができた。すなわち,1960年(昭和35年)に子宮頸部上皮内癌について報告し,1972年(昭和47年)に子宮頸部の前癌病変—良性悪性をめぐる境界病変—に関して日本産科婦人科学会の宿題報告を行った。定年を迎え1994年(平成6年)に東京都予防医学協会に就任し,東京母性保護産婦人科医会(現東京産婦人科医会)方式の頸癌集団検診法の確立と30歳以上女性を対象とする老健法の普及に努め,1999年(平成11年)12月に,延べ500万人の子宮癌検診と1万人を超す子宮癌を発見し,そのうち約半数は早期癌という成果を挙げることができた。本書の症例はすべて東京都予防医学協会の精検センターで検出したものである。
 オーストリア学派によって究められたコルポ診(コルポスコピー)が全世界に普及するに伴い,国際的に共通する所見分類や研究発表の要望が高まり,IFCPC(International Federation for Cervical Pathology and Colposcopy)が結成され,第2回国際会議が1975年にオーストリア(Burghardt会長)で開催され,初めて「国際コルポスコピー所見分類」が決定された。
 この趨勢に鑑み,わが国では1975年(昭和50年)に日本コルポスコピー研究会が結成された。
 国際会議に日本が正式に加盟したのは第3回(1978年,マイアミ大会)からで,このとき日本コルポスコピー研究会は日本子宮頸部病理・コルポスコピー学会(Japan Federation for Cervical Pathology and Colposcopy)に組織を改め,国際学会への対応を整えた。
 第4回国際会議(1981年,ロンドン大会)において第5回国際会議の開催国に日本が指名を受け,第5回国際会議(1984年,東京大会)を担当し,天神美夫先生,野田起一郎先生のご推薦でその会長に私が選出され,日本子宮頸部病理・コルポスコピー学会の全面的なバックアップのもとに,世界各国から800名を超す学者を迎え,盛大に東京で開催することができた。
 このあと「日本子宮頸部病理・コルポスコピー学会」は「日本婦人科病理・コルポスコピー学会」に名称を変えたが,さらに今後の学会活動と運営の合理化を目的に新たに1999年(平成11年)に「日本婦人科腫瘍学会」が発足したのを機会に,そして学術集会にコルポスコピー関係の演題を盛り込むことを条件に,これと合併し今日を迎えている。

2004年(平成16年)2月吉日
栗原 操寿
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目次

総論
 1 コルポ診の目的と役割
 2 子宮頸部の臨床病理とコルポ診のポイント
 3 器具と備品
 4 コルポ診の手順とポイント
 5 コルポスコピー新所見分類
 6 コルポ診所見の図示と記号
 
基礎編
 正常扁平上皮(S)と円柱上皮(C)
 正常移行帯(T)
 正常移行帯(T)
 1−白色上皮 軽度白色上皮(W1)
 1−白色上皮 軽度白色上皮(W1)
 1−白色上皮 軽度白色上皮(W1)
 1−白色上皮 軽度白色上皮(W1)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 腺開口型軽度白色上皮(Go1)
 1−白色上皮 腺開口型軽度白色上皮(Go1)
 1−白色上皮 腺開口型高度白色上皮(Go2)
 1−白色上皮 腺開口型高度白色上皮(Go2)
 1−白色上皮 腺開口型高度白色上皮(Go2)
 1−白色上皮 腺開口型高度白色上皮(Go2)
 2−赤点斑 軽度赤点斑(P1)
 2−赤点斑 高度赤点斑(P2)
 2−赤点斑 高度赤点斑(P2)
 3−モザイク 高度モザイク(M2)
 4−白斑 白斑(L)
 4−白斑 白斑(L)
 5−異型血管 異型血管(aV)
 5−異型血管 異型血管(aV)
 浸潤癌所見 浸潤癌(IC-a)
 浸潤癌所見 浸潤癌(IC-a)
 浸潤癌所見 浸潤癌(IC-b)
 不適例 不適例(UCF-a)
 不適例 不適例(UCF-b)
 不適例 不適例(UCF-b)
 初期腺癌
 初期腺癌
 その他の非癌所見 コンジローマ(Con)
 その他の非癌所見 炎症(Inf)-1
 その他の非癌所見 炎症(Inf)-2
 その他の非癌所見 ポリープ(Po)
 その他の非癌所見 びらん(Er)
 その他の非癌所見 潰瘍(UI)-1
 その他の非癌所見 潰瘍(UI)-2
 その他の非癌所見 その他 etc
 
応用編
 1−白色上皮 高度白色上皮(W1 〜W2)
 1−白色上皮 軽度白色上皮(W1)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2)
 1−白色上皮 腺開口型軽度白色上皮(Go1)
 1−白色上皮 腺開口型高度白色上皮(Go2)
 1−白色上皮 腺開口型高度白色上皮(Go2)
 1−白色上皮 腺開口型高度白色上皮(Go2)
 1−白色上皮 腺開口型高度白色上皮(Go2)
 2−赤点斑 軽度赤点斑(P1)
 2−赤点斑 高度赤点斑(P2)
 2−赤点斑 高度赤点斑(P2)
 2−赤点斑 高度赤点斑(P2)
 3−モザイク 高度モザイク(M2)
 5−異型血管 異型血管(aV)
 5−異型血管 異型血管(aV)
 5−異型血管 異型血管(aV)
 浸潤癌所見 浸潤癌(IC-a)
 浸潤癌所見 浸潤癌(IC-a)
 浸潤癌所見 浸潤癌(IC-b)
 1−白色上皮 高度白色上皮(W2),腺開口型高度白色上皮(Go2)
 1−白色上皮,3−モザイク 軽度白色上皮(W1),高度モザイク(M2)
 1−白色上皮,2−赤点斑 高度白色上皮(W2),高度赤点斑(P2)
 
セルフアセスメント
 問題
 解答
付録:新コルポスコピー所見分類
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