妊娠高血圧症候群の診療指針 2015

Best Practice Guide

妊娠高血圧症候群の診療指針 2015

■編集 日本妊娠高血圧学会

定価 9,350円(税込) (本体8,500円+税)
  • B5判  252ページ  2色
  • 2015年3月24日刊行
  • ISBN978-4-7583-1247-9

産科医必携「妊娠高血圧症候群(PIH)管理ガイドライン 2009」をupdate

2009年に刊行された「妊娠高血圧症候群(PIH)管理ガイドライン」の改訂版として作成された,日本妊娠高血圧学会編集による「診療指針」。旧ガイドラインの刊行から6年が経過し,妊娠高血圧症候群の研究はさらに進み,新たな知見も示されるようになったところを,新たに学会編にて「診療指針」としてまとめたものである。
日本妊娠高血圧学会ガイドライン改定委員会で厳密な審議を重ね,最新のエビデンスに基づいてupdateされた本書は,現在のわが国における妊娠高血圧症候群診療のスタンダードを示すものであり,産科臨床医は必携の書籍である。


序文

刊行にあたって

 2009年に日本妊娠高血圧学会は『妊娠高血圧症候群(PIH)管理ガイドライン』を当時学会理事長であった佐藤和雄先生ならびに多くの委員の献身的な支援により,メジカルビュー社から刊行しました。
 本管理ガイドラインは2009年当時のbest practiceをCQ形式で,しかもエビデンスレベルの質的評価ならびに,推奨の基準も付記したものでした。臨床上,きわめて有用な情報を提供し,多くの産婦人科医,内科医に利用され,全国の医療施設間のレベル格差を少なくし,妊娠高血圧症候群に罹患した母子の救命に貢献してきました。
 しかし,発刊以降に多くの新しいエビデンスが報告されたため,妊娠高血圧症候群の管理法につき再検討し,この度,『妊娠高血圧症候群の診療指針2015 Best Practice Guide』と名称を変更して発刊することにいたしました。改訂にあたっては江口勝人前理事長,山崎峰夫常任理事,高木健次郎常任理事をはじめ,多くの委員の協力のもと,合計17回のガイドライン委員会が開催され,4回のコンセンサスミーティングも行い,その都度,修正を行い,現時点でのbest practiceを産科医,内科医に臨床で実践していただけるようになりました。
 出産年齢が高齢化するに従い,高血圧合併妊娠や加重型妊娠高血圧腎症ならびに腎疾患合併妊娠症例が増加しており,産科医と内科医が協力して治療に当たる機会も増えてきています。2011年にラベタロールとニフェジピンの添付文書が改訂され,妊婦(ニフェジピンは妊娠20週以降)に投与可能となったため,本診療指針でも改訂されています。また日本脳神経外科学会,日本産科婦人科学会,日本妊娠高血圧学会で議論している妊産婦脳卒中委員会での内容も追加し,高血圧緊急症としての降圧薬の選択法も追加しました。2014年には日本高血圧学会による『高血圧治療ガイドライン2014』が作成されましたが,本診療指針でも,その内容と整合性を図っています。さらに家庭血圧についても記載されています。今後,妊娠高血圧症候群の予知,管理に家庭血圧測定は重要な方法となることが考えられますが,現時点での知見を整理しています。その他,多くの新CQや,従来のCQの改訂を行っておりますので,ぜひとも本書をご利用いただき,臨床に活用していただきたいと思います。
 終わりに,本書の刊行のために絶大なる尽力をされたメジカルビュー社の浅見直博氏,清澤まや氏,日本妊娠高血圧学会事務局の角田怜子氏に感謝申し上げます。

平成27年2月吉日

日本妊娠高血圧学会
理事長 齋藤 滋
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序文

 1980年,妊娠中毒症(当時の病名)について,専門的に議論する場を提供することを目的として誕生したのが「妊娠中毒症研究会」である。その後次第に同好の志が増加して「日本妊娠中毒症学会」と発展的に改称し,学会雑誌を刊行するに至った。海外の動向に鑑み,2005年従来の「妊娠中毒症」から「妊娠高血圧症候群(Pregnancy induced Hypertension;PIH)」と病名・定義・分類を改訂したことを契機に,学会名も「日本妊娠高血圧学会」と変更した。
 大きな変革に携わったわれわれは,病名変更が医療現場で混乱を起こすことを最も懸念した。出産をめぐる医療訴訟が連日マスコミで報道され,産科医療が崩壊の危機に直面していた頃でもある。この時,①周産期医療のさらなる向上に寄与すること,②妊娠高血圧症候群に関する海外の文献を整理ならびに客観的評価を行い,エビデンスレベルを設定すること,③妊娠高血圧症候群患者に対して適切な対応(治療)法を選択する基本情報となること,等を目的としてガイドラインを作成した。
 2009年メジカルビュー社から『妊娠高血圧症候群(PIH)管理ガイドライン2009』として発行され,国内に広く妊娠高血圧症候群に関するメッセージを発信するとともに,医療現場で大いに役立ったものと確信している。ただ,出版のタイムリミットの関係から,作成委員会で十分議論が尽くされていない項目もあったので,ガイドライン刊行後間もなく,次の改訂版の準備を進めてきた。
 ガイドラインは,医療情報を提供するものであり,決して医師を拘束するものではないことを明確にする意味で,『妊娠高血圧症候群の診療指針2015 Best Practice Guide』とした。今回の刊行に際しては,日本妊娠中毒症学会当時からの盟友である山崎峰夫,高木健次郎両委員長(ガイドライン改訂委員会)ならびに委員および参加された内科の先生方の並々ならぬ御努力の結晶であることを記しておきたい。
 終わりに,本書上梓に際して絶大なる御理解と御助力を賜ったメジカルビュー社,浅見直博氏,清澤まや氏に深い謝意を表する。

平成27年2月
日本妊娠高血圧学会
前理事長 江口勝人
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目次

本診療指針の目的と使い方
 
Ⅰ妊娠高血圧症候群の基本的事項
 1. preeclampsiaの病因・病態
 2. 定義・分類
 3. 妊娠高血圧と妊娠高血圧腎症の母児予後の差
 4. 妊娠蛋白尿についての考え方
 5. 浮腫に関する考え方
 6. リスク因子
 7. 妊娠高血圧症候群の発症予知法
 
Ⅱ診断の基礎
 1. 血圧測定,高血圧の診断
  CQ1 外来での正しい血圧測定方法とその評価方法は?
  CQ2 妊婦の家庭血圧測定は?
  CQ3 妊婦における自由行動下血圧測定方法とその意義は?
  CQ4 妊婦における白衣高血圧の診断は?
 2. 蛋白尿の診断
  CQ  妊婦における蛋白尿の診断・評価は?
 3. 妊婦健診での留意点
  CQ  妊娠高血圧症候群早期発見のために妊婦健診で注意すべき点は?
 4. 鑑別診断
  CQ  高血圧合併妊娠と妊娠高血圧症候群の鑑別は?
 
Ⅲ発症予防
  CQ1 カルシウム経口補充療法は妊娠高血圧症候群の発症予防に有用か?
  CQ2 低用量アスピリン療法は妊娠高血圧症候群の発症予防に有用か?
 
Ⅳ妊婦管理
 1. 母体評価
  CQ1 血圧の重症度評価は?
  CQ2 病的蛋白尿(1日300mg以上)を呈する妊婦の管理は?
  CQ3 中枢神経系の病態評価は?
  CQ4 血液凝固・線溶系マーカーによる母体評価は?
  CQ5 妊婦の心機能評価法は?
  CQ6 妊娠高血圧症候群発症前後の肝・代謝機能をどのように評価するか?
 2. 胎児評価
  CQ1 妊娠高血圧症候群における胎児well-beingの評価は?
  CQ2 妊娠高血圧症候群の分娩前副腎皮質ホルモン投与は?
 3. 非薬物療法
  CQ1 妊娠高血圧症候群に対する入院の適応は?
  CQ2 入院治療としての安静度の意義は?
  CQ3 妊娠高血圧症候群に対する食事療法:食塩,水分,カロリー摂取は?
 4. 輸液療法
  CQ  妊娠高血圧症候群に対する輸液療法は?
 5. 降圧薬療法
  CQ1 妊娠高血圧症候群に対する降圧薬療法の適応は?
  CQ2 妊娠高血圧症候群における降圧の範囲は?
  CQ3 妊娠高血圧症候群における降圧薬の選択とその使用法は?
 6. 抗凝固療法
  CQ  妊娠高血圧症候群に関連した妊娠中の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防的抗凝固療法は? 妊娠中のVTE発症例の抗凝固療法は?
 
Ⅴ高血圧合併妊娠Ⅴ高血圧合併妊娠
 1. 基本的知識
  CQ  高血圧合併妊娠とは? 高血圧合併妊娠の分類は? 母児の予後は?
 2. 降圧薬療法
  CQ1 高血圧合併妊娠の降圧薬療法開始の基準血圧と降圧目標値は?
  CQ2 実際の投与薬剤と使用方法は?
  CQ3 妊娠前から降圧薬を服用している場合の対応は?
 3. 加重型妊娠高血圧腎症の診断と管理
  CQ  加重型妊娠高血圧腎症の早期発見,診断,管理のポイントは?
 4. 高血圧合併妊娠,加重型妊娠高血圧腎症の分娩時期,分娩後の管理
  CQ1 高血圧合併妊娠,加重型妊娠高血圧腎症の分娩時期は?
  CQ2 高血圧合併妊娠,加重型妊娠高血圧腎症の分娩後の管理は?
 
Ⅵ腎疾患合併妊娠
  CQ1 妊娠前から腎疾患を合併している患者が妊娠した場合のカウンセリングは?
  CQ2 腎機能の重症度の診断は?
  CQ3 腎疾患合併の妊娠許可条件は?
  CQ4 ネフローゼ症候群の妊娠許可条件は?
  CQ5 腎疾患合併の妊娠管理は?
  CQ6 軽度,中等度,高度別にみた腎機能障害における妊娠中の管理上の留意点は?
  CQ7 腎透析開始の適応と管理は?
  CQ8 維持透析患者の妊娠は?
  CQ9 腎移植患者の妊娠と管理は?
  CQ10 腎疾患合併妊娠の周産期予後に及ぼす影響は?
  CQ11 分娩後に特異的な腎疾患は?
 
Ⅶ子癇
  CQ1 子癇の病態は?
  CQ2 子癇の管理法は?
 
Ⅷ特殊な病態Ⅷ特殊な病態
 1. HELLP症候群・関連疾患
  CQ1 HELLP症候群を早期に診断するためには?
  CQ2 HELLP症候群の診断は?
  CQ3 HELLP症候群の鑑別診断とその要点は?
  CQ4 HELLP症候群の予防・管理は?
  CQ5 HELLP症候群の薬物療法は?
  CQ6 HELLP症候群の分娩後の管理は?
 2. 心不全・肺水腫・周産期心筋症
  CQ1 心不全・肺水腫・周産期心筋症につながる病的浮腫とは?
  CQ2 心不全・肺水腫・周産期心筋症の診断は?
  CQ3 心不全・肺水腫・周産期心筋症の管理,治療は?
 3. 常位胎盤早期剥離
  CQ1 常位胎盤早期剥離と妊娠時の高血圧との関連は? また予知・予防できる方法は存在するか?
  CQ2 常位胎盤早期剥離の診断は?
  CQ3 常位胎盤早期剥離の治療法は? また待期的管理は可能か?
  CQ4 胎児が死亡している常位胎盤早期剥離の分娩方法は?
 4. 脳卒中
  CQ 脳卒中の診断と管理は?
 5. 播種性血管内凝固症候群(DIC)
  CQ 播種性血管内凝固症候群(DIC)の診断・治療は?
 6. 急性腎不全
  CQ1 急性腎不全の診断は?
  CQ2 急性腎不全の治療は?
 7. 深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症
  CQ  妊娠産褥期における静脈血栓塞栓症(VTE)患者の診断・治療は?
 
Ⅸ分娩周辺期および分娩時の管理
 1. 妊娠継続のための留意点
  CQ1 妊娠高血圧症候群重症の管理法は?
  CQ2 妊娠高血圧症候群軽症の管理法は?
 2. 妊娠終結の決定条件
  CQ 妊娠終結の決定条件は?
 3. 分娩様式の決定
  CQ 分娩様式の選択は?
 4. 分娩誘発
  CQ1 分娩誘発の適応と時期は?
  CQ2 分娩誘発の方法と注意点は?
 5. 分娩時の血圧管理
  CQ 分娩時の血圧管理とその注意点は?
 6. 分娩時の高血圧
  CQ 分娩時の高血圧に対する降圧療法は?
 7. 無痛分娩
  CQ1 妊娠高血圧症候群の分娩管理で硬膜外麻酔は有用か?
  CQ2 妊娠高血圧症候群で硬膜外麻酔による無痛分娩を行う場合の注意点は何か?
 8. 帝王切開術
  CQ1 妊娠高血圧症候群に対する帝王切開の注意点は?
  CQ2 妊娠高血圧症候群に対する帝王切開時麻酔の方法は?
  CQ3 妊娠高血圧症候群に対する全身麻酔のリスクは?
  CQ4 抗凝固療法中の妊婦の麻酔方法は?
  CQ5 妊娠高血圧症候群患者の帝王切開時静脈血栓塞栓症(VTE)に対する予防的抗凝固療法は?
 
Ⅹ分娩直後から産褥早期の管理
 1. 観察と検査
  CQ 観察すべき症候と実施すべき検査は?
 2. 降圧薬療法
  CQ 産褥早期の高血圧に対する加療は?
 3. 輸液療法,その他の薬物療法
  CQ 分娩直後の輸液療法の実際と注意点は?
 4. 産褥期の薬物療法と授乳
  CQ 産褥期の薬物療法と授乳は?
  CQ 観察すべき症候と実施すべき検査は?
 
Ⅺ産褥3日目以降〜1カ月の管理
  CQ 観察すべき症候と実施すべき検査は?

Ⅻ長期予後
 1. 次回妊娠に向けた指導
  CQ 妊娠高血圧腎症発症後の,次回妊娠時の母児に対する影響および再発予防法は?
 2. 母体の長期予後
  CQ 長期予後を見据えた管理方法は?
 
ⅩⅢ他のガイドラインにおける妊娠高血圧症候群の位置づけ
  日本高血圧学会
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