OS NOW Instruction No.23

手の外傷

早期機能回復をめざして

手の外傷

■担当編集委員 金谷 文則

定価 12,100円(税込) (本体11,000円+税)
  • i_dvd.jpg
  • A4判  236ページ  オールカラー,イラスト330点,写真220点,DVD-Video付き
  • 2012年7月26日刊行
  • ISBN978-4-7583-1352-0

カラーイラストとDVDで手指部外傷治療をしっかりマスター!

No.23は手の外傷に対する保存療法および手術療法で構成されている。
腱や神経が損傷すると手指の機能が損なわれる。これはQOLの低下に直結するため,確実な治療と機能再建が必要である。
本書では手に発生する外傷をその部位(軟部組織,腱,神経など)と症状(コンパートメント症候群,感染など)に分け,それぞれで主要な疾患と保存・手術療法にて構成した。
本文中では,手術手技の基本的な流れの解説はもちろん「手術のコツ,注意点」「トラブルシューティング」を随所に掲載し,術中トラブルや合併症への対処法,また機能回復のための後療法についても解説した。
手指に発生する外傷についての情報が集約された1冊である。

■シリーズ編集委員
岩本幸英/安田和則/馬場久敏/金谷文則


序文

 今回,「OS Now Instruction No.23:手の外傷 早期機能回復をめざして」を担当させて頂きました。手はヒトが作業するときのセンサーでありかつツールです。ヒトの感覚器の中でセンサーとツールが両立して動く器官は手足と舌の他にはなく,特殊な構造に裏付けられています。手は事故による外傷に加えて労作による障害も多く,成因,病態が多岐にわたります。上肢の機能障害は,軽度であっても社会的なhandicapを来すことから,正確な診断と適切な治療による早期機能回復が重要になります。
 手の解剖学的な特徴として掌側・背側は皮膚の直下に腱,そのすぐ下に骨があり,側方では骨・腱・神経・血管が小さな空間にコンパクトに詰まっていることがあげられます。そのため手の開放創は容易に腱,神経,血管損傷を来します。さらに解放骨折を合併すると腱の癒着は必発です。この対策として強固な骨接合と強固な腱縫合に加えて早期運動療法が開発され,術後成績の向上につながっています。手の外傷は診断,治療において手技上のコツの宝庫であると同時にピットフォールが沢山あります。今回の特集では手の外傷の治療に主眼を置きました。
 軟部組織損傷の評価と治療が手の機能回復を左右します。近年,保険適応になったV.A.C.療法により従来であれば皮弁が必要であった軟部組織欠損であっても,小範囲であれば良好な肉芽を形成させることが可能になりました。腱や骨が露出しない皮膚欠損創やV.A.C.療法で形成された肉芽には植皮が必要になり,骨や腱が露出した創は皮弁が適応になります。本書では軟部組織欠損に対するスタンダードな手術である植皮,皮弁について基本手技とそのポイントを記載いただきました。
 手の骨関節損傷の治療も他の部位と異なります。手指の閉鎖骨折の多くは保存療法で良好な骨癒合が得られるため,骨接合術の適応は主に不安定型骨折と関節内骨折になります。一方,解剖学的に骨関節の整復固定を行っても,早期運動を行わなければ骨折や手術により形成された瘢痕により特に伸筋腱の癒着は必発です。すなわち,骨接合を行うのであれば早期運動が可能な強度が必要とされます。
 手の屈筋腱断裂,特にzone IIはno man’s land と呼ばれておりましたが,近年の腱縫合法の改良とリハビリテーションの工夫による早期自動運動により,エキスパートであれば良好な成績が得られるsome one’s land となりました。とは言っても,腱損傷は現在でも良好な成績を得ることがもっとも難しい損傷の1つです。本書により最新の治療とそのコツを習熟頂きたいと存じます。
手には爪郭炎と爪縁炎や,化膿性屈筋腱腱鞘炎,ヒト咬傷そして非定型抗酸菌感染症などの特異的な炎症が見られます。それぞれ他の部位では見られない特異的な手の外傷であり,知識があれば早期に治療が可能ですが,知らないと重篤な後遺症を残します。本項で知識を整理して頂きたいと存じます。
 本書に記載された詳細な手技やコツを習得し,日常診療にお役立て頂ければ幸いです。

2012年6月
金谷文則
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目次

軟部組織欠損に対する処置
 保存療法
 植皮
 皮弁
 爪損傷
骨・関節損傷
 末節骨・DIP関節損傷
 基節骨・MP関節損傷
 中手骨・CM関節損傷
 手根骨損傷
腱・神経・血管損傷
 新鮮屈筋腱損傷
 陳旧性屈筋腱損傷に対する機能再建術
 伸筋腱損傷新鮮例
 腱移植,腱移行による伸筋腱損傷陳旧例の再建
 伸筋腱脱臼
 陳旧例に対する神経移植
 血管損傷に対するマイクロサージャリー
コンパートメント症候群
 Volkmann拘縮に対する手術療法
切断指
 切断指の再接着術
感染
 爪郭炎,瘭疽
 化膿性屈筋腱腱鞘炎
 ヒト咬傷
 非定型抗酸菌感染症
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