これから始める運動器・関節エコー

必ず描出するためのコツとテクニック

これから始める運動器・関節エコー

■編集 石崎 一穂

■編集協力 藤原 憲太
鈴木 毅

定価 6,380円(税込) (本体5,800円+税)
  • A4判  260ページ  オールカラー,イラスト50点,写真100点
  • 2015年7月27日刊行
  • ISBN978-4-7583-1367-4

各部位別のエコーの撮り方,見方,読み取り方がわかる! 先天性股関節脱臼,関節リウマチについても詳細解説

昨今,整形外科分野において運動器のエコー検査が用いられる頻度が高まっている。以前は心エコーや腹部エコーが主流であったが,機器の進歩と共に,エコー検査で,骨,軟骨,筋,腱,靱帯,末梢神経,血管のすべてを評価することができるという点においても,今後さらに劇的に普及していくと思われる。「無侵襲検査」であり,CTやMRIに比べ医療費を安く抑えることができ,簡単に検査を行うことができるが,その反面で正確に画像を描出できず,診断に役立てられていない場合も多い。
目的に応じた画像を撮り,診断に役立てるためには,とりあえずエコーをあててみるのではなく,具体的に走査の手順をイメージし,どのように進行したらよいのかを考え,被検者にとって有益な画像を撮ることが大切である。また,関節リウマチに対しては,炎症を起こしている関節滑膜の評価や関節液,骨びらんの観察に適しており,無侵襲検査で検査を即日行うことが可能であるため,早期発見にも適している。
そこで本書では,運動器・関節に対してエコーを使いこなすために必要な基礎知識,技術をまとめ,どのように考え運動器・関節エコーに取り組めばいいのか,再現性を高めるためにはどのようなテクニック,技術が必要なのかを,若手医師,技師のバイブルとなる書籍となるよう解説。


序文

 運動器・関節エコーは,「診断」と「治療」に加え「運動機能評価」にも用いられ,実際に携わる職種も,医師・看護師・放射線技師・臨床検査技師だけでなく,現在では,保険診療に関わらない理学療法士・作業療法士の方々へも広がっています。
 使用される現場も,病院における診療や機能回復の現場だけでなく,フィールドでの検診や,スポーツイベントにおける診察など,こちらも広がりをみせています。
 超音波の長所である,高い分解能を持つ高周波プローブの存在,リアルタイムに運動組織を描出し,血流の評価も可能であること,装置の大きさや取扱いの簡便性を理解すれば,利用できる職種や現場は増えてゆくのも当然のことでしょう。
 本書では超音波診断装置活用の原点に返り,「診断」を目的とした検査方法について解説いたしました。
 タイトル通り,運動器・関節エコーをこれから始める方のために,超音波検査に携わる各職種の初学者を対象として,痛みや腫れの原因検索のための運動組織や関節の検査方法に加え,学童期の肘関節の検診や乳児の股関節検診の検査方法,さらには関節リウマチの検査方法まで,本来であればそれぞれ独立した専門書となりうる内容を,1冊にまとめ構成しています。残念ながら,本書だけで全身をくまなく検査することはできませんが,この1冊が運動器・関節エコーに関心のある皆様の,よい契機になることを願ってやみません。
 さらに,超音波の原理や装置の操作方法に加え,各職種では一般的な基礎的内容や解剖についても,画像やイラストを多く盛り込み,視覚的にも理解できるように簡潔にまとめました。
 検査法に関しては,3DCT像を使用した理解しやすい解剖図を利用し,プローブをあてる場所と検査時の手元を映した写真,実際のエコー像を組み合わせて,検査手技を理解しやすいように工夫しました。
 運動器領域のエコーはまだまだ発展途上の検査方法で,日々新しい知見が見出されています。そこで本書では,運動器・関節エコーに精通した医師と技師が,極一般的な検査方法を最新の情報を交えて執筆いたしました。
 運動器・関節エコーが皆様の日常業務の中の画像診断の一翼として活用していただくために,本書が役立てば筆者の望外の喜びです。
 正しい「診断」が適切な「治療」につながります。さらに今後,運動器・関節エコーに精通し,他の画像診断では解明できなかった病態解明の一助となるよう,明日から運動器・関節エコーを活用していただけることを願っています。

平成27年6月

三井記念病院臨床検査部マネージャー
石崎一穂
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目次

◉運動器・関節エコー関連略語集  
   
Ⅰ 運動器・関節エコーの基礎の基礎 まずは基礎知識を押さえよう  渡邉恒夫
  1 運動器領域における超音波の有用性  
  2 運動器領域エコーの種類と適応疾患  
  3 超音波検査に必要な基礎知識  
  4 超音波検査に必要な基本手技  
  5 その他必要な超音波検査の予備知識  
  6 エコーで観察できる運動器構成体のエコー像  
  7 運動器構成体とエコー像  
   
Ⅱ 部位別運動器・関節エコー実践教習
 1 運動器組織①筋肉  前田佳彦
 Ⅰ 部位別描出法実践教習  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
   依頼目的別診断チャート  
  →検査前の準備  
   前処置  
   被検者の準備と体位  
   検者と被検者の位置関係  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   遭遇頻度の高い症例  
   
 1 運動器組織②神経  前田佳彦
 手根管  
 Ⅰ 部位別描出法実践教習  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
   依頼目的別診断チャート  
  →検査前の準備  
   被検者の準備  
   検者と被検者の位置  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
 肘部管  
 Ⅰ 部位別描出法実践教習  
  →診断方法と検査のゴール  
    診断方法  
    検査のゴール  
    手順一覧  
    依頼目的別診断チャート  
  →検査前の準備  
    被検者の準備  
    検者と被検者の位置  
  →基本実践教習  
    使用プローブ  
    尺骨神経の動的観察  
   
 2 肩関節  渡邉恒夫
 Ⅰ 肩関節を検査するために知っておくべき解剖図  
 Ⅱ  肩関節を検査するために知っておくべき基礎知識  
  →肩関節痛の原因  
  →ドプラ法による血流評価  
   ドプラ法の原理  
   血流評価の実際  
 Ⅲ 部位別描出法実践教習  
   依頼目的別診断チャート  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
  →検査前の準備  
   使用する超音波診断装置と備品  
   検査前の被検者の注意事項  
   被検者の準備と体位・肢位  
   検者と被検者の位置  
   問診と身体所見  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出法  
 Ⅳ 評価診断法実践教習  
  →長頭腱の評価方法  
  →腱板の評価方法  
  →上方関節唇の評価方法  
  →腱板の異常例  
   
 3 肘関節  石崎一穂
 Ⅰ  肘関節を検査するために知っておくべき解剖図  
 Ⅱ 肘関節を検査するために知っておくべき基礎知識  
  →骨の成長過程  
  →「外傷」と「障害」  
 Ⅲ 部位別描出法実践教習  
   依頼目的別診断チャート  
  ❶ 離断性骨軟骨炎(OCD)の検査  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
  →検査前の準備  
   使用する超音波診断装置と備品  
   検査前の被検者の注意事項  
   被検者の準備と肢位  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出方法  
 Ⅳ 評価診断法実践教習(離断性骨軟骨炎)  
  →質的評価  
   エコーによる離断性骨軟骨炎(OCD)分類の実際  
  →位置診断  
   病巣サイズの計測方法  
   骨化進行過程の評価  
   総合的な評価の手順のポイント
  ❷ 内側支持機構の検査  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
  →検査の準備  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出方法  
 Ⅳ 評価診断法実践教習(内側支持機構)  
  →質的評価  
   
 4 股関節(小児)  藤原憲太
 Ⅰ 股関節を検査するために知っておくべき解剖図  
   成人と乳幼児の股関節の骨格構造の違い  
   乳幼児の股関節の各部の名称  
 Ⅱ 股関節を検査するために知っておくべき基礎知識  
  →骨の成長過程  
 Ⅲ 部位別描出法実践教習  
   依頼目的別診断チャート  
  ❶ 先天性股関節脱臼の検査 先天性股関節脱臼が疑われた場合:外来スクリーニング編  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
  →検査前の準備  
   使用する超音波診断装置,設定,備品  
   検査前の保護者,患児への注意事項  
   被検者の準備と肢位  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出方法(Graf法)  
 Ⅳ 評価診断法実践教習(先天性股関節脱臼が疑われた場合)  
   エコーによるGraf分類の実際  
  ❷ 先天性股関節脱臼の検査 先天性股関節脱臼の治療中(装具,牽引,ギプスなど)の経過観察の場合:外来,入院編  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
  →検査前の準備  
   使用する超音波診断装置,設定,備品  
   被検者の準備と肢位  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出方法(前方法)  
 Ⅳ 評価診断法実践教習(先天性股関節脱臼の治療中の経過観察の場合)  
   エコーによる評価の実際  
  ❸ 単純性股関節炎の検査 単純性股関節炎が疑われた場合:外来編  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
  →検査前の準備  
   使用する超音波診断装置,設定,備品  
   被検者の準備と肢位  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出方法(前方法)  
 Ⅳ 評価診断法実践教習(単純性股関節炎が疑われた場合)  
   エコーによる評価の実際  
   
 5 膝関節  前田佳彦
 Ⅰ 膝関節を検査するために知っておくべき解剖図  
 Ⅱ 膝関節を検査するために知っておくべき基礎知識  
 Ⅲ 部位別描出法実践教習  
   依頼目的別診断チャート  
  ❶ 外傷性の側副靱帯損傷と半月板損傷
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
  →検査前の準備  
   使用する超音波診断装置と備品  
   検査前の被検者の注意事項  
   被検者の準備と体位の選択  
   検者と被検者の位置  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出法  
  ❷ 膝関節症の総合的な評価  
   手順一覧  
   使用する超音波装置と備品  
   検査前の被検者の注意事項  
   被検者の準備と体位の選択  
   検者と被検者の位置  
   Ⅳ 基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出方法  
 Ⅴ 評価診断法実践教習  
   半月板突出および骨棘像の評価  
   関節包の評価  
   大腿骨荷重部軟骨の評価  
   周囲組織の異常血流シグナルの評価  
  ❸Osgood-Schlatter病  
   手順一覧  
  →検査前の準備  
   使用する超音波装置と備品  
   検査前の被検者の注意事項  
   被検者の準備と体位の選択  
   検者と被検者の位置  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出方法  
 Ⅴ 評価診断法実践教習  
   
 6 足関節  石崎一穂
 Ⅰ 足関節を検査するために知っておくべき解剖図  
  →足関節靱帯  
  →アキレス腱
 Ⅱ 足関節を検査するため知っておくべき基礎知識  
   足関節捻挫  
   アキレス腱損傷  
 Ⅲ 部位別描出法実践教習  
   依頼目的別診断チャート  
 Ⅳ 足関節外側靱帯損傷の検査:前距腓靱帯の検査方法を中心に  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   前距腓靱帯およびその靱帯付着部の診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
  →検査前の準備  
   使用する装置と備品  
   被検者の準備と肢位  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出方法  
 Ⅴ 評価診断法実践教習  
  →質的評価  
   アキレス腱の検査  
  →診断方法と検査のゴール  
   診断方法  
   検査のゴール  
   手順一覧  
  →検査前の準備  
   使用する装置と備品  
   検査前の準備  
   被検者の準備と肢位  
  →基本実践教習  
   使用プローブ  
   描出方法  
   アキレス腱およびその周辺組織の描出方法  
 Ⅴ 評価診断法実践教習  
   アキレス腱の評価方法  
   腱炎の評価  
   腱断裂の評価  
   腱断裂経過観察の評価  
   
 7 関節リウマチ(手首・手指)  鈴木 毅,小笠原倫大
 Ⅰ 手指・手関節領域を検査するために知っておくべき解剖図  
   手指・手関節全体  
   手指関節と屈筋腱  
   屈筋腱横断  
   伸筋腱の腱区画と腱鞘  
   各腱  
   手根管  
 Ⅱ 手指・手関節領域を検査するために知っておくべき知識  
  →滑膜炎  
   関節滑膜の正常解剖  
   関節滑膜炎の病理像  
   関節滑膜炎のエコー画像  
  →エコー所見の定義  
  →滑膜の広がり  
  →グレーディング  
   グレースケールのグレーディング  
   パワードプラ法による滑膜炎のグレーディング  
   パワードプラ法による腱鞘滑膜炎のグレーディング  
  →検査前の準備  
   使用プローブ  
   機器設定  
   ドプラ超音波のアーチファクト  
   被検者の体位  
   検査前の被検者の注意事項  
   実際の評価の際に注意すること  
 Ⅲ 部位別描出法実践教習  
   個別の部位に絞った検査依頼の場合  
   RAの診断目的や病勢の評価目的の検査依頼の場合  
   効率のよい手関節・手指関節・腱鞘の検査手順  
   手順一覧  
  →基本実践教習  
   検査中の機器調整  
  手指・手関節背側  
   描出法①手首の縦断走査  
   描出法②手首の横断走査  
   描出法③手指(MCP関節,PIP関節)の縦断走査  
  手指・手関節掌側  
   検査部位の肢位  
   描出法①手指(MCP関節,PIP関節,屈筋腱)の縦断走査  
   描出法②手指(MCP関節,PIP関節,屈筋腱)の横断走査  
   描出法③手首の横断走査  
 Ⅳ 評価診断法実践教習  
   関節滑膜の重症度評価(グレーディング)  
   腱鞘滑膜病変の評価
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