もう迷わない! 心房細動マネージメント

もう迷わない! 心房細動マネージメント

■編集 奥村 謙

定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
  • B5判  224ページ  2色(一部カラー)
  • 2012年3月16日刊行
  • ISBN978-4-7583-1400-8

在庫僅少です。


心房細動診療に迷わないための必須の1冊!

心房細動は,日常臨床で臨床医が遭遇する機会が多い疾患である反面,もっともやっかいな不整脈といわれ,管理・治療は必ずしも一筋縄ではいかない疾患である。一過性の症状から発作性・持続性心房細動を繰り返し,永続性の心房細動へと移行し,それぞれの病態によって管理・治療法が異なり,病的変化が進めば根治はきわめて難しくなる。また,心房細動は血栓・塞栓形成の大きなリスク要因となり,抗凝固療法なども必要となり,その管理は多岐にわたる。
本書では,診断から,治療,再発を含め,日常臨床で総合的マネージメントを必要とする心房細動診療をいかに行っていくべきかを,本領域のエキスパートの先生方に,実際の臨床に即して解説していただき,日常臨床で読者が知りたい内容を素早く実践できるような書籍とした。


序文

 近年の循環器疾患に対する病態生理の解明と治療法の発展などを背景とし,ほとんどの循環器疾患の診断法,治療法は確立され,それぞれに対し診療ガイドラインが刊行されている。不整脈に関しても同様で,期外収縮から頻拍まで,薬物治療,非薬物治療(カテーテルアブレーション,植込み型除細動器治療などのデバイス治療,外科的治療)の適応がガイドラインに明記されている。では不整脈のなかで最も重要な心房細動の治療はどうであろうか。2000年より以前は抗不整脈薬療法(リズム治療)が中心で,治療後も再発を繰り返す心房細動はほぼ「お手上げ」の状態であった。また心房細動に対する不整脈専門医の関心も今日ほどではなく,上室頻拍や心房粗動,心室頻拍ほどの取り組みはなされていなかった。これに対し,心房細動に起因する脳梗塞(心原性脳塞栓症)の重症度と予防治療に関する臨床研究が次々に報告され,その結果に基づき,わが国でもワルファリンを用いた抗凝固療法が普及し始めた。
 21世紀になると心房細動に「光」が射し始め,その治療戦略が前向きに検討されるようになった。米国ではAFFIRM試験,オランダではRACE試験,そしてわが国ではJ-RHYTHM試験によりリズム治療,レート治療の生命予後およびQOLに対する効果が比較検討され,心房細動治療のあり方,進め方がエビデンスとして示された。血栓塞栓症の発症リスクもエビデンスに基づいて提唱され,予防策としての抗凝固療法が広く実施されるようになった。さらに最近ではカテーテルアブレーションにより,とくに比較的若年の器質的心疾患を伴わない発作性心房細動が根治可能な時代となり,心房細動に対しても治療指針が明確に記載されるようになった。すなわち心房細動の治療は『もう迷わない!』時代を迎えたわけである。
 本書は心房細動の基礎知識,治療の進め方,合併症への対応,心原性塞栓症の予防法と対応,そして外来フォローアップ法の各々について,『もう迷わない!』をスローガンとしてまとめたものである。これまでに心房細動を対象として実施された臨床研究により確立された事象,エビデンスを中心とし,日常診療に直ちに役立つ内容(知識と実践法)を網羅したつもりである。各執筆者は心房細動研究のエキスパートであり,また実際に自ら心房細動を診療されている方々でもあり,経験とエビデンスに基づいて執筆いただいた。本書が心房細動に対する理解の向上とともに心房細動患者の生命予後の改善,QOLの向上につながることを期待したい。

2012年2月
弘前大学大学院医学研究科循環呼吸腎臓内科学教授
奥村 謙
全文表示する

目次

I−迷わないための心房細動基礎知識 
1.心房細動発症の危険因子と助長因子:
 まずは心房細動にならないこと!助長因子としてなにに注意するか  渡部 裕
2.心房細動と生命予後:心房細動はなぜいけないのか,なにを予防すべきか  奥村 謙
3.心房細動の病型分類:発作性から持続性,永続性へ  庭野慎一
4.心房細動の症状と重症度:EHRAスコア,有症候性・無症候性心房細動 常田孝幸
5.心房細動の治療戦略:エビデンスとガイドラインから学ぶ  妹尾恵太郎,山下武志

II−もう迷わない!心房細動治療の進め方  
1.治療方針決定の指標:なにを診てどう判断するか  新 博次
2.治療エンドポイントの設定:症状の改善か,生命予後の改善か  関田 学,中里祐二
3.抗凝固療法:ワルファリンと新規抗凝固薬  矢坂正弘
4.アップストリーム治療:発症助長因子を押さえる  志賀 剛
5.ダウンストリーム治療:症状にどう対応していくか  小松 隆,中村元行
6.心房細動カテーテルアブレーション  山根禎一
7.薬物治療の実際:病型・病態よりみた薬剤選択  池主雅臣,林 由香
8.非薬物療法の実際
   ①カテーテルアブレーション  関口幸夫
   ②外科的治療  新田 隆
   ③植込みデバイス(洞不全を合併した心房細動)  榎本善成,杉 薫

III−もう迷わない!合併症を有する患者への対応
1.心疾患合併例:心機能と薬剤選択  田中泰章,平尾見三
2.非心疾患合併例:合併疾患の治療と心房細動治療  福田浩二
3.心臓手術後の心房細動発症例:リズムコントロールとレートコントロール  藤田知之,小林順二郎

IV−手強い心原性塞栓症にはこう対処する  
1.血栓塞栓症のリスク評価:低リスク例とは?高リスク例とは?  平井忠和,井上 博
2.血栓塞栓症の一次予防:脳梗塞はこうして予防する  是恒之宏
3.血栓塞栓症の二次予防:脳梗塞再発率は高い!  目時典文,萩井譲士,保嶋 実,奥村 謙
4.血栓塞栓症と抗凝固療法の予備知識:血栓形成機序と薬物作用機序  玉井佳子,高見秀樹

V−もう迷わない!外来フォローアップ
1.心房細動再発予防:外来で可能な治療法  奥山裕司
2.薬物治療抵抗性心房細動:治療戦略をどう見直すか  村川裕二
3.外来診療で押さえておくべきポイント  佐々木真吾,奥村 謙
全文表示する

関連する
オススメ書籍