先天性心疾患

先天性心疾患

■編集 中澤 誠

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • B5判  452ページ  オールカラー,イラスト100点,写真1,000点
  • 2014年9月22日刊行
  • ISBN978-4-7583-1403-9

中澤 誠 先生責任編集。先天性心疾患の病態,血行動態,診断,治療,予後のフォローアップまでをわかりやすく網羅的に解説した1冊

生産児の100人に1人に発生する先天性心疾患は,遺伝的な要因もあるが,多くの場合原因不明である。そのため,個々の疾患に応じた治療が必要であり,さらに疾患も多岐にわたっている。手術が必要となるケースも多く,術前,術後の血行動態の変化も先天性心疾患の診療・治療を難しいと感じさせる要因の1つといわれている。
また昨今では,先天性心疾患に対する心臓カテーテル検査,治療も器具の進化や技術の進歩により急速に普及し,年間3000件以上の症例数を数えている。さらに,術後の状態に個人差が大きく,小児患者の特徴もしっかりと理解していなければならないため,術後,カテーテル治療後の経過観察に豊富な知識,細かなフォローを必要とする。成人期まで成長する確率が9割を超える現在では,成長とともに変化が生じる病態も正確に理解したうえでの長期のフォローアップも必須である。
そこで本書では,「先天性心疾患」の病態から血行動態,診断,治療,予後のフォローアップ(術後経過)について,各疾患が発症する時期ごとにわけて掲載し,分かりやすく全体を網羅した書籍として刊行。また,先天性心疾患の予後が非常によく,年間1万人以上が成人期に達するため,成人先天性心疾患についても簡潔に解説している。


序文

 目で見る循環器病シリーズの一刊として1992年に初版が刊行され,以後,今日まで改訂再版を重ねてきたことは,臨床現場における本書の役割が継続していることを物語っている。最終改訂版から既に約9年が経過し,疾患そのものの基本事項は変わらないとしても,その間に治療の考え方,診断のモダリティなどが他の医療領域と同様に大きく変化進歩した。本書が扱う先天性心疾患の分野では,対象年齢が胎児から老人まで拡大し,女性の妊娠出産に関する諸問題も診療範囲に含まれるようになった。子孫の先天性心疾患を危惧する患者に対応するためには,分子遺伝学の進歩によって明らかになりつつある成因の理解,環境因子と遺伝性の相互作用による多因子遺伝の知識が必要となっている。また,近年の診断装置の飛躍的な進歩によって,これまでは心臓カテーテル検査が確定診断の主柱だったものが,多くの場合に非侵襲的な診断法,特に3Dエコー,CT/MDCT,MRIに取って代わられるようになってきた。さらに外科手術も進歩し新たな展開となりつつあると同時に,これまでの術後患者の長期予後がより一層明らかになってきている。
 本書は,それら最終版からの9年間の変化や進歩について,網羅的に解説するのではなく,患者を診たときのfirst touchとしての方向性を考える基礎として欲しいと考えて編集した。これまでの読者の希望から,血行動態の理解を促すため一定のフォーマットで説明するように努め,また,MRIやCTなどの新しい診断法による画像を可能な限り多く掲載した。代わりに特徴のない症状兆候や検査所見は一部省いたが,その分を補足する意味で総論では表を多く用いた。
 本書では,章間のスペースに読者へのメッセージ的な文章を掲載した。これらは学問的研究で確立したものではなく,編集者の長年の経験から個人的に感じたことや,役立つのではないかと考えた文献の紹介であり,批判的に読んで頂ければ幸いである。その上で諸氏の診療の向上に寄与できれば編集者の望外の喜びである。
 最後に,これまで私とともに働き,私を指導し支え応援して頂いた諸氏に心から感謝したい。彼らなしには本書は成り立たなかった。また,本書の企画を下さったメジカルビュー社の吉田富生氏,編集者のわがままに我慢強く耐えて編集作業を担当された高橋範子氏に深謝します。

平成26年8月
総合南東北病院小児・生涯心臓疾患研究所所長
中澤 誠
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目次

Ⅰ 総論
 先天性心疾患の疫学
  発生頻度と疾患別頻度 中澤 誠
   先天性心疾患発生頻度と罹病(morbidity)の頻度/先天性心疾患の病型別頻度/先天性心疾患の男女差/成人先天性心疾患(ACHD)の頻度と病型別頻度
 
  成因論と遺伝子異常 石崎怜奈,山岸敬幸
   先天性心疾患の成因論/環境因子/先天性心疾患発症率低下のために
 
 適切な治療のための診断のポイント 中澤 誠
  先天性心疾患による症状/病態・病型と発症年齢/理学所見/ベッドサイド検査の一口ポイント/経皮的酸素モニター
 
 治療概論
  薬物治療(不整脈以外) 村上智明
   チアノーゼに対する治療/収縮不全に対する薬物治療/動脈管への治療/酸素投与療法と肺循環
 
  カテーテル治療 小林俊樹
   根治的IVR治療/手術前後に行い治療成績の向上を図るIVRや姑息的治療のIVR/まとめと今後の展望
 
  先天性心疾患の外科治療概論 坂本喜三郎
   後天性心疾患外科治療とは違うか?/現在に繋がる先天性心疾患外科治療の歴史/体外循環(人工心肺)・心停止を利用した心臓外科手術後の特徴/現在の先天性心疾患外科治療概略/先天性心疾患に対する手術成績の現状と今後/手術適応患者での内科医・小児科医の役割
 
 先天性心疾患の外科術式−人名のついた手術法 小澤 司,吉原克則
  短絡術/血流転換術/弁形成術など/血行再建/その他
 
Ⅱ 胎児期から周生期に発症する循環器異常
 胎児心疾患 稲村 昇,川瀧元良
  胎児診断を生かした周産期医療/胎児不整脈/心臓大血管構築異常
 
 胎児心疾患の治療 稲村 昇
  胎児心不全/胎児不整脈の治療/先天性心疾患の胎児治療
 
 周生期循環異常 豊島勝昭
  新生児遷延性肺高血圧(PPHN)/双胎間輸血症候群(TTTS)/過粘稠度症候群(hyperviscosity syndrome)/胎児発育制限(FGR)の心不全/動脈管早期収縮(PCDA)/卵円孔早期閉鎖(PCFO)/未熟児動脈管開存(PDA)
 
Ⅲ 主として新生児期に発症する心疾患
 完全大血管転位 中澤 誠
  形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 総肺静脈還流異常 中澤 誠
  形態分類と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の長期的問題点
 
 右室流出路閉塞疾患
  肺動脈閉鎖,心室中隔欠損のない型
  (右室低形成,純型肺動脈閉鎖) 中澤 誠
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  肺動脈閉鎖,心室中隔欠損を伴う型 中澤 誠
   病型/血行動態/臨床所見と臨床検査/治療
 
  重症肺動脈弁狭窄 中澤 誠
   形態/血行動態/臨床所見と臨床検査/治療
 
 大動脈弓閉塞性疾患
  大動脈縮窄(単純型・複合型) 中澤 誠
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  大動脈弓離断複合 中澤 誠
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 左心閉塞性疾患
  左心低形成症候群 瀧聞浄宏
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  重症大動脈弁狭窄 瀧聞浄宏
   形態と発生/血行動態/出生前診断/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療
 
  先天性僧帽弁狭窄 森 善樹
   形態と発生/血行動態/臨床所見・検査所見/自然予後/治療
 
  三心房心 森 善樹
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 総動脈幹症 森 善樹
  形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床徴候/自然予後/治療/術後の問題点
 
 内臓心房錯位症候群 森 善樹
  形態と発生/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療
 
 重症Ebstein病 村上智明
  形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療
 
 肺動脈弁欠如症候群 山村健一郎,城尾邦隆
  形態と発生/病態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 予防接種−先天性心疾患児における注意点と術前術後の扱い− 賀藤 均
  予防接種に注意が必要な病態/麻酔・手術と予防接種/輸血後と予防接種
 
Ⅳ 主として乳児期に発症する心疾患
 心室中隔欠損 中澤 誠
  形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然経過と予後/治療/術後長期の問題点
 
 房室中隔欠損完全型 鈴木清志
  形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 Fallot四徴 山村健一郎,城尾邦隆
  形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 Fallot四徴,肺動脈閉鎖,主要体肺側副動脈 山村健一郎,城尾邦隆
  形態と発生/血行動態/臨床所見・検査所見/治療/術後の問題点
 
 大動脈肺動脈短絡
  動脈管開存 小山耕太郎
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療
 
  大動脈肺動脈窓 小山耕太郎
   形態と発生/血行動態/臨床所見・検査所見/自然予後/治療/術後の問題点
 
  右肺動脈上行大動脈起始 小山耕太郎
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 三尖弁閉鎖 中澤 誠
  形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/Fontan術後の経過
 
 単心室 朴 仁三
  形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 修正大血管転位 小山耕太郎
  形態と発生/血行動態/臨床所見/自然予後/治療/術後の問題点
 
 両大血管右室起始 森 善樹
  形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 冠動脈奇形
  左冠動脈肺動脈起始(Bland-White-Garland症候群) 中川雅生
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  冠動脈瘻 中川雅生
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  冠動脈開口異常(閉鎖,狭窄,起始異常) 中川雅生
   形態と発生/臨床所見・臨床検査/治療
 
Ⅴ 主として幼小児期に発症する心疾患
 心房中隔欠損
  二次孔欠損 豊野学朋
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  一次孔欠損 豊野学朋
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  部分肺静脈還流異常 豊野学朋
   形態と分類/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 大動脈弁異常
  大動脈弁狭窄 白石 公
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療
 
  大動脈弁閉鎖不全 白石 公
   形態と発生/血行動態/臨床症状・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  大動脈弁二尖弁 白石 公
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然歴/治療
 
 左室流出路狭窄
  大動脈弁下狭窄 村上智明
   形態と分類/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  大動脈弁上狭窄 村上智明
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然経過/治療/術後の問題点
 
  単純型大動脈縮窄 村上智明
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 右室流出路狭窄
  肺動脈弁狭窄 中澤 誠
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  肺動脈弁下狭窄(右室二腔症) 中澤 誠
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療
 
  末梢性肺動脈狭窄 中澤 誠
   形態と分類/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 心室中隔欠損+大動脈弁閉鎖不全
  心室中隔欠損+大動脈弁逸脱 黒嵜健一
   形態と発生/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  Valsalva洞動脈瘤破裂 黒嵜健一
   形態と発生/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
 房室弁閉鎖不全
  Ebstein病 村上智明
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療/術後の問題点
 
  僧帽弁閉鎖不全 森 善樹
   形態と発生/血行動態/臨床所見・臨床検査/予後/治療/術後の問題点
 
 心筋症
  拡張型心筋症 市田蕗子
   形態と発生/血行動態・循環病態/臨床所見・臨床検査/診断・鑑別診断/自然予後/治療
 
  肥大型心筋症 市田蕗子
   形態と発生/血行動態・循環病態/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療・管理
  附)拘束型心筋症
   病態・成因/臨床所見・臨床検査/治療と予後
 
  心筋緻密化障害 市田蕗子
   形態と発生/血行動態・病態生理/臨床所見・臨床検査/自然予後/治療
 
Ⅵ 主として思春期以降に問題となる心疾患
 肺動脈性肺高血圧(特発性,二次性) 中山智孝,佐地 勉
  概念/疫学/病因/症状/分類/診断(検査・鑑別診断も含む)/治療(治験中・研究中のものを含む)/予後
 
 成人期の先天性心疾患総論 丹羽公一郎
  成人期の合併症/自然歴(非手術歴)/合併症を把握するためのチェックポイント:身体所見/検査所見,悪化のサイン,内科外科治療の留意点/妊娠出産/心理社会的問題
 
 Structural Heart Diseaseとインターベンション 中澤 学,原 英彦
  Structural Heart Diseaseとは/治療対象となる疾患/まとめ
 
 老年期の先天性心疾患総論 大川眞一郎,千田宏司
  老年期の先天性心疾患の頻度/老人にみられる先天性心疾患:各論
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