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症例で覚えるPCI術者に必要な治療Tips

症例で覚えるPCI術者に必要な治療Tips

■編集 五十嵐 康己

定価 8,250円(税込) (本体7,500円+税)
  • B5判  314ページ  2色(一部カラー)
  • 2015年9月29日刊行
  • ISBN978-4-7583-1427-5

経験不足なPCI術者も本書を読めばエキスパートの治療方針決定の思考経路がわかる!

掲載した症例はいずれも,PCI術者であれば誰もが遭遇しうる,治療方針の決定に迷うケースではないかと思われる。日常臨床でわれわれが治療する個々の患者には,様々な全身疾患もしくは特異な病変背景を併せもつ場合が多く,いわゆるEBMだけに基づいた治療は難しい場合が多いと考えられる。
本書では,日々遭遇しうるさまざまな臨床もしくは病変の背景をもつ患者の一例一例の臨床経験から得られた知見を,全国のエキスパートのPCI術者から提示していただき,特に,症例数の豊富でない施設の術者や,経験数のいまだ少ない若手術者への日々のPCI臨床の手助けとなる知識,判断,応用に役立つ書として編集されている。


序文

 冠動脈インターベンション(PCI)治療は薬剤溶出ステントの登場以降,今日まで,虚血性心疾患治療の第一選択として多くの循環器専門施設で積極的に行われるようになりました。同時に,EBM(evidence based medicine)とう考えが社会に広く浸透かつ定着し,われわれが治療方針を決定する際には常に科学的根拠を求められる時代にもなりました。臨床研究は一般に大規模臨床試験ほど統計的powerが強く,そこから得られた結果は信頼度の高いevidenceとして評価されます。しかしながら,このような臨床試験から得られる結論は個別の患者様の個別の臨床背景を留意したものではないために日常の臨床ではしばしば,どのようなPCI治療を選択すべきか適切な治療方針を決めかねる事態に遭遇します。冠動脈疾患に罹患した患者様は全身もしくは局所の並存疾患を伴うことも多く,さまざまな背景をもつ個々の患者に応じた適切な治療を判断することは必ずしも容易ではないからです。特にわが国においては,いわゆるhigh volume centerにおいて治療が行われることはむしろ少なく,多くの施設では限られた症例数の中でPCI治療が行われているという状況があります。特殊な臨床背景を伴った患者様へのPCI治療の経験が十分ではない術者が多いことが懸念されます。
 本書ではわれわれが日常のPCI治療の実践において遭遇するさまざまな患者様の特別な背景を取り上げ,それぞれの状況に対してどのような根拠に基づいて治療方針を立てるべきか。具体的は症例提示を通じて学ぶ書として企画しました。症例の提示は全国のPCI治療の経験,実績の豊富なエキスパート医師にお願いし,理論的背景と経験に基づいて解説を頂いております。エキスパート医師の経験した特別な背景を伴った症例の治療経験を共有できることは特に次世代の若い医師にとって貴重ですし,本書で得られた知見が明日からの日常のPCI治療に役立つことを願っております。
 最後に本書の執筆にご協力頂いた諸先生方と本書の企画から出版にいたるすべての過程でご尽力頂いた,メジカルビュー社の編集部 吉田富生氏に心より御礼申し上げます。

2015年8月
JCHO北海道病院心臓血管センター心臓内科部長
五十嵐康己
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目次

Ⅰ 他疾患が併存する冠動脈疾患へのPCI治療の考え方
 腎機能障害を伴う症例
  CKD stage 3を合併した症例  板家直樹,上野高史
  CKD stage 4を合併した症例  小山田尚史,上田欽造
  維持透析患者に対するPCI治療  榎本操一郎,中川義久
 肝硬変を伴う症例へのPCI  白井伸一
 年齢を考慮したPCI治療  
  閉経前女性に対するPCI治療  山本義人
  若年男子(40歳以下)に対するPCI治療  園田信成
  超高齢者(90歳以上)に対するPCI治療  宮原眞敏,西川英郎
 金属アレルギー患者に対するPCI治療  中澤 学
 担癌患者へのPCI治療
  PCI施行前に手術適応のある悪性腫瘍が見つかった場合  水野智文,天野哲也
  悪性腫瘍を有する患者に対してのインターベンションについて  本山敦士,北山道彦
 非心臓手術を控えた患者へのPCI治療  田邉健吾

Ⅱ ACSに対するPCI治療の考え方
 重症心原性ショックを伴う症例  
  左主幹部閉塞  中西啓太
  多枝閉塞  牧野隆雄
 左冠動脈前下行枝入口部閉塞  古谷純吾
 大量の血栓を伴う症例
  拡張した右冠動脈閉塞  永井宏幸,岡村篤徳
  変性静脈グラフトと閉塞  興野寛幸,上妻 謙
 不安定狭心症へのPCI治療  
  待期的治療が望ましい症例  道下一朗
  ad hoc治療が望ましい症例  小松宣夫
  末梢塞栓予防が必要な症例  大辻 悟

Ⅲ 全身の動脈硬化を伴う冠動脈病変へのPCI治療の考え方
 大動脈疾患を合併
  上行大動脈拡張例  伊藤良明
  Shaggy aorta合併症例  木下順久
  高度大動脈血管蛇行を伴う症例(7Frガイドが必要なPCI症例)  梅地恭子,川﨑友裕
  上腕動脈アプローチをやむなく必要とする症例  片平美明
 重症PADを合併した患者へのPCI  越田亮司

Ⅳ 特殊な冠動脈病変に対するPCI治療の考え方
 病変部位
  右冠動脈入口部病変  松野俊介,矢嶋純二
  左冠動脈主幹部入口部病変  武田吉弘
  左冠動脈主幹部遠位部病変  挽地 裕,野出孝一
  左冠動脈前下行枝入口部病変  清野義胤
  左回旋枝入口部病変の問題点  濱嵜裕司
  灌流域の大きい対角枝を含む分岐部病変  村里嘉信
 高度心機能低下(EF20%)を認めた心不全合併症例  嘉納寛人,及川裕二
 弁膜症合併症例
  中等度大動脈弁狭窄症合併症例  中島 真,太田 洋
  中等症僧帽弁閉鎖不全症合併症例  柚本和彦
 起始異常を伴う冠動脈病変へのPCI  野崎洋一
 ロータブレーター施設基準を満たさない施設での石灰化病変へのPCI  平瀬裕章
 川崎病に伴う冠動脈病変へのPCI  那須賢哉,羽原真人

Ⅴ PCI時にきたした重症合併症への対応
 HIT症候群への対応
  いかにHITの出現を予見するか?  柴田正行,並木淳郎
  手技中繰り返す血栓閉塞への対応法  小林範弘,村松俊哉
 左冠動脈主幹部での冠動脈穿孔への対応  芹川 威
 デバイス抜去困難時の対処法  角辻 暁
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