リハ実践テクニック

ハンドセラピィ

ハンドセラピィ

■編集 齋藤 慶一郎

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • B5変型判  392ページ  オールカラー,イラスト170点,写真800点
  • 2014年3月20日刊行
  • ISBN978-4-7583-1473-2

ハンドセラピィに求められる技術と理論をオールカラーで集約

「傷ついた手」をuseful handへ方向付けていくために,作業療法士が果たす役割はきわめて大きい。本書は骨折や末梢神経損傷など,作業療法士が携わることの多い疾患を中心に,「使える手・生活する手」へ導いていくために実施している機能訓練などの治療技術や日々活用している作業活動を,豊富なカラーイラスト・写真で解説。
技術だけでなく,解剖学や病態などの理論も併せて述べ,ハンドセラピィに携わるすべてのセラピストに役立つ内容となっている。


序文

 手外科領域のリハビリテーション(以下,ハンドセラピィ)は,今日,作業療法の専門分野として認識され,多くの手外科医からその活躍を期待されている。日本ハンドセラピィ学会では,認定ハンドセラピスト制度が発足し,ハンドセラピィの技術水準の向上および後進セラピストの育成に力を注いでいる。また,日本作業療法士協会においても,作業療法士(OT)の手外科領域での目覚ましい活躍とその歴史をうけ,専門作業療法士制度の中に「手外科」を設置している。それぞれの学会の認定要件は大変高水準であり,社会の要望に応えるべく,絶え間ない自己研鑽を期待していることがうかがえる。
 本書を手にするOTや理学療法士(PT)の多くは,ハンドセラピィという言葉自体に敷居を高く感じている者も少なくはないだろう。これは,わが国の学校教育での手外科領域に割り当てられた時間配分が極めて少ないことも,その一因であると考えられる。一般身体障害領域に身をおくOTやPTの日々の業務において,運動器障害症例の取り扱いは非常に多く,確実な対応が求められている反面,対応に尻込みをしてしまっている者も少なくない。ハンドセラピィは,臨床における「経験知」や「暗黙知」が特に重要視されることもあり,教授が難しいのもまた現実問題であるが,ハンドセラピィの最大の目標は,あくまでも「useful hand:使える手・生活する手」の獲得である。単によく動く手を目指すのではなく,手の使用訓練を通じた作業活動のなかでこそ到達できる成果といえる。特にOTにとってハンドセラピィは,作業療法における職能性を十分に活用でき,OTのアイデンティティをいかんなく発揮できる領域である。
 本書は我々ハンドセラピストがハンドセラピィの対象となることの多い外傷や疾病を取り上げ,日常の治療活動においてハンドセラピストが何を考え,どのような治療を実施しているのかについて解説している。障害に対するとらえ方やハンドスプリントの作製方法・適用方法についても,視覚的に容易に理解していただける内容となっている。学生のみならず,臨床で活躍中のOTやPTの皆さまにも是非ご活用頂けることを願っている。

2014年3月
文京学院大学
保健医療技術学部・大学院保健医療科学研究科
齋藤 慶一郎
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目次

Ⅰ.概論 
 ハンドセラピィと作業療法 
  ハンドセラピィと作業療法
  機能訓練とuseful hand
  対象組織に応じたアプローチ方法選択の必要性
  ハンドセラピィにおける運動強度の調整
  関節拘縮に関与する組織別分類(拘縮の鑑別)
  ハンドスプリンティング
  ハンドセラピィとホームプログラム
  ハンドセラピィにおける動機付け
  おわりに
 ハンドセラピィとホームプログラム 
  ハンドセラピィにおけるホームプログラムの重要性
  ホームプログラム指導における運動の「質」と「量」の充足
  疼痛の存在する手や肘への運動療法
  スプリント療法の指導上のポイントと具体的方法
  物理療法の処方方針と具体的方法
  おわりに

Ⅱ.骨折 
 骨折総論 
  上肢の骨折
  上肢の骨折とハンドセラピィ
  上肢骨折の修復方法
  骨癒合過程
  骨修復後のハンドセラピィ
  拘縮の病態とスプリント療法
  複合性局所疼痛症候群
  整形外科的治療およびハンドセラピィの方針の決定因子
  おわりに
 前腕骨骨折・手根骨骨折  
  前腕骨骨折・手根骨骨折の分類と治療方法
  骨折の整復位に対する考察
  ハンドセラピィ
 肘骨折(肘頭骨折) 
  炎症と痛み
  肘関節の解剖
  肘頭骨折
  肘頭骨折の留意事項
  肘関節のセラピィの実際
  おわりに
 人工肘関節置換術  
  肘関節の構造と役割
  人工肘関節置換術(TEA)の適応
  人工肘関節の種類
  手術方法
  TEA の合併症
  TEA の術前評価
  TEA の術後セラピィ
  おわりに
 手指骨骨折 
  はじめに
  手指骨骨折・中手骨骨折の分類と治療指針
  手指骨骨折における治療方針の決定
  骨癒合とハンドセラピィ
  関節の運動
  合併症の予防
  おわりに

Ⅲ.腱損傷 
 手指腱損傷修復後のハンドセラピィ 
  手指の腱
  手指の腱損傷修復後の問題点
  腱の治癒過程
  腱の修復方法
  腱損傷修復後のハンドセラピィ
  屈筋腱
  屈筋腱損傷修復後のハンドセラピィ
  伸筋腱
  伸筋腱損傷修復後のハンドセラピィ
  固定法の場合
  修復腱の癒着や拘縮が遺残している場合

Ⅳ.末梢神経損傷 
 手の末梢神経損傷─スプリント療法を中心に─ 
  末梢神経損傷とスプリント
  手の末梢神経とその損傷
  神経損傷度と神経修復方法
  各神経損傷と手の形態変化
  手の知覚障害とハンドセラピィ
  末梢神経損傷症例に対するハンドセラピィ
  末梢神経損傷に対するスプリント療法
  正中神経損傷に対するスプリント療法
  尺骨神経損傷に対するスプリント療法
  橈骨神経損傷に対するスプリント療法
  運動機能再建術とハンドセラピィ
  運動機能再建術後のハンドセラピィ
  おわりに

Ⅴ.RA 手 
 保存療法  
  関節リウマチ(RA)とは
  臨床症状
  リウマチ手の分類
  関節リウマチの治療計画
  保存治療
  装具の使用
  ADL 障害へのアプローチ
 手指人工関節  
  はじめに
  手術のタイミング
  関節破壊の程度
  手指人工関節の歴史
  手指人工関節の種類
  尺側偏位に対するMP 人工関節置換術
  術後のハンドセラピィ
  術後の治療成績
  セラピィ留意点
  PIP 人工関節置換術

Ⅵ.肩関節周囲組織損傷 
 総論 
  肩関節周囲組織損傷
  肩関節周囲組織と肩関節運動
 人工肩関節置換術 
  疾患障害について
  運動療法
  人工肩関節の運動療法における基本的な考え方
  リスク管理
 腱板損傷 
  腱板
  腱板損傷
  腱板断裂の臨床症状
  腱板の修復方法
  腱板損傷に対するセラピィ
  まとめ

Ⅶ.CRPS 手 
 疼痛に対する作業療法アプローチ  
  複合性局所性疼痛症候群(CRPS)の概要
  CRPS の疫学
  CRPS の症状
  CRPS(RSD)の病期分類
  CRPS の診断基準
  CRPS の評価
  CRPS に対するリハビリテーション
  まとめ

Ⅷ.ハンドスプリント 
 ハンド・スプリント ベーシック  
  スプリント作製に必要な基礎知識
 スプリント作製手技① 
  ラディアル・バー・カック・アップ・スプリント
 スプリント作製手技② 
  背側カック・アップ・スプリント
 ハンド・スプリント アドバンス  
  全周囲型短対立スプリント
  低位橈骨神経麻痺用スプリント
  RIC スプリント
  手指伸展補助(牽引)用アウトリガー・スプリント
  手指屈曲補助付きアウトリガー・スプリント
  屈筋腱損傷修復後の背側伸展制限スプリント
  セーフティ-・ピン・スプリント
  フレクション・ストラップ
  マレット・フィンガー用スプリント
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