作業処方

症例の分析と思考プロセス

作業処方

■監修 武田 淳史

■編集 浅沼 辰志

定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
  • B5判  192ページ  2色
  • 2013年7月5日刊行
  • ISBN978-4-7583-1475-6

きちんと作業を考える,作業療法士のための臨床思考プロセス解説書!

本書は作業療法士が臨床で接する代表的症例(脳血管障害,脊髄損傷,発達障害など)を中心に,症例に対するアクティビティ選択に必要な臨床的思考プロセスを解説した書籍である。具体的な症例の提示から,基礎知識の解説,必要な評価の選択と評価計画の立案,評価結果の分析をもとに,症例の問題点とリハの最終目標を抽出し,最適なアクティビティ選択(=作業処方)に至るまでを,問題を提起しながら解説している。臨床で必要な「なぜ」「どうして」の思考プロセスを,具体的な実例,丁寧な解説,豊富な図表とともに学ぶことができる。明日の作業療法に活かしたい画期的な1冊!


序文

監修の序

本書の特徴は,身体障害領域における「機能障害の改善」に焦点を当てて書かれていることである。内容はコンパクトながら,各章で必要十分かつわかりやすく解説がなされている。
 本来は,最初のページから,ゆっくりと,しっかり読み進めて理解度を上げていくのがオーソドックスな学習方法であろう。学習が進んでより高度な知識が必要になった際にも,内容が豊富で大変役に立つ。特に,学生,また若手の作業療法士にとって大きな治療方針の羅針盤となるであろうと,この本を読み進めながら感想をもった次第である。
 また,本書は図表が必要とされる位置に配置されていることから,読み手の理解にも大変役立っていると思う。さらに,所々にPoint,課題が設けられ,学生にはより深く考えるチャンスを与えており,彼らへの教育効果が大きいものと考えられる。
 このような本を執筆された先生方の力量に深い尊敬の念を抱くとともに,本書が広く読者に役立ち,愛されることを心から願っている。額に汗して,創意をもって書かれたこの本の姿はまさに尊いと思う。

東京医療学院大学 学科長
武田淳史
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編集の序

 治療目標を達成するための手段である「作業」はさまざまな要素を考慮して決定される。対象者の好み,背景,症状に加え,作業療法士自身がその作業を知っているか,ということも決定の要素となる。どのような作業選択がその対象者の治療にとって最善かは,作業療法士に任された「選択権」の範囲である。
 本書では,上記のように作業療法士が作業を適用する場合に,「作業処方」の語を用いた。そもそも保健医療の領域で,「処方」の語は医師が薬を出したり治療を行う場合に用いられてきたが,近年では「運動処方」などの用法もあり,「処方」の語を,作業療法士の選択権の範囲内で限定的に用いることは許容されると考える。治療的に用いる作業のよさを示しつつ,治療効果を上げる努力をすることは,患者に対する作業療法士の「責任」であり,治療に責任をもつという意味で「処方」の語にこだわった。
 本書の企画段階では,精神障害領域の作業療法士とも議論を重ねた。この領域では,包括的な治療のなかでの作業の適用となるために,治療構造のなかで作業を中心に論じることは難しかったため,本書は,作業療法の世界から主に身体機能の改善という側面を切り出して,「根拠」に基づいた作業の適用に焦点を当てる構成となった。
 患者への説明と同意は,治療を有効に行うためにも,また訴訟対策というリスクマネジメントのうえでも以前にも重要性が増している。治療で用いる作業においても然り,医師からの指示に応じて訓練するというだけではなく,作業療法士が自分の守備範囲で,どのように作業療法を行うのかを根拠に基づいて明確化する必要がある。本書では,そのような場合の指針を示そうとした。
 このような編集の意を汲んで,各章を担当してくださった執筆者,また編集部の渡邊未央氏,間宮卓治氏の両名には本書の企画から全体の構成,完成まで大変お世話になった。これらの方々に深く感謝の意を表します。

東京医療学院大学
浅沼辰志
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目次

序 章
 はじめに
   作業療法における責任
   「作業処方」の意味
   「作業処方」と治療期間・効果
   「作業処方」と治療実施
   「作業処方」とインフォームドコンセント
   「作業処方」と作業療法士の成長
   「作業処方」とチーム医療
I 総 論
 身体障害領域の評価と作業計画のプロセス
   身体障害領域の作業療法評価
   作業処方の根拠としての評価
   基礎知識1 関節可動域の診かた
   基礎知識2 運動麻痺の診かた(上位と下位運動ニューロンの障害)
   基礎知識3 脊髄反射(spinal reflex)のメカニズム
   基礎知識4 筋緊張の診かた
   基礎知識5 感覚障害の診かた
   基礎知識6 バランスの診かた
II 機能障害別の作業処方
 1 筋力向上のためのアクティビティ
   筋力低下に対する作業処方
   基礎知識1 筋力低下
   基礎知識2 筋力増強訓練に必要な基礎知識
  課題1
   基礎知識3 筋力増強訓練実施上の注意
   基礎知識4 負荷量の設定に関する基礎知識
  課題2
 2 関節可動域改善のためのアクティビティ
   基礎知識1 関節可動域制限
   基礎知識2 関節可動域訓練
   基礎知識3 関節拘縮改善・予防を目的とした作業処方
  課題
 3 協調性向上のためのアクティビティ
   基礎知識1 協調性運動
   基礎知識2 協調運動にかかわる解剖学・運動学的知識
   基礎知識3 協調性向上のための訓練(橈骨遠位端粉砕開放骨折)
  課題
 4 巧緻性向上のためのアクティビティ
   基礎知識1 手指の巧緻性の仕組み
   基礎知識2 感覚と知覚
   基礎知識3 巧緻動作に関する知識
   基礎知識4 症例による巧緻性障害の治療の考え方と作業処方
  課題
III 疾患別の作業処方
 1 脳血管障害[1] -感覚障害の回復-
  症例紹介:視床出血
   基礎知識1 視床出血
  課題1
  作業療法初期評価結果
   基礎知識2 視床出血のリハビリテーション
  課題2
  課題3
 2 脳血管障害[2] -随意性の回復-
  症例紹介:脳梗塞片麻痺
   基礎知識1 脳浮腫,開頭外減圧療法
  課題1
  作業療法初期評価結果
   基礎知識2 随意性の回復のリハビリテーション
  課題2
  課題3
 3 脊髄損傷 -筋力の回復-
  症例紹介:椎弓骨折,C6頸髄損傷
   基礎知識1 脊髄損傷
  課題1
  作業療法初期評価結果
   基礎知識2 脊髄損傷のリハビリテーション
  課題2
  課題3
 4 運動失調 -協調性の回復-
  症例紹介:小脳出血
   基礎知識1 運動失調
   基礎知識2 脊髄小脳変性症
   基礎知識3 小脳出血
  課題1
  作業療法初期評価結果
  課題2
   基礎知識4 運動失調へのアプローチ
  課題3
 5 脳性麻痺 -身体機能の発達促進-
  症例紹介:脳性麻痺(右片麻痺)
   基礎知識1 脳性麻痺
  課題1
  作業療法初期評価結果
   基礎知識2 脳性麻痺児の姿勢と手指
  課題2
  課題3
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