医師と患者のための

メタボ時代の新しい肝臓病

肝臓病患者の診療と必須知識

メタボ時代の新しい肝臓病

■著者 岡﨑 勲

定価 3,850円(税込) (本体3,500円+税)
  • B5判  164ページ  2色(一部カラー)
  • 2012年6月11日刊行
  • ISBN978-4-7583-1501-2

在庫僅少です。


メタボ時代の新しい肝臓病を詳しく知る

肝疾患診療に長年携わってきた著者が,メタボリックシンドロームの増加に伴ってみられるようになった非アルコール性非脂肪性肝疾患をはじめ,従来のウイルス性肝炎,アルコール性肝炎をやさしく解説。運動不足,暴飲暴食など生活習慣の乱れから肝炎・肝硬変に至った症例を示し,その時々のエピソードを紹介し,生活習慣病の側面としての肝臓病を紹介。
医師だけでなく,患者さんやその家族も一緒に読める書籍。


序文

 医療は,医療を提供する医師をはじめとする医療関係者だけが創るのでなく,医療を受ける患者さんとの共同作業で結果が出るものだと,つくづく日常業務で感じています。そこで,この本は医師と患者さんが肝臓病の知識を共有するために,一緒に読んで患者さんの医療の好転にお役に立てればとの願いから,なるべくやさしく理解していただけるように書きました。
 時代と共に私たちの生活の仕方が変わり,それに伴って体質も変わって,起こってくる病気も変わります。肝臓病においても,メタボの時代に,メタボの人はもとより,そうでないといわれている人も,変わってきているのです。お酒の肝臓病も,昔と今で違ってきています。例えば,昔は過量飲酒が発がん(肝臓に限らず,大腸がん,乳がんなど)のリスクになるとはそれほど言われてはいなかったですが,メタボの時代は違うのです。C 型肝炎ウイルスからの慢性肝炎,肝硬変,肝がんへの過程もメタボはそれを進展させることもわかってきました。
 今の医療は,病気の早期を診断し,治療することにあります。理想的には,病気をきたさないように 「予防」 することです。いったん発症しても,病気が進展しないように 「予防的治療」 を続けることも必要です。体質が変わってきた今の時代に,肝臓病にどう向き合っていくかをまとめてみました。一例として,私どもは肝機能検査異常が心臓病にもつながることを提唱してきましたが,今,国際的に認識されてきました。
 私は今から12 年前,慶應義塾大学消化器内科専任講師で肝臓病を専門としていました。高度経済の成長期に,職業病と自然環境を守るために開設された産業医科大学に内科学助教授で赴任しました。思いがけずその後,母校慶應義塾大学公衆衛生学助教授となり,東海大学医学部公衆衛生学教授,そして定年退職後に,山王病院および国際医療福祉大学病院内科で勉強を続けています。その間,内科学,肝臓病学の研鑚を続け,さらに公衆衛生学で予防を中心に本格的に勉強しました。医学書院から出版した教科書「 標準公衆衛生・社会医学」 の筆頭編者です。内科医師であっても,こうした変わった職歴から,メタボ時代の肝臓病の変化を中心に,予防と治療をいつも考えながら勉強してきました。
 今般メジカルビュー社から「 内科学と公衆衛生学」 をドッキングさせた肝臓病学を出版できることは大変光栄で,過去45 年間の一つの成果として世に問う次第です。ここにあげさせていただいた患者さん方は,この本の目的を理解し,個人情報で問題ない範囲で,許可を得て書かせていただきました。症例はすべて国際医療福祉大学に勤務してからの症例としました。東海大学時代に海老名総合病院で貴重な肝臓病の患者さんを経験しましたが,患者さんの同意を得ることは昔の患者さんで困難と考え,割愛しました。
 少しでも本書を手にされた方にお役にたてれば幸いです。最後に快く掲載を了解された患者さん方に心からお礼を申し上げます。

平成24年4月
著者 識す
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目次

Ⅰ.診療事例で学ぶ肝臓病患者の診療
過量飲酒による肝硬変症への進行を予防する
 Introduction 肝臓が気になる、でも飲みたい―飲酒と上手につきあうために:お酒は「百薬の長」?
 飲みたい、でも飲めない。病態・体質にあった飲酒の仕方を考える
 飲酒は肝臓のみならず、あらゆる臓器に影響を及ぼす
 アルコール性肝硬変症から回復後、スポーツ復帰は可能か
 [Brushup!]
 AST(GOT)、ALT(GPT)は肝細胞障害の程度を表す指標!
 γ-GTPはお酒のマーカー、併せて胆石やがんでも上昇
メタボの肝臓病は全身病
 高度肥満:危険性の認識と心臓への炎症波及を予防する
 γ-GTPが高いメタボの患者さんをどう治療していくか
 [Brushup!]
 メタボで脂肪肝になりやすい人はこういう人
お酒なし、肥満なし、それでも脂肪肝・脂肪性肝炎に!
 飲酒による、飲酒によらない、紛らわしいけど重要なポイント
 非アルコール性脂肪性肝炎は、より激しく肝細胞が壊れる!
 肥満で肝機能異常がある場合、薬剤服用には要注意!
 [Brushup!]
 薬、サプリメント、健康食品との付き合い
肝炎ウイルスによる肝臓病患者から学ぶ
 B型急性肝炎の治療経過
 B型慢性肝炎患者さんからウイルスを排除する
 C型慢性肝炎:慌てず焦らず気長に治療
 C型肝炎ウイルス感染の臓器親和性
 [Brushup!]
 肝炎ウイルス感染はすべて肝硬変症になるのか
糖尿病患者の肝機能障害から学ぶ ̶糖代謝をコントロールする
 [Brushup!]
 メタボリックシンドロームの肝臓病との違いはなにか?
 慢性肝疾患でみられる糖代謝異常との違いはなにか?
肝がん−がんと鑑別を要する病気が多い、またがんでもあきらめない
 推定される肝がんの原因―ここにもメタボ時代の変化がある
 肝がんを予防する
 治療をあきらめない
 肝硬変症がなくて肝がんをきたす原因はなにか
 がんと鑑別を必要とする腫瘍
 人間ドックでよくみられる肝嚢胞と肝血管腫
 [Brushup!]
 コラゲナーゼは肝がんの早期に出てくる
胆石は油断できない疾患
 [Brushup!]
 黄疸の素「ビリルビン」 は「赤血球の血色素」
 胆管系の先天異常

Ⅱ.メタボ時代の肝臓病診療必須知識
肝臓の動きを理解して診療に備える
 Introduction
 蛋白質の合成能力を評価する
 脂質の合成・恒常性維持能力を評価する
 糖質の合成・恒常性維持能力を評価する
 薬物の代謝・解毒機能を評価する
 アルコール代謝に関与する酵素
 血液凝固因子の合成能を評価する
 肝細胞障害の程度を評価する
 慢性肝臓病を評価する
近年重視されてきた肝疾患診断に必要な検査
 ウイルス関連マーカー
 黄疸をきたす病気の鑑別に必要な検査方法
 肝がんのマーカー
 薬剤性肝障害の起因薬物の検査
 インスリン分泌能とインスリン抵抗性を知る検査
肝臓の線維化の程度を診る ̶線維化マーカー̶
 Introduction
 肝線維化マーカーの原理とはどういうものか
 肝線維化のゴールドスタンダードは肝生検か
 肝線維化マーカーを発展させるために
肝臓疾患発生は炎症が起因?
 古典的炎症の考え方
 メタボ時代にわかってきた炎症の機序
自己免疫疾患としての肝臓病
 自己免疫性肝炎
 原発性胆汁性肝硬変症
 慢性肝炎の持続に関与する自己免疫
 メタボ時代の自己免疫による肝臓病
多くは特異体質でみられる薬物性肝障害
 医薬品でときに肝障害がみられる
 医薬品のなかではどんな薬物が多いか
 医薬品の薬物性肝障害にどう対処するか
 いわゆる保健食品やサプリメントはどうか
脂肪肝は心臓病の前兆か?
 慶應義塾大学時代の研究
 東海大学時代の研究
肝硬変症はどこまで回復できるか? ̶ 肝硬変症を改善する新戦略̶
 肝硬変症とはどういう病気ですか?
 肝硬変が正常肝に近く回復した事例があるのですか?
 夢の酵素:コラゲナーゼ
 肝硬変はどこまで回復できるのか
 肝硬変を治すストラテジー

コラム
 アルコール性肝炎とアルコール性肝硬変症
 肝臓の触診法
 メタボの肝臓はすべて非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)か?
 HbA1cが国際標準値に変わります
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