手術書をレビューする!

一般消化器外科手術 達人へのSuccess Road

一般消化器外科手術 達人へのSuccess Road

■監修 北野 正剛

■編集 白石 憲男
二宮 繁生

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • B5判  432ページ  オールカラー,イラスト280点,写真100点
  • 2017年3月31日刊行
  • ISBN978-4-7583-1527-2

初めての「一般消化器外科の手術手技ガイド」。先人の業績を紐解いて術者の悩みを解消しよう!

これまで,一般消化器外科手術の領域において,各分野の先人たちが試行錯誤し術式の標準化が行われてきた。一方で,多くの手術書はその時代の“達人”が記述したものが多く,内容的に優れてはいるものの,若き外科医たちが抱くような悩みや混乱を解決してくれる記載が少ないという不満を耳にする。
本書は,19種の一般消化器外科手術に対する152個の悩みを取り上げ,解決のために押さえておくべき知識と手技について,先人たちの業績をレビューしコーチングしたものである。豊富なイラストとともに懇切丁寧に解説している。【悩みの分析→術式の簡単な概要→解剖学の解説→手術書レビューによる術式解説→まとめ】という流れで構成し,効率よく知識とスキルを習得でき,より実践に活かせる内容となっている。
本書は,これまでにない「一般消化器外科の手術手技ガイド」である。先人の知恵と経験を要領よく習得し,手技の悩み解決に役立てていただきたい。


序文

監修者ご挨拶

 1940年代,抗菌薬や気管内挿管による全身麻酔の普及に伴い,外科手術が普及し,発展してきた。75年以上が過ぎ去った現在,NCD(National Clinical Database)によると,消化器外科領域だけで年間60万例以上の外科手術が行われている。このような驚くべき発展は,麻酔における術中全身管理の向上や手術機器の開発のみならず,外科医の研鑽によるところも大きい。
 消化器外科領域においても,これまでにさまざまな術式が開発されてきた。その対象疾患は,消化器悪性腫瘍のみならず,炎症性疾患,先天性疾患など,幅広い分野に応用されている。当初は,大学の医局を中心に教室の術式の改良と継承が行われてきたが,最近では,学会,手術書などの出版物,さらにはITを利用した動画の閲覧などにより,術式の改良と一般化がなされているように思われる。
 このように,若き学習者からみれば,手術手技の勉強が行いやすい時代になったと言える。しかしながら,NCDで示されているように手術関連合併症の発症頻度は決して満足のいくものではない。この原因の一つとして,患者側要因や疾患の複雑化が挙げられるのかもしれない。すなわち,内科的治療に奏功しない患者の手術,手術既往のある患者の手術,肥満患者の手術などが増加しているように思われる。外科医にとって,いわゆる定型手術の応用編の手術が多くなってきたのである。
 本書「手術書をレビューする! 一般消化器外科手術 達人へのSuccess Road」は,大分大学医学部総合外科・地域連携学講座の白石憲男教授が,日常行われている一般消化器外科の手技に関する「若き消化器外科医たちの悩み」を聞き,その解決策を過去の手術書から紐解きたいとの思いから編集したものと伺っている。これまで,消化器外科専門医に必要な知識の整理書である「消化器外科専門医へのminimal requirements」の編集や手術指導書である「消化管がんに対する腹腔鏡下手術のいろは」などを出版されてきた先生ならではの手術書のレビュー書である。そのような点において,大変ユニークなものであり,若き執刀医の先生方のみならず,若き指導医の先生方にも,ぜひ御一読いただきたい1冊である。
 最後に,このような書物を出版していただいたメジカルビュー社編集部の吉田富生氏,宮澤進氏,山田麻祐子氏に心から感謝いたします。

平成29年3月
大分大学長 北野 正剛
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 外科手術は,実にやりがいのある治療手技である。外科医は,病んでいる病変を自らの手で除去し,患者さんの苦悩を取り除くことができる。頭でイメージした通りに手術が施行できたときの満足度は計り知れないものである。一方,手術は実に悩ましいものでもある。術野に予想外の状況が展開した場合,どうしたものかと悩んでしまう。「手術は頭でするもの」と先輩の声が聞こえてくるものの,考える余裕を持つことができない。―なにかの雑談のときに後輩外科医たちが,このようなことを話していた。
 そこで,消化器外科手術のなかで,施行数の多い一般消化器外科手術を対象として,最も外科医として意気の上がった7名(卒後10〜15年目)の外科医たちに執刀後,「術中悩んだこと」のアンケート調査を半年間行った。興味深いことに,1例の手術につき2〜3回悩んでいることや,何人かの術者が同じ悩みを共有していることがわかった。そこで,このような悩みを解決するため,これまでに出版された手術書(2015年まで)や手術手技に関する論文をレビューする勉強会を行った。
 この勉強会は以前のものに比べ,難易度の高い勉強会であった。その一つの理由は,手術手技に関する論文や手術書の多くのものが,手術手順の記載や新しい術式紹介が中心であり,若者の外科医の悩みに応えてくれる記載が残念ながら少なかったのである。それゆえ,ときには,行間を読み解きながらの勉強会となった。
 本書「手術書をレビューする! 一般消化器外科手術 達人へのSuccess Road」は,これらの勉強会の集積であり,若き消化器外科医たちの悩み解消に役立つことを目的に編集したものである。引用論文や引用書籍など決して十分とは言えないが,若き消化器外科医たちに免じてお許しいただければ幸いである。
 最後に,情熱を失わず,ともに勉強してきた7名の執筆者に心から感謝いたします。また,事務業務やイラスト描きを手伝ってくれた教室秘書の安東徳子さんに心から感謝いたします。本書の作成にご理解をいただき,本書を出版していただいたメジカルビュー社編集部の吉田富生氏,宮澤進氏,山田麻祐子氏に心から感謝申し上げます。

平成29年3月
編者 白石 憲男,二宮 繁生
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目次

序章
考える外科医を目指して

Ⅰ.胆嚢
腹腔鏡下胆嚢摘出術①(比較的炎症が軽度な場合)
腹腔鏡下胆嚢摘出術②(炎症,癒着が高度な場合)

Ⅱ.虫垂
虫垂切除術(腹腔鏡下虫垂切除術)軽度〜高度炎症例

Ⅲ.横隔膜
腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア修復術

Ⅳ.胃
腹腔鏡下胃局所切除術
開腹下/腹腔鏡下幽門側胃切除術①(大彎処理)
開腹下/腹腔鏡下幽門側胃切除術②(小彎側・膵上縁処理)
開腹下胃全摘術
残胃全摘術

Ⅴ.小腸
腸閉塞症(小腸)手術①(軽度〜中等度癒着例)
腸閉塞症(小腸)手術②(高度癒着例)
回腸人工肛門(diverting stoma)造設術と閉鎖術

Ⅵ.大腸
開腹下右結腸切除術
腹腔鏡下右結腸切除術
開腹下/腹腔鏡下横行結腸切除術
開腹下/腹腔鏡下左側結腸切除術
開腹下/腹腔鏡下S状結腸切除術
腹腔鏡下高位前方切除術
腹腔鏡下低位前方切除術
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