パーフェクトマスター脳血管内治療

必須知識のアップデート

改訂第2版

パーフェクトマスター脳血管内治療

■監修 滝 和郎

■編集 中原 一郎

定価 14,300円(税込) (本体13,000円+税)
  • B5判  528ページ  オールカラー,イラスト97点,写真932点
  • 2014年10月17日刊行
  • ISBN978-4-7583-1553-1

最新の情報を盛り込んでアップデート,脳血管内治療の専門医をめざす医師必携!

本書の初版は脳血管内治療の専門医をめざす医師のための教科書として,多くの読者を獲得してきた。刊行されてから4年が経ったが,その間の治療技術,機械器具の進歩は著しいものがあり,その現状を踏まえ最新の情報を盛り込んで改訂することになった。内容の改訂に加え,オールカラー化して見やすい紙面に一新。脳血管内治療の専門医を目指す医師の教科書として役立つ書籍となっている。


序文

改訂第2版 刊行にあたって

 『パーフェクトマスター脳血管内治療』は、初版から読者の方々の評判がよく、企画ならびに稿を寄せていただいた編者、筆者の方々の努力が実を結んだものと喜んでいます。
 一方、脳神経血管内治療の進歩は大変速くて、旧版では実情に合わないところや新たな知見が増加してきており、書き換えならびに追加をしなければならないところも多くなりました。そこで、再び中原一郎先生が企画執筆の中心となり、新たな内容で、読者の方々のお役に立てるように、全面的に書き換えられました。改訂版は、基本から応用、合併症対策まで網羅した最新の書となっています。本書のサブタイトルに“必須知識のアップデート” とありますように、血管内治療の基本に重点を置いてあり、また要点を絞った記述になっております。これにより、日常の診療にすぐに役に立つ、実践的な書にまとめ上がっていると思います。基本以外にも、日常よく遭遇する合併症についても、多くの具体的な症例が記載されており、日常診療中のトラブルをうまく切り抜けられるような工夫、知識が記載してあります。
 また専門医を目指す先生には“専門医をめざすDoctorへ”なる項目が設けられております。若手の先生方に特に注意していただきたい事柄を箇条書きにしてありますので、重要な点を見落とすことがないでしょう。本書が立派な専門医になっていただくための有力な資料になることを期待しております。

2014年9月

康生会武田病院 理事・脳卒中センター長
三重大学 名誉教授
滝 和郎
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改訂第2版 序 文

 脳血管内治療はいまや脳神経外科の診療において不可欠なsubspecialtyになりました。むしろ、脳神経外科にとどまらず、脳卒中診療、脳脊髄神経疾患を取り扱う学問として確立されたといっても過言ではないかもしれません。日本脳神経血管内治療学会(JSNET)は、1982年に第1回血管内治療研究会として発足し、本年、第30回を迎えます。会員数は3,000名を超え、専門医はまもなく1,000名に至ろうとしています。JSNETの定款に、学会の目的として「脳神経血管内治療及び関連する領域の学術研究、広報、調査研究及び資格認定等を行うことで、その進歩及び発展を図り、もって学術文化の発展と国民の福祉に寄与する」とあります。本書はまさに、この学術研究の成果を踏まえた「必須知識」を網羅するものです。
 本書の初版は、私がJSNETの第26回学術総会を担当させていただいた平成22年(2010年)に出版させていただきました。初版序文にございますように、この年は、新世代のsurface modified coil、脳動脈瘤支援ステントや頚動脈ステント留置術のあらたなフィルターデバイス、血栓回収デバイスなどが上梓され、これらのデバイスの登場を踏まえ、学会では活発な討議が行われ、かつてない盛況となりました。それから4年近くとなりましたが、この間、脳血管内治療はより一層の発展を成し遂げています。脳動脈瘤治療においてはステント支援治療が確立し、flow diverter の導入が間近になりました。頚動脈ステント留置術はすべてのタイプのembolic protection deviceが出揃い、日本がその分野をリードしています。急性期再開通療法は、血栓吸引デバイスやstent retrieverが広く使われるようになり、頭蓋内動脈狭窄症に用いる頭蓋内ステントも供用が開始されています。滝和郎先生によって開発されたethylene vinyl alcohol copolymer(EVAL)は世界標準の塞栓物質となり、ONYXとして脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻の治療に広く用いられています。
 このような脳血管内治療の長足の進歩を踏まえ、このたび、『パーフェクトマスター 脳血管内治療 必須知識のアップデート』の改訂2版を上梓させていただく運びとなりました。近年、脳血管内治療の成書が盛んに出版されるようになりましたが、本治療の進歩が大変急速であるため、改訂版が出版される例は限られています。本書は幸い初版が好評を博し、各方面より、改訂版のご要望をいただきましたことから、メジカルビュー社の御高配をいただき、4年ぶりの改訂に至りました。改訂2版では4年間における脳血管内治療の進歩を踏まえた新たな知見をふんだんに盛り込み、新たな論文やガイドラインを網羅した、まさに『必須知識のアップデート』となっております。JSNET専門医を目指す若手医師はもとより、経験を積み指導医を目指す先生がたやエキスパートの先生がたの知識の整理として、あるいはこれから医師を目指す医学生や進路を模索している初期研修医の皆様にもぜひ手にとっていただければ幸いです。
 脳血管内治療は学問の一分野となり、医療倫理、解剖学・生理学・神経学・放射線診断学などの基礎知識、機器・装置、疾患ごとの症候学とその治療、基本手技から応用手技、pitfallやrisk managementなど、幅広い領域を網羅しなければなりません。本書の刊行は、分担執筆の先生がたの並々ならぬご尽力の賜物です。いずれおとらぬ脳血管内治療のエキスパートの先生がたの素晴らしい著作に感激致しております。この場を借りて心より御礼申し上げます。本書が、脳血管内治療の進歩、発展に役立つことができ、学術文化の発展と国民の福祉に寄与することを願い、改訂2版の序とさせていただきます。

平成26年9月
小倉記念病院脳卒中センター長・脳神経外科主任部長
中原一郎
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目次


 医療倫理とインフォームド・コンセント  朝倉文夫
   ヒポクラテスの誓
   ジュネーブ宣言
   ニュルンベルグ綱領
   ヘルシンキ宣言
   インフォームド・コンセント
   未承認薬・器材の使用
   裁判事例

Ⅱ 血管解剖:治療に必要な血管走行 −確実に,正確に理解する−
 大動脈弓〜頚部  北川直毅
   大動脈弓の破格
   bovine arch
   総頚動脈の分岐角度
   頚動脈分岐部の解剖
   外頚動脈分岐の頭蓋内動脈との吻合
   頚部の静脈

 頭蓋底部〜頭蓋内  清末一路
   脳動脈の発生概略
   頭蓋底に分布する外頚動脈系の解剖
   内頚動脈系の解剖
   椎骨脳底動脈系の解剖
   静脈系

Ⅲ 画像診断:撮る,診る,読む −診断を確実に行うために−
 血管造影,CT,MRI  高山勝年,田岡俊昭,吉川公彦
   血管造影
   CT
   MRI
   まとめ

 超音波診断  山上 宏
   頚動脈超音波検査
   経頭蓋超音波検査
   血管内超音波検査

 SPECT,PET検査  小林英一
   SPECT
   PET

Ⅳ 脳血管内治療:機器・管理編 −操作を行う前に−
 脳血管内治療の術前・術後管理  松本博之
   全身評価
   抗血栓療法の管理
   循環動態(血圧・脈拍)の管理
   その他

 血管造影装置と放射線防護  安陪等思
   血管造影装置
   放射線防護
   まとめ

 デバイスとセットアップ  当麻直樹
   脳血管内治療のセットアップ
   脳血管内治療のデバイス
 
Ⅴ 脳血管内治療:手技編 −基本手技はマスターしているか?−
 ガイディングカテーテルの基本手技  林 健太郎
   治療に先んじて
   血管穿刺
   シースイントロデューサー
   ガイディングカテーテルの種類
   ガイディングカテーテルの留置
   留置後と回路の灌流
   治療終了後
   最後に

 マイクロカテーテルの基本手技  江頭裕介,吉村紳一
   over-the-wire type
   マイクロカテーテルの誘導法
   flow-guided type

 デタッチャブルコイルの基本手技  中澤和智
   わが国で使用可能なデタッチャブルコイルの歴史
   デタッチャブルコイルの分類
   コイル塞栓術の原則
   動脈瘤以外でのデタッチャブルコイルの応用〜経動脈的塞栓

Ⅵ 疾患の特性と実際の治療法 −基本手技の応用編−
 脳動脈瘤:破裂脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術  大石英則
   破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術のエビデンス
   治療適応と周術期管理
   治療手技の実際
   明らかなblebを有する動脈瘤の塞栓術
   脳血管攣縮を伴う破裂脳動脈瘤の塞栓術
   合併症とその対策
   脳血管攣縮に対する血管内治療

 脳動脈瘤:未破裂脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術  広畑 優,竹内靖治,山下 伸,折戸公彦,藤村直子,安陪等思
   未破裂脳動脈瘤の自然歴
   手術適応
   術前検討項目
   手術手技
   合併症とその対策
   その他

 脳動脈瘤:大・巨大脳動脈瘤に対する治療戦略  佐藤 徹
   大・巨大脳動脈瘤とは
   大・巨大脳動脈瘤に対する血管内治療
   最新の治療:ステントの使用

 脳動脈瘤:解離性脳動脈瘤の血管内治療  中居康展
   破裂解離性椎骨動脈瘤の治療選択
   治療手技の実際
   周術期管理の実際
   フォローアップ
   その他の解離性脳動脈瘤

 脳動静脈奇形:NBCA  岩室康司,中原一郎
   NBCAとは
   NBCA注入の実際
   AVMの塞栓の目的
   AMVの流入動脈上の動脈瘤の処理について
   塞栓中注意すべき所見
   NBCAによるAVMの治療成績

 脳動静脈奇形:Onyx  石井 暁
   適応
   塞栓物質としての特性
   塞栓術の概念
   治療手技の実際
   OnyxによるAVM塞栓の治療成績

 頭蓋内硬膜動静脈瘻  清末一路
   基礎的事項
   症状・分類・自然歴
   海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻
   横−S状静脈洞部硬膜動静脈瘻
   上矢状静脈洞部硬膜動静脈瘻
   舌下神経管部硬膜動静脈瘻
   テント部硬膜動静脈瘻
   前頭蓋底部硬膜動静脈瘻
   その他

 頚動脈狭窄症に対するステント留置術  吉村紳一
   CASに関するクリニカルエビデンス
   治療手技
   周術期管理
   合併症とその対策

 椎骨動脈起始部・鎖骨下動脈狭窄症  松原俊二
   IVR治療の現状
   椎骨動脈起始部治療手技の実際
   鎖骨下動脈狭窄/閉塞症治療手技の実際
   周術期管理
   合併症とその対策

 頭蓋内動脈狭窄症  石橋良太,中原一郎
   頭蓋内動脈硬化症に対するPTASのエビデンス
   わが国の現状とWingspan® Stent Systemの登場
   Wingspan® Stent Systemについて
   治療手技の実際
   周術期管理
   再狭窄と合併症

 急性脳血管閉塞  近藤竜史,松本康史
   血栓回収デバイス
   血栓回収療法に関する無作為割付比較試験
   おわりに

 脳静脈洞閉塞症  松本康史,近藤竜史
   病因
   症状
   診断
   閉塞血管
   治療
   おわりに

 脳腫瘍に対する血管内治療  秋山恭彦
   頭蓋内腫瘍に対する栄養血管塞栓術
   動注化学療法
   下錐体/海綿静脈洞血サンプリング(venous sampling)

 脊髄脊椎疾患  稲川正一
   脊髄脊椎の血管解剖
   脊髄脊椎動静脈奇形の分類
   主な疾患とその治療法
   血管撮影および塞栓術
   合併症と周術期管理
   脊椎腫瘍の術前塞栓術

 外傷性疾患と頭頚部病変  田中美千裕
   受傷機転
   外傷性脳動脈瘤(traumatic cerebral aneurysm)
   画像診断
   バルーン閉塞試験(BOT)
   外傷性内頚動脈海綿静脈洞瘻(外傷性CCF)
   まとめ

 先天奇形・小児脳神経疾患の脳血管内治療  石黒友也,小宮山雅樹
   病態生理
   症候学
   診断
   治療適応
   治療
   ガレン大静脈瘤(VGAM)
   Dural sinus malformation(DSM)
   Infantile dural arteriovenous shunt(IDAVS)
   脳動静脈瘻(Pial AVF)

Ⅶ こんなときどうする? −一歩進んだ治療を行うために−
 CASE1 内頚動脈起始部の高度屈曲を伴う脳動脈瘤の塞栓術  林 健太郎
 CASE2 術中出血した破裂内頚−前脈絡叢動脈瘤  中澤和智
 CASE3 瘤内塞栓術後に発生した低血圧,頻脈および貧血の思わぬ原因  大石英則
 CASE4 瘤内塞栓術中に発生した迷入コイルの回収  大石英則
 CASE5 出血発症椎骨動脈多発解離性動脈瘤に対するステント併用コイル塞栓術  伊藤嘉朗,中居康展
 CASE6 脳動脈瘤塞栓術中の破裂に対する対処法  田中美千裕
 CASE7 内頚動脈の屈曲が高度な破裂distal ACA動脈瘤のコイル塞栓術  川西正彦
 CASE8 血管撮影中に破裂した内頚動脈解離性動脈瘤  川西正彦
 CASE9 Fetal type Pcom Aが動脈瘤のドームより分岐している症例に対する瘤内塞栓術  広畑 優,松本省二,山下 伸,折戸公彦
 CASE10 脳動脈瘤コイル塞栓術時のframing coilの瘤外への逸脱  佐藤 徹
 CASE11 動脈瘤内にEnterprise VRDが滑落した一例  五味正憲,中原一郎
 CASE12 脊椎腫瘍術前塞栓術で栄養動脈からAdamkiewicz動脈も分岐  稲川正一
 CASE13 脊椎硬膜外動静脈瘻塞栓術後神経障害  稲川正一
 CASE14 硬膜動静脈瘻の経静脈的塞栓の際に残存した皮質静脈の逆流  岩室康司,中原一郎
 CASE15 CAS術中に合併した医原性血管解離  大田 元
 CASE16 症候性頚動脈狭窄症に対するCAS後の過灌流  入江恵子
 CASE17 Lesion crossが困難な内頚動脈高度狭窄例  岩室康司,中原一郎
 CASE18 CAS中のガイドワイヤーによる外頚動脈分枝の穿孔  岩室康司,中原一郎
 CASE19 フィルターデバイスによる血管攣縮  岩室康司,中原一郎
 CASE20 冠動脈3枝病変を有する不安定プラークに対するCAS後のステント内血栓症  山上 宏
 CASE21 症候性頚動脈狭窄症に対するCAS後のin-stent plaque prolapse  中原一郎

Ⅷ その他
 脳血管内治療の大規模試験,多施設共同研究:習得のチェック  石橋良太,中原一郎

Hot Corner —最新情報をここでキャッチ!—
 頚動脈プラークイメージングUpdate  小林英一
 ハイブリッド手術室と脳血管内治療  菊池隆幸
 抗血小板薬をめぐる話題  松本省二
 Surface modified coilの最先端  山﨑浩司,大田 元
 脳動脈瘤に対するflow diverter deviceの現況:欧米での成果と今後,国内導入に向けて  大田 元
 WEB(Woven Endobridge)とLUNA  滝 和郎
 脳動脈瘤治療用ステントの最先端  大田 元
 Complex stentingのtips  太田剛史
 脳動静脈奇形:ガンマナイフ治療の視点から  花北俊哉
 Carotid stentとEmbolic protection deviceのバリエーション  大田 元
 過灌流症候群予防のためのstaged CASの試み  江頭裕介,吉村紳一
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