チーム力Up

脳血管内治療

カテーテルスタッフの必須知識

脳血管内治療

■編集 吉村 紳一

定価 6,380円(税込) (本体5,800円+税)
  • B5判  240ページ  オールカラー,イラスト40点,写真50点
  • 2015年3月24日刊行
  • ISBN978-4-7583-1555-5

よりスムーズに,より質の高い脳血管内治療を提供するために,すべてのカテーテルスタッフが知っておくべきポイントが満載の1冊

脳血管内治療には,医師を中心に看護師や放射線技師などの存在が欠かせない。特に脳神経外科では脳梗塞やくも膜下出血に代表される緊急手術が多く,限られた時間のなかで,患者情報を集め,必要な検査を行い,一刻も早く治療を行わなければならない。そのためには,スタッフがそれぞれの役割をきちんと理解し,あらゆる情報を共有し,1人1人が無駄なく行動することが求められる。
本書は,まず解剖や機器など,治療に必要な基礎知識が得られ,次に術前〜術中〜術後の流れが時系列でわかるようになっている。さらに,実際よく手術が行われる代表的な疾患を挙げ,各特性を知ったうえで具体的な症例を用いた治療方法を解説している。
脳血管内治療に携わるすべてのスタッフには,ぜひ本書を読んで「個の能力」を上げ,「連携力」を強め,結果としての「チーム力」Upにつなげてほしい。


序文

 脳血管内治療は,カテーテルを用いて脳血管異常を治療する低侵襲手術であり,年々治療数が増加しています。この治療は従来の開頭手術などとは大きく異なる方法であり,使用機器やデバイスも多く,スタッフの役割も外科手術とは大きく異なります。このため本書ではこの治療にかかわるスタッフのチーム力をアップさせることに主眼を置き,その必須知識を網羅しました。
 まず第Ⅰ章では,脳血管内治療の歴史と治療の流れ,そして各スタッフの役割について解説しました。治療の流れと自分たちの役割をまず明確にしましょう。
 次に第Ⅱ章では血管内治療に必要な血管の解剖を紹介しました。「神経解剖は難しくてわかりにくい」といった意見も聞かれますが,この治療においてはまず血管の解剖だけでいいので理解してください。そうすると「術者が今どこに,何をしようとしているのか」がわかるようになります。本章を読んだ後,治療の際に図と照らし合わせるようにすると,回を重ねるごとに理解が深まると思います。
 第Ⅲ章では脳血管造影機器や各種検査,そして使用するデバイスを理解しましょう。この治療は使用する機器やデバイスがとても多いのが特徴です。各社からデバイスが発売されていて,術者によって好みも違いますし,デバイス同士の相性もあります。ぜひ名前を覚えてみましょう! きっと治療がよくわかるようになるはずです。
 第Ⅳ〜Ⅵ章では術前,術中,術後の患者管理を中心に詳しく解説しました。ここはまさに本書の中心部分です。じっくりと読み込んでください。
 第Ⅶ章では代表的な7つの疾患にフォーカスを当てました。自分が各疾患を担当する前日に読んでおくと治療の理解が深まると思います。
 さて本書で知識を深めたら,早速明日からの治療に積極的にかかわってみてください。きっと内容がよくわかるようになって,面白くなるはずです。スタッフのみなさんが熱心に取り組めば,治療の結果もきっとよくなります。本書を通じて,みなさんのチーム力が大きくアップすることを願っています。

2015年3月
兵庫医科大学脳神経外科学講座主任教授
吉村紳一
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書評

中原一郎(藤田保健衛生大学医学部脳神経外科教授)

 本書は、脳血管内治療に携わる看護師、放射線技師などのメディカルスタッフの方々向けに書かれています。脳血管内治療の歩み、治療の流れに始まり、治療に携わるために必要な脳血管の解剖が、大変わかりやすい図解と豊富な画像を用いて解説されています。術前、術中、術後のケアや観察ポイント、それぞれの時点での各スタッフの役割や心構えなど、脳血管内治療においてそれぞれの方が行うべきことが、わかりやすく示されています。
 さらに、脳血管内治療の対処となる主な疾患の病態や治療手技、治療に用いるデバイスなどの最新知識が簡潔明瞭にまとめられています。内容は随所にやさしさや気配りが感じられ、吉村紳一教授を中心とした兵庫医科大学脳神経外科一門の先生方が、メディカルスタッフの方々と緊密な連携と心温まるコミュニケーションを取りながら、日ごろ行っておられる治療の実際が目に見えるようです。
 これ一冊があれば、あなたも今日からカテーテルスタッフの仲間入りができます。メディカルスタッフの方々は言うに及ばず、脳血管内治療の一員である医師の方々にもぜひとも手に取っていただきたい、素晴らしいテキストであると思います。
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目次

Ⅰ 脳血管内治療とは
 脳血管内治療の歴史(山浦生也)
  脳動脈瘤
  動脈硬化性病変
  超急性期脳梗塞
  脳動静脈奇形(AVM),硬膜動静脈瘻(dAVF)
  まとめ
  
 脳血管内治療の流れ(進藤誠悟)
  術前準備
  穿刺
  ガイディングカテーテルの誘導
  マイクロカテーテル操作
  止血
  
 各スタッフの役割(駒井るみ)
  情報収集
  手術室の準備
  患者入室
  消毒・ドレーピング
  局所麻酔
  治療開始
  シース抜去,止血,退室
  
Ⅱ 治療に必要な解剖を理解する
 脳血管の走行−大動脈弓部〜頚部(徳田 良)
  大動脈弓部の解剖
  頚動脈の解剖
  穿刺部動脈の解剖(シースイントロデューサーの挿入)
  
 脳血管の走行−頭蓋底部〜頭蓋内(飯田倫子)
  頚部の解剖
  外頚動脈(ECA)の解剖
  内頚動脈(ICA)の解剖
  椎骨脳底動脈系の解剖
  静脈系の解剖
  
 画像からみた解剖(若田ゆき,石藏礼一)
  CT
  MRI
  血管造影
  
Ⅲ 治療で使用する機器とデバイスを知る
 脳血管造影機器(藤田知子)
  血管造影装置と周辺機器
  血管内画像診断機器
  その他の機器
  血管造影画像・診療支援画像や機能など
  脳血管内治療に向けた機器の準備
  
 超音波検査,SPECT,PET(進藤誠悟)
  超音波検査
  PET/ 脳血流SPECT
  
 デバイス(カテーテル,コイルなど)(高田恵広)
  デバイスについて
  デバイスのサイズ単位について
  
Ⅳ 術前−手術をスムーズに進めるために
 患者管理(〜術前,当日,〜入室まで)(奥浜真美)
  入院後の看護
  術前の看護
  手術当日の看護
  
 使用機器の準備(福山亜有美)
  測定に使用する機器
  治療に使用する機器
  塞栓物質
  緊急対応物品・薬剤
  
 手術室の環境設定(吉田怜奈)
  安全な環境づくり
  安心できる環境づくり
  被ばく
  手術室内の環境
  
 各スタッフの役割・心構え(松本一真)
  脳血管内治療におけるスタッフのチーム構成
  脳血管内治療における放射線技師の役割
  被ばく対策
  
 救急時の対応(立林洸太朗)
  急性期脳梗塞
  くも膜下出血(SAH)
  最後に

Ⅴ 術中−緊急時もあわてず行動するために
 患者管理(入室後〜退室まで)(武田 忍)
  患者入室・申し送り(病棟・救急初療→ IVR センター)
  患者準備
  手術開始
  退室
  
 起こりうる合併症(阪本大輔)
  バイタルモニターからわかること
  患者からわかること
  透視モニターからわかること
  最後に
  
 緊急時の各スタッフの役割(小倉素子)
  応援依頼の体制
  治療中に起こりやすい合併症
  
Ⅵ 術後−QOL・ADLの向上をめざして
 患者管理(術直後〜退院までのケア)(小松久恵,金本真里)
  術後観察のポイント
  主な合併症
  早期離床に向けて

 退院後のケア(リハビリテーションなど)(阪本大輔)
  退院後のケアに必要な術後の評価
  退院調整〜退院(転院)
  退院後
  退院後のリハビリテーション
  脳科学に基づいたリハビリテーション「ニューロリハビリテーション」
  脳卒中とうつ(うつ状態)
  
 術後カンファレンス(田中康恵)
  術後カンファレンスの実際
  症例提示を受けて,検証すべきこと
  手術症例を記録に残す
  まとめ
  
Ⅶ 各疾患の特性を知って治療に活かす
 動脈瘤(破裂・未破裂,症候性,大型,解離性)(桧山永得)
  基本情報
  手術手技
  術前,術中,術後管理
  症例提示

 脳動静脈奇形(内田和孝)
  基本情報
  手術手技
  術前,術中,術後管理
  症例提示
  
 頭蓋内硬膜動静脈瘻(白川 学)
  基本情報
  手術手技
  術前,術中,術後管理
  症例提示
  
 頚動脈狭窄症(垣田寛人)
  基本情報
  手術手技
  術前,術中,術後管理
  症例提示
  
 急性脳血管閉塞(進藤誠悟)
  基本情報
  手術手技
  術前,術中,術後管理
  症例提示
  
 脳腫瘍(高田恵広)
  基本情報
  手術手技
  術前,術中,術後管理
  症例提示
  
 脊椎脊髄疾患(田中康恵)
  基本情報
  手術手技
  症例提示
  
コラム
  脳ドック(立林洸太朗)
  SCU(脳卒中ケアユニット)(内田和孝)
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