EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針

第4版

EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針

■編集 田村 晃
松谷 雅生
清水 輝夫
辻 貞俊
塩川 芳昭
成田 善孝

定価 14,300円(税込) (本体13,000円+税)
  • B5変型判  824ページ  2色(一部カラー)
  • 2016年3月30日刊行
  • ISBN978-4-7583-1556-2

脳神経分野の各疾患の概念から治療までをエビデンスに基づきまとめた一冊,待望の改訂版

2010年,改訂第3版刊行以降に改訂・追加されたガイドラインの情報を盛り込み,スポーツ頭部外傷,妊娠分娩と脳血管障害,サルコペニア,遺伝相談など新規項目(16項目)も追加し,進歩の著しい脳神経疾患の日常診療に対応できるよう内容を一新した改訂第4版。脳神経外科・神経内科で扱う疾患を網羅し,各疾患の概念から治療までをエビデンスに基づきコンパクトにまとめた,脳外科医,神経内科医の日常診療に役立つ一冊。


序文

第4版 序文

 『EBMに基づく脳神経疾患の基本的治療指針』の初版は2002年に上梓しました。当時,日本のガイドラインはまだ少なく,初版の序に書きましたように「脳神経疾患における診断・治療における現時点でのevidenceをまとめ,evidenceがないものについてはスタンダードとなるような論文を引用し,日常の診断・治療に役立てていただくこと」を目的としました。その後,『脳卒中治療ガイドライン』をはじめとして,日本神経学会や日本神経治療学会のガイドラインなど各種疾患のガイドラインが続々と発表されており,日本医療機能評価機構が運営するMinds(マインズ)ガイドラインセンターのホームページには200近いガイドラインないしそれに準じたものが載せられています。これらの各学会などで出されたガイドラインも有料で分厚くなっており,取り揃えて活用することは実臨床の場では実際的ではありません。従って,一冊にまとめて臨床の現場で活用していただけるようにすることも本書の意義の一つと思います。また,エビデンスレベルの高い臨床試験などが行われていない,ないし,行えない疾患などについて,特に希少疾患についても,臨床現場で参照できるようにすることも必要であると思っております。
 今回の改訂第4版を出すにあたり,さらなる充実と発展のために辻 貞俊,塩川芳昭,成田善孝の3名を編集に加え,第3版の項目を update するとともに,最近問題となっている「妊娠分娩と脳血管障害」「がん治療における卵子・精子保存」「てんかんと運転免許」「てんかんと妊婦」「スポーツ頭部外傷」などの項目を加え,また「Familial tumor」「可逆性後頭葉白質脳症,可逆性脳血管収縮」「Crow・深瀬症候群」「福山型先天性筋ジストロフィー」「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム」なども新たに追加しました。
 臨床の現場では,個々の患者さんの病態に合わせた治療することが必要であり,標準治療のみですませるわけにはいきませんし,ガイドラインの上からは有効な治療法がない場合でも,その患者さんにとっての最良の治療を知恵を振り絞って行うことも必要です。米国の医師Atul Gawandeはその著書『Better(医師は最善を尽くしているか)』で“未熟児に対する治療に取り組んだ産婦人科医のような戦う医師がいたから未熟児が健康に育つようになった。医師には戦って欲しい。医師が戦うのをやめ,安易にガイドラインに頼ってその通りの治療しかしない場合には,“助けられたはずの命を諦める”という最悪の医療ミスを生じる可能性につながるであろう。”と結んでいます。
 本書が現場で奮闘している先生方の日常診療に少しでもお役に立てば幸甚です。

2016年2月
編集代表 田村 晃
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目次

第1章 脳血管障害
 1  くも膜下出血  塩川芳昭
 2  未破裂脳動脈瘤  森田明夫
 3  脳動静脈奇形  横井俊浩,辻 篤司,野崎和彦
 4  高血圧性脳出血  松下展久,宇野昌明
 5  脳梗塞   菅田真生,髙橋 淳
 6  もやもや病(Willis動脈輪閉塞症)  藤村 幹
 7  脳動脈解離  菊池隆幸,石井 暁,宮本 享
 8  脳静脈・静脈洞閉塞症  中川一郎,中瀬裕之
 9  海綿状血管奇形と発生学的静脈形成異常  小宮山雅樹
 10  脳アミロイドアンギオパチー   長井 篤,小林祥泰
 11  高血圧性脳症  高橋一夫,小林祥泰
 12  頚部頚動脈疾患  小笠原邦昭
 13  妊娠分娩と脳血管障害  吉田和道,宮本 享
 
第2章 脳腫瘍
 1  治療成績の読み方  大野 誠,成田善孝
 2  脳腫瘍全国集計調査報告による頻度と治療成績  成田善孝
 3  治療方法の意義と合併症  高橋雅道,成田善孝
 4  各論(1)─脳実質内腫瘍
  a 神経上皮系腫瘍:神経膠腫(gradeⅠ)  沖田典子,成田善孝
  b 神経上皮系腫瘍:神経膠腫(gradeⅡ・Ⅲ)  成田善孝
  c 神経上皮系腫瘍:膠芽腫(gradeⅣ)  成田善孝
  d 神経上皮系腫瘍:脳室上衣腫  柳澤隆昭
  e 胎児性腫瘍:髄芽腫  柳澤隆昭
  f  胎児性腫瘍:PNET  柳澤隆昭
  g 胎児性腫瘍:非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍(AT/RT)  柳澤隆昭
 5  悪性リンパ腫  永根基雄
 6  胚細胞腫  松谷雅生
 7  血管芽腫  高柳俊作,武笠晃丈,中冨浩文,斉藤延人
 8  松果体細胞腫  松谷雅生
 9  頭蓋内脂肪腫  藤巻高光
 10  過誤腫  藤巻高光
 11  Central neurocytoma  藤巻高光
 12  各論(2)─脳実質外腫瘍
  a 髄膜腫  大宅宗一
  b 下垂体腺腫  石井雄道,廣畑倫生,松野 彰
  c 神経鞘腫  中冨浩文,斉藤延人
  d 頭蓋咽頭腫  佐伯直勝
  e 類皮腫,類上皮腫  藤巻高光
  f 脊索腫  小林正人,藤巻高光
 13  各論(3)─遺伝子異常による脳腫瘍
  a Neurofibromatosis(NF-1/NF-2)  中冨浩文,高柳俊作,西川 亮
  b von Hippel-Lindau病  高柳俊作,武笠晃丈,中冨浩文,斉藤延人
  c Tuberous sclerosis(結節性硬化症)  市川智継
  d 家族性腫瘍(遺伝性腫瘍症候群)  金村米博
 14  転移性脳腫瘍   中洲庸子
 15  囊胞性病変
  a Rathke囊胞  西岡 宏
  b 第三脳室コロイド囊胞  鈴木智成,藤巻高光
  c 松果体囊胞  藤巻高光
 16  眼窩内腫瘍  近藤聡英,鈴木まりお,新井 一
 17  頭蓋骨腫瘍  河本圭司
 18  がん治療における妊孕性の温存と生殖医療  宮北康二,成田善孝
 
第3章 頭部外傷
 1  頭部外傷  横堀將司,横田裕行
 2  小児の頭部外傷  荒木 尚,横田裕行,森田明夫
 3  スポーツ頭部外傷  溝渕佳史,永廣信治
 
第4章 小児・先天奇形
 1  水頭症  伊達裕昭
 2  頭蓋縫合早期癒合症  西本 博
 3  二分脊椎,二分頭蓋  坂本博昭,松阪康弘,國廣誉世
 4  Chiari奇形(Ⅰ型,Ⅱ型)  西本 博
 5  脊髄空洞症,延髄空洞症  坂本博昭
 6  頭蓋底陥入症  坂本博昭
 7  くも膜囊胞  坂本博昭,松阪康弘,國廣誉世
 8  新生児頭蓋内出血  坂本博昭,松阪康弘,國廣誉世
 9  Galen大静脈瘤  下地一彰,宮嶋雅一,新井 一
 
第5章 脊椎・脊髄疾患
 1  脊髄腫瘍  花北順哉,大竹安史
 2  血管障害  菊池隆幸,石井 暁,宮本 享
 3  外傷  飯塚秀明,鳥越恵一朗
 4  椎間板ヘルニア,脊椎症  花北順哉,高橋敏行
 5  脊髄空洞症  阿部俊昭
 6  頚椎後縦靱帯骨化症  安田宗義,上甲眞宏,高安正和
 7  黄色靱帯骨化症  平林 茂
 8  環軸椎脱臼  寳子丸 稔
 
第6章 機能的脳神経外科疾患
 1  三叉神経痛  藤巻高光
 2  顔面痙攣  藤巻高光
 3  難治性疼痛  深谷 親,山本隆充
 4  Parkinson病(外科的治療)  深谷 親,山本隆充
 5  ジストニア,振戦,その他の不随意運動   深谷 親,山本隆充
 6  書痙  小林一太,片山容一
 
第7章 頭部外傷
 1  包括的な治療方針  村井智彦,井上岳司,池田昭夫
 2  てんかんの外科的治療の適応と治療成績  川合謙介
 3  てんかんと自動車運転  川合謙介
 4  てんかんと妊娠  赤松直樹,辻 貞俊
 5  高齢者てんかん  山野光彦
 
第8章 頭痛
 1  片頭痛  間中信也
 2  緊張型頭痛  間中信也
 3  群発頭痛とその他の頭痛  間中信也
 4  低髄液圧症(脳脊髄液減少症,脳脊髄液漏出症)  中込忠好
 5  Tolosa-Hunt症候群  井関雅子,宮崎東洋
 6  帯状疱疹後神経痛  井関雅子,宮崎東洋
 7  可逆性後頭葉白質脳症(PRES),可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)  大木宏一,鈴木則宏
 
第9章 感染症
 1  細菌性髄膜炎  亀井 聡
 2  脳膿瘍  福嶌由尚,庄司紘史
 3  無菌性髄膜炎  庄司紘史,松下知永
 4  急性ウイルス性脳炎  庄司紘史
 5  結核性髄膜炎  綾部光芳
 6  真菌性髄膜炎  松村晃寛,下濱 俊
 7  遅発性ウイルス感染症とプリオン病  山田正仁
 8  エイズ脳症(HIV関連神経認知障害)  三浦義治,池内和彦
 9  ヒトT細胞白血病ウイルス1型関連脊髄症(HAM)  松﨑敏男,有村公良
 10  ムコール菌症  松村晃寛,下濱 俊
 11  神経梅毒  松下知永,庄司紘史
 
第10章 炎症性疾患
 1  多発性硬化症と視神経脊髄炎  松下拓也,吉良潤一
 2  アトピー性脊髄炎  山﨑 亮,吉良潤一
 3  急性散在性脳脊髄炎(ADEM)  村井弘之,吉村 怜,吉良潤一
 4  Bickerstaff脳幹脳炎  緒方英紀,吉良潤一
 5  神経Behçet病  廣畑俊成
 6  神経サルコイドーシスと硬膜炎  廣畑俊成
 7  側頭動脈炎とリウマチ性多発筋痛症  廣畑俊成
 8  膠原病の中枢神経症状  廣畑俊成
 
第11章 変性疾患
 1  脳血管性認知症  田中 瞳,細見直永,松本昌泰
 2  Alzheimer型認知症(Alzheimer病)  中島健二
 3  前頭側頭型認知症  岡本幸市
 4  Lewy小体型認知症  小阪憲司
 5  Parkinson病とその関連疾患  服部信孝
 6  振戦とその関連疾患  松本英之,宇川義一
 7  脊髄小脳変性症  松島理明,佐々木秀直
 8  筋萎縮性側索硬化症(ALS)と脊髄性筋萎縮症(SMA)  熱田直樹,祖父江 元
 9  多系統萎縮症  中島健二
 10  Huntington病  中島健二
 
第12章 後天性/先天性代謝疾患
 1  ビタミン欠乏症  立花直子,池田修一
 2  Wernicke-Korsakoff脳症  立花直子,池田修一
 3  肝性脳症  矢﨑正英,池田修一
 4  尿毒症性脳症  武井洋一,池田修一
 5  糖尿病神経障害  田中雅貴,千葉厚郎
 6  甲状腺疾患に伴う神経・筋障害  米田 誠
 7  アルコール依存症と神経障害  兼子一真,池田修一
 8  悪性腫瘍に伴う神経障害  田中優司,犬塚 貴
 9  ミトコンドリア病  大久保真理子,西野一三
 10  白質ジストロフィー  西澤正豊
 11  Wilson病  清水教一
 12  糖原病  大久保真理子,西野一三
 13  電解質浸透圧異常  千葉厚郎
 
第13章 末梢神経障害
 1  Guillain-Barré症候群  宮本勝一,楠  進
 2  慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)とその類縁疾患  宮本勝一,楠  進
 3  Charcot-Marie-Tooth病  中川正法
 4  家族性アミロイドポリニューロパチー  鈴木彩子,池田修一
 5  急性間欠性ポルフィリン症  中村昭則,池田修一
 6  末梢性顔面神経麻痺  東原真奈,園生雅弘
 7  手根管症候群,肘部管症候群  三上容司
 8  膠原病に伴う末梢神経障害  大石真莉子,古賀道明,神田 隆
 9  重症疾患多発ニューロパチー(CIP)と重症疾患ミオパチー(CIM):ICUAW  畑中裕己,園生雅弘
 10  Crow・深瀬(POEMS)症候群  桑原 聡
 
第14章 筋疾患
 1  重症筋無力症  福嶋かほり,成田智子,本村政勝
 2  Lambert-Eaton筋無力症候群  成田智子,本村政勝
 3  炎症性筋疾患  前田明子
 4  筋ジストロフィー  川井 充
 5  Duchenne型筋ジストロフィーとエクソン・スキップ治療  青木吉嗣,武田伸一
 6  福山型先天性筋ジストロフィー  戸田達史
 7  筋強直症  川井 充
 8  周期性四肢麻痺  有村公良
 9  ステロイドミオパチー  東 桂子,樋口逸郎
 10  悪性高熱  市原靖子,菊地博達
 11  悪性症候群  立花久大
 12  サルコペニア  砂田芳秀
 
第15章 その他の脳神経疾患・治療
 1  頭蓋内圧亢進と脳浮腫  佐藤 章
 2  睡眠障害  三島和夫
 3  特発性正常圧水頭症  石川正恒
 4  薬物に伴う神経障害  田中優司,犬塚 貴
 5  薬物によるニューロパチー  福田博之,園生雅弘
 6  定位放射線治療の適応と治療成績  長谷川洋敬,花北俊哉,辛 正廣
 7  ボツリヌス毒素の適応と治療法  武内俊明,向井洋平,梶 龍兒
 8  運動器不安定症とロコモティブシンドローム  星野雄一
 9  スポーツと脳神経疾患  吉井文均
 
第16章 遺伝子診断と遺伝相談
 1 遺伝子診断とそのガイドライン  三井 純,石浦浩之,辻 省次
 2 神経疾患の遺伝相談  市川弥生子
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