各種モダリティと比べてわかる

乳腺超音波テキスト

乳腺超音波テキスト

■編著 辻本 文雄

定価 14,300円(税込) (本体13,000円+税)
  • B5変型判  508ページ  オールカラー,イラスト50点,写真約1,300点
  • 2016年3月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-1588-3

第一人者の視点・コツ すべてがこの1冊に!

乳腺疾患をより正確に診断するためには超音波検査をいかに活用するかが重要である。超音波像を正確に診断できる技術を習得することは,超音波検査に携わる全ての医師・技師に求められている。
本書では,超音波検査の第一人者である著者が,これまでの経験により習得した技術・コツを懇切丁寧に解説。あらゆる乳腺疾患の症例を提示し,各種モダリティと超音波像を比較しながら,うまく診断できなかったケースでは,どこを見落としていたのか,をクリアにして,超音波診断時に気をつけなければいけないことを具体的に記載されている。
本書を読めば一歩上の技術が身につく!


序文

 乳がんに関して,本邦での問題点は,罹患年齢が若く,また死亡率が増加していることである。欧米では70歳代で患者数がピークとなる。したがって,単純に欧米のガイドラインを適応してはいけない。本邦では,ピンクリボン運動などによりマンモグラフィ検診が全盛であるが,そもそも欧米でのマンモグラフィのエビデンスをそのまま借用して,本邦であたかもエビデンスがあるようにして乳がん検診が行われていることが誤りなのである。50歳未満の乳房では乳腺の量が多く,dense breast( 高濃度乳腺)のため,断層画像でなく軟部組織に軟部組織を重ねたようなマンモグラフィでは偽陰性・偽陽性率が上がるのを避けられない。それでは超音波検査は断層像なので,偽陰性・偽陽性がほとんどないかといえば,超音波検査は再現性がなく診断の精度は検査者の技量によるところが非常に大きい。その欠点を解決さえすれば,生命予後に影響する浸潤癌の診断は容易となり,50歳未満の乳房超音波検診はマンモグラフィが不要となりうる。筆者は50歳以上ではマンモグラフィは2年に1回程度は可とし,超音波検査は1年ごとの受診を勧める。
 本書では,筆者が過去に経験した数多くの症例から,典型例,診断に難渋した例を選び,詳細な解説を行った。超音波検査のみならず,マンモグラフィ,CT,MRIなどと併せて掲載することで,超音波検査でみえる像とその他のモダリティを比較し,画像に写る所見がイメージしやすくなるように心がけた。それぞれのケースに応じて,どこに注目するべきか,なぜ診断を難しいものにしたのか,レポートをどのように書くべきかをできうる限り率直に執筆した。本書1冊であらゆる疾患に対応できるよう,稀な疾患にも解説を加えた。
 また,総論では,筆者が30年以上臨床を行ってきたなかで培ってきた,超音波検査を最も有用に使い,診断するテクニックをすべて執筆したつもりである。
 乳がんの治療は手術・放射線療法・抗癌剤ともに目覚ましい進歩を遂げている。本書を通じて,本邦での超音波検査の診断精度がさらに向上し,患者さんの負担の少ない,偽陰性・偽陽性率の低い,正確な診断が行われ,乳がんで命を落とす患者さんが減る社会となることを心から願っている。

2016年1月
辻本文雄
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目次

総 論
乳房の診察
    問診
    視診
    触診

乳房の発生と乳房領域の解剖 
    乳房の発生
    乳房の正常変異と奇形
    乳房の超音波解剖
    乳管の解剖
    腋窩の解剖
    乳房および乳房周囲の脈管解剖

授乳期乳房(lactating breast)
    第1段階の乳房発育
    第2段階の乳房発育

乳癌総論
    疫学
    病理とスクリーニングの画像診断

超音波診断法
  超音波診断の役割
  腫瘤像の表現方法
    形状(shape)
    縦横比(たてよこひ,longitudinal transverse ratio,L/T ratio,LT比)
    辺縁(border,margin)
    境界エコー(boundary echoes)
    connective tissue signあるいはsonographic spiculation
    内部エコー(internal echoes)
    後方エコー(posterior echoes)

  ドプラ法の原理
    MTI法によるカラードプラの原理
    パルスドプラ法の原理
    FFT
    パルスドプラ法による血流の測定
    折り返し現象
    ミラー効果(mirroring)
    パワードプラ法
    種々のドプラ法の特徴と感度
  ドプラ法の適応
    カラードプラ法による血流観測
    乳腺領域でのドプラ法の用い方
    Twinkling artifact:超音波による微細石灰化の描出
  ハーモニックイメージングと造影超音波検査
  エラストグラフィ(elastography,組織弾性画像法)
  乳房自動走査装置(ABVS)の乳がん検診への適応

リンパ節の検出と異常像の判定
    リンパ節腫脹に関する一般的な臨床事項
    転移リンパ節の超音波像
    乳腺領域リンパ節転移の画像診断
    超音波ガイド下吸引細胞診
    センチネルリンパ節

乳房の超音波検査・診断手技 
    検査前準備
    装置の設定
    推奨する検査体位
    推奨するプローブの持ち方
    推奨する乳房の走査法および撮像法
    推奨するリンパ節の走査法
    腫瘤あるいは病変の観察法
    検査終了後の手順

病変の臨床的記載法および超音波検査による表示法
    『乳癌取扱い規約』に沿った腫瘤の臨床的記載法
    病変の超音波検査による表示法(ラベリング)

検査者の能力が問われる超音波検査・診断の「訓練法」
    訓練法
    超音波診断の特徴

石灰化(calcification)
    明らかな良性石灰化
    良・悪性の鑑別が必要な石灰化の形態
    石灰化の分布

超音波検査以外の診断法
  マンモグラフィ(MMG)
  MRI検査
    乳房MRI検査手技
    乳房MRI診断の実際
  CT検査
  PET
  その他の診断法
    乳管造影
    乳管内視鏡検査
    コンタクトサーモグラフィ

乳がん検診

カテゴリー分類

乳癌の治療法
  手術療法
    乳房切除術
    センチネルリンパ節生検
  放射線療法 
  乳癌の分子プロファイルとその薬物療法
    乳癌の分子プロファイル
    化学療法
    ホルモン療法
  術前補助療法と術後補助療法
    術前補助療法
    術後補助療法

免疫染色による乳癌の診断・治療法選択・予後予測
    免疫染色による乳癌の診断
    免疫染色による乳癌の治療法選択・予後予測

超音波検査・診断体制の整備 
    超音波検査室の整備
    超音波診断装置および周辺機器の整備


各 論
浸潤性乳管癌(invasive ductal carcinoma)
  硬癌(scirrhous carcinoma)
  充実腺管癌(solid–tubular carcinoma)
  乳頭腺管癌(papillotubular carcinoma)

非浸潤癌(noninvasive carcinoma)
  非浸潤性乳管癌(DCIS)
  非浸潤性小葉癌(LCIS)

炎症性乳癌(inflammatory breast cancer)

男性乳がん(male breast cancer) 

潜在性乳癌(occult breast carcinoma)

再発乳癌
    乳癌の局所再発および遠隔転移
    皮膚転移およびSister Mary Joseph結節

重複乳癌(double breast cancer)[両側乳癌(bilateral primary breast  cancer)]

多重癌(multiple primary cancer)

多発病巣を有する乳癌(breast cancer with multiple tumors),多中心性乳癌(multicentric breast cancer)

乳癌特殊型
  浸潤性小葉癌(invasive lobular carcinoma;ILC)
  粘液癌(mucinous carcinoma)
  管状癌(tubular carcinoma)
  髄様癌(medullary carcinoma)
  アポクリン癌(apocrine carcinoma)
  化生癌(metaplastic carcinoma)
    紡錘細胞癌(spindle cell carcinoma)
    扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)
    骨・軟骨化生を伴う癌(carcinoma with cartilaginous and/or osseous metaplasia)
  基質産生癌(matrix–producing carcinoma
  浸潤性微小乳頭癌(invasive micropapillary carcinoma)
  腺様嚢胞癌(adenoid cystic carcinoma)
  嚢胞内乳頭癌(intracystic papillary carcinoma)
  invasive ductal carcinoma with larg,central acellular zone(大中心無細胞領域を伴う浸潤性乳管癌)
  その他(others)
    脂質分泌癌
    神経内分泌腫瘍(NET),神経内分泌癌(NEC),好銀性細胞癌,カルチノイド腫瘍
    神経内分泌型非浸潤性乳管癌(NE–DCIS)

悪性リンパ腫(malignant lymphoma)

血管肉腫(angiosarcoma,malignant hemangioendothelioma)

乳房Paget病(Paget's disease)

良性疾患:乳腺症(mastopathy,fibrocystic disease,mammary dysplasia)
良性疾患:嚢胞(cyst)

良性疾患:線維腺腫(fibroadenoma)

良性疾患:葉状腫瘍(phyllodes tumor)

その他の良性疾患
  過誤腫(hamartoma)
  乳管腺腫(ductal adenoma)
  腺腫(adenoma)
    授乳性腺腫(lactating adenoma)
    管状腺腫(tubular adenoma)
  乳管内乳頭腫(intraductal papilloma),嚢胞内乳頭腫(intracystic papilloma)
  乳頭部腺腫(adenoma of the nipple)
  異型乳管過形成(atypical ductal hyperplasia;ADH)
  乳腺腺筋上皮腫(adenomyoepithelioma)
  粘液瘤様腫瘍(mucocele–like tumor;MLT)
  偽血管腫様間質過形成(pseudoangiomatous stromal hyperplasia;PASH)
  cystic hypersecretory hyperplasia(CHH),CHH with atypia,cystic hypersecretory carcinoma(CHC)
  放射状瘢痕(radial scar)
  女性化乳房症(gynecomastia)
  乳腺線維症(fibrous breast disease)
  乳瘤(galactocele):濃縮嚢胞(dense cyst,complicated cyst) 
    乳瘤
    濃縮嚢胞
  乳腺炎(mastitis):膿瘍(abscess)
    産褥性急性乳腺炎
    乳輪下膿瘍
    肉芽腫性乳腺炎
    形質細胞乳腺炎,乳管周囲炎(periductal mastitis)
  乳管拡張症(mammary duct ectasia),乳管周囲炎(periductal mastitis),形質細胞乳腺炎(plasma cell mastitis)
  早発乳房(premature thelarche)
  若年性乳房肥大症(juvenile breast hypertrophy,verginal breast hypertrophy)
  副乳(accessory mammary gland),異所性乳腺(ectopic breast tissue),乳腺尾部乳腺(breast gland in the axillary tail)
  術後瘢痕(postoperative scar)
  血腫(hematoma)
  乳房内異物(foreign body in breast),豊胸術(breast augmentation)
  脂肪腫(lipoma)
  血管脂肪腫(angiolipoma)
  石灰化上皮腫(calcifying epitherioma):毛母腫(pilomatrixoma)
  線維腫(fibroma)
  デスモイド腫瘍(desmoid tumor)
  脂肪壊死症(fat necrosis)
  Mondor病(Mondor's disease)
  アテローム(atheroma)
  疣贅(verruca),(wart)
  乳房痛(mastodynia[mastalgia,mammalgia,breast pain])・胸部痛(thoracodynia[pectoralgia,thoracalgia,chest pain])
    乳房痛
    胸部痛
  Tietze病,Tietze症候群,SAPHO症候群

Q & A
良性と間違えやすい悪性疾患 診断は?

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