Key所見からよむ肝胆膵脾の画像診断 肝臓編

Key所見からよむ肝胆膵脾の画像診断 肝臓編

■監修 村上 卓道

■編集 吉満 研吾
兼松 雅之
赤羽 正章
鶴﨑 正勝

定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
  • B5変型判  288ページ  2色(一部カラー),写真560点
  • 2016年4月22日刊行
  • ISBN978-4-7583-1591-3

肝胆膵脾の画像診断でKeyとなる特徴的所見を網羅し,所見から鑑別診断にアプローチできる構成かつ,熟練医師からの「所見を読みこなすヒント」が満載なテキストの肝臓編

若手放射線科医が実臨床での画像読影に役立てられるように,Keyとなる特徴的画像所見から鑑別診断にアプローチできるよう構成。熟練医師からの「所見を読みこなすヒント・技」が満載の画像診断の教科書,肝臓編。消化器内科・外科など,画像所見の読み方を学びたいという他科の医師も広く利用できる内容となっている。


序文

編集の序

 人間は視覚的なパターン認識や思い込みに基づいて行動することが多い動物であり,白か黒か,丸か四角か,大きいか小さいか,整か不整か,多いか少ないかなど,目に見え,言葉で表せる手掛かりをもとに状況判断をしている。辺縁視野に人を喰らう猛獣が侵入していて「なんかまずくないか?」と不隠な空気を感じていても,誰かが「あそこにライオンがいるぞ!」と指を差して叫ばない限り,喰われるまで気がつかないこともある。四書五経の一つである『大学』のあまりにも有名な一節「心不在焉,視而不見,聴而不聞,食而不知其味」(こころ,ここにあらざれば,みれどもみえず,きけどもきこえず,くらえどもそのあじをしらず)」はこれに似た状況を示している。
『GAMUTS IN RADIOLOGY』のような名著が珍重され,放射線診断学において古くからKey所見をもとに鑑別を並び立てることが欧米を中心に重要視されてきた背景はここにある。
 昨今,多くの医師が画像に基づいた診療を行い,特に画像診断を生業とする放射線科診断専門医にとり,多くの画像がおびただしく流れ出てくるなか,限られた時間と臨床情報のなかで目前の画像に向き合い,所見,鑑別診断とその優先順位,次に行うべき精査や経過観察の要不要などを,整然とまとめて文書情報としてアップロードしないといけない時代になった。鑑別すべき病名が頭に浮かびさえすれば,例えば「epithelioid hemangioendothelioma liver MRI CT 」などとGoogle画像に検索ワードを入力すると,玉石混淆ではあるが,数多くの画像を一度に閲覧できる。念頭の疾患が画像上,おおよそどのような様相を呈するのかを短時間に俯瞰することができ,日常診療でネット画像を斜め見しながらあたりを付けている放射線科医も多いと思う。
 本書では,「Key所見」を手掛かりに「まずは風呂敷を広げる」ところから始める。「あれはライオンじゃないか?」と言ってくれさえすれば餌食にならなかったのにと後悔しないためにも,本書は「そのKey所見であれば,こんな病気はどうですか? こんな感じの画像ですよ」と語りかけてくれる。そんなコンセプトで「Key所見からよむ肝胆膵脾の画像診断 肝臓 編/胆膵脾 編」は企画された。さらに本書では初学者に配慮して,「Key所見」の画像を,教育現場で使われるフラッシュカードのように,繰り返し記憶することができるよう,「所見パレット」を用いて,まれな疾患も排除せず多数供覧した。読者が目の前の症例と見比べながら,あたりを付けつつ,必要に応じて解説を読み,「これはちがうな」と除外しつつ鑑別診断を絞り込むことを助けられる様な設計を意図した。また,一つの疾患が複数のKey所見を持つため,同じ疾患が随所に繰り返し登場してくるが,「参考所見」としてページを越えた相互参照ができるように工夫されている。
 末筆ではあるが,玉稿を頂いた素晴らしい著者の先生方と膨大な文章と画像を見やすく編集することに腐心下さったメジカルビュー社の中澤さんには深く感謝申し上げたい。そして,新しい試みで編集された本書が,肝胆膵脾領域の画像診断において,多くの臨床医から「余人をもって代えがたし」と評される画像診断医の育成の助けとなることを願ってやまない。
2016年2月

岐阜県総合医療センター 消化器画像診断センター部長 兼松雅之
NTT東日本関東病院 放射線部部長 赤羽正章
福岡大学医学部 放射線医学教室主任教授 吉満研吾
近畿大学医学部 放射線医学教室放射線診断学部門准教授 鶴﨑正勝
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目次

Key No.
1 びまん性肥大  大西裕満
 所見パレット/ びまん性肥大を呈する疾患
2 びまん性萎縮  大西裕満
 所見パレット / びまん性萎縮を呈する疾患
3 部分肥大・腫大  大西裕満
 所見パレット/ 部分肥大・腫大を呈する疾患
4 部分萎縮(アンバランスな変形)  大西裕満
 所見パレット/部分萎縮(アンバランスな変形)を呈する疾患
5 多発(びまん性)結節  堀 雅敏
 所見パレット/ 多発(びまん性)結節を呈する疾患
6 肝内胆管拡張(部分,全体)  堀 雅敏
 所見パレット/ 肝内胆管拡張(部分,全体)を呈する疾患
7 門脈血行異常  堀 雅敏
 所見パレット/ 門脈血行異常を呈する疾患
8 表面の変形または 凹み  赤羽正章
 所見パレット/表面の変形または凹みを呈する疾患
9 境界不明瞭腫瘤  赤羽正章
 所見パレット/ 胆嚢内膜の断裂・不連続性を呈する疾患
10 中心部低吸収腫瘤(中心瘢痕含む)  赤羽正章
 所見パレット/中心部低吸収腫瘤(中心瘢痕含む)を呈する疾患
11 肝外突出性病変  吉川 武
 所見パレット/ 肝外突出性病変を呈する疾患
12 分葉状腫瘤  吉川 武
 所見パレット/ 分葉状腫瘤を呈する疾患
13 肝の多房性嚢胞  吉満研吾
 所見パレット/肝の多房性嚢胞を呈する疾患
14 石灰化含有腫瘤  吉川 武
 所見パレット/ 石灰化含有腫瘤を呈する疾患
15 脂肪含有腫瘤  平川雅和,西江昭弘,本田 浩
 所見パレット/ 脂肪含有腫瘤を呈する疾患
16 Periportal colour (halo) sign  平川雅和,西江昭弘,本田 浩
 所見パレット/Periportal colour (halo) signを呈する疾患
17 肝内ガス  平川雅和,西江昭弘,本田 浩
 所見パレット/ 肝内ガスを呈する疾患
18 肝実質の多発斑状像(モザイク像)  近藤浩史
 所見パレット/肝実質の多発斑状像(モザイク像)を呈する疾患
19 単純CT 高吸収結節  小坂一斗,小林 聡,蒲田敏文
 所見パレット/ 高吸収結節を呈する疾患
20 単純CT 肝実質の高吸収  小坂一斗,小林 聡,蒲田敏文
 所見パレット/ 肝実質高吸収を呈する疾患
21 単純CT 肝実質の低吸収  小坂一斗,小林 聡,蒲田敏文
 所見パレット/ 肝実質低吸収を呈する疾患
22 造影 多血性結節  森阪裕之,市川智明
 所見パレット/ 造影で多血性結節を呈する疾患
23 造影 乏血性結節  森阪裕之,市川智明
 所見パレット/ 造影で乏血性結節を呈する疾患
24 造影 リングエンハンスメント  森阪裕之,市川智明
 所見パレット/造影でリングエンハンスメントを呈する疾患
25 造影 くさび状早期濃染(AP-shunt を伴う腫瘤)  川田紘資,五島 聡,兼松雅之
 所見パレット/くさび状早期濃染(AP-shunt を伴う腫瘤)を呈する疾患
26 造影 early venous return  川田紘資,五島 聡,兼松雅之
 所見パレット/ early venous returnを呈する疾患
27 造影 遅延性濃染 (血液プーリングを含む)  近藤浩史
 所見パレット/ 造影による遅延性濃染を呈する疾患
28 造影 washout (門脈相,遅延相)  近藤浩史
 所見パレット/washout (門脈相,遅延相)を呈する疾患
29 MRI T1強調像 高信号結節  祖父江慶太郎,鶴﨑正勝
 所見パレット/ T1強調像 高信号結節を呈する疾患
30 MRI T1強調像 肝実質の高信号  祖父江慶太郎,鶴﨑正勝
 所見パレット/T1強調像 肝実の質高信号を呈する疾患
31 MRI T1強調像 肝実質の低信号  祖父江慶太郎,鶴﨑正勝
 所見パレット/T1強調像 肝実の質低信号を呈する疾患
32 MRI T1強調像 phase shiftでの信号変化  上田和彦
 所見パレット/phase shiftでの信号変化を呈する疾患
33 MRI T2強調像 低信号結節 上田和彦
 T2強調像 低信号結節を呈する疾患
34 EOB造影MRI 肝細胞相像 高信号  上田和彦
 所見パレット/ 肝細胞相像 高信号を呈する疾患
35 EOB造影MRI 肝細胞相での取り込み(必ずしも肝実質より高信号を意味しない)  吉満研吾
 所見パレット/肝細胞相での取り込み(必ずしも肝実質より高信号を意味しない)を呈する疾患
36 EOB造影MRI 肝細胞相でのリングエンハンスメント  吉満研吾
 所見パレット/肝細胞相でのリングエンハンスメントを呈する疾患

疾患別索引[日本語/英語/略語/所見解説 掲載頁 一覧]
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