作業療法学 ゴールド・マスター・テキスト

高次脳機能障害作業療法学(改訂第2版)

改訂第2版

高次脳機能障害作業療法学(改訂第2版)

■編集 鈴木 孝治

定価 4,620円(税込) (本体4,200円+税)
  • B5判  272ページ  2色(一部カラー),イラスト160点,写真50点
  • 2016年3月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-1674-3

改訂に当たり,さらにわかりやすくなった講義用テキスト!! 臨床への橋渡しにも活用できる!

本シリーズは,作業療法学について知識のない学生さんでもわかりやすいように,読みやすく解説した作業療法学専門分野の講義用テキストである。改訂第2版では,「全体像」のページを見直し,本文の流れとよりシンクロさせ,全体像の中のイラストにも解説を盛り込んで理解しやすいように工夫した。また,国試関連のポイントも押さえられるよう「Point!」を新設し,さらに「用語アラカルト」「Case Study」「MEMO」については初版よりもさらに多く盛り込み充実させ,学生さんの理解の助けとした。「まとめのチェック」も各項目間のバラツキを是正し,全体的に統一感をもたせた。
「高次脳機能障害作業療法学」では,「各論:社会的行動障害への介入」の章を新設。患者の外見からは判断しにくい高次脳機能障害の症状・行動を,なるべくわかりやすく,豊富なイラストで表現した。また,各章を脳機能の基礎知識→障害の特徴→評価→実際の介入という流れで構成したことで,基礎知識だけ,実践だけをまとめて学ぶのではなく,覚えた基礎知識が臨床でどう生きるのかがわかり,内容をより理解しやすくなっている。
ぜひ,本書を通じて,臨床にもつなげられる作業療法の知識を身につけてほしい!

■シリーズ監修
長﨑重信


序文

編集の序

 2012年10月にこの書の初版が刊行され,すでに3年の時が流れた。
 その間にも脳科学は着実に進歩し,わが国の作業療法の動きも確実に変化してきた。本書の刊行直後に医学・生理学分野では,京都大学の山中教授がiPS細胞でノーベル賞を受賞され,再生医学の研究に拍車がかかった。後に脳損傷の治療にも影響を与えるであろう研究の進歩である。一方,作業療法の世界でも介護保険に関して2015年4月に変化が生まれた。それまで数年にわたり,厚生労働省の老人保健健康増進等事業にて「作業療法の見える化」を実現すべく進められてきた「生活行為向上マネジメント」に関する研究事業が,「生活行為向上リハビリテーション」として介護保険の保険点数に反映されることとなった。この生活行為の向上を目指すべく,「活動」と「参加」に焦点をあてたアプローチは,ともすれば,「心身機能・身体構造」を軽視しがちと受け取られるが,このようなアプローチの本意は「機能軽視」ではない。機能をベースとした「活動」と「参加」に焦点をあてたアプローチであると考える。そうでなければ医学や脳科学と関連を深めて発展してきた作業療法の特異性,意義は存在し得ないのである。身体機能にしろ脳機能にしろ,「機能」を忘れ去っては作業療法の存在意義はないと考える。そう強く思える3年間であったと思う。
 さて,今回の本書の改訂に際し,特に重視した点を以下にお示しする。
1.各論に,「社会的行動障害への介入」という章を追加した。脳神経外科のさらなる救命率の向上とともに,地域リハビリテーションの普及により,前頭葉障害,特に頭部外傷による高次脳機能障害を有する対象者が増加している。この現状を鑑み,各論に追加することとした。
2.「全体像」にイラストや解説を適宜追加した。各章の内容を一目で把握できることは学習の効率性からみても重要であり,このゴールド・マスターという教科書のシリーズの最大の特徴であるため,充実させた。
3.「Point!」に関しては,本書は国家試験合格のための教本ではないが,国試関連のポイントをできる限り加筆し重点的に解説した。
4.「Case Study」では,臨床実習に役立つ内容を掲載した。現在,作業療法士を目指す学生さんの最終段階では必ず,臨床実習を経験しなければならない。このため,できるだけ早期から臨床の感覚を養っていただくため,この囲み記事を充実させた。
 また,初版で重視した,①用語の定義,②評価のポイント,③介入のポイントは,そのまま踏襲し,できるだけ内容的に一貫性のあるものとするべく少人数での執筆も心掛けた。
 今回も単独での編集となったが,まだまだ作業療法士としても書籍の編集としても未熟であり,再度,書籍を世に出すにあたっての不安は尽きない。今後,さらなる読者の厳しいご意見を賜り,改善を重ねていきたいと思っている。
 最後に,第2版の構成の見直しから刊行に至るまで,助言と励ましの言葉をいただきましたメジカルビュー社の北條智美氏に深く感謝いたします。

2016年1月
藤田保健衛生大学
鈴木孝治
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目次

0 Introduction
 1 Introduction

1 高次脳機能障害とは何か
 1 高次脳機能障害とは
 2 高次脳機能障害の背景となる学問 神経心理学と認知心理学
 3 作業療法と高次脳機能障害

2 高次脳機能障害の評価の概要
 1 評価の流れ
 2 評価の組み立てかた
 3 画像の見かた
 4 観察の方法
 5 面接の方法
 6 神経心理学的検査の使いかた
 7 各種神経心理学的検査の紹介
 8 介入につなげる解釈

3 各論:意識・注意・感情の障害への介入
 1 意識と注意
 2 意識障害,注意機能障害の特徴
 3 意識障害,注意機能障害の評価
 4 意識障害,注意機能障害への介入の実際
 5 半側空間無視および関連する障害の特徴
 6 半側空間無視および関連する障害の評価
 7 半側空間無視および関連する障害への介入の実際
 8 感情とは
 9 感情障害の特徴
 10 感情障害の評価
 11 感情障害への介入の実際

4 各論:認知の障害への介入
 1 認知とは
 2 認知の障害の特徴
 3 認知障害の評価
 4 認知の障害への介入の実際

5 各論:言語・記憶・思考の障害への介入
 1 言語とは
 2 言語障害の特徴
 3 言語障害の評価
 4 言語障害への介入の実際
 5 記憶とは
 6 記憶障害の特徴
 7 記憶障害の評価
 8 記憶障害への介入の実際
 9 思考とは
 10 思考障害の特徴
 11 思考障害の評価
 12 問題解決の障害に対する介入

6 各論:行為・行動の障害への介入
 1 行為・行動とは
 2 行為・行動の障害の特徴
 3 行為・行動の障害の評価
 4 行為・行動の障害への介入の実際

7 各論:遂行機能障害への介入
 1 遂行機能とは
 2 遂行機能の特徴
 3 遂行機能障害の評価
 4 遂行機能障害への介入の実際

8 各論:社会的行動障害への介入
 1 社会的行動とは
 2 社会的行動障害の特徴
 3 社会的行動障害の評価
 4 社会的行動障害への介入の実際

9 今後の展望
 1 作業療法が高次脳機能障害の分野で必要と認められるためには
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