作業療法学 ゴールド・マスター・テキスト

精神障害作業療法学(改訂第2版)

改訂第2版

精神障害作業療法学(改訂第2版)

■編集 山口 芳文

定価 4,620円(税込) (本体4,200円+税)
  • B5判  376ページ  2色,イラスト180点
  • 2015年9月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-1675-0

改訂に当たり,さらにわかりやすくなった講義用テキスト!! 臨床への橋渡しにも活用できる!

本シリーズは,作業療法学について知識のない学生さんでもわかりやすいように,読みやすく解説した作業療法学専門分野の講義用テキストである。
今回,改訂第2版では,「全体像」のページを見直し,本文の流れとよりシンクロさせ,全体像の中のイラストにも解説を盛り込んで理解しやすいように工夫。また,国試関連のポイントも押さえられるよう「Point!」を新設し,さらに「用語アラカルト」「Case Study」「MEMO」については初版よりもさらに多く盛り込み充実させ,学生さんの理解の助けとした。「まとめのチェック」も各項目間のバラツキを是正し,全体的に統一感をもたせた。
「精神障害作業療法学」については,現在の精神科医療を取り巻く状況を述べた後,精神障害領域を理解する土台となる基礎理論について記載。そのうえで,評価手法,疾患別作業療法を症例紹介も交えながら解説するとともに,その重要性が高まっている地域作業療法についても解説。また,精神障害者の行動特徴を示したイラストを多数盛り込み,精神障害領域をこれから学ぶ読者にも手に取りやすい紙面構成となっている。
ぜひ,本書を通じて,臨床にもつなげられる作業療法の知識を身につけてほしい!

■シリーズ監修
長﨑重信


序文

改訂第2版 編集の序

 本書は,「作業療法学 ゴールド・マスター・テキスト」シリーズの1冊である「精神障害作業療法学」である。初版が刊行されてすでに5年が経過した。この間,作業療法士養成校の学生にとどまらず作業療法士の方々にも多く読まれたことを感謝申し上げたい。改訂にあたり,初版の編集方針である「系統的な学習」を目指した組み立ては変更することなく,第2版の基本方針とした。
 主だった改訂点として,各単元の冒頭に掲載する「全体像」を必要箇所に追加するとともに,本文の内容と一致したイラストで示し,学習内容をさらにイメージ化しやすいようにしたことが挙げられる。また,曖昧な理解を助けるために用語解説を逐次挿入し,内容の確実な理解が進むようにした。さらに,国試関連のポイントを押さえる「Point!」も挿入して応用的な理解が進むよう計画するとともに,臨床実習や知識の定着に役立つ「Case Study」により臨場感溢れる記載を心掛けた。
 内容項目については,初版と同様の項目で「精神障害作業療法を実施する上で重要で背景となる基礎概念や理論」-「精神障害作業療法での評価学」-「精神障害作業治療学」-「精神科での地域作業療法学を実施する上で必要な臨床実践,各種制度や関連法規」の構成とし,それぞれに多くの内容を加筆した。項目では新たに「クリニカル・クラークシップ臨床実習」の内容を加え,今後増えていくと思われる臨床実習の指導形態とその内容について学習できるように実践的な内容も加味した。また,「精神障害作業治療学」の項目のなかの疾患別作業療法では,それぞれの疾患ごとに治療目標,治療構造について統一した記載を行い,各疾患の「病理と成因-行動の特徴-作業療法評価-治療目標-治療構造」の流れを明確にした。
 本書は初版に比べ,より実践的で系統的な学習をするのに最適な教科書となるよう改訂した。精神障害作業療法学を学ぶ初心者である作業療法学生にあっては順序だった学習を実現するテキストとして,また,日々の臨床に従事している作業療法士においては臨床疑問や再学習の書として活用できるものと考えている。

2015年8月
昭和大学
山口芳文
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目次

■0章 Introduction
1 精神障害作業療法学とは
 1 精神障害における作業療法
 2 ケースを通して学ぶ精神科医療

■1章 基礎概念
精神科医療状況概論
1 精神科医療を取り巻く状況
 1 わが国の精神科医療状況
 2 精神科医療の基本的な流れ
 3 外来受診と通院
 4 入院
 5 精神科作業療法に対する批判
 6 診療報酬
 7 退院
 8 地域との関わり

2 わが国の精神医療と精神科作業療法の歴史
 1 わが国の精神科作業療法の始まり
 2 生活療法の普及
 3 作業療法士の誕生
 4 作業療法の診療報酬制定
 5 宇都宮病院事件
 6 福祉,高齢者対策
 7 入院医療中心から地域生活中心に向けて

精神科領域での基礎理論
3 自己理解
 1 自己理解とは
 2 関与しながらの観察とは
 3 自己理解と他者理解

4 精神分析学
 1 精神分析学とは
 2 精神分析学の特徴
 3 本能と行動
 4 精神分析学の精神・性発達
 5 精神分析療法とは
 6 統合失調症の症状(不安)の力動的理解

5 来談者中心療法
 1 来談者中心療法とは
 2 来談者中心療法と精神分析療法の違い
 3 来談者中心療法における治療者の態度
 4 対象者側の受け取り方(認知,現象学)
 5 対象者の変化

6 生活臨床
 1 生活臨床とは
 2 統合失調症者の社会生活での特徴
 3 統合失調症者への対応
 4 破綻の原因には何があるか
 5 統合失調症の生活臨床上のタイプ

7 発達理論
 1 発達理論とは
 2 エリクソンの発達理論
 3 モゼイの適応技能

8 集団理論
 1 精神分析における集団理論
 2 社会心理学における集団理論
 3 作業療法における集団理論

9 行動理論・学習理論,行動療法
 1 学習理論とは
 2 行動療法とは

10 認知行動療法(CBT)
 1 CBTの誕生
 2 CBTの基本概念
 3 CBTの2つの基盤
 4 CBTの基本モデル
 5 CBTの基本的原則
 6 CBTの治療法〜CBTの鍵となる技法
 7 主な疾患別CBTの特徴

11 ストレス理論
 1 ストレス理論(ストレスとストレッサー)
 2 ストレス対処・ストレスマネージメント
 3 ストレス関連疾患

12 生活技能訓練法(SST)
 1 SSTとは
 2 SSTが発展した背景
 3 SSTの特徴-従来の治療技法との違いは?-
 4 基本訓練モデルの実際
 5 SSTにおける他の技法について
 6 SSTを実施するときに大切なことは…
 7 SSTの課題

13 自律訓練法と弛緩訓練法
 1 自律訓練法
 2 弛緩訓練法

14 感覚統合理論
 1 感覚統合理論とは
 2 統合失調症患者に対する感覚統合療法の実施例

15 情報処理理論
 1 選択的注意
 2 フィルター説
 3 過包摂理論
 4 ワーキングメモリー障害説

16 薬物療法
 1 精神科で用いられる薬物とは
 2 なぜ精神疾患に向精神薬を用いるのか
 3 向精神薬のことを知る前に
 4 向精神薬の分類
 5 副作用を発見したときの原則
 6 主な副作用とその対処の仕方

17 予後と再発
 1 予後
 2 再発
 3 ストレス-脆弱性モデル

18 病識
 1 病感と病識

19 家族研究
 1 家族研究の推移

20 障害論
 1 障害論とは
 2 心身機能・身体構造(機能障害)
 3 活動(活動制限)
 4 参加(参加制限)

21 治癒係数
 1 治癒係数とは
 2 治癒係数の項目評定の内容

22 就労
 1 精神障害者は就労していいの?
 2 精神障害者はどれくらい働いているか
 3 精神障害者が職場で敬遠される理由とは

23 作業行動理論と人間作業モデル
 1 ライリーの作業行動理論
 2 人間作業モデルとは
 3 作業適応に影響を及ぼす構成要素
 4 出力された行為
 5 作業有能性と作業同一性そして作業適応
 6 人間作業モデルの視点

■2章 評価学
評価の流れ
1 評価から治療計画まで
 1 精神科領域での評価の特徴
 2 評価手段の順序

評価手段
2 情報収集
 1 情報収集とは

3 観察

4 陽性症状と陰性症状
 1 陽性症状と陰性症状とは
 2 作業療法士が治療対象にすることが多い陰性症状

5 記録法,個人情報の保護
 1 記録の書き方
 2 記録の書き方の例(ノート類)
 3 個人情報保護についての例

6 面接法
 1 面接とは
 2 面接での物理的配慮
 3 初回面接
 4 対象者を理解するために

7 検査法
 1 検査法とは
 2 検査法の目的…

8 興味チェックリスト
 1 興味についての6つの定理とは
 2 興味チェックリストの実施内容

9 HTPテスト
 1 HTPテストとは

10 集団評価
 1 集団評価
 2 セラピストの集団内行動評価

11 日常生活行動評価
 1 日常生活がうまくいかない原因は何か
 2 評価表には何があるのか

12 職業関連評価
 1 職業興味検査
 2 職業適性検査

13 社会機能評価
 1 精神障害者社会生活評価尺度(LASMI)

14 カナダ作業遂行測定(COPM)
 1 CMOPを知る前に
 2 CMOPとは何か
 3 CMOPからCMOP-Eへ
 4 CMOP実践の諸段階
 5 COPMの諸段階
 6 COPM実施上の注意点

15 Rehab
 1 Rehabとは

評価からのまとめ
16 評価から治療目標設定まで

17 症例研究の様式

18 担当症例の治療目標

19 障害論 ICFの例

20 評価実習に臨むにあたってのポイント
 1 評価実習で注意すべきポイント…

21 クリニカル・クラークシップ臨床実習
 1 作業療法養成教育における臨床実習
 2 クリニカル・クラークシップとは
 3 クリニカル・クラークシップ型臨床実習の特徴
 4 学ぶ者の責任

■3章 治療学
治療学概論
1 治療過程と治療構造
 1 治療過程とは
 2 治療構造の設定

治療構造,援助構造
2 治療的態度,関わり方
 1 基本的な態度
 2 治療的態度あれこれ

3 作業活動
 1 作業活動のもつ治療的な特徴とは
 2 作業活動の治療的意味
 3 精神科領域での作業活動とその事例

4 集団
 1 どのように治療的集団を作るか
 2 集団過程を促進させる(相互関係指向型)リーダーの役割
 3 集団のもつ治療効果(ヤーロム)
 4 集団内での統合失調症者の行動パターン

5 時間,頻度,場所
 1 時間と頻度
 2 場所

治療・援助の場
6 精神科作業療法
 1 精神科作業療法実施の場
 2 精神科作業療法の対象者
 3 精神科作業療法のプログラム例
 4 精神科作業療法の施設基準と診療報酬

7 外来作業療法
 1 外来作業療法のプログラム
 2 外来作業療法の目的
 3 外来作業療法の対象者
 4 外来作業療法の特性(デイ・ケアやショート・ケアとの違い)
 5 外来作業療法の長所と短所

8 精神科デイ・ケア,ナイト・ケア,ショート・ケア
 1 デイ・ケアとは

9 精神療養病棟
 1 精神療養病棟とは
 2 精神療養病棟での作業療法の目的
 3 精神療養病棟での作業療法の役割
 4 精神療養病棟での作業療法の注意すべき事項

10 認知症治療病棟
 1 認知症治療病棟と

11 精神保健福祉センター
 1 精神保健福祉センターとは

12 作業所
 1 どんな施設で何をしているのか
 2 法外施設がどうしてできたか
 3 作業所の現在:障害者総合支援法に基づく施設として
 4 利用方法

13 グループホーム
 1 グループホームとは
 2 障害者総合支援法におけるグループホームと設立要件
 3 利用方法

状態別アプローチ
14 不安,無為・自閉,退行,妄想,うつ,躁
 1 不安の状態
 2 無為・自閉の状態
 3 退行の状態
 4 妄想の状態
 5 うつの状態
 6 躁の状態

疾患別作業療法
15 症状性を含む器質性精神障害
 1 病理と成因
 2 行動の特徴(経過,症状,作業療法評価)
 3 治療目標と作業療法

16 精神作用物質使用による精神および行動の障害
 1 精神作用物質使用による精神および行動の障害とは
 2 精神作用物質とは
 3 精神作用物質による障害
アルコール依存症
 1 アルコール依存症の全体像
 2 アルコール依存症とは
 3 アルコール依存症の入院治療
 4 アルコール依存症の作業療法
 5 退院後の生活
薬物依存症

17 統合失調症
病理と成因
 1 遺伝子研究
 2 神経化学的研究
 3 組織病理学的研究および画像研究
 4 精神生理学的研究
 5 その他の研究…
破瓜型
 1 行動の特徴
 2 作業療法における治療構造
 3 作業療法実施上の禁忌・注意事項
緊張型・妄想型
 1 緊張型の行動の特徴
 2 妄想型の行動の特徴
 3 作業療法における治療構造
 4 作業療法実施上の禁忌・注意事項

18 気分(感情)障害
 1 気分(感情)障害とは
 2 病理と成因
 3 症状と行動の特徴
 4 治療目標
 5 治療構造(うつ病の作業療法)
 6 治療構造(躁病の作業療法)
 7 薬物治療

19 神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害
 1 不安障害
 2 不安障害,強迫性障害の作業療法
 3 ストレス関連障害の作業療法
 4 解離性障害(精神症状として出現するもの)
 5 解離性障害の作業療法
 6 身体表現性障害(転換性障害を含む身体症状として出現するもの)
 7 身体表現性障害の作業療法

20 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
 1 摂食障害とは
 2 病理と成因
 3 症状と行動の特徴
 4 治療目標
 5 治療構造

21 成人の人格(パーソナリティ)および行動の障害
 1 パーソナリティ障害の分類
 2 境界性パーソナリティ障害
 3 作業療法導入の目的
 4 治療構造

22 知的障害
 1 知的障害の病理について
 2 知的障害の分類について
 3 知的障害の特徴について

23 特異的発達障害,広汎性発達障害
 1 特異的発達障害
 2 広汎性発達障害
 3  治療教育と作業療法

24 注意欠如・多動性障害,学習障害
 1 注意欠如・多動性障害(ADHD)とは
 2 学習障害(LD)とは
 3 治療教育と作業療法
 4 合併症・二次的障害への対処

25 てんかん
 1 てんかんとは
 2 てんかん発作の分類
 3 治療
 4 てんかんへの作業療法

26 認知症
 1 認知症のタイプと特徴
 2 認知症者の評価
 3 治療目標と治療構造

■4章 地域作業療法学
地域生活支援
1 精神科訪問看護
 1 訪問看護について
 2 精神科訪問看護の歴史
 3 精神科訪問看護の効果
 4 精神科訪問看護のケア内容
 5 身体面の健康管理
 6 リカバリー,ストレングスモデル

2 包括型地域生活支援プログラム(ACT)
 1 ACTの特徴
 2 ACTが生まれる背景
 3 ACTにおける重要な概念
 4 ACTで提供されるサービス
 5 わが国におけるACTの広がりと今後

3 ケアマネジメント
 1 ケアマネジメントとは
 2 ケアマネジメントの過程

就労支援
4 福祉的就労と制度
 1 福祉的就労施設としては,どのような場があるか
 2 障害者総合支援法における「就労移行支援」と「就労継続支援A 型・B型」とは

5 就労への移行支援
 1 就労するためには,どのようなステップをたどるか
 2 「仕事をしたい」という気持ちは,どこから来るのか
 3 いよいよ「仕事をしてみたい」となったら,どうするか
 4 就労を継続していくには,何が必要か

関連法規,制度
6 障害者総合支援法
 1 障害者自立支援法について
 2 障害者総合支援法について
 3 障害福祉サービスの現状

7 心神喪失者等医療観察法

8 精神保健福祉法
 1 私宅監置と精神病者監護法
 2 精神病院法の制定
 3 精神衛生法の時代
 4 精神保健法の登場と一部改正
 5 精神保健福祉法,そして現在

9 社会福祉制度
 1 社会福祉制度の活用
 2 医療保険制度
 3 医療扶助(生活保護受給者に対して)
 4 自立支援医療
 5 年金制度(障害年金)
 6 無年金者の救済(年金制度以外)→ 特別障害給付金
 7 生活保護法

10 介護保険制度
 1 加入者と対象
 2 特定疾病
 3 介護サービス利用の流れ
 4 利用できるサービス
 5 介護サービスを使って(事例紹介)
 6 費用負担
 7 地域の頼れる相談窓口=地域包括支援センター
 8 介護保険と老人福祉法

11 社会資源
 1 社会資源とは
 2 成年後見制度
 3 日常生活自立支援事業(2007 年〜)(元地域福祉権利擁護事業)
 4 精神障害者保健福祉手帳
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