作業療法学 ゴールド・マスター・テキスト

老年期作業療法学

老年期作業療法学

■編集 徳永 千尋
田村 孝司

定価 4,400円(税込) (本体4,000円+税)
  • B5判  264ページ  2色,イラスト160点,写真50点
  • 2017年1月27日刊行
  • ISBN978-4-7583-1677-4

改訂に当たり,さらにわかりやすくなった講義用テキスト!! 臨床への橋渡しにも活用できる!

本シリーズは,作業療法学について知識のない学生さんでもわかりやすいように,読みやすく解説した作業療法学専門分野の講義用テキストである。初版の『地域作業療法学・老年期作業療法学』を改訂に伴い分冊化。さらに充実した内容で新たに刊行した。
シリーズ全体の改訂内容として,「全体像」のページを見直し,本文の流れとよりシンクロさせ,全体像の中のイラストにも解説を盛り込んで理解しやすいように工夫。また,国試関連のポイントも押さえられるよう「Point!」を新設し,さらに「用語アラカルト」「Case Study」「MEMO」については初版よりもさらに多く盛り込み充実させ,学生さんの理解の助けとしている。「まとめのチェック」も各項目間のバラツキを是正し,全体的に統一感をもたせている。
本書では,「老年期の生活」「老年期作業療法で注意すべき疾患とリスク」「制度と作業療法提供施設」「老年期作業療法の特徴」「作業療法による介入」といった構成立てとし内容を充実。また,適宜イラストの追加や差し替えを行い,初学者にもわかりやすい紙面となっている。
ぜひ,本書を通じて,臨床にもつながる作業療法の知識を身につけてほしい!

■シリーズ監修
長﨑重信


序文

編集の序

 作業療法は,対象者の生活行為向上に寄与するものである。作業療法士は養成校で学び,臨床実習施設において対象者・患者・クライエントの同意を得て実践し,国家試験において総合的な知識レベルを試される道筋を経る。3年ないし4年の在学中に,学生は何度教科書を開き,眺め,読み,自らの武器を備えていくのであろうか?
 大学でも専門学校でも,教科書を開くという2Dでの学習環境が変化している。解剖学や生理学の授業で,板書された図をひたすら写し,鉛筆やメカニカルペンシルを用い,消しゴムを手放せないでいた筆者らの世代と異なり,今の学生は何かというと視聴覚教材を用いて,解像度の良い画像・動画によって学んでいる。教員もパワーポイント資料花盛りといった状況で,配布物もカラーである。カラフルなボールペンには間違っても消せる機能が付くようになり,「わかったつもり」になるには最適な環境へ社会が導いてくれているような気がする。
 しかし,われわれが対峙するのは,止まることのない・継続した生活を営む,れっきとした人間なのである。2013 年に英オックスフォード大の准教授が,将来残る職業として作業療法士を第6 位に挙げたという。将来はロボットの普及により職業のあり方が変わっていくといわれるなか,作業療法は「対象者が人間」であることから,将来残る職業の第6位に! これを喜んではみたものの,ランキングのなかには,現在にはないレクリエーションセラピスト等が挙がってもいた。これら新進気鋭の,人間対象の職業に上位を取られるのは,若干癪である。
 先にも記したが,現代社会はどんどん変化している。学生のなかには,包丁を使って調理したことがない者,フォーク一本で食事を済ませる者,洗濯機を使ったことがない者,バスタブを使わずシャワーのみで済ませる者,自動食器洗い機を使うため洗い物が苦手な者,和式トイレを知らない者,小便器を使わない者等が増えてきている。世代が異なる高齢者の排泄・入浴・食事といったセルフケアや,調理・掃除・洗濯等のIADL への指導を生業とする作業療法士への道は,以前より遥かに遠ざかっているのではないかと懸念する日々である。
 わかっているなら,それに対応するのが指導者の務めといえる。学内で学生とのコミュニケーションの機会を増やし,臨床実習者には打ち合わせを通じて意識付けを図り,対象者と向き合う際に少しでもお互いの利益を損ねない行動がとれるようにするなど,配慮が必要であろう。
 ただでさえ書物離れの進む状況で,難しいことを書いても学生は読んでくれない。その一方で,興味のあることにはしっかり食いついてくる。つまり,指導者が如何に食いつくネタを用意できるかにかかっているのかもしれない。

一匹の魚を人に与えよ。しかればその人,一日空腹にあらず。
魚とりの術を人に教えよ。しかればその人,生涯空腹にあらざるなり。
中国のことわざ

本書は,そのような視点からまとめたものである。

2016年11月
編者を代表して
日本医療科学大学
德永千尋
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目次

1 老年期の生活
 1 老年期を中心とした人口問題と作業療法
 2 高齢者の生活体験と作業療法
 3 ライフコースと高齢者の健康の実態

2 老年期作業療法で注意すべき疾患とリスク
 1 認知症
 2 循環器疾患
 3 整形外科疾患

3 制度と作業療法提供施設
 1 医療系施設
 2 介護系施設
 3 行政・保健(一般高齢者)
 4 一般企業

4 老年期作業療法の特徴
 1 高齢者マネジメント
 2 QOLと健康の増進
 3 訪問の目的とサービス内容:老年期における訪問作業療法の目標設定について
 4 通所の目的とサービス内容
 5 入所の目的とサービス内容

5 作業療法による介入
 1 訪問(1) 比較的重度なケースの場合
 2 訪問(2) 家事動作などが中心の場合
 3 通所(1) 介護保険のケースの場合
 4 通所(2) 介護予防のケースの場合
 5 入所(1)
 6 入所(2)
 7 地域活動:機能訓練事業とその後
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