作業療法学 ゴールド・マスター・テキスト

地域作業療法学

地域作業療法学

■編集 德永 千尋
田村 孝司

定価 4,400円(税込) (本体4,000円+税)
  • B5判  352ページ  2色,イラスト160点,写真50点
  • 2016年9月30日刊行
  • ISBN978-4-7583-1678-1

改訂に当たり,さらにわかりやすくなった講義用テキスト!! 臨床への橋渡しにも活用できる!

本シリーズは,作業療法学について知識のない学生さんでもわかりやすいように,読みやすく解説した作業療法学専門分野の講義用テキストである。初版の『地域作業療法学・老年期作業療法学』を,改訂に伴い分冊化し,さらに充実した内容で『地域作業療法学』を新たに刊行。
シリーズ全体の改訂内容として,「全体像」のページを見直し,本文の流れとよりシンクロさせ,全体像の中のイラストにも解説を盛り込んで理解しやすいように工夫。また,国試関連のポイントも押さえられるよう「Point!」を新設し,さらに「用語アラカルト」「Case Study」「MEMO」については初版よりもさらに多く盛り込み充実させ,学生さんの理解の助けとしている。「まとめのチェック」も各項目間のバラツキを是正し,全体的に統一感をもたせている。
本書では,「地域で求められる作業療法士」,「各事業所での実践内容」,「作業療法士による介入の事例紹介」といった内容を充実。また,適宜イラストの追加や差し替えを行い,初学者にもわかりやすい紙面となっている。
ぜひ,本書を通じて,臨床にもつなげられる作業療法の知識を身につけてほしい!

■シリーズ監修
長﨑重信


序文

編集の序

 移りゆくのが世の常であれば,変わりゆく姿を愛でる心のゆとりがあればと感じつつ,変わらない日々を過ごしている気がしている。社会情勢は,常に変化している。昨日までの常識がさまざまな形で変容し,予測がつかない大きなことになっていたり,まったくその存在が消滅したりする。昨今の情報ツールをみても明らかである。通勤電車の中で読書をする人が少なくなったなどと囁かれていたかと思うとスマートフォンだらけになり,視力障害を引き起こさんばかりの眼力でスマートフォンを睨みつけている。おそらくご本人にとってお得な情報やダウンロードしたゲームにむさぼりついている様子なのであろう。
 進歩か進化か解りかねるが,日常生活活動や生活行為の移ろいの速さには驚くばかりである。昭和の時代に,老人保健法が制定され,市町村単位で機能訓練事業を展開し,通所のリハビリテーションが始まった。以来,私は,在宅の障害者,特に身体障害系で,脳血管障害,小脳変成症,リウマチ,筋萎縮性側索硬化症,若年性認知症などさまざまな障害を背負われて,日々の生活に困難を呈しながらも明るく,おおらかな人生を過ごされておられる方々と接してきた。人生の実に複雑で,奥が深く,そしてその文脈をなぞらせていただくことができた。片麻痺の受容の体験を伝えてくれたAさん,自宅に篭ったことで得られたメリット,デメリットを教えてくれたBさん,ご本人のために行った家屋改修が,家族に大迷惑をもたらしたCさんなど枚挙に暇がないが,すべて私に教えていただいたのは,彼女,彼らが身を挺して,絞り出す訴えであったことは間違いない事実である。
 他の専門職の方とのコラボレーションにも数多くの学びがあった。つまり,私の経験は私しかしていないが,すべてがどなたかを通じた経験であり,学びである。経験していないことは解りづらいが,お互いの経験を伝えあうことによって少しでも現状を変える機会が作れるかもしれない,将来の誰かのためになるかもしれないと思いつつ文章をしたためている。
 今年になって,非常勤での機能訓練事業は辞したが,まだ現地でお暮らしになっている皆様とは,月に一度程度交わることができている。
 地域包括ケアが本格化している。作業療法士は,個人の「生活行為」をしっかりサポートする医療職である。たとえ,職域が,医療の現場から福祉の現場へ移ろうが,それは医療から継続した流れが必須である。それを遂行できる数少ない専門職が作業療法士である。地域は難しいとお嘆きの方もいらっしゃるようであるが,私は,最初から,病院と地域の双方を経験してきた。病院がしっかり医療を施さないと地域での暮らしが困難になるし,地域の支えがない状況であると病院も困る状況であった時代からはかなり時を要したが,国の姿勢が変わってきたのである。2年に一度の医療保険改正,3年に一度の介護保険改正,約6 年ごとの国家試験出題基準改定など変わっていくことが前提の流れであろう。
 近いうちに,指定規則も改正される。学ばなければならない事が増えるのか,複雑化するのか予想できないが,核となる「作業療法」の精神は不変である。
 身に付けた知識と経験は,患者,対象者,クライエントからもたらされたものである。どうぞ,スキルアップして,ブラッシュアップして現場にお返し頂ければ幸甚である。

2016年8月
編者を代表して 
日本医療科学大学
德永千尋
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目次

1 地域の生活と地域作業療法
 1 地域の生活
 2 地域リハビリテーションの経緯と理念
 3 地域で求められる作業療法士 新しい作業療法士の活動① 予防
 4 地域で求められる作業療法士 新しい作業療法士の活動② 災害/被災地支援

2 地域作業療法で必要な知識
 1 呼吸器疾患
 2 がん
 3 家族の理解と介護
 4 リスク管理
 5 喀痰吸引
 6 連携

3 作業療法士がかかわる関連法規・制度
 1 社会保障制度
 2 医療と診療報酬
 3 診療報酬の算定と業務
 4 介護保険制度の概要
 5 介護報酬の算定と業務
 6 障害者施策
 7 特別支援教育

4 各事業所の実践
 1 訪問作業療法の概要
 2 事業所の運営 起業しているOTの現状
 3 通所リハビリテーション
 4 介護老人保健施設
 5 指定介護福祉施設
 6 特定入居者生活介護
 7 介護予防事業
 8 精神障害領域における地域作業療法
 9 特別支援

5 作業療法による介入(事例紹介)
 1 訪問:比較的重度なケースの場合
 2 通所介護を利用しながら在宅生活を続ける例
 3 回復期リハビリテーション:回復期から訪問リハを経て地域へ移行した例
 4 入所:身体的な障害が重く家族の介護が困難な例
 5 住宅改修と生活の工夫 住宅改修の基礎
 6 住宅改修と生活の工夫 生活の工夫,作業療法士の実践としてかかわった事例
 7 訪問実践における作業療法士のかかわりを事例を通じて〜活動,参加に焦点を当てたケースの場合〜
 8 住宅改修と生活の工夫 自宅での入浴を希望された例
 9 回復期から地域へ
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