コツさえわかればあなたも読める

リハに役立つ脳画像

リハに役立つ脳画像

■監修 酒向 正春

■著者 大村 優慈

定価 3,850円(税込) (本体3,500円+税)

脳画像は残存する身体機能を教えてくれる! 画像に映る脳回のひとつまで読み解くために

脳画像は残存機能の評価と予後予測に役立つ。本書では,リハビリテーション前や患者さんに接する際に,脳画像を最大限に活かすために,脳回の一つひとつ,神経経路,血管の1本まで丁寧に読み解く大切さを解説している。
脳は狭い領域にさまざまな機能の中枢が集まっていて理解が難しいと思われているが,目印となるランドマークを起点に隣接する脳回や脳溝を順を追ってたどっていけば,脳の全体像が明瞭に整理できる。また,この手法によって損傷された領域を把握し,障害を受けた機能と残存する機能を見出すことができる。
漠然と脳画像を見て曖昧な結論を出すのではなく,障害による症状や残存機能を予測するために有効なヒントを与えてくれる脳画像を最大限活用できるようになる1冊!

  • B5判  176ページ  2色(一部カラー),イラスト100点,写真200点
  • 2016年3月30日刊行
  • ISBN978-4-7583-1693-4

序文

監修の序

 脳損傷後の患者に人間力を回復する(人間回復)ためには,何が必要か。それは,もちろん,質の高いリハビリテーションである。安静臥床のみでは,全ての患者が廃用症候群を生じて寝たきりとなってしまう。私たち脳卒中医は,この盲目的な安静臥床による保存的治療が急性期脳卒中治療であると信じた暗黒の時代を昭和時代に経験した。廃用症候群を予防して,人間回復をすすめるスタートがチーム医療による早期離床であることは現在言うまでもない。
 では,脳損傷後の機能予後予測はどのように行うのか。私は,脳画像診断,年齢,病前の認知機能と体力,そして,発病後の廃用症候群の程度により,機能予後を予測して攻めのリハビリテーションを実践している。すなわち,脳のどの部位が壊れているかだけでなく,脳のどの部分が健全であるかを診断しなくては,残存脳機能は評価できない。2013年NHKでプロフェッショナル〜仕事の流儀〜第200回「希望のリハビリ,ともに闘い抜く リハビリ医 酒向正春」が放映されてから,「脳画像診断を教えてほしい」「脳画像診断本を書いてほしい」との依頼が殺到した。残念ながら,臨床現場が第一であり,執筆できる時間的余裕はなかった。
 そんな折,臨床や臨床研究を一緒に実践してきた理学療法士の大村氏から,脳画像の本を書きたいので監修してほしいと依頼が届いた。『コツさえわかればあなたも読める リハに役立つ脳画像』を書きたいと。
 面白い。脳解剖と脳画像,脳画像と脳機能の関係をわかりやすく解説する本であれば,協力する返事をした。できる限り難しくない表現で,難解な脳解剖・脳画像・脳機能を説明できるかをチャレンジしようという気になった。しかし,わかりやすい説明,わかりやすいシェーマ,鮮明な脳画像が溢れた本にしようとすると,時間と修正が尽きない。それでも,大村氏とメジカルビュー社の皆さんの懸命な作業で本書は完成した。これで脳画像と脳機能をつなげる本はできた。次は,脳画像と攻めのリハビリテーションをつなげる実践書が必要になるであろう。
 本書は理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護師,介護士,診療放射線技師,管理栄養士,ソーシャルワーカー,医療福祉関連の学生,そして,脳を得意としない医師の皆さんに気軽に楽しんで頂き,日々の臨床や研究活動に少しでもお役に立てるような一冊になることを願うばかりである。

2016年3月
竹川病院 院長補佐/ 回復期リハビリテーションセンター長
酒向正春
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序文

 脳画像は脳血管障害患者の機能障害の原因を理解するうえで重要な情報源であり,リハビリテーションにおける脳画像の重要性は広く認識されています。しかし,「脳画像のリハビリテーションへの応用」という観点で体系的にまとめられた書籍はあまり見当たりません。「疾患の診断」に着目して執筆された書籍は多く出版されていますが,リハビリテーションでは「疾患」以上に「機能障害」に着目する必要があります。疾患名が同じでも機能障害は患者によって異なるため,その違いを脳画像から読み取る力がリハビリテーションセラピストには求められます。そこで,リハビリテーションに役立つ脳画像書籍として,本書を執筆させていただきました。
 「脳画像の読影は難しい」とよく言われますが,人体に脳はたった1つしかありません。ちなみに骨は約200個あります。そう考えると,脳画像も気軽に勉強できる気がしませんか? 本書のサブタイトルである「コツさえわかればあなたも読める」はそのような思いからつけました。本書を通してリハビリテーションに関わる多くの方が脳画像を臨床に活用できるようになれば幸いです。
 末筆になりましたが,本書の作成にご協力いただいた方々に,この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。症例画像の選定において,宮嶋友也主任をはじめとした国際医療福祉大学熱海病院の理学療法士の方々にご協力をいただきました。学生時代の恩師であり,脳画像をリハビリテーションに活かすことの大切さを教えてくださった千里リハビリテーション病院副院長の吉尾雅春先生と,未熟な理学療法士である筆者を10年間継続してご指導いただき,本書の監修も快く引き受けてくださった竹川病院院長補佐/回復期リハビリテーションセンター長の酒向正春先生の存在がなければ,本書の執筆を行うことはあり得ませんでした。本書の企画および執筆過程においてはメジカルビュー社の野口真一氏に多大なご協力をいただきました。本書の特長である多彩なイラストは,イラストレーターの田中博志氏,青木勉氏が筆者の細かい要望を聞きながら,丁寧に描いてくださいました。書籍の執筆経験がない筆者が本書を書きあげることができたのは,多くの方々の支えがあったからです。ありがとうございました。

2016年3月
国際医療福祉大学 小田原保健医療学部 理学療法学科
大村優慈
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目次

Ⅰ はじめに(脳画像所見と機能障害の関係など)
 1 脳画像のリハへの役立て方

Ⅱ 脳画像の基礎
 1 脳梗塞画像の基礎:CTと各種MRIを使い分けよう
 2 梗塞巣の経時的変化:ペナンブラとfogging effectに注意しよう
 3 脳出血画像の基礎:経時的変化をおさえよう
 4 横断像の基準線:OM lineとAC-PC lineを理解しよう

Ⅲ 脳領域の機能解剖と脳画像上の同定法
 1 脳領域の同定方法と手関節屈筋腱の同定方法は同じ
 2 側脳室は重要なランドマークである
 3 脳葉を区分する指標をおさえよう
 4 外側溝の同定:島との位置関係を理解しよう
 5 中心溝はprecentral knobと帯状溝辺縁枝から同定しよう
 6 頭頂後頭溝は側脳室体部のレベルで同定しよう
 7 頭頂葉と側頭葉の境界は,島を指標に判断しよう
 8 大脳皮質の構造は「のし3丁」と覚えよう
 9 脳をさまざまな方向から見てみよう
 10 大脳皮質の構造と機能局在の関係を理解しよう
 11 前頭葉の脳回は内側から外側に向けて同定しよう
 12 麻痺はどこに生じる? 錐体路と感覚路の体部位局在をおさえよう
 13 Broca野の同定:外側溝前上行枝との位置関係を理解しよう
 14 Wernicke野の同定:外側溝後枝との位置関係を理解しよう
 15 頭頂葉の区分は丁の字型の溝を指標にしよう
 16 縁上回と角回は外側溝後枝と上側頭溝から同定しよう
 17 視覚野の同定:脳梁膨大との位置関係をおさえよう
 18 どの視野が欠損する? 視野と伝導路の関係をおさえよう
 19 海馬・扁桃体の同定:側脳室下角との位置関係を理解しよう
 20 側頭葉の4つの脳回は指を使って覚えよう
 21 尾状核の同定:側脳室との位置関係を理解しよう
 22 レンズ核の同定:CTとMRIの淡蒼球の写り方の違いを理解しよう
 23 内包の同定:CTとMRIでの写り方の特徴を理解しよう
 24 視床の機能局在:視床亜核の機能を理解しよう
 25 脳梁の同定:側脳室との位置関係を理解しよう
 26 帯状回の同定:脳梁との位置関係を理解しよう
 27 上縦束の同定:被殻との位置関係をおさえよう
 28 小脳の機能解剖:小脳皮質と小脳核の機能区分を理解しよう
 29 中脳の機能解剖:前部と後部の違いをおさえよう
 30 橋の機能解剖:上部と下部の違いをおさえよう
 31 延髄の機能解剖:内側部と外側部の違いをおさえよう
 32 MRAの見かた:正面像と軸位像を見極めよう
 33 「前大脳動脈=前頭葉」ではない! 大脳皮質の動脈支配を正しく理解しよう
 34 主幹動脈と穿通枝動脈の関係をおさえよう
 35 横断像上の脳動脈支配領域をおさえよう
 36 脳動脈の支配領域の個人差を理解しよう

Ⅳ 脳の形態異常の画像の見かた
 1 圧迫所見の評価
 2 脳萎縮と水頭症を鑑別しよう

Ⅴ 虚血性脳血管障害の画像の見かた
 1 脳梗塞の発生機序と病巣範囲の関係をおさえよう
 2 前大脳動脈領域梗塞:運動野と感覚野の損傷に着目しよう
 3 中大脳動脈領域梗塞:放線冠の損傷に着目しよう
 4 後大脳動脈領域梗塞:視床と中脳の損傷に着目しよう
 5 内頸動脈領域梗塞:分水嶺領域の損傷に着目しよう
 6 穿通枝動脈領域の梗塞:ラクナ梗塞とBAD の違いを知ろう
 7 前脈絡叢動脈領域梗塞:高次脳機能障害を見逃さないようにしよう
 8 テント下の脳梗塞:椎骨・脳底動脈系の解剖を理解しよう
 9 血管の状態を確認しよう

Ⅵ 出血性脳血管障害の画像の見かた
 1 血腫,CT分類,機能予後をまずおさえよう
 2 被殻出血:周囲の神経線維の損傷に着目しよう
 3 視床出血:視床亜核と周辺構造の損傷に着目しよう
 4 脳幹出血:錐体路・横橋線維・脳神経核に着目しよう
 5 小脳出血:出血源による症状の違いを理解しよう
 6 皮質下出血:機能局在と神経線維をおさえよう
 7 くも膜下出血:出血と合併症のそれぞれの症状を知ろう

Ⅶ 頭部外傷の画像の見かた
 1 頭部外傷
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