図説CTGテキスト

助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)®レベルIII認証必須研修CTG対応テキスト

図説CTGテキスト

■著者 中井 章人

定価 3,850円(税込) (本体3,500円+税)
  • B5判  184ページ  2色(一部カラー),イラスト20点,写真120点
  • 2016年3月22日刊行
  • ISBN978-4-7583-1733-7

助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー;CLoCMiP)レベルIII認証の対応テキスト

CTG(cardiotocography;胎児心拍数陣痛図)は,主には分娩時に胎児の情報を客観的に明示できる唯一のツールである。本書は,助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー;CLoCMiP)レベルIII認証の対応テキストとして企画され,アドバンス助産師として身につけておきたいCTG判読のための知識をその背景となる生理学的機能も含めて過不足なく,かつわかりやすく解説した書籍で,確実に自己学習できる内容となっている。
1頁=1テーマを原則として構成されており,学ぶべきテーマに1つの図(または表など)を掲げて,2〜4つの重要ポイントを明記したうえで解説を加えている。まさに「図解」といえる書籍である。臨床で活用できるカラー付録頁や,自己学習の到達度を確認できる50問の問題集も掲載。


序文

序文
中井章人
日本医科大学産婦人科学教授

 出産は胎児にとって,人生初めての旅である。繰り返す子宮収縮を力に,回旋しながら産道を通過し,外界へと向かう。母親に導かれながら,この人生初めての旅を無事に終えた先には,酸素と光と音と祝福の洪水が待ち受けている。
 しかし,旅は必ずしも安全ではない。その途中,強い圧迫を受けたり,狭小なゲートに阻まれたり,幾多の困難に出会うこともある。この旅の安全を見守ることが医師,助産師,看護師の役割で,分娩監視装置による連続モニタリングで得られる胎児心拍数陣痛図(cardiotocogram;CTG)は唯一,胎児の情報を与えてくれるツールなのである。
 しかし,CTGにはいくつかの問題がある。健常であることは明確に診断できるが,胎児機能不全と診断しても,しばしば胎児低酸素症になっていないことがある。また,胎児機能不全の状態と正常な状態が交互に起こることや,胎児低酸素症を示唆する波形が突然出現することもある。そして,最大の問題は,検査者内,検査者間の再現性が低いことだ。ある医師が胎児機能不全と判断しても,他の医師は同じCTGを見て,経過観察だと言うことがある。
 日本産科婦人科学会周産期委員会は,長年にわたり,これらCTG判読と対応の標準化に努めてきた。さまざまな波形の定義や解釈をはじめ,30秒ルール,レベル分類などがその成果物で,『産婦人科診療ガイドライン 産科編2014』に収載されている。これらの運用には賛否両論があるが,委員会は多くのデータとエビデンスをもとに,いかに万人が確実にCTGを判読できるか真摯に取り組んでいる。著者も,これらの作業の一部に関わり,そう断言することができる。また,こうした定義やルールは,2014年に改訂された『助産業務ガイドライン』にも掲載され,医師のみならず分娩に携わる助産師,看護師にも適応されることになった。
 本書は,CTGを基本から見直し,その判読を図説するとともに,日々の業務に直接結びつく情報を提供する。図とそのポイントを読み十分理解できていれば,解説は必要ないはずだ。また,助産師の実践能力向上のため,2015 年より開始された助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)®(CLoCMiP®) レベルⅢ認証におけるCTG必須研修に対応する知識を提供するテキストになっている。章ごとに設定されたレベルを確認しながら読み進んでいただき,助産師実践能力の向上に役立てていただければ幸甚である。
 なお,これまでに著者がCTGの解釈を学ぶにあたり,多大なご示唆いただいた朝倉啓文博士,荒木 勤博士,池田智明博士,池ノ上 克博士,岡井 崇博士,上妻志郎博士,越野立夫博士,鮫島 浩博士,高木耕一郎博士,高橋恒男博士,田中 守博士,藤森敬也博士,松田義雄博士,室岡 一博士に深謝する。
 また,本書の発刊にあたり多くの引用をご許可いただいた公益財団法人日本医療機能評価機構 産科医療補償制度の関係各位に深謝する。

2016年2月
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推薦の言葉
公益社団法人日本看護協会
常任理事 福井トシ子

 分娩施設の集約化や閉鎖が進むなかで,妊産婦や家族が安全に安心して出産できる環境の体制整備が急務となっています。この体制整備の一環として,助産師に院内助産所や助産師外来を担う役割が期待されています。この期待に応えるためには,助産実践能力が問われます。しかし,我が国には,看護職の国家資格取得後に,資格を更新する制度や,臨床実践能力を客観的に評価できる仕組みがありません。助産師の実践能力を向上させる仕組みもありませんでした。 
 そこで,2011年(平成23)8月に助産師関連5団体(日本看護協会,日本助産師会,日本助産学会,全国助産師教育協議会,日本助産評価機構)で構成した日本助産実践能力推進協議会を発足し,助産実践能力を認証する仕組みを検討してきました。日本産婦人科医会,日本産科婦人科学会,日本周産期・新生児医学会等,周産期関連団体の医師の皆さまにもご指導をいただきながら,検討してきた結果,全国すべての分娩施設に勤務する助産師が活用できる,助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)®をもとに,「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)(Clinical Ladder of Competencies for Midwifery Practice“CLoCMiP®(クロックミップ)”)レベルⅢ」認証制度が創設されました。
 一般財団法人日本助産評評価機構は2015年(平成27)8月に認証申請受付を行い,書類審査及びWEBによる客観的試験を行いました。その結果,同年12月24日に助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)レベルⅢと認証された5,500名を超えるアドバンス助産師が,誕生しました。
 アドバンス助産師は,院内助産所及び助産師外来で自律して助産診断を行い,助産ケアを行う能力をもつ助産師です。平成27年12月24日に認証されたアドバンス助産師も,これからアドバンス助産師を目指す助産師も,各施設に導入されたCLoCMiP®をさらに整備し,すべての助産師の教育体制整備を強化すると同時に,それを運用して,院内助産所,助産師外来で役割を担ってもらうことがこの制度の目指すところです。
 そのためには,さらなる教育体制の整備や強化が必要になりますが,アドバンス助産師に認証されるために必要な分娩件数100例に到達するために,助産師出向システムを活用することや,地域の他の施設や関係団体,助産師養成機関と連携して教育体制を整え,共に学ぶ環境を整えることなどが期待されます。
 日本助産実践能力推進協議会は,CLoCMiP®レベルⅢ認証申請支援を引き続き行って参ります。その一環としてインターネット配信研修オンデマンドを企画しました。
 CLoCMiP®レベルⅢ認証を受けるためには,さまざまな要件がありますが,その一つに必須研修としてCTGがあります。
 CTGが必須研修である理由をあらためて述べる必要もないと思いますが,そのさらなる根拠は,産科医療補償制度における「再発防止に関する報告書」にあります。この制度の取り組みは,個々の事例情報を体系的に整理・蓄積し,「数量的・疫学的分析」を行うとともに,再発防止の観点から必要な事項について「テーマに沿った分析」が行われます。その結果,多数例の分析から明らかにされた知見による再発防止対策等を提言した「再発防止に関する報告書」がまとめられています。この再発防止報告書のテーマとなっているのが,CTGの判読能力です。NCPRと同様に,周産期にかかわるすべての関係者に,CTG判読能力は欠かせません。院内助産所で助産実践する助産師には,高い判読能力が特に必要です。
 認証申請に必要な必須研修CTG研修は,助産師が所属する医療機関や関係団体主催等で受講したCTG研修も90分以上の研修時間であれば,平成27年度・28年度は研修受講とみなされますが,平成27年度のレベルⅢ認証申請者からCTGもオンデマンドで受講できるようにして欲しいという要望が多数寄せられました。
 平成27年,28年に日本看護協会インターネット研修講師で本書の著者である中井章人教授が担当した114助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)レベルⅢ認証申請のための必須研修②「子宮収縮薬使用時の助産ケアのポイント」のオンデマンド研修は大変好評で,中井教授の解説のわかりやすさには定評があります。また,中井教授は,CTG判読と対応の標準化に努めてこられた第一人者でもあります。
 そこで,日本助産実践能力推進協議会では,中井教授に,インターネット配信研修オンデマンドによるCTG研修の講師をお引き受けいただきました。中井教授は,大変ご多忙な中,CLoCMiP®レベルⅢ認証申請に必要なCTG研修に活用できるようにと,本書を完成してくださったのです。
 本書は,日本助産実践能力推進協議会主催平成28年度インターネット配信研修オンデマンド必携テキストです。
CLoCMiP®ごとに,章立てをして,階段の上り方をわかりやすく導いてくださっています。巻末の試験問題も多いに役立つことでしょう。
 本書の活用を強く推奨します。

2016年2月10日
日本助産実践能力推進協議会を代表して
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目次

第Ⅰ章 CTGの基礎的理解
 1. CTGの意義
 2. 胎児心拍数の調節
 3. 体内センサー
 4. 自律神経機能
 
第Ⅱ章 CTGを判読する(基礎編)
 1. CTGの見方
 2. 胎児が健常である証拠
 3. 一過性徐脈の発生原因
 4. 一過性徐脈を読む
 5. 徐脈と特殊な波形
 *レベルⅠ修了
 
第Ⅲ章 低酸素状態の評価と対応
 1. 低酸素状態の胎児への対応:復習を兼ねて
 2. CTGの評価
 3. 胎児心拍数波形のレベル分類
 4. どんなときに使うか
 *Are you ready? レベルⅡ修了
 
第Ⅳ章 CTGを判読する(応用編)
 1. 判読に注意を要する一過性徐脈
 2. 判読に注意を要する心拍数基線
 3. 胎児予備能力の評価
 4. 感染症の影響を考慮する
 *Congratulations! レベルⅢ修了
 
第Ⅴ章 症例検討
 *レベルⅣを目指して
 1. さまざまな表情をみせるCTG
 2. 急変するCTG
 3. 脳性麻痺の事例から
 
付録
 ・復習:問題集[知識を確認してみよう]
 ・胎児心拍数図波形の定義
 ・子宮収縮薬を用いた陣痛誘発と陣痛促進の注意点
 ・CTGの評価とその対応
   胎児心拍数波形のレベル分類と判定,および波形分類に基づく対応と処置

 参考文献一覧
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