産婦人科医のための社会保険ABC

第5版

産婦人科医のための社会保険ABC

■編集 公益社団法人 日本産科婦人科学会

定価 3,300円(税込) (本体3,000円+税)
  • A5判  224ページ  2色
  • 2017年2月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-1741-2

日本産科婦人科学会編集による保険点数の考え方を理解するための一冊。待望の第5版

日本産科婦人科学会編集による,産婦人科医のために必要な知識としての保険点数の考え方をわかりやすく解説した書籍。平成28(2016)年4月までの診療報酬の改定を反映させた待望の改訂第5版。新設項目や加算項目も多数掲載した全産婦人科医必携の一冊。


序文

北脇 城
日本産科婦人科学会社会保険委員会委員長
京都府立医科大学大学院女性生涯医科学教授

 この度平成28年度の診療報酬改定に伴って「産婦人科医のための社会保険ABC」の4度目の改訂版を出版することになった。今回,診療報酬全体では+0.49%の改定率であったが,実際は薬価・材料価格は▲1.33%であることから,ネットでは▲0.84%となる。少子高齢化に伴う医療機関の機能分化・連携の促進,医療の効率化,地域包括ケアシステムの構築などを進める国の基本的な方針がより鮮明となっている。
 そのなかで産婦人科にとって今回の改定の目玉は,何といっても平成26年度の改定で約10%減点された帝王切開の手術点数の復活である。この減点は,全国の産婦人科医にとって点数の多寡以上に将来を悲観させ士気を低下させるという大きな悪影響を与えた。この非常事態に,本会,日本産婦人科医会,およびサブスペシャルティ学会が,それぞれ独自に活動するのではなく,互いに連絡を密にとり一致団結して外保連や厚生労働省に働きかけたことが功を奏し,直後の改定で点数が復活することに至った。この結果,緊急帝王切開術は20,140点から22,200点に増点され,「複雑な場合」2,000点が緊急,選択どちらの場合にも加算できる項目として新設された。これで減点以前とほぼ同等のレベルに復帰したことになる。
 また,最近の主な改定項目として,腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る)が婦人科悪性腫瘍に対する腹腔鏡下手術として初めて,平成26年度より保険収載になったことが挙げられる。そのほか,平成28年度より長年の懸案であったコルポスコピーが増点されたこと(150点から210点),精神疾患の患者がハイリスク妊娠管理加算・ハイリスク分娩管理加算・ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)および(Ⅱ)の対象患者に加えられたこと,在宅妊娠糖尿病患者指導管理料の対象が拡大されたこと,などがある。
 産婦人科においては正常妊娠・分娩と生殖補助医療技術が主な自費診療であり,これらの保険診療に対する収益の比率は高い。しかし,少子高齢化が顕著になるにつれて,産婦人科の診療内容も次第に様変わりし,保険による診療の割合は今後ますます高くなっていくと予想される。それにもかかわらず,産婦人科関連の点数はまだまだ不十分なものが多く,今後も今回のように産婦人科医が一丸となって取り組んでいかなければならない。
 そのための基本として,保険診療のルールを理解し,適切な診療報酬請求を行うことが重要である。本書はその入門書として,一見無味乾燥な保険をわかりやすくかつ実践的にまとめたものであり,専門医取得を目指す若手医師だけではなく,一般臨床医にとっても手軽な1冊となるであろう。最近の保険改定内容をふまえて改訂版を作成しているので,旧版を持っている人も是非最新版を手元に置いて,折に触れて見ていただきたい。さらに,巻末には専門医試験対策のための問題を掲載しているので活用していただきたい。
 最後に本改訂版を出版するにあたり,ご多忙な中ご執筆を分担いただいた日本産科婦人科学会社会保険委員会の諸先生方ならびにメジカルビュー社に心より感謝申し上げる。

平成28年10月
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目次

総論
1章 わが国の医療保険制度の仕組み
 1 医療保険の目的
 2 医療保険の仕組み
  被用者保健(職域保険)
  国民健康保険(地域保険)
  後期高齢者医療制度
 3 保険医療機関
 4 保険給付
 5 保険給付の対象
 6 給付の制限
 7 療養の給付の範囲
 8 給付の期間
 9 現物給付と現金給付
 10 給付の割合(患者負担率)
 11 保険診療の基本的ルール
 12 診療方針に関する法令
  健康保険法
  医師法
  保険医療機関及び保険医療養担当規則
  選定療法費制度
  DPCとは
  医療法
  薬事法

2章 カルテとレセプト
 1 カルテ
  カルテの取扱い
  カルテなどの保存期間
  産婦人科診療の特徴
 2 レセプト
  療養担当規則におけるレセプト
  レセプトの記載事項
  レセプトから報酬を受けるまで
  レセプトの電子請求について
 3 レセプトの開示
 4 カルテの開示

3章 保険診療上のルール
 1 自費診療か保険診療か
  自費診療の範囲
  産科診療などにおける自費診療と保険診療
 2 保険診療の原則
  保険診療上の留意点
  正常の分娩・産褥・新生児の保険給付
 3 保険医療機関及び保険医療養担当規則
  保険医療機関
  療養担当規則
 4 各診療に係る事項
  傷病名など
  基本診療料(初診料,再診料など)
  外来診療料
  医学管理等
  検査
  投薬,注射
  入院
  手術
  処置
  画像診断(CT,MRI,超音波)
  麻酔
 5 在宅医療
  在宅患者診療・指導料

各論
1章 不妊症
 1 内分泌学的検査における留意事項
  LH,FSH測定の適応
  プロラクチン測定の適応
  内分泌負荷試験の適応
  エストロゲン・エストラジオール精密測定の適応
  プロゲステロン精密測定の適応
  テストステロン,DHEA-S精密測定の適応
  尿中LH定性の適応
 2 超音波断層検査における留意事項
  卵胞径計測の適応
  子宮・卵巣の性状観察
 3 その他の不妊症検査における留意事項
  内視鏡検査など
  クラミジア検査
 4 不妊治療薬投薬(hMG-hCG療法)における留意事項
  hMG-hCG療法の適応
  hMGの投与量と投与日数の基準
  hCG切り替えの時期
  hCGの投与量と投与日数の基準
  その他の注意点
 5 不妊症治療における社会保険上の問題点
  ARTは保険給付外
  在宅自己注射指導管理料

2章 流産・早産
 1 切迫流産:保険診療上の留意事項
  診断・検査に関する留意事項
  治療に関する留意事項
 2 流産:保険診療上の留意事項
  診断・検査に関する留意事項
  治療に関する留意事項
  習慣流産の検査における留意事項
 3 切迫早産:保険診療上の留意事項
  診断・検査に関する留意事項
  治療に関する留意事項
  切迫早産/早産の入院料・医学管理料
 4 胞状奇胎:保険診療上の留意事項
  診断・検査・治療に関する留意事項

3章 異所性妊娠(子宮外妊娠)
 1 検査・診断
  尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)定性,およびhCG-β分画定性,体単位ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)半定量,ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)定量精密測定およびhCG-β分画精密測定
  超音波診断
  ダグラス窩穿刺
  子宮内膜掻爬術
 2 手術・治療
  異所性妊娠手術
  卵管形成手術
  複数手術の特例
  科学療法
  頸管妊娠など

4章 妊娠高血圧症候群
 1 診察
 2 検査
  時間外緊急院内検査加算
  尿検査
  血液学的検査
  生化学的検査(Ⅰ)
  生化学的検査(Ⅱ)内分泌学的検査
  病理学的検査
  生体検査
 3 投薬・注射,処置
  保険適応
 4 入院料・医学管理料
  ハイリスク妊娠管理加算
  ハイリスク分娩管理加算
  ハイリスク妊産婦共同管理料
 5 食事療法
 6 手術

5章 産科救急
 1 基本診療料
  総合周産期特定集中治療室管理料
  ハイリスク妊娠・分娩管理加算
 2 検査
  検体検査料
  整体検査料
  画像診断料
 3 処置
 4 注射
 5 手術
  緊急手術
  急速遂娩術
 6 輸血

6章 婦人科感染症
 1 検査
  腟炎,外陰炎
  性器クラミジア感染症,淋菌感染症
  妊産婦の感染症
 2 治療
  腟炎,外陰炎
  頸管炎から上部の感染症や一部の性感染症(STD)
  ウイルス感染症
  輸血と感染症検査
  B型肝炎母子感染予防
  適応症
  手術療法

7章 婦人科良性腫瘍(子宮筋腫・良性卵巣腫瘍)
 1 指導管理など
  手術前医学管理料(届け出た医療機関)
  手術後医学管理料(1日につき)
 2 検査
 3 腫瘍マーカー
 4 病理学的検査
  病理組織標本作成(1臓器につき)
  細胞診
 5 超音波検査
 6 内視鏡
 7 画像診断
  子宮卵管造影
  CT検査とMRI検査
 8 投薬・注射
 9 手術
 10 特定保険医療材料

8章 婦人科悪性腫瘍(子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌)
 1 診察料に関する留意事項
  診療情報提供料(Ⅰ),(Ⅱ)
  がん性疼痛緩和指導管理料
  がん患者指導管理料
  悪性腫瘍特異物質治療管理料
  リンパ浮腫指導管理料
  在宅自己導尿指導管理料
 2 検査料に関する留意事項
  病理学的検査
  HPV(Human Papilloma Virus)検査
  コルポスコピー
  ヒステロスコピー
  超音波検査
  CT・MRI検査
  ポジトロン断層撮影(PET)・コンピューター断層複合撮影
  腫瘍マーカー検査
 3 治療料に関する留意事項
  手術
  輸血
  化学療法
  化学療法施行時の副作用に対する対策
  分子標的治療薬
  放射線療法の効果増強や副作用に対する対策

9章 中高年女性の疾患
 1 検査
  更年期障害
  骨粗鬆症
 2 治療
  適応症
  子宮脱(骨盤臓器脱)
 3 保険診療上の留意事項

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