イチから使う 医薬統計教室 −SPSS−

イチから使う 医薬統計教室 −SPSS−

■著者 五所 正彦

定価 3,520円(税込) (本体3,200円+税)
  • A5判  264ページ  2色
  • 2017年9月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-1776-4

在庫僅少です。


SPSSを使いこなすならこの1冊! 自らの手を動かして,サクサク解析データを使いこなそう!

『ゼロから学ぶ医薬統計教室』の実践編。より具体的・実践的な統計知識を得てもらうために,統計ソフト(SPSS)を用いた解析の実際を解説。ソフトをどのように用いて解析を進めるのか,画像で示している。また,得られた解析結果の見方や,結果の解釈の仕方についても解説している。


序文

 医学,薬学,健康科学といった医療系の領域で,統計学の重要性はいまさら説明するまでもありません。これらの領域での研究成果は,データ解析の結果として報告されるからです。それもあって,多くの人は「統計学とはデータ解析である」と思っている節がありますが,実際には,その研究の計画,実施,解析,報告のあらゆる過程で統計学が必要になります。その研究仮説を検証するためにはどのような研究デザインが最適か,研究の目的を反映した評価変数を設定できているか,その評価変数は信頼でき妥当か,研究期間,測定時点,サンプルサイズは必要十分となっているか,など,研究の計画段階から統計学を駆使し,きちんとデータが収集できるように事前に準備しておく必要があります。きちんと計画していない研究から得られたデータでは,せっかく解析しても正しい結果が得られません。食材(データ)が悪ければ,腕のたつ料理人が調理(解析)しても,美味しい料理にはならないでしょう。逆に,素晴らしい食材を手に入れても,へたな料理人にかかってはせっかくの食材が台無しです。本書では,統計解析用のソフトウェアSPSSを用いたデータ解析の実行方法や結果の解釈の仕方を中心に説明しますが,データ解析だけでなく,研究の計画段階の重要性を最初に強調しておきます。
 SPSSの最大の長所は,マウス操作で簡単にデータ解析を実行できる点です。統計学の非専門家であっても,簡単に使用できます。本書では,医療系の領域で,特に使用頻度の高い統計手法を取り上げ,SPSSでの実行方法と結果の見方・解釈の仕方を説明します。
 本書は3章で構成されます。第1章では,本書で扱うデータセットやSPSSでのデータ読み込みや入力等,データ変換等の基本的操作法を概説します。第2章では,記述統計の方法を取り上げ,第1章で紹介したデータの描画方法および要約方法を解説します。第3章では,統計的推測を実践します。統計手法別に,SPSSでの実行の仕方,出力の見方,解釈の仕方を説明します。
 使用すべき統計手法は,研究仮説や解析の目的,研究デザイン,データの種類や分布,データの収集方法等に依存しますので,簡単に決められないこともあります。また,ソフトウェアによって出力された結果をきちんと解釈するには統計学の素養が必要になります。本書は,単にSPSSの使い方に終始せずSPSSによって得られた解析結果の見方や結果の解釈の仕方も丁寧に説明したつもりです。皆さんの研究や学習の一助となれば幸いです。
 本書は,既刊の姉妹書籍「ゼロから学ぶ医薬統計教室」1)の「実践編」という位置づけです。統計手法の概念や意義,詳しい用語の説明は「ゼロから学ぶ医薬統計教室」に譲り,本書では,統計手法の実行方法や結果の解釈に重点を置きました。ただし,「ゼロから学ぶ医薬統計教室」がなくても,読み進められるように配慮したつもりです。また,「ゼロから学ぶ医薬統計教室」では扱っていない内容,例えば,経時測定解析やROC解析等は,本書で丁寧に解説しました。
 本書の内容を補足するために以下の3つを用意しました。

【リンク】
本書の内容をより深く理解してもらうために,「ゼロから学ぶ医薬統計教室」の参照先を示しています。
【Note】
SPSSを使う上で理解しておいた方がよいこと,「ゼロから学ぶ医薬統計教室」で取り上げていないことを補足しています。
【まめ知識】
SPSSで解析するときの細かい命令方法や工夫,ちょっとした用語の解説などを与えています。

 本書では,実データや仮想データを使い,SPSSの使い方や結果の解釈の仕方を説明していますが,少々,不自然な使用例があるかもしれません。それは,紙面の都合上,使用するデータセットを制限せざるを得なかったからです。ご容赦ください。
 本書の編集やチェックにご尽力をいただきましたメジカルビュー社編集部の宮澤進さん,山田麻祐子さんに末筆ながら心より感謝申し上げます。

2017年8月吉日
五所正彦
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引用文献
1)佐藤泰憲, 五所正彦:ゼロから学ぶ医薬統計教室.メジカルビュー社,2014.
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目次

Chapter 1 Start up ‒SPSSのトリセツ
01 SPSSって何?
02 本書で使用するデータセット
  German Brest Cancer Study(GBCS)/Treatment of Lead Exposed Children(TLC)Trial/血圧データ/練習用データ
03 データセットの読み込みと変数の属性
 SPSS以外のデータの読み込み
04 データハンドリング
 データの入力/データセットの結合/データの部分抽出/データのカテゴリ化

Chapter 2 データを要約しよう!
・グラフを作成する
01 データの分布を把握したいとき
 ヒストグラム/箱ひげ図
02 変数間の関係を把握したいとき
  散布図
03 各群の分布を比較したいとき
  平均±SDプロット
04 経時的変化が見たいとき
  推移図
・統計量を算出する
05 連続データ
06 カテゴリカルデータ

Chapter 3 いざ実践! シチュエーション別解析・結果解釈法
・連続する値のデータを評価する
01 1群の連続データの評価
  1標本t検定/Wilcoxon符号付順位検定
02 対応がない連続データの2群間を比較するとき
 2標本t検定/Wilcoxon順位和検定(Mann-WhitneyのU検定)/コラム
03 3群間以上の比較のときは「分散分析」
 一元配置分散分析/Kruskal-Wallis検定/二元配置分散分析/交互作用なし/二元配置分散分析/交互作用の検討/共分散分析
04 複数のグループ間の違いを評価するときは「多重比較」
  多重比較法/Bonferroniの方法/Tukeyの方法/Dunnettの方法
05 繰り返しデータを比較するときには「経時測定データ解析」
 経時測定データとは/経時測定データの解析/解析1)/解析2)
06 変数間の関係を評価するときには「相関と回帰分析」
 相関分析/回帰分析
07 複数の変数の関係を評価し,変数を探索するときには「重回帰分析と変数選択」
 重回帰分析/変数選択
・2つに分類したデータを評価する
08 分割表を解析するときは「カイ二乗検定とFisherの正確検定」
09 二値の応答変数を評価するときには「ロジスティック回帰分析」
10 検査の診断能を評価するときには「ROC解析」
・イベント発生までに時間を評価する
11 イベント発生までの時間を評価するには「生存時間データの解析」
 Kaplan-Meier推定/log-rank検定/層別解析と層別logrank検定
12 ハザード比を推定するときには「Cox回帰分析」
 単変量Cox回帰分析(単回帰分析に対応)/多変量Cox回帰分析(重回帰分析に対応)
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