子どもから大人までこの1冊!

受診時年齢別 発育性股関節形成不全の診かた・治しかた

受診時年齢別 発育性股関節形成不全の診かた・治しかた

■編集 稲葉 裕
中島 康晴

定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
  • B5変型判  168ページ  2色(一部4色),イラスト40点,写真100点
  • 2019年11月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-1875-4

股関節のどこを診て,どの検査をし,どう評価し,どのタイミングで何をすべきか,この1冊で全年代に対応可能!

新生児から高齢者まで,発育性股関節形成不全(DDH)患者の診療を年齢別に,どこを診て,どの検査をし,どう評価し,どのタイミングで何をすべきかを具体的に解説。
成長期の子どもにいつまで保存治療をするのか,手術に踏み切るタイミングはいつか,また成人については①前股関節症〜初期の変形性股関節症と②進行期〜末期の変形性股関節症に分けて解説。さらに移行期医療の諸問題や保護者への対応,人工関節の適用と耐用年数など,関連する年代の前後にトピックスを配して,この1冊で全年代に対応可能な内容になっている。


序文

 この度,発育性股関節形成不全(DDH)の診断・治療の実際に関して小児期から高齢期までをカバーする書籍を作成する依頼を受けて,九州大学整形外科の中島康晴教授と編集をさせていただいた。
 DDH は日本人の女性に多く,日常診療でしばしば遭遇する疾患である。症例により小児期に発見されて治療を開始されるものや,青壮年期になってから診断されるものもある。すなわち,実臨床では同じ疾患でありながら小児期に受診する症例から青壮年期に受診する症例まで幅広く,年代に応じた対応が必要になる。その際に重要なことは,DDH の経過全体を考慮したうえで,その年代に適切な治療法を選択することである。実際には,小児期のDDH は小児整形外科医により治療されることが多く,成人以降になると一般整形外科医や股関節専門医に引き継がれることになる。当然であるが,同一疾患であるため,小児整形外科医は将来,一般整形外科医や股関節専門医によりどのような治療が選択されるのかに関して精通する必要があり,また成人DDH を診療する整形外科医は,小児整形外科医がどのようなコンセプトで小児期に治療を行うのかについて知っておく必要がある。
 現在の多くの教科書では,小児期のDDH については小児整形外科関連の成書に記載されて成人期以降のDDH とは別に取り扱われており,小児期から高齢期までを一貫して取り上げているものは少ない。そのような意味では,本書はDDH に関する新しいタイプの教科書であり,日常診療でDDH の患者さんが受診した際にその患者さんの年代の項目をみれば,現在,必要な診断法や治療法がわかるようになっている。小児整形外科医や股関節専門医の知識の整理にも有用な本であるが,本来の目的は一般整形外科医がDDHの患者さんに遭遇した際に適切な対応ができるようになることである。
 本書では,DDH の小児期から高齢期までの各年代での診療に精通した先生方に執筆をお願いし,最新のトピックスについても取り上げた。大変,読みやすい構成になっているので,本書が今後のDDH 診療の一助になれば幸いである。

2019年11月
横浜市立大学大学院医学研究科運動器病態学教授
稲葉 裕

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 かれこれ20 年以上も股関節疾患の治療に携わってみて,この発育性股関節形成不全(DDH)ほどあらゆる年齢層にわたる疾患概念は他に見当たらないのではないかと思います。それぞれの年代でDDH は違う顔を見せます。新生児~乳児期の代表は完全脱臼,遺残亜脱臼ですし,青年期には寛骨臼形成不全のみで関節裂隙が狭小化していない前股関節症,中年期以降では進行した変形性股関節症でしょうか。また,DDH は子どものころの病態・形態をそのまま引き継ぎながら成長していく,一連の流れを持った疾患です。どの年代で症状が出てくるのかわかりませんので,その時の年齢や環境によって治療法も変わっていきます。
 しかしながら,小児期は小児整形外科医が,成長終了後の治療は主に股関節外科医が担当するために少なからずギャップがあったのも事実です。特に移行期から青年期では,フォローアップや治療が途絶えることが少なくなかったのです。それに対して,子どもから大人までの時間軸に沿って,DDH の診かたや治療を紹介することが本書の大きな目的です。DDH 診療にとって重要な時期を新生児から中年期以降までの7 つに分けて,それぞれの時期における診療のエッセンスをエキスパートの先生方に記載いただきました。同じ学童期であっても6~10 歳(学童期前半)と10~15 歳(学童期後半)では治療が大きくが異なるため,2 つの時期に分けましたし,成人の場合には変形性股関節症をその病期で分けた設定にしました。DDH を連続した流れのなかでとらえることが重要だと思ったからです。
 今回,本書では用語が統一されていない部分があります。寛骨臼形成不全と臼蓋形成不全はその典型で,同じ意味でありながら小児期では臼蓋形成不全が主に使用されており,成人では両方が使用されています。慣れ親しんだ用語を使用いただく目的で,本書ではあえて統一しておりませんので読者の皆さんにはご理解をいただきたいと思います。また,関節温存手術の代表である寛骨臼回転骨切り術・寛骨臼移動術なども,術式の総称がありませんのでそれぞれの術式名で記載いただきました。
 本書が読者の皆さんの日常診療に役立つことを心から願っています。

2019年11月
九州大学大学院医学研究院整形外科学教授
中島康晴
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目次

新生児〜乳児期(受診時年齢 0〜1 歳)  青木 清ほか
  DDH の病態,予防,スクリーニング
  診断・評価のポイント
  治療
  症例提示
幼児期(受診時年齢 1〜6 歳)  薩摩眞一
 未治療完全脱臼症例
  診断・評価のポイント
  治療
  症例提示
 遺残亜脱臼症例
  診断・評価のポイント
  治療
  症例提示
学童期前半(受診時年齢 6〜10 歳)  及川泰宏
  診断・評価のポイント
  治療
   未治療の脱臼
   脱臼整復後の遺残亜脱臼
   脱臼歴のない臼蓋形成不全
  症例提示
学童期後半(受診時年齢 10〜15 歳)  二見 徹
  診断・評価のポイント
  治療
  症例提示
青年期(受診時年齢 15〜25 歳)  山口亮介
  診断・評価のポイント
  治療
  症例提示
壮年期(受診時年齢 25〜45 歳)
 ①前股関節症〜初期の変形性股関節症  池 裕之ほか
  診断・評価のポイント
  治療
  症例提示
 ②進行期〜末期の変形性股関節症  高平尚伸
  診断・評価のポイント
  治療
  症例提示
中年期以降(受診時年齢 45 歳以上)
 ①前股関節症〜初期の変形性股関節症  原 俊彦
  診断・評価のポイント
  治療
  症例提示
 ②進行期〜末期の変形性股関節症  加来信広
  診断・評価のポイント
  治療
  症例提示

トピックス
 ① 日本における脱臼健(検)診の現状と問題点  服部 義
 ② 保護者への対応  藤井敏男
 ③ 移行期医療の諸問題  岡野邦彦
 ④ 成人例における脱臼治療歴の有無と股関節形態への影響  中島康晴ほか
 ⑤ ボーダーラインDDH における諸問題  福島健介
 ⑥ 寛骨臼回転骨切り術は何歳まで可能か  安永裕司
 ⑦ 最新の画像診断  西井 孝
 ⑧ 人工関節の適用と耐用年数  坂井孝司
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