スポーツ理学療法学

動作に基づく外傷・障害の理解と評価・治療の進め方

改訂第2版

スポーツ理学療法学

■監修 陶山 哲夫

■編集 赤坂 清和

定価 6,380円(税込) (本体5,800円+税)
  • B5判  372ページ  2色(一部カラー),イラスト142点,写真1,183点
  • 2018年12月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-1933-1

外傷・障害を引き起こす動作とは何か? 競技特性をふまえたアプローチでアスリートを支える

本書はスポーツ外傷・障害に対するアプローチについて理学療法学の観点から解説した書籍である。
初版からの改訂にあたって2部構成とし,新たに1章として「スポーツ医学の基礎知識・基本手技」を設け,コンディショニングや応急処置などあらゆるスポーツに共通する内容を盛り込んだ。
2章では野球,サッカー,陸上競技など主要なスポーツ種目を挙げて項目を構成している。さらに,障害者スポーツのうち,視覚障害と車椅子テニスを新規項目として追加している。
スポーツ外傷・障害は,スポーツ特有の動作が受傷機転となることが多いため,スポーツでどのような動きが行われているのかを理解する必要がある。本書では各種目の基礎・特徴を紹介したうえで,スポーツ外傷・障害の発生原因について解説し,受傷から競技復帰までの具体的なアプローチを提示している。また,スポーツ動作の特徴的な瞬間を解剖図で表現し,動作に関与する筋・関節・靱帯や負荷のかかる部位についてビジュアル化している。
アスリートの確実な競技復帰,再発予防のためにぜひ本書を参考にしてほしい。


序文

改訂第2版 監修の序

 コーチ,医師,トレーナー,組織委員会,各種ボランティア,メディア,さらに各関係者の方々などが慌ただしく動き出している。大会が成功するには関係する方々の円滑な連携と,正確な情報管理に基づく正しい判断と対処が必要であり,組織運営や日本国民に対する視線が世界中から自然と注がれている。

 しかし,大会の主役はあくまでも選手自身であると同時に,大会に出場する選手には高い誇りと,フェアプレー精神が必要である。そのためにはすなわち,強靭な身体機能と精神機能の維持・向上が求められ,日ごろからの鍛錬が不可欠となる。

 さて,アスリートの身体機能の管理には選手のみならず周囲にたずさわる医師やトレーナー,コーチなどが,高度な理論的学問体系および専門的な競技特性を熟知した専門グループの知識を導入する必要がある。本書はスポーツの現場に精通した日本でも有数の方々が執筆した専門書である。明日へのアスリートにたずさわる医療関係者および養成校の教員・学生に責任をもってぜひ推薦したい本である。

2018年11月
陶山 哲夫

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改訂第2版 編集の序

 2013年9月にリオデジャネイロで開催されたIOC 総会で2020年オリンピック・パラリンピック大会が東京で開催されることが決定し,国民のスポーツ競技に対する関心は日々高まってきている。2014年2月に上梓させていただいたわれわれの『スポーツ理学療法学 競技動作と治療アプローチ』は,競技の経験者やサポート活動にたずさわり,第一線で活躍している23名の理学療法士に競技種目に特徴的な動作と外傷・障害,そして理学療法について執筆していただいた。最終的に14競技におけるスポーツ理学療法を体系化し,網羅することができた。これは本邦のスポーツ理学療法学の書籍として初めてのことであり,多くの大学においてテキストとして採用されるようになった。また,さらにわれわれを喜ばせたことは,スポーツ現場でサポート活動に従事する理学療法士や将来スポーツ競技に従事したいと希望している理学療法士からも高い評価が得られたことであった。

 第1版から4年以上が経過したところで,メジカルビュー社編集部との検討により,第1版では含めることができなかったいくつかの課題を検討する機会を得た。そして,この改訂第2版では,時代とともに一般的となってきたスポーツ現場で共通するスポーツ医学の基礎知識や基本手技を加えること,障がい者スポーツに対する理解を深める目的で障がい者スポーツの競技種目と理学療法の内容を加えること,アスリートを対象に実施されることが多い筋骨格系徒手検査法を網羅的に整理すること,外傷・障害に対するより具体的な理学療法の考え方と治療手技がわかるように修正・加筆すること,国体や国際大会だけでなく多くの市民が参加するスポーツ競技や大会でみられる外傷・障害および対応を含めることなどを主要な目的として,改訂第2版を企画することになった。その企画を現実化するために,これまでの執筆者に前回の原稿を修正・加筆していただくように依頼した。さらに,第1版における課題に対して内容を多面的に充実させるために,新たに10名以上の医師や理学療法士に執筆者として参加いただくことになった。

 このたび,この改訂第2版が出版することができたのは,2020年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて多忙を極める監修の陶山哲夫先生をはじめ,多くの執筆者にご理解ご協力を賜ることができたからであり,心より感謝申し上げます。また,執筆者との連絡や原稿の執筆管理,そして出版の調整に至るまで支えていただいたメジカルビュー社の皆様にも御礼申し上げます。

2018年11月
執筆者を代表して  赤坂清和
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目次

Ⅰ.スポーツ医学の基礎知識・基本手技
 メディカルチェック
  整形外科的メディカルチェックに用いられる手技
 アスリートに共通するコンディショニング
  コンディショニングに必要な知識
  コンディショニングの実際
  まとめ
 アンチ・ドーピングの基礎知識
  アンチ・ドーピングとは
  世界アンチ・ドーピング機構(WADA)および日本アンチ・ドーピング機構(JADA)
  禁止表国際基準
  世界パラリンピック委員会(IPC)独自の禁止方法
  治療使用特例(TUE)
  ドーピング検査
  薬物使用・サプリメントにおける留意点
  使用薬物に関する情報源
 アスリートの傷害予防
  はじめに
  予防の始まり
  今後,予防は進むのか
 外傷の応急処置①:固定・初期評価・搬送
  はじめに
  救急時の基本原則
  safe approach
  固定
  初期評価
  基本的な搬送の手順
  まとめ
 外傷の応急処置②:皮膚損傷・捻挫・肉離れ・靱帯損傷・骨折
  フィールドでの皮膚損傷に対する応急処置
  フィールドでの突き指に対する応急処置
  フィールドでの捻挫・靱帯損傷に対する応急処置
  フィールドでの肉離れに対する応急処置
  フィールドでの骨折に対する応急処置
 アスリートに対するテーピングの基礎知識
  テーピングに使用されるテーピング・テープの知識と基本
  テーピング・テープ使用における注意点
  テーピングによって期待される効果
  肩関節のテーピング
  膝関節のテーピング
  足関節のテーピング
 スポーツにおける徒手理学療法
  はじめに
  ①スポーツに対するバランスボールを用いたリズミックスタビリゼーション
  ②アスリートに対する道具や物理療法などを応用させた軟部組織へのアプローチ
  ③MWM in sports
  まとめ
 アスリートに対するパフォーマンスエンハンスメント
  はじめに
  パフォーマンス要素の測定と評価
  パフォーマンスエンハンスメントのための一般的な指導
  パフォーマンスを最大化するための試合直前の指導
  
Ⅱ.競技動作にかかわる外傷・障害と理学療法
 陸上競技
  陸上競技の種目
  走動作の特徴
  走速度の規定要因
  よいランニングフォーム
  筋活動
  短距離競技
  中・長距離競技
  走動作における外傷・障害
  跳躍動作の特徴
  跳躍における外傷・障害
  投てき動作の特徴
  投てき動作における外傷・障害
 体操競技
  体操競技をみる・考える
  体操競技の特殊な技術
  体操選手の上肢の外傷・障害への対応
  体操選手の腰部の外傷・障害への対応
  体操選手の下肢の外傷・障害への対応
  体操競技の傷害管理にかかわること
 競泳
  競泳の身体運動の特徴
  競泳競技における外傷・障害発生状況
  ストリームラインの評価
  安定したストリームラインを獲得するためのエクササイズ
  キック動作の機能解剖(下半身)
  キック動作による障害に対する理学療法
  ストロークの機能解剖(上肢)
  上肢の動作に関連する主な外傷・障害
  頸部痛
  スタート,ターン動作の機能解剖
  おわりに
 バスケットボール
  バスケットボールの身体運動の特徴
  ジャンプ動作の機能解剖
  ジャンプ動作に関連する主な外傷・障害
  ジャンプ動作で生じる膝関節傷害の評価と理学療法の考え方
  切り返し動作の機能解剖
  切り返し動作に関連する主な外傷・障害
  切り返し動作で生じる足関節・足部傷害の評価と理学療法の考え方
 バレーボール
  バレーボールとは
  バレーボールの歴史とルール
  スパイクの身体運動の特徴
  スパイクに関連する主な外傷・障害
  スパイクで生じる肩関節痛の評価と理学療法の考え方
  スパイクと筋・筋膜性腰痛
  助走~ジャンプ踏み切りの機能解剖
  助走の軌跡
  助走~ジャンプ踏み切りに関連する主な外傷・障害
  助走~ジャンプ踏み切りで生じる膝関節痛の評価と理学療法の考え方
  着地の機能解剖と関連する外傷・障害
  成長期におけるスポーツ外傷・障害について
 ハンドボール
  ハンドボールのルール
  生理学的,運動学的側面からみたハンドボール
  女子ハンドボール選手にみられる外傷・障害
  男子ハンドボール選手と投球障害
  ハンドボール選手の体力の評価
  理学療法の実際
 サッカー
  サッカーの身体運動の特徴
  キックの機能解剖
  キック動作に関連する外傷・障害
  ハムストリングス肉離れ
 野球
  野球の身体運動と特徴
  投球動作に関連する主な外傷・障害
  投球動作で生じる肩関節痛の評価と理学療法の考え方
  投球動作に関連する主な外傷・障害
  投球動作で生じる肘関節痛の評価と理学療法の考え方
  スライディング動作で生じる外傷性肩関節不安定症(脱臼・亜脱臼)の評価と理学療法
 テニス
  テニスの身体運動の特徴
  サーブ動作の機能解剖
  サーブに関連する主な外傷・障害
  サーブで生じる肩関節痛の評価と理学療法の考え方
  グラウンドストロークの機能解剖
  フォアハンドストロークに関連する主な外傷・障害
  フォアハンドストロークで生じる手関節痛の評価と理学療法の考え方
  バックハンドストロークに関連する主な外傷・障害
  バックハンドストロークで生じるテニス肘の評価と理学療法の考え方
  ボレーおよびスマッシュの動作の特徴
  ボレーおよびスマッシュに関連する外傷・障害
  アキレス腱痛や下腿三頭筋の肉離れの評価と理学療法の考え方
 柔道
  柔道のルールと身体運動の特徴
  実戦での受身
  受身に関連する主な外傷・障害
  受身の失敗で生じる外傷・障害の評価と理学療法
  内股の流れと下肢の関節運動
  内股に関連する主な外傷・障害
  内股の失敗で生じる足関節内反捻挫の評価と理学療法
  大外刈の流れと膝関節の運動
  大外刈の受けに関連する主な外傷・障害
  大外刈の受けで生じる膝関節MCL・ACL損傷の評価と理学療法
  背負投と肩・肘関節の運動
  背負投に関連する主な外傷・障害
  背負投で生じる上肢関節外傷・障害の評価と理学療法
 剣道
  剣道とは
  剣道試合のルール
  剣道の基本動作の特徴
  剣道の打撃動作の機能解剖・動作解析
  正面打撃動作時の左足関節底背屈角度およびモーメント
  剣道選手の外傷・障害の調査
  剣道の競技特性と外傷・障害
  おわりに
 スキー競技
  スキー競技について
  スキー競技における滑走動作の機能解剖
  スキー競技滑走中に発生する主な傷害
  腰痛症
  脳震盪
  フィールドテストの活用
 ラグビーフットボール
  ラグビーの競技特性
  ラグビーにおける主要なプレー
  ラグビーで発生しやすい外傷
  ラグビーにおける特徴的な外傷:その発生機転と関係する機能的要因
  外傷予防の視点に基づく動作上の注意点
 ゴルフ
  はじめに:ゴルフとは
  ゴルフ動作の機能解剖
  ゴルフにおける主な障害とその要因
  ゴルファーの腰痛の評価と理学療法の考え方
  フォローアップ
  おわりに
 障がい者スポーツ:視覚障害
  視覚障がい者スポーツとは
  トレーニングなどの指導上の注意事項
  トレーニングの実際
  理学療法における注意事項
 障がい者スポーツ:車いすテニス
  はじめに
  障がい者のスポーツ
  車いすテニスとは
  車いすテニスにおける外傷・障害の特徴
  理学療法の特徴
  理学療法士のかかわり
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