リハビリテーションに活かす呼吸・循環モニタリング

モニター心電図から生体情報を読み解く

リハビリテーションに活かす呼吸・循環モニタリング

■監修 美津島 隆
山内 克哉

■著者 竹内 真太
鈴木 啓介

定価 4,400円(税込) (本体4,000円+税)
  • B5判  228ページ  2色,イラスト180点,写真50点
  • 2019年9月2日刊行
  • ISBN978-4-7583-1949-2

モニター心電図から得られる複数の生体情報をリハビリテーションに活用しよう!

理学療法士・作業療法士向けにモニター心電図の活用法を解説。実際の症例における不整脈の心電図波形を複数提示して特徴を理解しやすくなっている。加えて,血圧や呼吸数,呼吸波形など,モニター心電図に表示されるさまざまな生体情報をリハビリテーションにおいてどのように解釈するか解説している。さらに,ケーススタディを取り入れ,モニター心電図から得られる複数の情報をどのように組み合わせて解釈するか理解できるようになっている。


序文

監修の序

 近年,急性期リハビリテーション治療の重要性が浸透し,術後や急性増悪後もすぐにリハビリテーション治療が開始されています。なかでも,平成30年度の診療報酬改定において,特定集中治療室における他職種による早期離床・リハビリテーションに対して「早期リハビリテーション加算」が新設されたことは,朗報であります。早期リハビリテーションが標準的な治療であり,超早期からの介入が世の中に浸透したことの証左でしょう。集中治療室では,患者の呼吸状態や循環動態は時々刻々と変化し,監視すべき多くの呼吸・循環モニターがあります。そのなかでリハビリテーション治療では,鎮静を軽減させ,座位,起立,歩行と運動負荷をかけていく必要があります。気管内挿管されて人工呼吸器を装着した患者でも,同様のリハビリテーションプログラムを施行すべきであり,その際に最も大切なことは,訓練前に患者の病態を把握し,問題点を的確に理解したうえで訓練を開始し,訓練中は常に患者の呼吸・循環動態の変化をモニターで観察しながら可能な限り運動を負荷することです。もちろん集中治療室入室の有無に限らず,疾患の急性期においてはモニター下でのリハビリテーション治療は必須です。特に心疾患の既往や心不全の患者のリハビリテーション治療では,とりわけ注意が必要となります。また,回復期病棟に入院する患者も多重障害を有する場合が多く,リハビリテーション治療を施行するにあたり,リスクを考慮しなければなりません。安全にリハビリテーション治療を行うには,検査所見や画像所見を理解し,そのうえでモニター管理下の適切な運動負荷をかけていく必要があります。そのようにしてリハビリテーション治療を続けていけば患者のADLや歩行能力が改善していくことになります。
 しかしながら,モニター管理下でのリハビリテーション治療を行えている施設は少ないのが現実でしょう。呼吸循環の動態をモニターしながら運動負荷を行うことによってこそ,安心してリハビリテーション治療を進めていくことが可能になると言えましょう。是非,訓練室に最低一台は呼吸循環の動態のモニター機器を設置していただきたい。その結果は患者のADL や歩行能力,心肺能力などのアウトカムに大きな差となって現れることは間違いありません。
 本書はリハビリテーション医療を安全にかつ高負荷で行ううえで,是非,セラピストの皆さんに理解しておいてほしい呼吸・循環のモニターの項目を,最前線で活躍している2名のセラピストの先生に執筆を依頼し,われわれが監修する形式をとることで,学ぶべき項目が余すところなく収載されています。リハビリテーション医療に携わる方々に是非一読していただき,日常診療に役立てていただけることを期待します。

2019年7月
美津島 隆
山内 克哉

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 本書を手に取っていただきありがとうございます。本書は,急性期の医療施設に入職した新人セラピストや,急性期の医療施設へ実習に行く養成校の学生の方々が,リハビリテーション中にモニター心電図を活用できるようにサポートすることを目的とした書籍です。
 現在,急性期からのリハビリテーションの重要性が再認識されており,平成30年度診療報酬改定によって「早期離床・リハビリテーション加算」が新設されました。このことにより,さらに急性期リハビリテーションのニーズが高まることが予想されます。しかし,急性期リハビリテーションは,回復期やその後の全身状態が安定した時期とは異なり,安全限界(安全にリハビリテーションを実施することができる上限となる運動強度)と有効下限(リハビリテーションの効果が認められる下限となる運動強度)の幅が狭く,ときにはリハビリテーションを実施するべきではないという判断が求められる場合もあります。このように,最適な運動強度の幅が狭い対象者では,リハビリテーション中に継続的に状態を監視する行為として「モニタリング」が必要となります。本書では,視診や触診などのセラピストが得意とする五感を用いたモニタリングに加え,モニター心電図による対象者の身体内部情報のモニタリングを行うことで,安全で効果的なリハビリテーションの実施ができるようになると考えています。
 このように有益な情報を提供してくれるモニター心電図ですが,新人セラピストや養成校の学生の方々のなかにはモニター心電図に苦手意識をもっている方が少なからずいるのではないでしょうか。このような苦手意識をもつ理由の1つとして,画面上の数値や波形が時々刻々と変化するため,変化の理由をじっくり考える時間がないということが考えられます。本書では,急性期リハビリテーションの現場でモニター心電図を活用できるようになるために,リハビリテーション中のモニタリングの注意点や,数値・波形の変化を解釈するための関連知識をまとめました。数値や波形を変化させる要因をあらかじめ理解しておくことによって,解釈にかかる時間が短くなり,素早く必要な行動へ移ることができるようになると思います。本書によって,新人セラピストや養成校の学生の方々がもつ不安が少しでも軽減され,安全で効果的な急性期リハビリテーションの実施につながれば幸いです。

2019年7月
竹内 真太
鈴木 啓介
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目次

第1章 リハビリテーションにおけるモニタリング  竹内真太
 1 本書の特徴
 2 モニタリングとは
 3 リハビリテーション中にモニタリングを行う意義
 4 モニタリングを活用するために

第2章 循環器系のモニタリング  竹内真太
(Ⅰ) 血圧
 1 血圧とは何か
 2 血圧のモニタリング方法
 3 血圧の正常な変化とその要因
 4 リハビリテーションでよくみる血圧の異常な変化
(Ⅱ) 心電図波形
 1 心電図とは何か
 2 心電図のモニタリング方法
 3 心電図の正常な変化とその要因
 4 リハビリテーションでよくみる心電図の異常
(Ⅲ) 心拍数
 1 心拍数とは何か
 2 心拍数のモニタリング方法
 3 心拍数の正常な変化とその要因
 4 リハビリテーションでよくみる心拍数の異常

第3章 呼吸器系のモニタリング  鈴木啓介
(Ⅰ) 呼吸数・呼吸波形
 1 呼吸数・呼吸波形とは何か
 2 呼吸数・呼吸波形の測定のメカニズム
 3 モニターの設定と呼吸数・呼吸波形の変化
 4 運動による呼吸数の変化(運動時の呼吸調整にかかわる知識)
 5 過換気の原因となる薬剤
 6 呼吸数・呼吸波形に影響を与える疾病
(Ⅱ) 経皮的酸素飽和度
 1 酸素飽和度とはなにか
 2 酸素飽和度測定のメカニズム
 3 SpO2の運動による正常な変化
 4 SpO2が変化する病態
 5 酸素療法

第4章 リハビリテーション対象疾患のモニタリング
 1 循環器疾患:心不全症例の歩行による呼吸循環動態の変化  竹内真太
 2 呼吸器疾患:COPD患者のディサチュレーション  鈴木啓介
 3 運動器疾患:人工膝関節置換術後肺塞栓患者  鈴木啓介
 4 神経系疾患:急性期脳梗塞症例の離床における脳循環の変化  竹内真太
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