これから始める心臓カテーテル検査

改訂第2版

これから始める心臓カテーテル検査

■編集 矢嶋 純二

定価 7,920円(税込) (本体7,200円+税)
  • A4判  448ページ  オールカラー,イラスト254点,写真933点
  • 2019年9月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-1957-7

はじめて心臓カテーテル検査を行うときに役立つ基礎知識とテクニックが満載! 術前・術後の予習・復習にも対応

心臓カテーテルを新たにはじめる若手医師に向けた実践的入門書。どんな検査があるのか,どんな機器や物品が必要なのか,具体的な器具のセットアップ方法や使い方など,実臨床で最低限必要となる基礎知識から,実際の穿刺方法,造影方法まで,心臓カテーテル検査を1人で行うための知識やテクニックを網羅。
各項目は,箇条書きでコンパクトにまとめ,造影画像+手元画像+イラストの一目で理解しやすい紙面構成でわかりやすく解説。術前の予習として,さらには術後の復習やレポート作成時にも役立つ必携の1冊。
改訂にあたってグライドシース,スティッフワイヤー等の新たな機器や薬剤についての項目・記述を追加。


序文

はじめに

 本書は,「研修が終了し循環器内科としての一歩を踏み出した医師,またはメディカルスタッフ」に向けて企画しました。参考書を読んでも難しいことばかり書いてあって理解に苦しむという読者に向けて,実臨床で最低限必要になる知識やテクニックをわかりやすく解説した一冊です。
 そのため,はじめてカテーテル検査をするときの術前の予習として,さらに術後の復習やレポート作成時に参考になるように考慮しています。心臓カテーテル検査に必要な物品の説明から始まり,合併症やトラブルシューティング,心臓カテーテル前の準備や検査の大まかな流れ,穿刺と止血,冠動脈造影,冠動脈造影の評価法等について,画像を多く用い,できるかぎり目でみて理解できるように,最低限の知識・技術を簡潔に解説して掲載しています。
 症例に関しても,すべての疾患を網羅しているわけではありませんが,“よく臨床でみることのある疾患”に限定して掲載しています。他の教科書でよく掲載されている“エビデンス”を多数掲載するのではなく,実物を目の当たりにしても対応が可能になるよう,“実際のカテーテルの構造やセットアップ方法,使い方”を画像やイラストを用いて簡単に解説することを心がけました。なお,「これから始める心臓カテーテル検査」が本書のタイトルですが,循環器内科医が末梢血管の治療なども手がけることも多くなってきたため,その診断の際の造影法や穿刺法などにも言及しています。参考にしていただければ幸いです。
 本書が,これから心臓カテーテル検査を始めるあなたのお役に立てることを心から願っています。さあ,心臓カテーテルのプロフェッショナルを目指して,一緒に勉強していきましょう。

令和元年8月
心臓血管研究所付属病院院長
矢嶋純二
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目次

Ⅰ 心臓カテーテル検査に必要な物品
 1.シースイントロデューサー   赤羽正史
  シースイントロデューサーとは
  シースイントロデューサーの構造
  シースイントロデューサーの種類
  セットアップ
  挿入方法
 2.造影用ガイドワイヤー   岡部輝雄
  造影用ガイドワイヤーとは
  一般的な造影用ガイドワイヤーの種類
  親水性ポリマーコーティング仕様の造影用ガイドワイヤー
  スティッフワイヤー
  スワン型ガイドワイヤー
 3.各種カテーテル   柚本和彦
  圧測定用カテーテル
  造影用カテーテル
  操作上の注意点
 4.三連活栓のセットアップ,使用法  茂木 聡,河村朗夫
  三連活栓のセットアップ
  使用法
 5-①.パワーインジェクターの使用法:ACIST CVi可変式造影剤注入システムのセットアップ  富永真和,高橋 稔
  システム構成
  各部ケーブル接続の確認
  モニター画面の操作
  ディスポーザブルキットの組み立て
  シリンジの装着
  造影剤の充填
  低圧ライン内のエア抜き
  コントロールパネルの操作
  コントロールパネル・ハンドコントローラー
  連続でシリンジを使用する場合の手順
 5-②.パワーインジェクターの使用法:ゾーンマスターⓇのセットアップ法  伊藤信吾,久保田修司,原 久男
  ゾーンマスターⓇZモデルの操作法
  プライミング方法
  検査時のセットアップ
  注入条件の設定
 5-③.パワーインジェクターの使用法:適切な流速,流量   久保田修司,原 久男
  冠動脈造影
  左室造影
  大動脈造影
  下肢選択造影
 6.カテーテル検査で主に使用する薬剤  田中真吾
  薬剤管理の基本
  造影剤
  硝酸イソソルビド/ニトログリセリン
  ニトロプルシド/ニコランジル
  塩酸パパベリン
  ATP/アデノシン
  ノルアドレナリン
  硝酸アトロピン
  キシロカイン
  アセチルコリン
  エルゴノビン

Ⅱ 心臓カテーテル検査の合併症と対処
 1.穿刺部合併症   清野義胤
  後腹膜出血
  仮性動脈瘤
  動静脈瘻
  血管閉塞
  穿刺部感染
 2.脳梗塞・迷走神経反射   小山雄広
 脳梗塞
  カテーテル検査が引き起こす脳梗塞
 迷走神経反射
  血管迷走神経反射が疑われる場合
  血管迷走神経反射の治療
 3.Blue toe症候群   堀 真規,中村正人
  病態
  症状
  原因
  検査
  診断
  鑑別すべき疾患
 4.冠動脈損傷,空気塞栓  山下 淳
 冠動脈損傷
  合併症を起こさないための検査の基本と評価
  カテーテルの基礎知識
  カテーテルによる冠動脈損傷の症例
 空気塞栓
  冠動脈造影の基本
  空気塞栓の症例
 5.造影剤腎症   道下一朗
  症例提示:造影剤腎症が進行し血液透析に移行した例
  造影剤腎症とは?
  腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関する
  ガイドライン(2012)
  造影剤腎症に対する予防治療
  造影剤を減らすための取り組み
  診断カテーテル
  ガイドカテーテル
  輸液療法
  薬物療法
  将来の治療法
 6.造影剤アレルギー・プロタミンショック  岸 幹夫
 造影剤アレルギー
  造影剤使用の注意点
  造影剤の種類
  アレルギー症状
  造影剤アレルギーハイリスク患者に対する前処置
 プロタミンショック
  プロタミンショックの特徴
 7.ヘパリン起因性血小板減少症   小田弘隆
  HITの機序
  HITの診断手順
  HITの治療

Ⅲ 心臓カテーテル検査前の準備と検査の大きな流れ
 1.心臓カテーテル検査前の準備   新井 陸
  ブリーフィング
  準備
  パワーインジェクター
  薬剤セット
  シース・穿刺針・薬剤セット
  診断カテーテル・ガイドワイヤー
  消毒
  清潔シート
  ガウン着用
 2.検査の進め方   新井 陸
 虚血性心疾患
  検査の手順
 弁膜症・心不全
  検査の手順
 先天性心疾患
  検査の手順

Ⅳ 穿刺と止血
 1-①.動脈穿刺:橈骨動脈・上腕動脈   後藤 亮
 橈骨動脈穿刺
  事前の準備
  局所麻酔,固定
  消毒
  局所麻酔の皮下注
  ガイドワイヤー挿入
  局所麻酔の追加,しびれの確認
  シース挿入
  遠位橈骨動脈穿刺
 上腕動脈穿刺
 1-②.動脈穿刺:Distal radial artery approachの穿刺と止血  唐原 悟
  穿刺部周辺の解剖
  穿刺方法と患者の肢位
  患者サイドのメリット・デメリット
  医療者サイドのメリット・デメリット
  止血方法
  最後に
 1-③.動脈穿刺:大腿動脈・膝窩動脈  矢嶋純二
 大腿動脈穿刺
  消毒
  穿刺部位の同定
  局所麻酔
  穿刺
  ガイドワイヤー操作
 膝窩動脈穿刺
  患者を腹臥位にする
  消毒
  膝窩部の解剖
  エコーガイド穿刺に必要なデバイス
  セットアップ方法
  エコーにより膝窩動脈を描出
  膝窩静脈が重なる場合の正しい対処
  穿刺
 1-④.動脈穿刺:浅大腿動脈  越田亮司,浦澤一史
 「裏パン」と「表パン」
  局所麻酔,固定
 表パン -実際の方法-
  穿刺部位
  消毒
  イントロデューサニードル,ベニューラ針の内筒を用いた穿刺
  ベニューラ針の内筒を用いた方法による穿刺
  局所麻酔
  穿刺
 1-⑤.動脈穿刺:脛骨動脈   畠 信哉,安藤 弘
  解剖
  穿刺部位の同定
  穿刺
  ガイドワイヤーの挿入
  マイクロカテーテルの挿入
  止血方法
 2.静脈穿刺   東谷迪昭
  外套針を介してカテーテルを挿入する穿刺法
  セルジンガー法での穿刺,CVC 留置の手順
  患者の状態の確認
  穿刺部位別の特徴
  穿刺の方法
  CRBSI の予防
  特殊な穿刺
 3.用手圧迫   江崎裕敬,桜田真己
  シース抜去準備
  シース抜去
  止血
  止血困難が予想されるとき
  止血後
  安静解除
 4-①.止血デバイス:Radial止血   唐原 悟
  各止血デバイスの特性を熟知し選択する
  術後の注意点
 4-②.止血デバイス:Angio-Seal™ STS Plus,Perclose ProGlide,ExosealⓇ   小堀裕一
  止血デバイス使用前に必要なこと
  Angio-Seal™ STS Plus,Perclose ProGlide の使用方法
  ExosealⓇ
  止血デバイスの合併症と対策

Ⅴ 右心カテーテル
 1- ①.Swan-Ganz カテーテル:カテーテル本体,操作法,圧測定,心拍出量測定,酸素飽和度測定方法   田邊康宏
  カテーテル本体
  操作法
  圧測定
  熱希釈法による心拍出量測定
  酸素分圧測定方法
  Swan-Ganzカテーテル挿入時の合併症と回避のための注意点
 1-②.Swan-Ganz カテーテル:SGカテーテル
  で算出される値の正常値  高梨賀江
  右房圧
  左房圧
  右室圧
  肺動脈圧
  肺動脈楔入圧
  正常値
  サンプリング
 1-③.Swan-Ganz カテーテル:心拍出量(thermodilution:熱希釈法とFick法の使い分け)   高梨賀江
  心拍出量とは
  心拍出量の測定法
 2.一時的ペースメーカ   妹尾恵太郎
  一時的ペースメーカの適応・種類
  一時的ペースメーカの実際
 3.バーマンカテーテル,NIHカテーテル  深町大介
  バーマンカテーテル
  NIHカテーテル
 4-①.右心カテーテルを用いて診断する代表的疾患:CHF(Forrester分類),肺塞栓症  深町大介
 うっ血性心不全
  Forrester 分類
 肺血栓塞栓症
  肺血栓塞栓症を疑った場合
 4-②.右心カテーテルを用いて診断する代表的な疾患:肺動静脈瘻,ASD(部分肺静脈還流異常の合併)   上田知実,高見澤 格
  肺動静脈瘻
  心房中隔欠損

Ⅵ 左心カテーテル
 1.左室造影,大動脈造影   氏家勇一
  左室造影および大動脈造影の実際
  大動脈造影のカテーテルの位置と撮影方向
 2.左室造影,大動脈造影の評価   小松宣夫
 左室造影の評価法
  左室容積の計測法
  左室壁運動の評価法
  僧帽弁閉鎖不全症の重症度評価
 上行大動脈造影の評価法
 3.左心カテーテルによる圧記録と右心カテーテルとの同時圧記録   納口英次
  正常波形と圧の計測点
  左室と大動脈の圧較差
  特徴的な圧波形
  カテーテルによる治療

Ⅶ 冠動脈造影
 1.冠動脈造影を理解するための基本的な解剖  矢嶋純二
  冠動脈
  左前下行枝
  回旋枝
  右冠動脈
 2.基本的な撮影方法と正常像   鬼倉基之
  冠動脈造影の目的
  冠動脈の評価およびその適切な撮影角度
 3.右冠動脈   船田竜一
 基本的操作方法
  Amplatzl leftの挿入方法
 右冠動脈の起始異常
 注意すべきケース
  Separate conus branch
 4.左冠動脈   小松宏貴,朴沢英成
  Judkins leftカテーテル
  Amplatz leftカテーテル
  両用カテーテル
  圧波形の確認
 5.グラフト造影   櫻井将之,濱嵜裕司
  左内胸動脈,右内胸動脈造影
  ACバイパス造影
  胃大網動脈造影
 6.冠動脈起始異常   矢嶋純二
  冠動脈起始異常とは
 7.冠攣縮の誘発   小川崇之
  冠攣縮誘発試験とは
  アセチルコリン負荷試験
  エルゴノビン負荷試験
  冠動脈造影における心構え

Ⅷ 冠動脈造影評価法
 1.部位の表現法,病変形態の評価   中津裕介
  AHA分類
  病変形態の評価
 2.TIMI gradeとBlush score   山脇理弘
  TIMI grade
  myocardial blush score
 3.側副血行路の評価   木村祐之
  慢性完全閉塞病変
  血管造影における評価法
  文献的考察
  側副血行路評価の注意点
 4.SYNTAX Scoreの評価  矢作和之,田邉健吾
  SYNTAX Score
  SYNTAX Scoreを算出してみよう
  SYNTAX ScoreⅠ算出のアルゴリズム
  SYNTAX ScoreⅡ算出のアルゴリズム
 5.J-CTO scoreの評価   森野禎浩
  J-CTO score制作秘話
  まず,J-CTO score sheetを手に入れよう
  早速,J-CTO scoreを算出してみよう
  J-CTO scoreを間接的に活かせるアウトカムについて知っておこう
  J-CTO score以降,別の難易度スコアリング
 6.定量的冠動脈造影法   上妻 謙
  シネフィルムのレビュー
  キャリブレーション
  辺縁のトレース(エッジディテクション)
  辺縁の補正
  QCAプログラムの実行
  ステント位置の指定
  ステントを使用していないときのQCA
  QCAで得られるデータ
  QCAの誤差を生む要因
  特殊なQCA
 7.Quantitative flow ratio(QFR)  谷垣 徹,松尾仁司
  定量的冠血流予備量比
  QFRの原理
 計測の実際
  冠動脈造影
  解析方法
  解析結果
  解析の限界
  QFRの心筋虚血診断能

Ⅸ 冠動脈機能的評価法:FFR
 1.機種別セットアップ法   嘉納寛人
  カテーテル室での機器の配置
  PressureWire™ Xのセットアップ
  Verrata™のセットアップ
  Opto Wire™のセットアップ
  カテーテル先端圧とワイヤーセンサー圧の補正
 2.計測方法と簡単な評価   松尾仁司
  冠動脈血流調節
  血流予備量比(FFR)
  FFR計測の実際
  iFR計測の実際

Ⅹ 血管内エコー法
 1-①.機種別セットアップ法,使用法:RevolutionⓇ,Eagle Eye PlatinumⓇ   松野俊介
 RevolutionⓇ
  RevolutionⓇの構造と仕様
  RevolutionⓇのセットアップ法
  使用時の注意点
 Eagle Eye PlatinumⓇ
  Eagle Eye PlatinumⓇの構造と仕様
  Eagle Eye PlatinumⓇのセットアップ
  実際の画像収集時の注意点
 1- ②.機種別セットアップ法,使用法:iLab™,
  OptiCross™  高山忠輝
  iLab™,OptiCross™
 1-③.機種別セットアップ法,使用法:VISICUBEⓇ,AltaViewⓇ,NavifocusⓇ WR  伊藤良明
  Terumo IVUSの概要
 カテーテル
  AltaViewⓇ
  NavifocusⓇ WR
 MDU
 コンソール
  セットアップ方法
  コンソールの具体的操作,計測方法
 2.画像評価と計測方法   伊藤良明
  画像評価
  定量解析
  PCI 施行におけるIVUSの観察項目

Ⅺ 血管内視鏡
 1.血流維持型セットアップ法,使用法  松岡 宏
  セットアップ法
  検査・使用法
  “モノレールタイプ”(血流維持型)血管内視鏡の使用法
 2.評価法   上田恭敬
  正常な冠動脈内面
  白色平滑な正常血管壁と黄色プラーク
  急性心筋梗塞責任病変の内視鏡像
  血栓溶解療法後に観察した,急性心筋梗塞の責任病変
  不安定狭心症の責任病変
  無症候性プラーク破綻(破裂)
  Cypher sirolimus-eluting stent留置1年後
  Cypher sirolimus-eluting stent留置5年後
  BMS留置8年後に発症した不安定狭心症の責任病変
  Xience everolimus-eluting stent留置1年後
  BioFreedom薬剤コーテッドステント留置1カ月後

Ⅻ OCT
 1.セットアップ法,使用法   名越良治,志手淳也
  OPTIS™
  LUNAWAVE™
  OCTガイドのPCI
  OCT の有用性
 2.画像評価法と計測方法  嶋村邦宏,久保隆史,赤阪隆史
  冠動脈プラーク性状の観察
  冠動脈の計測
  留置直後のステント周囲の評価
  慢性期のステント留置部の評価

ⅩⅢ 他の血管造影
 1.末梢動脈造影法,選択的造影法  太田 洋
  心臓カテーテル室における末梢動脈造影,選択的造影の近年の傾向
  循環器内科医が下肢動脈造影を行う流れ
  下肢動脈造影のアプローチ方法と実際
  部位別の造影法とポイント

ⅩⅣ 電気生理学的検査
 1.徐脈性不整脈   大塚崇之
  心臓電気生理学的検査に必要な機器
  カテーテルのアプローチ
  電極カテーテルの留置
  心内心電図の見方
  電気刺激方法
  洞結節に対する心臓電気生理学的検査
  房室伝導に対する心臓電気生理学的検査
  His束内ブロック
  HVブロック
 2.頻脈性不整脈   大塚崇之
  検査の実際
  3-D mappingシステムの使用
  発作性上室性頻拍
  通常型心房粗動
 3.心腔内エコー(ICE)   奥村恭男
  心房中隔穿刺(Brockenbrough)法での使用
  心臓の各チャンバーの描出法
  その他の使い方
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