不育症

不育症

■編集 竹下 俊行
藤井 知行
山田 秀人

定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)
  • B5判  248ページ  
  • 2020年12月24日刊行
  • ISBN978-4-7583-1996-6

国内トップレベルの執筆陣による不育症の成書

初産の高齢化と不妊治療の進歩に伴い広く認知されてきた「不育症」に関するわが国では初めての教科書的成書。
国内トップレベルの執筆陣が,豊富な文献をもとに不育症の原因究明,治療まで,心理的・社会的な要因を考慮した臨床心理士の視点なども交えて解説。不育症の知識を網羅できる不妊治療に携わる医療者必携の一冊。


序文

 不育症学は他の医学分野と同様,この30年余で長足の進歩を遂げた。1976年に出版された『現代産科婦人科学体系』は全20巻を誇る大著であったが,その第9巻「不妊症・避妊症」に不育症の項に割かれたページ数はわずか18ページであった。最新の産婦人科学の教科書でも決して多くのページ数が割かれているとは言い難いが,「不育症」が現代の生殖医学,周産期医学,ひいては産婦人科学の学問的な発展において重要なキーワードになっていることに違いはない。
 これだけ進歩を遂げた領域であるにもかかわらず,これまでに「不育症」の教科書は存在しなかった。妊娠は,母体・胎児の妊娠維持機構が周到に作用してはじめて維持される。妊娠維持機構の解明には,解剖学的,遺伝学的,内分泌学的,免疫学的など生殖にかかわるすべての学問領域が関与する。また,治療においても内科学的,外科学的,精神医学的な介入が必要となることがある。すなわち,不育症学は医学の多くの領域が関与する集学的な学問領域なのである。従って,教科書の編纂にはさまざまな分野の専門家にかかわっていただくことになる。今回,わが国を代表するその道のエキスパートに執筆をお願いした結果,まさに『不育症』という教科書にふさわしい充実した内容になったと自負している。
 わが国の少子化に歯止めがかからない。不育症の患者さんが適切な診療を受けることにより出生率が上昇し,少子化に歯止めがかかると期待される。本書が明日の不育症診療の一助となり,ひいては少子化の防止に貢献することを願うばかりである。

2020年12月吉日
日本医科大学大学院女性生殖発達病態学分野教授
竹下俊行
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目次

Ⅰ 不育症の基礎
 不育症の概念
 不育症のリスク因子
 不育症の検査法:総論

Ⅱ 不育症各論
 1 抗リン脂質抗体
  抗リン脂質抗体症候群:総論
  抗リン脂質抗体の種類と検査方法
  内科的抗リン脂質抗体症候群
  産科的抗リン脂質抗体症候群の病因・病態
  産科的抗リン脂質抗体症候群の診断,治療
  キニノーゲン依存性抗フォスファチジルエタノールアミン抗体,抗プロテインS抗体と不育症
  抗PS/PT抗体と不育症
 2 子宮形態異常
  先天性子宮形態異常の発生機転・分類
  先天性子宮形態異常の検査・診断
  先天性子宮形態異常の治療
  後天性子宮形態異常と不育症
 3 染色体異常
  流産のメカニズム,頻度,自然妊娠の予後
  染色体均衡型構造異常保因者不育症例に対する着床前胚染色体構造異常検査(PGT-SR)について
  転座の遺伝カウンセリング
  胎児染色体異数性を繰り返す不育症
 4 血栓性素因
  血栓性素因による不育症:総論
  プロテインS低下症
  プロテインC低下症
  先天性アンチトロンビン欠乏症
  第Ⅻ因子欠乏症
 5 内分泌代謝異常
  甲状腺機能異常
  黄体機能不全
  高プロラクチン血症
  多嚢胞性卵巣症候群と不育症
 6 感染症と不育症
  感染症と不育症
 7 頸管無力症
  頸管無力症
 8 心理的・社会的因子
  ストレスと流産・不育症
  Tender loving care(TLC)

Ⅲ 不育症をめぐるトピックス
 着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)
 反復生化学的妊娠
 慢性子宮内膜炎と不育症
 免疫グロブリン大量療法
 子宮内膜フローラと不育症
 ネオ・セルフ抗体
 Treg(制御性T 細胞)
 オメガ3 脂肪酸
 ビタミンD 欠乏症
 男性因子
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