5W1Hでわかりやすく学べる

作業療法理論の教科書

作業療法理論の教科書

■編集 小川 真寛
藤本 一博
京極 真

定価 4,620円(税込) (本体4,200円+税)
  • B5判  264ページ  2色,イラスト100点
  • 2020年9月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-2029-0

日本で使用される代表的な理論を網羅し,事例を挙げて臨床での活用についても解説!

作業療法理論の知識を整理し,臨床にどう活かすかをビジネスなどで用いられる5W1H[なぜ(WHY),どんな理論を(WHAT),誰が/誰に(WHO/WHOM),いつ(WHEN),どこで(WHERE),どのように(HOW)]を用いた構成で統一して解説。適応となりうる状況がイラストで表されているので,具体的なイメージとともに読み進められる。
Q&Aの章では,理論の実践での使用にあたって共通の悩みとしてあがりがちな内容をとりあげて解説。また,理論の実践にあたりどの理論を選択したらよいかが比較しやすい一覧表を付録としてもうけた。


序文

 本書のコンセプトは作業療法における「理論を分かりやすく」である。今まで作業療法の理論は現象の言語化に始まり,学術的な基盤を確立し,専門性を内外で高めるため多くは難しく語られてきた。それらの多くの素晴らしい理論の功績により,作業療法は専門性を高め,世の中に認められてきた。しかしながら,一方で理論を難しく感じる者がいることも事実であり,実践に貢献しうる理論のさらなる普及を鑑みて,理論を分かりやすく学ぶ機会を作れないかと考えた。このような背景から「理論をわかりやすく」を本書のコンセプトに据えた。
 近年,社会の情報化が進み,多くの理論の情報も以前より得やすくなった。その反面,多くの情報があふれ,作業療法の世界にも理論が氾濫している。作業療法の実践で,溢れている理論から適切な理論を選び活用するには,知識の整理と状況に合わせた理論の適応が不可欠である。これをできるだけ可能にすべく,知識を整理し,分かりやすく理論を語る要諦として,本書では大きく2つに分けて解説した。まず第1章で理論そのもの,理論の研究や実践,つまり理論とは何か,どのように生まれ,どう使うのかという理論の基礎的な知識をまとめた。第2章では,分かりやすい情報提供のフレームワークとしてビジネスなどで用いられる5W1Hによる説明を各理論の紹介に取り入れた。「なぜ(WHY)」,「どんな理論を(WHAT)」,「誰が/誰に(WHO/WHOM)」,「いつ(WHEN)」,「どこで(WHERE)」,「どのように(HOW)」という構成で統一し各種理論をまとめている。
 「教科書」という言葉を本書のタイトルに据えたのは,本書で理論を分かりやすく学習することが,理論の活用の入り口となり,将来の展開へとつながるよう期待を込めたからである。そこから,深い理論の学習や複数の理論を組み合わせたハイブリッドな理論の活用が広がり,さらに新しい理論が構築されるよう願いを込めたタイトルとした。本書により理論の学習が進み,より良い作業療法サービスへとつながり,さらに学術的発展を導くことができたなら編者としてはこの上ない喜びになるであろう。
 本書の企画を進めるあたり,理論を扱う本の企画は浅学な私には厚顔無恥に感じざるを得なかった。悩める私に企画の方向性や推進力を与えてくれたのは,編者の藤本一博氏と京極 真氏であった。2人はわが国の作業療法界では稀有かつ優れた理論の実践家と研究者である。つまり,私にとって最高の助っ人達であり,2人には本当に感謝の言葉しかない。さらに快く協力してくれた執筆者の皆様にも感謝を申し上げたい。共著者の先生方はこれからの時代に各理論を率いていく方々にお願いした。多くの皆様の協力により,本書は今までに類のない「理論を分かりやすく」伝える本になったと手ごたえを感じている。
 最後に,数ある企画のなかからこの「作業療法理論」という企画に作業療法の未来を見出し,2年近くに及ぶ企画,編集に伴走いただいたメジカルビュー社編集部の榊原優子氏に深謝いたします。

2020年8月
編者を代表して
小川真寛
全文表示する
閉じる

目次

第1章 作業療法における理論
 作業療法の理論とは
  理論と作業療法  小川真寛
  理論の分類  小川真寛
 作業療法理論の背景と発展  京極 真
 作業療法理論と臨床実践  藤本一博
  理論の実践の現状とこれから  小川真寛

第2章 理論の紹介と実践
 超メタ理論
  作業に根ざした実践2.0(OBP2.0)  寺岡 睦
  メタ理論
  作業科学  西野 歩
  Doing,Being,Becoming,Belonging  寺岡 睦
 大範囲理論
  人間作業モデル  京極 真
  カナダモデル  髙木雅之
  川モデル  松原麻子,奥田真由美
 中範囲理論
  作業適応理論  諸星成美
  Constraint-induced movement therapy(CI療法)  竹林 崇
  認知神経リハビリテーション  河野正志
  プール活動レベル(認知能力障害モデル)  小川真寛
  A-ONE  松原麻子
  認知行動療法  野口卓也
  CO-OP  塩津裕康
  認知機能リハビリテーション  織田靖史
  マインドフルネス作業療法  織田靖史
 小範囲理論
  ポジティブ心理学  藤本一博
  生体力学モデル  飯塚照史
 プロセスモデル
  生活行為向上マネジメント(MTDLP)  小林隆司
  作業療法介入プロセスモデル(OTIPM)  石橋 裕
 臨床における論理
  リーズニング  丸山 祥
  Evidence-Based Practice  友利幸之介

第3章 作業療法理論に関するQ&A
 Q1 作業療法理論がわかりにくいのはなぜですか?  藤本一博
 Q2 臨床で使用するのが難しい理論があるのはなぜですか?  藤本一博
 Q3 理論には明確な評価やアウトカムがなく妥当性がないのでは?  京極 真
 Q4 信じる理論の違いによってなぜ対立は生まれるのでしょうか?  京極 真
 Q5 理論はなぜ増えるのでしょうか? 理論を統一することはできないのでしょうか?  小川真寛
 Q6 理論をどこまで学習すればよいのかわかりません。また養成教育ではどこまで教えればよいのでしょうか?  小川真寛

付録 本書に掲載の理論一覧
全文表示する
閉じる

関連する
オススメ書籍

会員登録されている方

メールアドレスとパスワードを入力してログインしてください。

注)共有パソコンの方はチェックを外してください。

会員登録されていない方

会員登録されると次回からお客様情報をご入力いただく必要がありません。
また,購入履歴の確認ができる便利な機能がご利用いただけます。

個人情報の取り扱いについてはこちら