子宮鏡 新常識を極める
[Web動画付]

改訂第2版

子宮鏡 新常識を極める[Web動画付]

■編集 日本子宮鏡研究会

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • i_movie.jpg
  • B5判  464ページ  オールカラー
  • 2025年10月2日刊行予定
  • ISBN978-4-7583-2359-8

初心者,スキルアップを目指す医師に向け,新たなデバイスや機器の進歩も取り入れてアップデートした「The 子宮鏡の教科書」

技術指導が難しいといわれる子宮鏡。研究会編ならではの視野確保のtipsや術中の手の動きなどスタンダードな方法をしっかり示す。初心者,スキルアップを目指す医師に向け,新たなデバイスや機器の進歩も取り入れてアップデートした「The 子宮鏡の教科書」,もう子宮鏡は,エキスパートだけのものではない!


序文

刊行に寄せて

 日本子宮鏡研究会編の『子宮鏡 新常識を極める』が改訂された。同研究会および日本産科婦人科内視鏡学会を中心とした,日本の子宮鏡のエキスパートの総力をあげた一冊であり,まず,その大部であることに驚かされる。
 Chapter 1 「子宮鏡の基礎知識」では,子宮鏡を行うのに必要な子宮内の解剖に始まり,子宮鏡の詳細なシステムの解説,具体的な取り扱い方,施行に必要な麻酔の知識など,総論が余すところなく述べられている。
 Chapter 2 「子宮鏡検査」では,検査の意義,適応,方法とともに,悪性腫瘍の鑑別に特化した項が設けられ,その際の注意点が詳細に解説されている。画像集が添えられているのも,実際に学習する際には大いに役立つであろう。
 Chapter 3 「外来で行える子宮鏡手術」では,オフィス・ギネコロジーの観点から,さまざまな種類の機器が目的別に紹介され,安全に外来で施行できることを意図して書かれている。ここでは外来の立ち上げ方についても述べられており,参考になる。
 Chapter 4 「子宮鏡手術」では,単に子宮鏡の手技のみならず,シミュレーション,事前準備,施行時の安全確保,手技上のコツなど,初心者からベテランまであらゆる術者が参照できるように,実際の手術プロセスに沿った構成となっているのが特徴である。さらに,生殖内分泌編,周産期編,腫瘍編,女性医学編に分けて,分野別・疾患別に適応,術前評価法,術中所見,施行のポイントなどが丁寧に解説されているため,同じ子宮鏡手術であっても疾患・目的によって何を達成すべきかが明確に理解できる。
 Chapter 5「 合併症」では,特に子宮鏡に特有の合併症である水中毒と子宮穿孔について述べられている。
 Chapter 6 「子宮鏡トレーニング」では,トレーニング方法とともに,教育のためのツールや機会についても触れられており,周囲の教育環境が整っていないと感じる場合には特に参考になるであろう。続くChapter 7では,日本子宮鏡研究会の取り組みとして,子宮鏡専門医としての技術を習得・確立し,認定を受けて活動できるようになるための制度的な説明がある。両章を通してキャリアの道筋を理解しておくことは大変重要である。
 本書の特徴を挙げたい。
1) まず,実技書として,実際に検査・手術を行うことを想定し,手順に沿ってきめ細やかに解説されており,初心者でも不安なくこの世界に入っていけるように作られている。多くのトラブルシューティングが述べられているのも特徴である。
2) それとともに,子宮鏡を専門とするうえで知っておくべき背景がしっかり述べられている。単に目の前の症例をこなす技術的な面だけでなく,適応・限界・制度等を知っておくことは,安全かつ確実な子宮鏡の実施には必須である。
3) 最後に,子宮鏡を行う目的を常に明確にしつつ記述されている点である。手技(検査・手術),分野,疾患別に,日常的に遭遇する子宮鏡の適応・手技が詳細に述べられており,「何となく」子宮鏡をするのではなく,目的を理解して行うべきことがよくわかる。このような特徴は,子宮鏡という手技の本質を深く理解したエキスパートによって編まれたからこそのものであり,単なる実技書ではなく,将来子宮鏡の指導層となるエキスパートを養成したいという著者の熱意が伝わってくる。
 子宮鏡は,産婦人科でもっとも重要な臓器である子宮のもっとも重要な内膜面を直接観察・精査・治療できる唯一の手段であり,消化管内視鏡全盛の時代にあって,今後大きな進化を遂げることは間違いない。新しい機器をうまく活用し適応を広げることで,オフィス・ギネコロジーを含め,産婦人科医の診療および収益確保のための強力な武器として発展していく分野である。その中心となって活動している日本子宮鏡研究会編渾身の一冊である本書は,子宮鏡のすべてを網羅するものとして,術者はぜひ手元に置いておきたい。

2025年9月
京都大学医学研究科婦人科学産科学分野教授
一般社団法人日本産科婦人科内視鏡学会理事長
万代昌紀
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目次

Chapter 1 子宮鏡の基礎知識
1 子宮鏡とは何か  平池 修
2 子宮鏡に必要な解剖  沖 利通 
3 子宮鏡システムの理解:硬性子宮鏡  山本泰弘
4 子宮鏡システムの理解:細径子宮鏡  山本泰弘
5 子宮鏡システムの理解:OperåScope™  佐古悠輔
6 子宮鏡システムの理解:軟性子宮鏡  山本泰弘
7 子宮鏡システムの理解:組織切除回収システム(シェーバー/モルセレーター)  齊藤寿一郎
8 子宮鏡システムの理解:自動灌流装置  平池 修
9 子宮鏡の組み立て 硬性鏡,軟性鏡,細径,ディスポメーカー  佐古悠輔
10 子宮鏡と麻酔(オフィス子宮鏡)  小芝明美
11 子宮鏡と麻酔(レゼクトスコープ)  近藤春裕
12 子宮鏡と保険制度  西井 修
13 術前薬物療法  河野康志

Chapter 2 子宮鏡検査【子宮鏡の基礎】
1 子宮鏡検査とは  谷口文紀
2 必要な器具とその操作法  谷口文紀
3 検査のためのセットアップ  福井淳史
4 適応と禁忌,実施時期  福井淳史
5 子宮鏡検査の基本手技―軟性子宮鏡の基本  丸山正統
6 トラブルシューティング:Q&A  髙井 泰
7 セカンドルックヒステロスコピー  齊藤寿一郎
【悪性腫瘍の鑑別】
1 悪性疾患の診断と子宮鏡  山上 亘
2 子宮鏡検査による悪性腫瘍の鑑別(子宮内膜増殖症,子宮体癌の鑑別診断含む)  長阪一憲
3 画像所見悪性診断基準AIを用いた機械学習  曾根献文
【子宮鏡画像アトラス】
1 子宮鏡では何がみえる?

Chapter 3 外来で行える子宮鏡手術
1 総論:外来でも行える子宮鏡手術(オフィス子宮鏡手術)  升田博隆
2 適応と禁忌  升田博隆
3 必要な器具(パワーソース含む)  野見山真理
4 手術のためのセットアップ(細径のセットアップ)  野見山真理
5 基本的な手技(子宮内膜ポリープを例に)
 1)ポリープ切除(細径)①  升田博隆
 2)ポリープ切除(細径)②  有馬 薫,野見山真理
 3)ポリープ切除(シェーバー)TruClear™  土谷 聡,西井 修
 4)ポリープ切除(シェーバー)MyoSure® MANUALティッシュリムーバルデバイス  黒田恵司
 5)ポリープ切除(シェーバー)MyoSure® LITEティッシュリムーバルデバイス  名古ゆり恵,川井清考
 6)ポリープ切除(シェーバー)IBS®  本多真澄
 7)ポリープ切除(OperåScope™)  福井淳史
 8)細径ヒステロレゼクトスコープ  齊藤寿一郎
 9)選択通水  福井淳史
 10)LINスネアを用いた子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術  谷垣佳子
6 オフィスヒステロスコピー外来の立ち上げ方  小野修一
7 トラブルシューティング:Q&A  升田博隆,野見山真理

Chapter 4 子宮鏡手術
1 総論:子宮鏡手術とは 子宮鏡でできること,子宮鏡手術のロールプレイ  齊藤寿一郎
2 適応と禁忌,実施時期  齊藤寿一郎
3 必要な器具(パワーソースを含む)  楠木 泉
4 手術のためのセットアップ  楠木 泉
5 頸管拡張の実際  近藤春裕
6 TCR施行時の超音波モニタリングについて  丸山正統
7 基本的な手技(子宮内膜ポリープを例に)  齊藤寿一郎
8 トラブルシューティング:Q&A  地主 誠,篠原康一
【症例への対応:生殖内分泌編】
1 子宮鏡に必要な生殖医療知識  髙橋俊文
2 子宮筋腫
 1)不妊症,過多月経①  齊藤寿一郎
 2)不妊症,過多月経②  北島道夫
 3)不妊症,過多月経③  沖 利通
3 中隔子宮(不育症)  小野修一
4 子宮内膜ポリープ  久須美真紀
5 慢性子宮内膜炎(反復着床不全不育症)  黒田恵司
6 子宮腺筋症  福井大和,廣田 泰
7 帝王切開子宮瘢痕症
 1)帝王切開子宮瘢痕症①  谷村 悟
 2)帝王切開子宮瘢痕症②  辻俊一郎
8 Asherman症候群  逸見博文
9 卵管閉塞(子宮鏡補助下卵管鏡下卵管形成術)  福井淳史
【症例への対応:周産期編】
1 子宮鏡に必要な周産期知識  太田邦明
2 妊娠組織遺残(RPOC)  中村智子,岩瀬 明
3 帝王切開瘢痕部妊娠  渡辺 正
【症例への対応:腫瘍編】
1 子宮体癌妊孕性温存治療と子宮鏡  坂井健良,山上 亘
2 異型ポリープ状腺筋腫(APAM)  福井大和,廣田 泰
【症例への対応:女性医学編】
1 閉経後の子宮内膜ポリープ  丸山正統

Chapter 5 合併症
1 低ナトリウム血症  逸見博文
2 子宮穿孔  丸山正統

Chapter 6 子宮鏡トレーニング
1 トレーニング方法,トレーニングのための工夫  谷村 悟
2 子宮鏡ハンズオンセミナー  近藤春裕
3 オンライン教育セミナー/OSVD  堀澤 信,谷村 悟

Chapter 7 appendix:日本子宮鏡研究会の取り組み
1 オフィス子宮鏡手術認定医(通称:日帰り子宮鏡手術認定医)  楠木 泉
2 子宮鏡専門医の育成:セカンドライフにおける子宮鏡手技習得の意義  北脇 城
3 子宮鏡専門医の育成:生殖医療専門医が子宮鏡技術認定医を取得する意義と実際  髙橋俊文
4 子宮鏡専門医の育成:婦人科腫瘍専門医が子宮鏡技術認定医を取得する意義と実際  山上 亘
5 子宮鏡と臨床研究:日本発の子宮鏡エビデンスを目指して  平池 修
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