2022年5月号 Vol.38 No.5

特集1:絶対苦手分野にしない 市中肺炎の画像診断/特集2:発売後15年目に入ったEOB造影MRIの使用法:dynamic造影CTとの共存

臨床画像 2022年5月号
定価 2,750円(税込) (本体2,500円+税)
  • B5判  112ページ  
  • 2022年4月26日刊行


序説(特集1:絶対苦手分野にしない 市中肺炎の画像診断)

 肺炎の治療を行ううえで,起炎微生物の特定は適切な抗菌薬治療を行うために必要不可欠である。しかしながら臨床の現場においては,起炎微生物の同定と薬剤感受性検査の結果が判明するまでには時間を要するため,経験的治療が行われている。市中肺炎あるいは院内肺炎において,初期治療が成功すれば肺炎の多くは跡形なく治癒する。しかしながら,初期治療の失敗や合併症が生じた場合には,臨床所見・症状および画像所見の増悪を認めることになる。
 肺炎診療における画像診断の役割としては,存在診断,重症度や病勢の把握,治療効果判定などが挙げられる。肺炎の診断は最終的には起炎菌の同定によってなされるが,臨床症状や炎症所見に加えて,胸部単純X線写真で異常所見の出現を認めることができれば診断が可能となる。典型的な肺炎の場合には,初診時の画像診断に関しては胸部単純X線写真で十分であり,computed tomography(CT)は必ずしも必要ではない。しかしながら,胸部単純X線写真では陰影の指摘が困難な場合や,抗菌薬治療に反応性が乏しい場合,悪性腫瘍の存在が否定できない場合,合併症の有無,さらには基礎疾患の増悪あるいは基礎疾患との関連性肺病変などとの鑑別などにおいてはCT検査が有用となる。
 市中肺炎の胸部CT所見の報告の多くは日本からの研究であり,また起炎微生物ごとの画像所見については,肺炎球菌やマイコプラズマを除いてほとんど報告がない。わが国における研究が世界トップレベルであると考えている。
 今回,『絶対苦手分野にしない 市中肺炎の画像診断』という特集を組んだ。
 室田真希子先生らに細菌性肺炎,佐藤晴佳先生らに非定型肺炎,松迫正樹先生にCOVID–19肺炎,田中伸幸先生にウイルス肺炎−COVID–19肺炎は除く−,氏田万寿夫先生に肺結核,非結核性抗酸菌症,西本優子先生には市中肺炎と鑑別すべき非感染性疾患について執筆していただいた。それぞれの先生は,とてもご高名で日本を代表する先生ばかりである。大変お忙しいなか,快くお引き受けいただき素晴らしい解説をしていただいたことに深謝いたします。
 臨床所見と画像所見から,感染症と非感染症を区別し,さらに間違いをおそれず,起炎微生物を推定して報告書に記載していただきたい。お役立ていただくことができれば幸いである。

岡田文人

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序説(特集2:発売後15年目に入ったEOB造影MRIの使用法:dynamic造影CTとの共存)

 「肝細胞癌の検出はどの画像検査法が最も優れているのか?」という質問に対する答えは,「EOB造影MRIである」というのは大方の画像診断医のコンセンサスであり,その根拠は早期肝細胞癌を検出可能だから,である。肝腫瘍のなかで転移性肝癌の比率が多い欧米では,「転移性肝癌の検出はどの検査法が最も優れているのか?」となるが,その答えも小病変まで検出可能な「EOB造影MRIである」であろう。それほどEOB造影MRIは肝細胞相とよばれる撮像時相で病変検出能が高く,3D–T1強調像の高速化,高分解能化も相まって日常臨床に欠くことができないものとなった。
 EOB造影MRIは造影剤注入後の動脈相で細胞外液性造影剤として作用し,Gd–DTPAと同様にdynamic撮像により肝腫瘍の血流動態の把握が可能であるが,体重当たりの用量は0.1mL/kgとGd–DTPAの半分しかないので,動脈相における大動脈の濃染時間が短くdynamic撮像の特に動脈相の撮像法を最適化することが,多血性肝細胞癌の動脈濃染を評価するうえで大切である。
 本特集では,Gd–EOB–DTPA造影剤がわが国に上市以来,多くの学術論文などで報告を行ってきた先生方に今回の発売後15年目に入ったEOB造影MRIに関する知見の執筆をお願いした。これらの先生方はEOB造影MRIの最適な撮像プロトコルや肝細胞癌の検出能,境界病変の診断能,EOB造影MRIの造影機序の解明すなわちorganic anion transporting polypeptides(OATP)や,multidrug resistance–associated protein(MRP)などを検討されてきたEOB造影MRI業界? のトップランナーたちで,EOB造影MRIに関する科学論文を多く出版されている。
 dynamic造影CTは,検査時間が短く,空間分解能も高く,広範囲に撮像可能であり,肝細胞癌の診断,治療後のfollowに非常に有用な検査である。現実の臨床現場では,EOB造影MRIとdynamic造影CTは共存しており,相補的に行われているが,画像診断医がどちらの検査にも精通し,それぞれの検査のadvantage,disadvantageを知ったうえで検査を依頼する医師にrecommendすることが重要であろう。
 肝細胞癌の治療法は多岐にわたる。肝切除などの手術療法,肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemo embolization;TACE),ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation;RFA),分子標的薬,放射線治療などがある。そのなかでも肝切除術は古くから行われており,現在でも重要な治療法であるが,外科医がdynamic造影CTとEOB造影MRIといった画像情報から知りたいことにフォーカスをあてて当科の渋谷 和らが執筆した。また進行型肝細胞癌に対し,分子標的薬が使用されることも多くなり,そのような症例でのdynamic造影CTやEOB造影MRIの活用について多くの症例を経験されている近畿大学の鶴﨑正勝先生に執筆していただいた。
 本企画では,さらに肝細胞癌の画像の読影を行ううえで,EOB造影MRIならどのシーケンスを重視してしているかについて大阪大学の大西裕満先生に執筆していただいた。また,乏血性肝細胞癌や境界病変をどのように診断し画像のfollow–upを行うのかについては浜松医科大学の市川新太郎先生に執筆していただいた。ご多忙のなか,執筆を担当していただいた先生方に誌面をお借りして感謝したい。本特集を読んでいただき,「発売後15年目に入ったEOB造影MRIが肝細胞癌の画像診断においてどのような位置を占めているのか?」をイメージしていただけるなら幸いである。

岡田真広
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目次

■特集1:絶対苦手分野にしない 市中肺炎の画像診断  企画・編集:岡田文人
序説  岡田文人
細菌性肺炎  室田真希子ほか
非定型肺炎  佐藤晴佳ほか
COVID–19肺炎  松迫正樹
ウイルス肺炎−COVID–19肺炎は除く−  田中伸幸
肺結核,非結核性抗酸菌症  氏田万寿夫
市中肺炎と鑑別すべき非感染性疾患  西本優子

■特集2:発売後15年目に入ったEOB造影MRIの使用法:dynamic造影CTとの共存  企画・編集:岡田真広
序説  岡田真広
肝細胞癌診断の実際−EOB造影MRIとdynamic造影CT−  大西裕満ほか
肝細胞癌リスク患者をEOB造影MRIとdynamic造影CTで画像診断するには?  市川新太郎ほか
肝細胞癌術前患者のEOB造影MRIとdynamic造影CT診断  渋谷 和ほか
進行肝細胞癌の治療前後の画像診断の役割−EOB造影MRIとdynamic造影CT−  鶴﨑正勝
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