2022年9月号 Vol.38 No.9

特集1:絶対苦手分野にしない 頭蓋底周辺の画像診断/特集2:若手医師に知ってもらいたい 放射線学的検査の被ばく管理

臨床画像 2022年9月号
定価 2,750円(税込) (本体2,500円+税)
  • B5判  136ページ  
  • 2022年8月26日刊行


序説(特集1:絶対苦手分野にしない 頭蓋底周辺の画像診断)

 頭蓋底領域は,5つの骨(前頭骨・篩骨・蝶形骨・側頭骨・後頭骨)で構成され,頭蓋内外の境界に位置し,多くの血管や神経の通過孔が存在する。上面は内頭蓋底とよばれ,前頭蓋窩・中頭蓋窩・後頭蓋窩の比較的平坦な3つの凹みを形成し,前頭葉の下面は前頭蓋窩に,側頭葉の下面は中頭蓋窩に,小脳の下面は後頭蓋窩にそれぞれ納まっている。一方,下面は外頭蓋底とされ,鼻副鼻腔・眼窩・上咽頭・口腔などが存在する。
 この領域に発生する疾患・病態は,頭蓋底に発生するもののほか,頭蓋内から進展するもの,頭蓋外から進展するものなど,多岐にわたり,また,解剖が複雑で,かつ,深部に位置するため,術式を含めた治療方針の決定において,CTやMRIを用いた画像診断の役割はとても大きいものとなる。
 また,頭蓋底周辺は,狭い領域に多くの血管や神経が走行し,見過ごすと深刻な状況に陥りかねない疾患・病態が潜んでいる可能性があるほか,良性疾患であっても機能的に重大な症状を引き起こす可能性があり,画像診断を的確に行って主治医へ報告することは大変重要である。
 画像診断の際にわれわれに求められるものは,解剖の知識,適切なモダリティや撮影条件の選択,異常所見の同定とその解釈,病変の広がりの評価,病変周囲の構造の状況把握など,大変幅広い。
 本特集では,頭蓋底領域の画像診断を行ううえで必要な正常解剖と撮影方法のほか,腫瘍性・非腫瘍性疾患や血管性疾患,外傷性疾患を対象に,画像診断を行ううえでおさえておくべき点を,貴重な症例の画像とともに,エキスパートの先生方に解説いただいた。どのテーマも,日常診療に大変役立つ充実した内容で,わかりやすく解説いただき,読者の先生方の診療の一助になるものと確信している。ページ数に限りがあるため,頭蓋底領域に発生しうるすべての疾患・病態を網羅することは困難であるが,代表的な疾患の典型的な画像所見をご紹介いただいており,頭蓋底領域の画像診断の全体像をつかんでいただけるものと考えている。
 最後に,お忙しいなかご執筆くださった先生方に,心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

東 美菜子

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序説(特集2:若手医師に知ってもらいたい放射線学的検査の被ばく管理)

 現代の医療において,単純X線写真・CT・核医学検査・IVRなどの放射線診療は,いうまでもなく疾患の診断,治療,予後予測などに不可欠のものである。放射線診療における被ばく管理は,放射線科医,診療放射線技師,看護師,事務担当者などからなるチームで行うべきものであるが,そのリーダーとしてチームを率いるべきは放射線科医である。従って,被ばく管理に関する知識およびマネジメント力は,放射線科医にとって必ず身に付けるべきものである。
 一方で,放射線専門医を目指す若手放射線科医は,疾患の診断や治療のための知識や技術の習得を優先し,ともすれば放射線診療における被ばく管理の勉強は後回しにしがちのようである。しかしながら,井上優介先生の論文に述べられているように,依頼医と共同して検査の正当性を判断し,さらにその検査結果が最適化されているかを判断できるのは放射線科医のみである。若手放射線科医は,ぜひこれらを肝に命じて,被ばく管理の知識を学んでいただきたい。蛇足ではあるが,最近の放射線専門医試験でも,毎年5題程度の医療放射線被ばくに関連する問題が出題されており,このことは日本医学放射線学会が若手放射線科医に被ばく管理の知識の習得を求めているという強いメッセージにほかならない。
 近年は,放射線診療の技術が高度化しているのに加え,大野和子先生の論文に述べられているような放射線リスクコミュニケーションの知識や技術も求められている。このため,被ばく管理に関する専門知識を習得するのは必ずしも容易ではないかもしれないが,本特集は最初の一歩を踏み出すのに役立つであろう。
 なお,本特集を一とおり読まれた読者は,日本医学放射線学会が発出している『診療用放射線に係る安全管理体制に関するガイドライン』1)およびそれに関する『Q and A 』2)にもお目通しいただきたい。また,日本医学放射線学会では,『診療用放射線の安全利用のための研修ビデオ』を公開しており,学会員であれば無償で利用することが可能である3)。ぜひこれらも利用して理解を深めていただきたい。

粟井和夫

参考
1)http://www.radiology.jp/member_info/guideline/20191129_01.html
2)http://www.radiology.jp/member_info/guideline/20191226_01.html
3)http://www.radiology.jp/member_info/news_member/20200630_01.html
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目次

■特集1:絶対苦手分野にしない 頭蓋底周辺の画像診断  企画・編集:東 美菜子
序説  東 美菜子
おさえるべき解剖と撮像法  渡邉嘉之
良性腫瘍  東 美菜子
頭蓋底周辺の悪性腫瘍  中川純一ほか
骨・軟骨領域の腫瘍性・非腫瘍性病変  青木柚菜ほか
炎症性疾患  大原有紗ほか
頭蓋底の血管病変  田上秀一ほか
外傷  小玉隆男

■特集2:若手医師に知ってもらいたい 放射線学的検査の被ばく管理  企画・編集:粟井和夫
序説  粟井和夫
総論  井上優介
CTにおける放射線被ばくとその防護  尾田済太郎
IVRにおける被ばくとその防護  室谷和宏ほか
核医学における被ばくとその防護  工藤 崇ほか
小児の放射線検査の放射線被ばくとその防護  宮嵜 治
被ばくに関する患者との情報共有  大野和子
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