臨床画像
2023年12月号 Vol.39 No.12
画像診断ガイドラインの使い方−トレーニングと症例集−

定価 2,750円(税込) (本体2,500円+税)
- B5判 140ページ
- 2023年11月26日刊行
電子版
序説
今回の特集では,『画像診断ガイドライン』をテーマにさせていただいたが,『画像診断ガイドライン』になじみの薄い読者もおられるかもしれない。そこで,最初に簡単に『画像診断ガイドライン』の変遷,今回の2021年版の特色であるGrading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)システムの考え方,想定読者の拡大に触れた後,本特集の目的・意図について述べたい。
日本医学放射線学会が発行している『画像診断ガイドライン』は,日本放射線科専門医会・医会による2003年の初版に始まり,2013年版からは,clinical question(CQ)を設定しエビデンスを吟味する,いわゆる診療ガイドラインの形式となった。この当時のガイドラインを作成する大きな動機は不必要な検査が行われている日常臨床を改善したいという思いであった。ただし,画像診断はその性質上,治療研究を主体としたガイドラインと異なり,ランダム化比較試験がほとんどないことから,エビデンスレベルは大部分が低いものに留まっていた。
その後,2016年版の改訂版ではCQやカバーする領域を拡大した。その次の段階では,「GRADEシステム」を取り入れた新しいEBM普及推進事業(Medical Information Distribution Service:Minds)の作成法を参考としており,現在の2021年版はこの新方式で作成した初めての『画像診断ガイドライン』となる。
GRADEシステムに基づいたガイドライン作成法の採用は,画像診断研究の位置付けを変えたという点で,大きな意義があったと考えている。そもそも従来の治療研究を主体とした考え方では,エビデンスのレベルはランダム化比較試験が最も高く,横断研究(画像診断研究の多くがあてはまる)はエビデンスが低いとされていた。他方,GRADEシステムに基づいた新しいガイドライン作成法では,システマティックレビューなどの二次研究は高い評価が得られ,より確からしく,より効果の大きいものが正しいと考えられる。横断研究というだけで評価が低くなるわけではないので,GRADEシステムの考え方の導入により画像診断分野のエビデンスは適切に評価できるようになったといえよう。
今回,想定読者も放射線診断医から一般の内科・外科の医師および診療放射線技師などのコメディカルにも拡大してガイドラインを作成した。より広い対象の,画像検査をオーダーする立場の医師に正しい情報を届けることが適切な検査オーダーにつながると考えられる。画像検査の正当化の必要性は長らく叫ばれてきたことであり,本ガイドラインがその一助となることを願っている。
ただ,本ガイドラインは今回も全部で140個弱のクエスチョンとなり,すべてに目を通すのは難しい。そのため,今回の特集号では,現場で使っていただくことを想定して,各領域から重要と思われるクエスチョンを執筆者に厳選いただき,実例・画像を示しながら解説していただいた。background question(BQ)を中心にこれは知っていただきたいということをまとめていただいたが,これはいわば2021年版ガイドラインのエッセンスともいえる。まずは,本誌でガイドラインの概要と要点を知っていただき,できるところから活用していただき,実際の『画像診断ガイドライン』を使っていただくきっかけとなれば幸いである。
最後に,冊子をベースとしてきた本ガイドラインであるが,ユーザー向けアンケートにおいてもWeb化・アプリ化への要望が挙がっており,新たな次世代のガイドラインに向けた動きについても触れた。
本特集が,『画像診断ガイドライン』を使ったことのある方にも,そうでない方にもお役に立てば幸いである。
片岡正子,工藤與亮
今回の特集では,『画像診断ガイドライン』をテーマにさせていただいたが,『画像診断ガイドライン』になじみの薄い読者もおられるかもしれない。そこで,最初に簡単に『画像診断ガイドライン』の変遷,今回の2021年版の特色であるGrading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)システムの考え方,想定読者の拡大に触れた後,本特集の目的・意図について述べたい。
日本医学放射線学会が発行している『画像診断ガイドライン』は,日本放射線科専門医会・医会による2003年の初版に始まり,2013年版からは,clinical question(CQ)を設定しエビデンスを吟味する,いわゆる診療ガイドラインの形式となった。この当時のガイドラインを作成する大きな動機は不必要な検査が行われている日常臨床を改善したいという思いであった。ただし,画像診断はその性質上,治療研究を主体としたガイドラインと異なり,ランダム化比較試験がほとんどないことから,エビデンスレベルは大部分が低いものに留まっていた。
その後,2016年版の改訂版ではCQやカバーする領域を拡大した。その次の段階では,「GRADEシステム」を取り入れた新しいEBM普及推進事業(Medical Information Distribution Service:Minds)の作成法を参考としており,現在の2021年版はこの新方式で作成した初めての『画像診断ガイドライン』となる。
GRADEシステムに基づいたガイドライン作成法の採用は,画像診断研究の位置付けを変えたという点で,大きな意義があったと考えている。そもそも従来の治療研究を主体とした考え方では,エビデンスのレベルはランダム化比較試験が最も高く,横断研究(画像診断研究の多くがあてはまる)はエビデンスが低いとされていた。他方,GRADEシステムに基づいた新しいガイドライン作成法では,システマティックレビューなどの二次研究は高い評価が得られ,より確からしく,より効果の大きいものが正しいと考えられる。横断研究というだけで評価が低くなるわけではないので,GRADEシステムの考え方の導入により画像診断分野のエビデンスは適切に評価できるようになったといえよう。
今回,想定読者も放射線診断医から一般の内科・外科の医師および診療放射線技師などのコメディカルにも拡大してガイドラインを作成した。より広い対象の,画像検査をオーダーする立場の医師に正しい情報を届けることが適切な検査オーダーにつながると考えられる。画像検査の正当化の必要性は長らく叫ばれてきたことであり,本ガイドラインがその一助となることを願っている。
ただ,本ガイドラインは今回も全部で140個弱のクエスチョンとなり,すべてに目を通すのは難しい。そのため,今回の特集号では,現場で使っていただくことを想定して,各領域から重要と思われるクエスチョンを執筆者に厳選いただき,実例・画像を示しながら解説していただいた。background question(BQ)を中心にこれは知っていただきたいということをまとめていただいたが,これはいわば2021年版ガイドラインのエッセンスともいえる。まずは,本誌でガイドラインの概要と要点を知っていただき,できるところから活用していただき,実際の『画像診断ガイドライン』を使っていただくきっかけとなれば幸いである。
最後に,冊子をベースとしてきた本ガイドラインであるが,ユーザー向けアンケートにおいてもWeb化・アプリ化への要望が挙がっており,新たな次世代のガイドラインに向けた動きについても触れた。
本特集が,『画像診断ガイドライン』を使ったことのある方にも,そうでない方にもお役に立てば幸いである。
片岡正子,工藤與亮
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目次
■特集:画像診断ガイドラインの使い方−トレーニングと症例集− 企画・編集:工藤與亮,片岡正子
序説 片岡正子,工藤與亮
脳神経領域のポイント
・はじめに 平井俊範
・発症時刻不明の脳梗塞に対する画像評価 篠原祐樹ほか
・びまん性軸索損傷(DAI) 高野雄大ほか
・側頭葉てんかんの画像診断 加賀谷理紗ほか
・アルツハイマー病 小路田泰之ほか
頭頸部領域のポイント 加藤博基
胸部領域のポイント 筒井 伸ほか
心血管領域のポイント
・はじめに 吉村宣彦
・冠動脈CTAの機能的評価:FFR-CT 倉田 聖
・左室肥大の診断におけるMRI(T1 map) 石田正樹
消化器(肝癌)領域のポイント 市川新太郎ほか
消化器(肝胆道)領域のポイント 尾崎公美ほか
消化器(膵)領域のポイント 戸島史仁ほか
消化器(消化管)領域のポイント 鶴丸大介ほか
婦人科領域の到達点と課題 田中優美子
泌尿器科領域のポイント 髙橋 哲
乳腺−画像診断ガイドライン 2021年版:2016年版からの変更点− 磯本一郎ほか
骨軟部領域のポイント 石野史晃ほか
小児領域のポイント 田波 穣
核医学・血液領域のポイント 土屋純一
次世代の画像診断ガイドライン−より広く届けるために− 片岡正子ほか
●連載
・何としても読んでもらいたい あの論文,この論文[第17回]
18F–FDGが腫瘍細胞のみならず炎症細胞に集まることを示す基礎的論文 西山佳宏
序説 片岡正子,工藤與亮
脳神経領域のポイント
・はじめに 平井俊範
・発症時刻不明の脳梗塞に対する画像評価 篠原祐樹ほか
・びまん性軸索損傷(DAI) 高野雄大ほか
・側頭葉てんかんの画像診断 加賀谷理紗ほか
・アルツハイマー病 小路田泰之ほか
頭頸部領域のポイント 加藤博基
胸部領域のポイント 筒井 伸ほか
心血管領域のポイント
・はじめに 吉村宣彦
・冠動脈CTAの機能的評価:FFR-CT 倉田 聖
・左室肥大の診断におけるMRI(T1 map) 石田正樹
消化器(肝癌)領域のポイント 市川新太郎ほか
消化器(肝胆道)領域のポイント 尾崎公美ほか
消化器(膵)領域のポイント 戸島史仁ほか
消化器(消化管)領域のポイント 鶴丸大介ほか
婦人科領域の到達点と課題 田中優美子
泌尿器科領域のポイント 髙橋 哲
乳腺−画像診断ガイドライン 2021年版:2016年版からの変更点− 磯本一郎ほか
骨軟部領域のポイント 石野史晃ほか
小児領域のポイント 田波 穣
核医学・血液領域のポイント 土屋純一
次世代の画像診断ガイドライン−より広く届けるために− 片岡正子ほか
●連載
・何としても読んでもらいたい あの論文,この論文[第17回]
18F–FDGが腫瘍細胞のみならず炎症細胞に集まることを示す基礎的論文 西山佳宏
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