臨床画像
2025年9月号 Vol.41 No.9
読影のお作法−連続画像スライスで追う頭頸部疾患の診断−

定価 2,970円(税込) (本体2,700円+税)
- B5判 112ページ
- 2025年8月26日刊行
電子版
序説
頭頸部は,限られた空間に複雑な解剖構造が密集する特殊な領域である。気道,消化管,神経,血管,骨格筋,腺組織など多様な組織が錯綜して配置され,微細な構造の集合体として機能する。この特殊性ゆえに,頭頸部疾患の画像診断には他領域以上の専門性と経験が求められる。
実際の読影において独立して診断できるようになるためには,できるだけ多くの症例画像を経験し,所見のとり方から診断推論に至るプロセスを体得する必要がある。しかしながら,国内において頭頸部疾患が豊富な施設は限られ,さらに,ある程度の読影数をこなすことが要求される現代の業務においては,良質な症例画像をじっくりと何度も連続画像スライスで詳細に観察できる機会は貴重である。また,従来の教科書や学術論文は,典型例のキー画像を中心とした解説が主流であり,疾患理解には有用である一方で,病変の立体的な広がり,周囲組織との関係,進展パターンの全体像を把握するには限界がある。
本特集号は,このような学習ニーズに応えるために企画された「画像診断のお作法−連続画像スライスで追う」シリーズの頭頸部疾患編である。頭頸部画像診断の専門家が厳選した良質な症例を,誌面のQRコードから全スライス画像にアクセスし,読者が自分自身で読影を行って考察することができる。その後に専門家の読み方と詳細な解説を確認でき,エキスパートがどのような視点で画像を観察し,どのような所見を重視し,どのような論理過程で診断に至るのかを学ぶことが可能となっている。
今回は,このような普段の読影に近い環境の模擬が可能となる企画を生かし,頭頸部癌,副鼻腔疾患,頭頸部外傷・救急疾患,側頭骨疾患など,日常診療で頻度の高い疾患に焦点をあてて構成した。頭頸部癌では,中咽頭癌,下咽頭・喉頭癌,口腔癌,上咽頭癌,頸部リンパ節転移を対象として,病期分類や治療方針決定に直結する画像所見が含まれた症例を提示・解説していただいた。例えば神経周囲進展の評価では,神経走行の解剖,微細な信号変化の検出,進展範囲の明確化,所見を正確に伝えるレポート作成など,多面的なスキルが要求されるが,本企画では連続スライス画像により実臨床に近い学習が可能となっている。副鼻腔疾患や頭頸部外傷・救急疾患,側頭骨疾患では,炎症性疾患から外傷まで幅広く取り上げていただいた。特に側頭骨疾患のような微細解剖を要する領域でも,薄切の連続観察によって見落としやすいポイントを繰り返して体系的に学ぶことがでできる。
大変お忙しいなか,いずれもこの分野の第一人者としてご活躍されている先生方に快くお引き受けいただき,素晴らしい特集となったことに心から感謝申し上げる。
本特集を,頭頸部疾患診断に携わる皆様の知識整理および実践的な読影力の向上にご活用いただければ幸いである。
久野博文
頭頸部は,限られた空間に複雑な解剖構造が密集する特殊な領域である。気道,消化管,神経,血管,骨格筋,腺組織など多様な組織が錯綜して配置され,微細な構造の集合体として機能する。この特殊性ゆえに,頭頸部疾患の画像診断には他領域以上の専門性と経験が求められる。
実際の読影において独立して診断できるようになるためには,できるだけ多くの症例画像を経験し,所見のとり方から診断推論に至るプロセスを体得する必要がある。しかしながら,国内において頭頸部疾患が豊富な施設は限られ,さらに,ある程度の読影数をこなすことが要求される現代の業務においては,良質な症例画像をじっくりと何度も連続画像スライスで詳細に観察できる機会は貴重である。また,従来の教科書や学術論文は,典型例のキー画像を中心とした解説が主流であり,疾患理解には有用である一方で,病変の立体的な広がり,周囲組織との関係,進展パターンの全体像を把握するには限界がある。
本特集号は,このような学習ニーズに応えるために企画された「画像診断のお作法−連続画像スライスで追う」シリーズの頭頸部疾患編である。頭頸部画像診断の専門家が厳選した良質な症例を,誌面のQRコードから全スライス画像にアクセスし,読者が自分自身で読影を行って考察することができる。その後に専門家の読み方と詳細な解説を確認でき,エキスパートがどのような視点で画像を観察し,どのような所見を重視し,どのような論理過程で診断に至るのかを学ぶことが可能となっている。
今回は,このような普段の読影に近い環境の模擬が可能となる企画を生かし,頭頸部癌,副鼻腔疾患,頭頸部外傷・救急疾患,側頭骨疾患など,日常診療で頻度の高い疾患に焦点をあてて構成した。頭頸部癌では,中咽頭癌,下咽頭・喉頭癌,口腔癌,上咽頭癌,頸部リンパ節転移を対象として,病期分類や治療方針決定に直結する画像所見が含まれた症例を提示・解説していただいた。例えば神経周囲進展の評価では,神経走行の解剖,微細な信号変化の検出,進展範囲の明確化,所見を正確に伝えるレポート作成など,多面的なスキルが要求されるが,本企画では連続スライス画像により実臨床に近い学習が可能となっている。副鼻腔疾患や頭頸部外傷・救急疾患,側頭骨疾患では,炎症性疾患から外傷まで幅広く取り上げていただいた。特に側頭骨疾患のような微細解剖を要する領域でも,薄切の連続観察によって見落としやすいポイントを繰り返して体系的に学ぶことがでできる。
大変お忙しいなか,いずれもこの分野の第一人者としてご活躍されている先生方に快くお引き受けいただき,素晴らしい特集となったことに心から感謝申し上げる。
本特集を,頭頸部疾患診断に携わる皆様の知識整理および実践的な読影力の向上にご活用いただければ幸いである。
久野博文
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目次
■特集:読影のお作法−連続画像スライスで追う頭頸部疾患の診断− 企画・編集:久野博文
【頭頸部癌病期診断】中咽頭癌 子安 翔
正常解剖①:病期分類,正常解剖②:治療方針などに関連する構造,CASE STUDY①:広範に筋浸潤をきたしたT4中咽頭癌,CASE STUDY②:中咽頭癌の両側多発リンパ節(LN)転移,CASE STUDY③:中咽頭癌の上咽頭収縮筋浸潤
【頭頸部癌病期診断】下咽頭癌・喉頭癌 内山雄介
下咽頭癌,喉頭癌
【頭頸部癌病期診断】口腔癌−各亜部位においてT分類評価の判定に迷うポイント,治療方針に関連する重要所見,治療後評価など− 山内英臣ほか
頬粘膜癌,下歯肉癌,舌癌
【頭頸部癌病期診断】上咽頭癌 檜山貴志
傍咽頭間隙進展,頭蓋底浸潤,頭蓋内進展,神経周囲進展(PNS),上咽頭癌の治療後再発
【頭頸部癌病期診断】頸部リンパ節転移 森下陽平
下咽頭癌の多発リンパ節転移(Rouvièreリンパ節転移を含む),HPV関連中咽頭癌の嚢胞性リンパ節転移,FDG–PETとCT/MRIを総合的に判断しステージングを行ったHPV関連中咽頭癌(cT2N1M0),節外浸潤を伴うリンパ節転移,下咽頭癌CRT後の再発病変
副鼻腔・鼻腔疾患 瀬古卓也ほか
急性副鼻腔炎,急性浸潤性真菌性副鼻腔炎,上顎洞癌,内反性乳頭腫
頭頸部外傷・救急疾患 冨田隼人
眼窩吹き抜け骨折,鼻骨骨折,頬骨上顎骨複合(ZMC)骨折,Le Fort Ⅲ型骨折,咽後膿瘍
側頭骨(中耳) 山城恒雄ほか
正常解剖,真珠腫性中耳炎,耳硬化症,側頭骨骨折
側頭骨(内耳・聴神経) 馬場 亮ほか
正常画像解剖,聴神経腫瘍,耳硬化症,迷路炎
●大腸編連載 あなたのための大腸CT
[第4回]Stage 4:平坦病変へチャレンジ! 鶴丸大介
【頭頸部癌病期診断】中咽頭癌 子安 翔
正常解剖①:病期分類,正常解剖②:治療方針などに関連する構造,CASE STUDY①:広範に筋浸潤をきたしたT4中咽頭癌,CASE STUDY②:中咽頭癌の両側多発リンパ節(LN)転移,CASE STUDY③:中咽頭癌の上咽頭収縮筋浸潤
【頭頸部癌病期診断】下咽頭癌・喉頭癌 内山雄介
下咽頭癌,喉頭癌
【頭頸部癌病期診断】口腔癌−各亜部位においてT分類評価の判定に迷うポイント,治療方針に関連する重要所見,治療後評価など− 山内英臣ほか
頬粘膜癌,下歯肉癌,舌癌
【頭頸部癌病期診断】上咽頭癌 檜山貴志
傍咽頭間隙進展,頭蓋底浸潤,頭蓋内進展,神経周囲進展(PNS),上咽頭癌の治療後再発
【頭頸部癌病期診断】頸部リンパ節転移 森下陽平
下咽頭癌の多発リンパ節転移(Rouvièreリンパ節転移を含む),HPV関連中咽頭癌の嚢胞性リンパ節転移,FDG–PETとCT/MRIを総合的に判断しステージングを行ったHPV関連中咽頭癌(cT2N1M0),節外浸潤を伴うリンパ節転移,下咽頭癌CRT後の再発病変
副鼻腔・鼻腔疾患 瀬古卓也ほか
急性副鼻腔炎,急性浸潤性真菌性副鼻腔炎,上顎洞癌,内反性乳頭腫
頭頸部外傷・救急疾患 冨田隼人
眼窩吹き抜け骨折,鼻骨骨折,頬骨上顎骨複合(ZMC)骨折,Le Fort Ⅲ型骨折,咽後膿瘍
側頭骨(中耳) 山城恒雄ほか
正常解剖,真珠腫性中耳炎,耳硬化症,側頭骨骨折
側頭骨(内耳・聴神経) 馬場 亮ほか
正常画像解剖,聴神経腫瘍,耳硬化症,迷路炎
●大腸編連載 あなたのための大腸CT
[第4回]Stage 4:平坦病変へチャレンジ! 鶴丸大介
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