臨床画像
2025年11月号 Vol.41 No.11
検査依頼に応えるMRI撮像プロトコル

定価 2,970円(税込) (本体2,700円+税)
- B5判 132ページ
- 2025年10月26日刊行
電子版
序説
「撮影」と「読影」が画像診断の両輪である。これは昔から画像診断に対する筆者の基本姿勢である。どちらか一方が欠けても,診断は正しく前に進まない。読影力がいかに優れていても,撮影が不十分であれば正しい答えにたどり着くことは難しく,逆にいくらよい画像が得られていても,読影が不十分であれば診断は誤った方向へと進んでしまう。両輪がそろってこそ,画像診断は本来の力を発揮することができる。
しかし現状を見渡すと,放射線科医の関心は「読影」に偏りがちである。研究会や雑誌では読影に関する知識が深く掘り下げられている一方,「撮影」を正面から取り上げる機会は多くない。むしろ,「撮影」は研究の題材として敬遠される傾向すらある。特にMRIは原理が複雑であるため,技師に任せきりになることが少なくない。だが,それでは画像診断は,正しく進むことができない。どんなに読影力を磨いても,適切に撮影(撮像)されていないMRI画像の前では無力である。
日常臨床で診断に迷うことは少なくない。そのとき「読影力をもっと磨けばよかった」と思うこともあれば,「撮影を工夫すれば病変がよりはっきりみえたのではないか」と気付かされることもある。実際,撮影に改善の余地があった例は決して少なくない。より高い診断精度を目指すうえで,適切な撮影プロトコルは画像診断の質を確実に高める力をもっている。
画像診断の標準化の必要性が叫ばれて久しいが,日本においてMRI撮像は本当に標準化されているだろうか。決してそうではない。病院数や装置台数が多く,性能にも大きな差がある現状では,標準化は容易ではないと感じられるかもしれない。しかし,ガイドラインで推奨される撮像プロトコルは決して特別なものではない。まずはその基本を理解し,確実に実践することが重要である。それだけでも,国内全体の診断精度は底上げされると期待される。
さらにMRIの魅力は,工夫次第で画質を大きく向上させられる点にある。筆者自身,技師の方々とともに撮像法を工夫し,従来より効率的かつ鮮明な画像を得てきた経験がある。特別な装置でなくても,よりよい画像を求める姿勢とアイディアさえあれば,MRIはそれに応えてくれる大きな可能性を秘めている。加えて,新しい技術も日進月歩で開発されており,その活用法を模索する試行錯誤はこれからも続くだろう。そうした創意工夫を重ねるためにも,やはり基本となる撮像プロトコルの理解が不可欠である。
こうした思いから,本特集を企画した。多忙のなかにもかかわらず執筆を引き受けてくださった各分野のエキスパートの先生方に,心より感謝を申し上げたい。本特集が読者にとって,画像診断の両輪の1つである「撮影」の重要性を改めて考えるきっかけとなり,日常診療における撮影プロトコルの向上に役立つことを願う。そして,各施設においてよりよいMRI画像が得られ,患者にとって最善の診断と治療につながることを期待している。
坪山尚寛
「撮影」と「読影」が画像診断の両輪である。これは昔から画像診断に対する筆者の基本姿勢である。どちらか一方が欠けても,診断は正しく前に進まない。読影力がいかに優れていても,撮影が不十分であれば正しい答えにたどり着くことは難しく,逆にいくらよい画像が得られていても,読影が不十分であれば診断は誤った方向へと進んでしまう。両輪がそろってこそ,画像診断は本来の力を発揮することができる。
しかし現状を見渡すと,放射線科医の関心は「読影」に偏りがちである。研究会や雑誌では読影に関する知識が深く掘り下げられている一方,「撮影」を正面から取り上げる機会は多くない。むしろ,「撮影」は研究の題材として敬遠される傾向すらある。特にMRIは原理が複雑であるため,技師に任せきりになることが少なくない。だが,それでは画像診断は,正しく進むことができない。どんなに読影力を磨いても,適切に撮影(撮像)されていないMRI画像の前では無力である。
日常臨床で診断に迷うことは少なくない。そのとき「読影力をもっと磨けばよかった」と思うこともあれば,「撮影を工夫すれば病変がよりはっきりみえたのではないか」と気付かされることもある。実際,撮影に改善の余地があった例は決して少なくない。より高い診断精度を目指すうえで,適切な撮影プロトコルは画像診断の質を確実に高める力をもっている。
画像診断の標準化の必要性が叫ばれて久しいが,日本においてMRI撮像は本当に標準化されているだろうか。決してそうではない。病院数や装置台数が多く,性能にも大きな差がある現状では,標準化は容易ではないと感じられるかもしれない。しかし,ガイドラインで推奨される撮像プロトコルは決して特別なものではない。まずはその基本を理解し,確実に実践することが重要である。それだけでも,国内全体の診断精度は底上げされると期待される。
さらにMRIの魅力は,工夫次第で画質を大きく向上させられる点にある。筆者自身,技師の方々とともに撮像法を工夫し,従来より効率的かつ鮮明な画像を得てきた経験がある。特別な装置でなくても,よりよい画像を求める姿勢とアイディアさえあれば,MRIはそれに応えてくれる大きな可能性を秘めている。加えて,新しい技術も日進月歩で開発されており,その活用法を模索する試行錯誤はこれからも続くだろう。そうした創意工夫を重ねるためにも,やはり基本となる撮像プロトコルの理解が不可欠である。
こうした思いから,本特集を企画した。多忙のなかにもかかわらず執筆を引き受けてくださった各分野のエキスパートの先生方に,心より感謝を申し上げたい。本特集が読者にとって,画像診断の両輪の1つである「撮影」の重要性を改めて考えるきっかけとなり,日常診療における撮影プロトコルの向上に役立つことを願う。そして,各施設においてよりよいMRI画像が得られ,患者にとって最善の診断と治療につながることを期待している。
坪山尚寛
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目次
■特集:検査依頼に応えるMRI撮像プロトコル 企画・編集:坪山尚寛
脳神経MRI 有澤亜津子
頭頸部MRI 藤間憲幸
心血管MRI 橋村宏美ほか・常田慧徳
乳房MRI 後藤眞理子
肝胆膵MRI 尾崎公美ほか
泌尿器MRI 松谷裕貴ほか
婦人科MRI 蟹江悠一郎
産科MRI 豊里 駿ほか
消化管MRI−MR enterographyの適応と前処置・撮像方法− 山村定弘ほか
消化管MRI(直腸癌MRI) 坪山尚寛ほか
骨軟部腫瘍・腫瘍類似病変のMRI 藤咲 舞ほか
小児・胎児MRI 田原潤子ほか
MRI検査前のチェック項目およびリスク因子に対する対応 山本晃義ほか
●大腸編連載 あなたのための大腸CT
[第6回]Stage 6:3D表示法を使いこなそう! 鶴丸大介
●連載 画像診断研究のための統計学
[第2回]同等性と非劣性 新谷 歩,兵頭朋子
●新連載 若手放射線科医のための放射線基礎講座
連載をはじめるにあたって 粟井和夫
【第Ⅰ章 X線物理および放射線防護】
[第1回]X線発生装置の原理・構造・種類と用途に応じた使い分け 井手口忠光
脳神経MRI 有澤亜津子
頭頸部MRI 藤間憲幸
心血管MRI 橋村宏美ほか・常田慧徳
乳房MRI 後藤眞理子
肝胆膵MRI 尾崎公美ほか
泌尿器MRI 松谷裕貴ほか
婦人科MRI 蟹江悠一郎
産科MRI 豊里 駿ほか
消化管MRI−MR enterographyの適応と前処置・撮像方法− 山村定弘ほか
消化管MRI(直腸癌MRI) 坪山尚寛ほか
骨軟部腫瘍・腫瘍類似病変のMRI 藤咲 舞ほか
小児・胎児MRI 田原潤子ほか
MRI検査前のチェック項目およびリスク因子に対する対応 山本晃義ほか
●大腸編連載 あなたのための大腸CT
[第6回]Stage 6:3D表示法を使いこなそう! 鶴丸大介
●連載 画像診断研究のための統計学
[第2回]同等性と非劣性 新谷 歩,兵頭朋子
●新連載 若手放射線科医のための放射線基礎講座
連載をはじめるにあたって 粟井和夫
【第Ⅰ章 X線物理および放射線防護】
[第1回]X線発生装置の原理・構造・種類と用途に応じた使い分け 井手口忠光
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