HeartView新装改訂版

心電図を読む

心電図を読む

■監修 矢崎 義雄

■編集 相澤 義房

定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
  • B5判  274ページ  2色
  • 2004年2月27日刊行
  • ISBN978-4-7583-0117-6

心電図のわかりやすい判読の手引き書をお手元に

Heart View増刊号として2001年10月に刊行された本書であるが,読者のご好評を得,掲載されている執筆内容への追加・訂正等をし,新装改訂版として刊行することとなった。
本書は心電図読解のための波形の基礎から,各疾患の読解の実際まで詳細に記述されており,本書により,心電図の読み方を改めて修得していただき,心電図が有する所見の臨床的な重要性を理解し,実際の診療に反映していただければ幸いである。


序文

 近年飛躍的な進歩を遂げている循環器疾患の診療において,心電図がその病態の正確な把握と診断に依然大きな役割を果していることは広く認められているところである。心筋の微弱な電気活動を増幅して体表よりとらえる古典的な方法も,先端技術の導入とコンピュータを利用したシステムを用いることによって情報処理が定量化され,きわめて安定した精度の高い心筋活動電位の波形が得られるよう画期的に進歩している。一方では,機器の軽量化と使いやすさが追求され,さらには価格の低下も図られて,良質の心電計が一般臨床の場に今日では広く普及している。
 心臓を構成する個々の心筋細胞の活動電位の総和として表される心電図は,電気的刺激の伝幡をとらえるばかりでなく,当然ながら心筋細胞の虚血や炎症などによる障害や肥大,拡張といった病態に関する膨大な情報が組み込まれており,単純な波形からも数多くの所見を読みとることが可能である。また,患者になんら侵襲を加えることなく,どのような病態においても記録が可能なこと,さらには記録にあたって電極の位置が正確であれば特別に熟練した技術を要することなく,誰でもどこでも同じ心電図波形が得られることからも臨床的な有用性がきわめて高い生理検査法であるといえる。したがって,循環器疾患以外のどのような疾患であっても,心臓に影響を及ぼすことが予測されるような病態では必ず記録すべきルチーンの臨床検査になっている。
 そこで,心電図に関する基礎知識を修得し,実際の症例にあたって的確に検査を進めるとともに,得られた心電図波形から可能な限りの情報を正確に読みとることが広く一般臨床医に求められ,特に臨床研修医にとって修得しなければならない必須の課題になっている。
 本誌「Heart View」は,循環器疾患に関する最新の情報を「診る」「識る」「治す」の三項目にまとめ,まず病態を的確に把握するための知識は「診る」の項目に,背景に存在する病態生理を理解するために必要な知識は「識る」にまとめ,その理解のもとで病態に的確に反応する治療に関する知識を「治す」の項目にまとめて簡潔に,そして実践的に解説し,循環器専門医ばかりでなく,一般臨床医や臨床研修医も視野に入れて,これらの知識が実際の症例にあたって自由に使いこなせるように修得されるべく企画編集してきたところである。専門的で高度な知識も「Expertise」として意識的に取り上げてきた。幸いに循環器疾患の臨床能力を高めるうえで資するところが大きいとして好評を得ていることも,このような編集方針が理解されたものと期待している。
 そこで,この度は増刊号において従来の疾患を中心とした企画とは異なり,「心電図を読む」というテーマで,心電図を読むうえで必要な限りの情報を収集して取捨選択し,基本的な知っておくべき事項から,心筋の病態を読みとるのに必須の所見まで整理し,今日第一線で活動しておられる専門医の方々に実践的な解説をお願いした。また,高度で専門的な知識は「メモ」として心電図の将来の展望として興味あるトピックスを取り上げていただいた。
 心電図は心臓のダイナミックな病態を直接反映する所見である。最近の心エコー図を中心とした循環器病学における画像診断法の著しい進展により,心電図の臨床的な有用性が後退しているような印象をもたれる方もあるように思うが,本誌により,心電図の読み方を改めて修得されてその有する所見の臨床的な重要性を理解いただき,実際の診療に反映させていただければ大変幸甚に思うところである。
 幸いに増刊号は大変好評であり,さらにこれを広く心電図のわかりやすい判読の手引き書として活利用されるように書籍化することへのご要望があって,今回単行本として出版されるところとなった。
 最後に,増刊号の企画・構成をお願いし,また新装版としての本書発行をご承認いただいた相澤義房新潟大学教授に,編集委員会を代表し深甚の感謝を申し上げたい。
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目次

I.心電図の読み方
  基本波形の成り立ちと心臓興奮との関連  阪部優夫,井上 博
  心電図診断・記述  相澤義房
II.洞性P波の形態と異常
  波形・形態 
    正常  岩坂壽二,宮坂陽子,高田厚照
    心房肥大・負荷  岩坂壽二,宮坂陽子,高田厚照
  レート・リズム 
    正常  中尾功二郎,矢野捷介
    頻脈(洞性リエントリー)  中尾功二郎,矢野捷介
    徐脈(洞不全症候群)  久賀圭祐
III.異所性心房興奮
  波形・形態  杉浦 亮,庄田守男
  起源の推定  谷崎剛平,庄田守男
  心房頻拍  真中哲之,庄田守男
  心房細動  熊谷浩一郎
  ■メモ:波長の概念  熊谷浩一郎
  心房粗動  庭野慎一,小嶋時昭
IV.房室・室房伝導
  房室ブロック  峰田自章,中田八洲郎
  過常房室伝導  鈴木文男
  副伝導路  五十嵐知規,佐々木真吾,奥村 謙
  房室結節性リエントリー  櫻田春水
  室房伝導  安部 剛,相良耕一
  ■メモ:房室解離   峰田自章,中田八洲郎
  ■メモ:Enhanced AV nodal conductionとLown-Ganong-Levine(LGL)症候群  鈴木文男
  ■メモ:減衰伝導  本川克彦,鈴木文男
V.QRS波とその異常
  正常  前原和平,丸山幸夫
  ■メモ:融合収縮(fusion beat)  大久保豊幸,山科 章
  低電位  渡辺一郎
  肥大  星山行基,三田村秀雄
  ■メモ:心室興奮到達時間(ventricular activation time;VAT)   星山行基,三田村秀雄
  梗塞  生天目安英,山科 章
  脚ブロック,脚枝ブロック  加藤貴雄
  心室内伝導障害  戸叶隆司,中田八洲郎
  心室頻拍  加藤貴雄
  心室細動  村川裕二
  ■メモ:Torsade de Pointes(TdP)  村川裕二
VI.ST - Tとその異常
  正常と正常亜型  飯沼宏之
  虚血(運動負荷陽性基準)  藤原慶正,三浦 傅
  心室肥大に伴う変化(ストレイン型)  渡辺英一,菱田 仁
  ■メモ:S1S2S3パターンの意義  渡辺英一,菱田 仁
  伝導障害に伴う変化  白井徹郎
  ジギタリス効果  佐原 真,山下武志
  ■メモ:鏡像関係  藤原慶正,三浦 傅
  巨大陰性T波  廣木忠行
  ■メモ:ventricular gradient   飯沼宏之
  ■メモ:一次性変化と二次性変化  飯沼宏之
VII.QT間隔の異常  高橋尚彦,犀川哲典
VIII.U波とその異常
  正常  因田恭也,高田康信,平井真理
  異常  平井真理,赤星 誠
IX.心電図の解釈
  先天性心疾患(心房中隔欠損,心室中隔欠損,動脈管開存,Fallot四徴,Ebstein奇形)  門間和夫
  弁膜症(僧帽弁狭窄,僧帽弁逆流,大動脈弁狭窄,大動脈弁逆流)  片桐 敬,木庭新治,角田史敬
  冠攣縮性狭心症  坂本知浩,小川久雄
  心筋梗塞  門田一繁,光藤和明
  肥大型心筋症  井川 修,久留一郎
  拡張型心筋症  村田麻里子,原田雅彦,松崎益徳,清水昭彦
  肺性心  安部 智,鄭 忠和
  高度房室ブロック  山縣俊彦,清水昭彦
  洞不全症候群  松田直樹
  発作性上室頻拍  丹野 郁,小林洋一
  WPW症候群  藤木 明
  特発性心室頻拍  田中一司,佐竹修太郎
  催不整脈性右室心筋症  平澤元朗,高田重男
  Brugada症候群  鎌倉史郎
  QT延長症候群−致死性不整脈に対する新しいストラテジー−  堀江 稔
  心筋炎  谷口正幸,望月正武
  心膜炎  須賀 幾,松本万夫
  電解質異常と心電図  杉  薫
  薬物と心電図変化  相庭武司,清水 渉
  小児の心電図  新村一郎
  ペーシング心電図  野崎 彰
付録
  検査法
    負荷心電図法  桂川正幸,神原啓文
    ホルター心電図  田邉晃久
    電気生理検査  大江 透
    体表面電位記録検査  小沢友紀雄
  治療法
    薬物治療  佐藤敏彦,小川 聡
    非薬物療法  相澤義房
    ペーシングの植え込み適応  石川利之
    一次ペーシングの適応  児玉和久,水野裕八
    カテーテルアブレーションの適応  家坂義人
    ICDの植え込み適応  池主雅臣,杉浦広隆
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