産婦人科手術

産婦人科手術 No.18

低侵襲と機能温存

産婦人科手術 No.18

■編集 日本産婦人科手術学会

定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
  • B5判  228ページ  
  • 2007年6月7日刊行
  • ISBN978-4-7583-0545-7

日本産婦人科手術学会機関誌

2006年11月25日に「低侵襲・機能温存」をテーマとして東京で開催された第29回産婦人科手術学会の主題,一般演題,特別講演,企画記事などを掲載している。


序文

 私は子供の頃に,亡くなった父から「外科系の医者の修練は大工さんの弟子が師匠の下で厳しく修業しているのと同じだよ」とよく言って聞かされました。事実,私も昭和40年頃に故小島秋教授の門下に入った時,クーパーで腕をびしっと何回か叩かれたことがあり,手術中は怖く厳しい雰囲気で仕込まれました。また,当時は先輩は手技やコツは盗んで憶えるものだといってなかなか教えてくれなかったものですが,今は優れた判り易い手術書や局所解剖書が多くあり,またビデオなどを見て繰り返し勉強できることから,修練期間はずいぶん短縮したように思われます。そして,麻酔法の進歩もあって名人芸的手術よりもより正確で安全な手術が求められるようになりました。しかし,手術初心者の指導の際には,器具の使い方,心構え,局所構造など丁寧に教えることが重要であることはいうまでもなく,大阪医科大学では新入局員が開腹術を全員経験した時には彼らが『初ラパのお祝い会』を主催し,教授や先輩を招いて会食をし,その時に教授や先輩から「手術とは…」という訓話を聞きます。これも上達には欠かせないもので,一生の想い出になる行事です。
 さて,この度は伝統ある第29回日本産婦人科手術学会を平成18年11月25日に大阪のリーガロイヤルホテルにて開催させて頂きました。本学会は手術手技の実践的な面,即ち新しい手技の開発・改良や,器具の開発・改良などを中心に発表し議論をする場であり,本邦の産婦人科手術学の発展に寄与して参りました。医師にとってすべての医療技術,とりわけ手術に対する判断,術式の選択や技量は我々の大きな財産であります。加えて,近年,医療に対する安全性や入院期間の短縮と早い社会復帰が社会で強く求められており,その観点から本学会の果たす役割は大きいといえます。
 今回,学会では低侵襲・機能温存手術を主題として一般演題を募集しましたところ64題もの応募があり,主催者としては大きな喜びでした。充実した内容で広い分野にわたって頂戴致しましたが,主旨・領域の揃った演題群をシンポジウム1として「婦人科悪性腫瘍における低侵襲・機能温存の工夫」,シンポジウム2に「腹腔鏡下手術における低侵襲と機能温存の追求」,さらにワークショップとして「子宮腺筋症の核出術の工夫」にまとめ,それぞれ熱心にご討議頂きました。
 特別講演としては,大阪医科大学一般・消化器外科学助教授の奥田準二先生が「最新の腹腔鏡下大腸癌手術の紹介と骨盤内手術への応用」をご講演して下さいましたが,彼は日本でも有数の腹腔鏡下手術症例を経験し,海外各地とのliveでの手術紹介を通じても高名で,今回は産婦人科領域への応用にも触れて頂きました。要望講演には「子宮体癌に対する準広汎子宮全摘術と後腹膜リンパ節郭清」について櫻木範明教授に,教育講演には吉川裕之教授に「子宮頸癌広汎性手術の留意点」を,古山将康部長に「メッシュを利用した性器脱の外科治療」をご講演頂き,それぞれ参加者にとって有益であったと思われます。さらにランチョンセミナーでは2題準備して,食事をしながらお話を楽しみました。
 今回,皆様が手術の安全性と早期回復を心掛けておられる時期に低侵襲性・機能温存手術を主題とさせて頂いたことで,340余名という例年より多いご参加を頂き,熱心なご発表と活発で実践的なご討論が行われたことに御礼申し上げ,ご挨拶と致します。

第29回日本産婦人科手術学会
会長 植木 實
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目次

巻頭言  第29回日本産婦人科手術学会  会長 植木 實  
婦人科悪性腫瘍手術における低侵襲・機能温存の工夫
 浸潤子宮頸癌に対する子宮温存手術—広汎性子宮頸部切除術式とその予後—  安藤正明ほか
 低侵襲の大動脈周囲リンパ節郭清を目指して—特に326b1左側領域の工夫—  加藤友康
 広汎性子宮全摘出時の膀胱・直腸腹膜による腟円蓋形成の試み  野河孝充
 低侵襲手術としての広汎子宮全摘術における神経温存法とその予後  吉田信隆ほか
 BiClampは低侵襲手術のニューリーダーとなりうるか  長多正美
 ディスカッション1  
腹腔鏡下手術における低侵襲と機能温存の追求
 子宮内膜症に対する低侵襲と機能温存を目指した腹腔鏡下手術  奥田喜代司ほか
 腹腔鏡下筋腫核出術  武内裕之
 腹腔鏡下子宮全摘術—再建術併用による開腹移行の低減と機能温存  安藤正明
 低侵襲手術による卵管性不妊の治療—IVF-ETの成績向上に必要な卵管形成術—  長田尚夫
 "低侵襲,機能温存を目的とした腹腔鏡下卵管妊娠保存手術"  明楽重夫
 ディスカッション2  
教育講演   
 メッシュを利用した性器脱の外科治療  古山将康ほか
 腹式広汎子宮全摘術の留意点  吉川裕之
ワークショップ   
 子宮筋3重フラップ法による重症子宮腺筋症摘出術79例の効果とその意義  長田尚夫
一般講演   
 Minimal Incisionによる多発・巨大子宮筋腫の低侵襲核出術の工夫  佐藤孝道
企画記事   
 産婦人科領域における止血のための動脈塞栓術  田村正明ほか
 前回帝王切開後の前置胎盤と癒着胎盤に対する対処法  寺尾泰久ほか
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