楽しく学ぶ
肺の検査と酸素療法
改訂版

定価 3,300円(税込) (本体3,000円+税)
- A5判 224ページ 2色
- 2007年2月28日刊行
- ISBN978-4-7583-0680-5
序文
本書の出版からすでに5年が経ちました。この間,多くのかたから本書に対する感想をいただきました。いずれも,従来の解説書に比べて,大変分かり易く,かつ,読んでおもしろいと,お褒めの言葉でした。1冊の本を世にだす喜びと同時に責任を感じた次第です。幸いにも読者に好意的に受け入れられた結果,増刷を重ねることができ,今回,念願の改訂版を出すことができました。
本書は私にとって初めての単著ということもあり,5年前に初版を出した時から次の改訂を考えていました。そのため,普段の講義や臨床の中で良いアイデアが浮かんだ時は,その都度,初版の該当ページに書き込んできました。本書は私なりの“ノウハウの蓄積”と思っています。結局,改訂版は初版に比べ,ページ数で40パーセント近く増えてしまいました。
今回の改訂で特に力をいれた所は,読み物としての性格を一部に入れること,読者が肺の生理を正しく理解し,呼吸機能検査を実施し,かつ,結果を解釈できること,酸素療法の理論を理解し,実践できること,などです。そのため,呼吸機能検査の項を増やしただけでなく,検査の具体的手技についても加筆しました。また,血液ガス分析についてはページ数を大幅に増やし,理解を深めるようにしました。さらに,これらの理解をより確実なものとするために,身近なものを利用して,読者自身が行う実験コーナーを設けました。きっと,呼吸機能検査が楽しくなると思います。
また,代表的呼吸器疾患を理解してもらうために「Topics(トピックス)」として,COPD,肺結核,誤嚥性肺炎,旅行者血栓症,睡眠時無呼吸症候群などの解説を加えました。いずれも見開,完結ですので,気楽に読んでいただけると思います。これら呼吸器疾患から呼吸生理と呼吸機能検査の関係を理解していただければと思います。
本書は,はじめから順に読み進める必要はありません。まずは,寝転がってコーヒーブレイクやトピックスから読み始めてください。実験から始めても楽しいと思います。そこから,興味ある章へ移ってください。きっと,呼吸機能検査が楽しくなると思います。
最後に本書が呼吸機能検査や酸素療法の入門書として活用され,皆さんのお役にたてることを願っております。
2007年2月
宮本顕二
本書は私にとって初めての単著ということもあり,5年前に初版を出した時から次の改訂を考えていました。そのため,普段の講義や臨床の中で良いアイデアが浮かんだ時は,その都度,初版の該当ページに書き込んできました。本書は私なりの“ノウハウの蓄積”と思っています。結局,改訂版は初版に比べ,ページ数で40パーセント近く増えてしまいました。
今回の改訂で特に力をいれた所は,読み物としての性格を一部に入れること,読者が肺の生理を正しく理解し,呼吸機能検査を実施し,かつ,結果を解釈できること,酸素療法の理論を理解し,実践できること,などです。そのため,呼吸機能検査の項を増やしただけでなく,検査の具体的手技についても加筆しました。また,血液ガス分析についてはページ数を大幅に増やし,理解を深めるようにしました。さらに,これらの理解をより確実なものとするために,身近なものを利用して,読者自身が行う実験コーナーを設けました。きっと,呼吸機能検査が楽しくなると思います。
また,代表的呼吸器疾患を理解してもらうために「Topics(トピックス)」として,COPD,肺結核,誤嚥性肺炎,旅行者血栓症,睡眠時無呼吸症候群などの解説を加えました。いずれも見開,完結ですので,気楽に読んでいただけると思います。これら呼吸器疾患から呼吸生理と呼吸機能検査の関係を理解していただければと思います。
本書は,はじめから順に読み進める必要はありません。まずは,寝転がってコーヒーブレイクやトピックスから読み始めてください。実験から始めても楽しいと思います。そこから,興味ある章へ移ってください。きっと,呼吸機能検査が楽しくなると思います。
最後に本書が呼吸機能検査や酸素療法の入門書として活用され,皆さんのお役にたてることを願っております。
2007年2月
宮本顕二
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目次
I 肺の構造とはたらき
肺の構造
肺のはたらき
吸気と呼気
死腔換気量と肺胞換気量
肺胞換気量とPaCO2−肺胞換気式−
肺胞気酸素分圧とPaO2−肺胞気式−
肺胞気酸素分圧と動脈血酸素分圧
ガス交換
換気と血流のバランス
拡散
右→左シャント
肺循環
肺循環は低圧系
肺循環は低抵抗系
II スパイロメトリー
測定方法
肺活量と肺気量分画
肺活量(VC)
努力呼出曲線
肺活量>努力肺活量−空気とらえこみ現象−
1秒量,1秒率
換気障害の分類と疾患
最大換気量(MVV)
フロー・ボリューム曲線
フロー・ボリューム曲線とは
パターンの判定
得られる諸指標
検査の実際
検査結果の読み方
機能的残気量(FRC)の測定
III 呼吸筋力の測定
最大呼気口腔内圧と最大吸気口腔内圧
測定の実際
Topics 1 喫煙とCOPD
IV ピークフロー
ピークフローとは
測定方法
判定方法
実際の記録と対処法
V 血液ガス分析
血液ガス
PaO2の正常値
肺胞気・動脈血酸素分圧較差
PaO2/FIO2
PaO2と酸素飽和度
血液に含まれる酸素の量
PaO2の上昇の程度と酸素運搬の増加の程度
ボーア効果1
ボーア効果2
チアノーゼ
PaO2の正常値
血液ガスからみた肺のはたらき
pH
検査結果の読み方
急性の低酸素血症の場合
慢性の低酸素血症の場合
急性のアルカリ血症の場合
動脈血採血の検体の取り扱い方
付)呼吸不全の定義について
VI パルスオキシメータ
パルスオキシメータとは
パルスオキシメータの利用法
Topics 2 高齢者の肺炎
VII 息切れ(呼吸困難)の評価方法
MRC息切れスケール
フレッチャー,ヒュー・ジョーンズ分類
VAS, Borg scaleと修正Borg scale
Topics 3 肺結核
VIII 運動負荷試験
6分間歩行試験
シャトル歩行試験
運動負荷検査標準法(トレッドミル法とエルゴメータ法)
Topics 4 睡眠時無呼吸症候群
IX 酸素療法
酸素療法とは
酸素吸入の実際
酸素投与方法の種類
低流量システム
高流量システム
リザーバシステム
ベンチュリ・マスクと鼻カニュラの長所と短所
酸素の加湿は必要?
高濃度酸素吸入による肺傷害(酸素中毒)
在宅酸素療法(HOT)
Topics 5 旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)
付録
喘息の管理目標,定義,病型,診断,重症度
ピークフロー標準予測値 早見表
クリニカル・パス
主な呼吸検査機器一覧
主な在宅酸素療法機器一覧
参考図書
肺の構造
肺のはたらき
吸気と呼気
死腔換気量と肺胞換気量
肺胞換気量とPaCO2−肺胞換気式−
肺胞気酸素分圧とPaO2−肺胞気式−
肺胞気酸素分圧と動脈血酸素分圧
ガス交換
換気と血流のバランス
拡散
右→左シャント
肺循環
肺循環は低圧系
肺循環は低抵抗系
II スパイロメトリー
測定方法
肺活量と肺気量分画
肺活量(VC)
努力呼出曲線
肺活量>努力肺活量−空気とらえこみ現象−
1秒量,1秒率
換気障害の分類と疾患
最大換気量(MVV)
フロー・ボリューム曲線
フロー・ボリューム曲線とは
パターンの判定
得られる諸指標
検査の実際
検査結果の読み方
機能的残気量(FRC)の測定
III 呼吸筋力の測定
最大呼気口腔内圧と最大吸気口腔内圧
測定の実際
Topics 1 喫煙とCOPD
IV ピークフロー
ピークフローとは
測定方法
判定方法
実際の記録と対処法
V 血液ガス分析
血液ガス
PaO2の正常値
肺胞気・動脈血酸素分圧較差
PaO2/FIO2
PaO2と酸素飽和度
血液に含まれる酸素の量
PaO2の上昇の程度と酸素運搬の増加の程度
ボーア効果1
ボーア効果2
チアノーゼ
PaO2の正常値
血液ガスからみた肺のはたらき
pH
検査結果の読み方
急性の低酸素血症の場合
慢性の低酸素血症の場合
急性のアルカリ血症の場合
動脈血採血の検体の取り扱い方
付)呼吸不全の定義について
VI パルスオキシメータ
パルスオキシメータとは
パルスオキシメータの利用法
Topics 2 高齢者の肺炎
VII 息切れ(呼吸困難)の評価方法
MRC息切れスケール
フレッチャー,ヒュー・ジョーンズ分類
VAS, Borg scaleと修正Borg scale
Topics 3 肺結核
VIII 運動負荷試験
6分間歩行試験
シャトル歩行試験
運動負荷検査標準法(トレッドミル法とエルゴメータ法)
Topics 4 睡眠時無呼吸症候群
IX 酸素療法
酸素療法とは
酸素吸入の実際
酸素投与方法の種類
低流量システム
高流量システム
リザーバシステム
ベンチュリ・マスクと鼻カニュラの長所と短所
酸素の加湿は必要?
高濃度酸素吸入による肺傷害(酸素中毒)
在宅酸素療法(HOT)
Topics 5 旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)
付録
喘息の管理目標,定義,病型,診断,重症度
ピークフロー標準予測値 早見表
クリニカル・パス
主な呼吸検査機器一覧
主な在宅酸素療法機器一覧
参考図書
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ガイドライン改訂に合わせて内容を大幅アップ。肺の検査と酸素療法を識るにはまずこの一冊から
2002年に本書の初版が刊行されて以降,その基礎となる「呼吸機能検査ガイドライン」および「酸素療法ガイドライン」の改訂版が発行された。それに伴い,初版の内容が現状に合わなくなったため改訂することになった。今回の改訂では,そのガイドラインに準拠して書き改めるとともに,「呼吸筋力の測定」「体プレチスモグラフ」などを追加,また「スパイロメトリー」「血液ガス分析」など従来の項目の内容も大幅にアップした。初版同様,肺の検査(スパイロメトリー,ピークフロー,血液ガス分析ほか)と酸素療法について,図を多用してわかりやすく解説する。難解な理論や計算が多くてとかく敬遠しがちな呼吸器の検査を識るのに絶好の書籍である。