NS NOW No.10

後頭蓋窩手術

これだけは知っておこう

後頭蓋窩手術

■担当編集委員 大畑 建治

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • A4判  172ページ  2色(一部カラー),イラスト100点,写真50点
  • 2010年3月19日刊行
  • ISBN978-4-7583-0917-2

難易度が高い後頭蓋窩疾患の手術手技をイラストで分かりやすく解説

経験豊かな術者たちによる後頭蓋窩疾患に対するテント上・下の手術方法を紹介。日常診療での頻度は高くなく,また少し難易度が高いため敬遠されがちであるが,血管内治療や定位的放射線治療で解決できる疾患には限りがあり,また一人前の脳神経外科医になるには避けて通れない領域である。
本書は体位やモニタリング,画像診断方法などの『基礎知識編』と動脈瘤,髄外腫瘍,髄内腫瘍,MVDなどの後頭蓋窩疾患を網羅した『疾患別手術編』としており,この1冊で後頭蓋窩疾患の手術をマスターできる構成となっている。

■シリーズ編集委員
寺本 明/新井 一/塩川芳昭/大畑建治


序文

 Neurosurgery NOW(NS NOW)は今回で記念すべき第10号の発行を迎えるにあたり,後頭蓋窩手術をテーマとして取り上げた。後頭蓋窩手術は日常診療での頻度は高くなく,またテント上手術より難易度が高いため,いわゆる低侵襲的な血管内治療や定位的放射線治療に押されている感がある。しかし,一人前の脳神経外科医になるには,そして適切な医療を提供するには避けて通れない領域であり,まさにこの“狭くて深い”必須領域の実践入門書として本書を企画した。後頭蓋窩手術の対象疾患には顔面痙攣などの機能的疾患から無症候腫瘍,脳幹障害を伴う髄内・外腫瘍や脳血管障害までの多岐にわたり,狭い範囲の後頭蓋窩手術をさらに複雑難解なものに見せている。しかし,各手術には共通した要点があるはずであり,この観点から<これだけは知っておこう>の副題を付けた。
 後頭蓋窩には,小脳を中心として脳幹,脳神経,脳底動脈などのvital structureが狭い空間に密集し,多くの手術において閉所感のある窮屈な操作が余儀なくされる。また,いったん合併症を生じれば原疾患の軽重に関わらず厳重な術後管理が求められる。硬膜閉鎖ひとつをとっても安易な縫合は必ず髄液漏を来たし,また術後出血や脳挫傷は一気に上行性ヘルニアや小脳扁桃ヘルニアを引き起こし生命維持に不可逆的な状態をもたらす。まさに後頭蓋窩手術はtightropeを渡るような気が抜ける瞬間のない手術であり,テント上手術とは違った考え方,手技が求められる領域である。このような手術をより安全に行うためには,術前の詳細な画像診断,適切な体位と開頭,手術早期での髄液の排除,小脳の安全な圧排など,さまざまな技やコツが必要である。
 本書では,術前診断,体位,モニタリングを始めとして,脳血管障害,髄内髄外腫瘍,神経減圧術などの後頭蓋窩疾患全般を網羅した。疾患横断的に,異なった疾患領域のsubspecialityを持つベテランの先生方に寄稿をお願いし,後頭蓋窩手術の基本を要約して頂いた。各章には“体位”,“髄液”,“water-tight”などの文字が頻繁に現れる。本書を読み込むことにより,各章を貫く,共通したエッセンスを読者の皆様に見つけ出していただければ幸いである。

2010年3月
大畑建治
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目次

I 後頭蓋窩手術の基礎知識    

 体位の基本   中冨浩文
  後頭蓋窩手術における体位の基本  
   ■体位の基本コンセプト 
   ■後頭蓋窩手術のための手術台の理解とセットアップ 
  Lateral parkbench position  
   ■Lateral parkbench positionの手術台の基本的なセットアップ 
   ■手術の快適性確保のための体位の基本 
   ■全身の安全性の確保 
  Prone position  
   ■Prone positionの手術台の基本的なセットアップ 
   ■手術の快適性確保のための体位の基本 
   ■全身の安全性の確保 
  Supine-lateral position  
   ■手術の快適性確保のための体位の基本 
   ■全身の安全性の確保 

 術中電気生理学的モニタリング   福多真史,藤井幸彦
  モニタリング方法の選択  
  モニタリングの種類  
   ■ABRモニタリング 
   ■SEPモニタリング 
   ■MEPモニタリング 
   ■CMAPモニタリング 
   ■CNAPモニタリング 
   ■AMRモニタリング 

 後頭蓋窩のMRI   名嘉山哲雄,三木幸雄
  撮像法  
  腫瘍と見誤る正常変異  
   ■非対称の頚静脈孔 
   ■非対称性錐体尖部の含気,脂肪,錐体部の液貯留 
  疾患  
   ■脳実質内腫瘍性病変 
   ■成人テント下腫瘍 
   ■脳実質外腫瘍性病変 

II. 疾患別手術方法    

 脳幹部海綿状血管腫の手術   
 ーTrans-4th ventricle approach   斉藤延人
  本術式の特徴  
  手術手技  
   ■術前準備 
   ■手術手技 
   ■閉創 
  合併症  

 脳幹部海綿状血管腫の手術   渡邉学郎
 ーOccipital transtentorial approach,Infratentorial supracerebellar approach   
  本術式の特徴  
  手術手技  
   ■手術アプローチの決定 
   ■手術手技(マクロ操作) 
   ■マイクロ操作:Occipital transtentorial approach 
   ■マイクロ操作:Infratentorial supracerebellar approach 

 血管芽腫の手術   山上岩男
  本術式の特徴  
  血管芽腫の特徴と治療方針  
  手術手技  
   ■術前検査・処置 
   ■手術手技 
   ■嚢胞性腫瘍と充実性腫瘍 
  術後合併症とその管理  
  VHLに合併した多発性血管芽腫に対する手術適応  
  放射線治療,特に定位放射線治療  

 微小血管減圧術   
 ー三叉神経痛,顔面痙攣   藤巻高光
  本術式の特徴  
  三叉神経痛の手術手技  
   ■術前準備 
   ■手術手技 
   ■術後管理 
  顔面痙攣の手術手技  
   ■術前準備 
   ■手術手技 
   ■閉頭 

 バイパス手術   
 ーOA-PICA,STA-SCA,STA-PCA   中島英樹,上山博康
  本術式の特徴  
  手術手技(OA-PICAバイパス)  
   ■術前準備 
   ■手術手技 
   ■閉創 
  手術手技(STA-SCAバイパス,STA-PCAバイパス)  
   ■術前準備 
   ■手術手技 
   ■閉創 

 上位脳底動脈瘤の手術   
 ーPterional approach   本山 靖,中瀬裕之
  本術式の特徴  
  手術手技  
   ■手術準備 
   ■手術手技 
   ■閉創 
  合併症  

 椎骨動脈瘤の手術   
 ーVA-PICA,解離性動脈瘤   濱田潤一郎
  本術式の特徴  
  手術手技  
   ■術前評価 
   ■手術手技 
   ■閉頭 

 聴神経腫瘍の手術   庄野禎久,佐々木富男
  本術式の特徴  
  手術手技  
   ■術前準備 
   ■手術手技(マクロ操作) 
   ■手術手技(マイクロ操作):聴力温存が必要ない症例 
   ■手術手技(マイクロ操作):聴力温存が必要な症例 
   ■閉創 

 頚静脈孔神経鞘腫の手術   川原信隆
  本術式の特徴  
  手術手技  
   ■術前準備 
   ■手術手技(マクロ操作) 
   ■手術手技(マイクロ操作) 
   ■閉創 
  合併症  

 三叉神経鞘腫の手術   後藤剛夫,大畑建治
  本術式の特徴  
  手術手技  
   ■術前準備 
   ■手術手技 

 髄芽腫・上衣腫の手術   
 ー小脳延髄裂からの接近   松島俊夫,峯田寿裕
  本術式の特徴  
  小脳延髄裂の外科解剖と接近法  
  手術手技  
   ■手術手技(マクロ操作) 
   ■手術手技(硬膜内マイクロ操作) 
  髄芽腫・上衣腫手術の重要なコンセプトとは  

 錐体斜台部・錐体部髄膜腫の手術   
 ーretrosigmoid approach   齋藤 清
  本術式の特徴  
  手術手技  
   ■アプローチの選択 
   ■術前準備 
   ■手術手技 
  合併症  
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