産婦人科手術

産婦人科手術 No.21

産婦人科手術 No.21

■編集 日本産婦人科手術学会

定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
  • B5判  198ページ  オールカラー
  • 2010年5月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-1066-6

日本産婦人科手術学会機関誌。特集「帝王切開術:困難症例への対応」「広汎性子宮頸部摘出術における工夫」

日本産婦人科手術学会機関誌。
2009年11月23日に「帝王切開術:困難症例への対応」「広汎性子宮頸部摘出術における工夫」をテーマとして東京で開催された第32回日本産婦人科手術学会の主題,特別講演,一般講演,企画記事などを掲載している。


序文

巻頭言

 平成21年11月23日に開催いたしました第32回日本産婦人科手術学会におきましては,500人を優に超える方々にご参集いただきまして大変感謝しております。
 これは,本学会のテーマであった
 主題1:帝王切開術:困難症例への対応
 主題2:広汎性子宮頸部摘出術における工夫
 について,一度じっくりディスカッションしたいという我々の希望に多くの産婦人科の先生方がご賛同下さった結果と解しております。
 まず,帝王切開術は歴史も古く,術式も確立され,産婦人科医であれば誰もが経験する非常に身近な手術であります。その一方で近年の医療,特に周産期医療に対する社会の認識や,これらをとりまく環境が変化し,良くも悪くも社会が帝王切開術に期待するアウトカムが以前とは変わってきています。そういった変化を念頭におきつつ,困難症例に対してどう対応すべきか,経験に基づいた忌憚のない意見交換をしていただきました。このシンポジウムでは腹膜外帝王切開や子宮底部横切開法など,クラシカルな手法の有用性が改めて示されていたことが印象的でした。手術では新たな手技や機器に目を奪われがちですが,帝王切開の安全性やアウトカムの向上のためにはこういった既に確立された優れた手法を産婦人科医がきちんと伝承し,誰もが適切に施行できるような教育システムの確立が,実は非常に有用であると感じた次第です。詳細な内容は本書でお読みいただけますので,まずはそれらの手技について産婦人科の将来を担う若い先生方を交えてご再考いただければと思います。
 一方,早期子宮頸がんに対する妊孕性温存術式である広汎性子宮頸部摘出術(Radical trachelectomy)はまだ新しい術式であり,その有効性や安全性に対する評価が確立しておらず,エビデンスを構築していく必要があるものです。それに先立ち,まず本邦でどのような手技が行われているかを,実際に手術に取り組んでいる施設から報告いただきました。その結果,腟式,腹式という違いはあっても広汎性子宮頸部摘出術のコンセプトにおいては概ね共通すると思われる一方で,その手術適応には若干の幅があることがわかりました。今後どういう術式が適切かを検討していくに当たっては,適応についても検討事項に加えて細やかなエビデンス構築を行う必要があると考えられます。また,浸潤がんであっても子宮を温存できるという本術式はその効用に大きな期待が寄せられておりますが,再発や病変遺残のリスクを含有しているだけでなく,妊娠に向けての取り組み,妊娠中の管理や合併症対策,分娩時の母児双方に関わるリスクなど,その取扱いや評価についてはexperimentalな域を出ておりません。シンポジウムでは広汎性子宮頸部摘出術後の妊娠のリスクや管理についても実際のデータを示していただきました。今後,わが国の産婦人科として広汎性子宮頸部摘出術の成績評価のためにどういったデータを蓄積し,解析していくべきかを考える際の貴重な礎になると思われます。
 こういったエビデンスの構築は,医療を提供する産婦人科医の立場だけでなく,医療を受ける立場にある患者や家族にとっても非常に有用なものになってきており,手術の分野においても個人の秀でた能力よりも,より再現性,確実性が求められています。我々の日本産婦人科手術学会は臨床統計を直接的に行ってはおりませんが,手術に関するトピックスをいち早く取り上げ,あるいは掘り起こし,検討すべき方向性を示すことによって医療が効率よく進歩するのに貢献できると考えております。その点で今回のシンポジウムの報告は意義深いものであると確信しておりますので,この学会誌をひとりでも多くの方にお読みいただき,今,産婦人科手術において何に着眼すべきかの議論に加わって,産婦人科医のパワーを集約するのに本書が役立てばと願っております。
 最後になりましたが,本書の発行にご尽力,ご協力いただきました方々に深く御礼申し上げます。

2010年3月 
慶應義塾大学医学部産婦人科
青木大輔
全文表示する
閉じる

目次

巻頭言  第32回日本産婦人科手術学会 会長  青木大輔
 
帝王切開術:困難症例への対応  
 子宮筋腫合併妊娠での帝切  平松祐司ほか
 反復帝切による腹腔内癒着回避のために  黒川哲司ほか
 早産児における幸帽児帝王切開と無破膜帝王切開の応用  村越 毅
 前置胎盤と関連病態に対する子宮底部横切開法の適応と診療指針  小辻文和
 ディスカッション  
 
広汎性子宮頸部摘出術における工夫  
 腟式広汎性子宮頸部摘出術  齋藤 豪ほか
 子宮頸部摘出術後の妊娠・分娩に関する問題点  小林裕明
 当院で施行している腹式広汎性子宮頸部摘出術  藤井多久磨ほか
 当院における広汎性子宮頸部摘出術の現状  新倉 仁ほか
 ディスカッション  
 
一般演題  
 前置胎盤剥離面からの大量出血に対する圧迫縫合法  田中利隆ほか
 後腟円蓋T字切開法による腟式子宮外妊娠手術の試み  藤田卓男ほか
 腟式子宮全摘術における筋腫核出法の工夫:くし形切り  西 丈則
 全周性子宮腺筋症の保存術式の改良  西田正人ほか
 
企画記事  
 開腹手術,腹腔鏡下手術の割合に関する全国調査(2008年度)  塩田 充ほか
 悪性腫瘍手術後のリンパ嚢腫発生予防の工夫と管理  藤井多久磨ほか
 
 日本産婦人科手術学会  
 第32回プログラム  
 第32回講演抄録  
 役員一覧  
 会則
 役員選任規定
 投稿規定
全文表示する
閉じる