NS NOW No.15

傍鞍部病変の手術

ここの病変こそ,解剖が手術の生命線

傍鞍部病変の手術

■編集 塩川 芳昭

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • A4判  220ページ  2色(一部カラー),イラスト150点,写真40点
  • 2011年7月29日刊行
  • ISBN978-4-7583-1194-6

在庫僅少です。


複雑な傍鞍部の解剖をおさえて手術を学べる1冊

傍鞍部には,脳神経,内頚動脈,海綿静脈洞など生命にかかわる組織が集まっており,さらにその構造は複雑である。そのうえさまざまな病変が好発する部位でもあるため,その解剖を理解することは重要であり,手術を行う上で欠かすことができない。
本書では,内容を大きく「解剖」「画像診断と周術期管理」「血管病変」「腫瘍」の4つに分け,傍鞍部に関係する事象を広く取り上げた。本書を読むことでより安全・確実な手術につながる内容となっている。

■シリーズ編集委員
寺本 明/新井 一/塩川芳昭/大畑建治


序文

 NS NOW No.15『傍鞍部病変の手術』は,さまざまな病変が好発する傍鞍部の手術をテーマに取り上げています。手術の低侵襲化が時代のトレンドであることは明白ですが,傍鞍部病変はその頻度やアクセスの面から,頭蓋底外科の専門家に限らず一般脳神経外科医が関与する機会の多い領域でもあります。既に多くの手術書がある中で,本書はサブタイトルにもあるように複雑な傍鞍部の構造を外科解剖の観点から見直すことをキーコンセプトといたしました。
 本書の構成は,総論編として解剖,画像診断と周術期管理を,各論編として血管病変と腫瘍の各パートに分かれています。目次をご覧になりますと,テーマが「傍鞍部」であるため,「鞍内」すなわち下垂体病変そのものについてもほぼ「鞍外」の事項に限定されていることにお気づきになるかと存じます。その理由は,傍鞍部の主要構造物である脳神経,内頚動脈,海綿静脈洞,頭蓋底骨構造,副鼻腔,眼窩など,それぞれのテーマに関連する解剖学的事項を,特にこれから手術(血管内手術も含めて)を始める専門医取得前後の世代に横断的に俯瞰できる内容をめざしたことによります。また,アプローチも大事ですが,頭蓋底病変では閉創こそが重要ですので,各論編では各領域の第一人者である執筆者が実際に手術室で確認,徹底されている細かなノウハウとピットフォール回避の工夫が披露されています。
 本書を精読されることで,複雑な解剖構築から従来は敬遠されがちであった傍鞍部病変について,手技の理論的背景や周術期管理,安全確実な治療手技が習得されるとすれば,編集の意図が結実したものと思います。編者自身も完成原稿に目を通しながら本書のサブタイトルに示した「この傍鞍部病変の手術こそ,解剖が手術の生命線である」とあらためて認識した次第です。

2011年7月
塩川芳昭
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目次

I 解剖
 海綿静脈洞の基本解剖“Triangles”  鮫島哲朗
  ■アウトライン
  ■海綿静脈洞の基本解剖
  ■内頚動脈の分類
  ■海綿静脈洞のtriangles
  ■Cavernous sinus approach
   開頭および硬膜外からのアプローチ
   海綿静脈洞上壁からのアプローチ

 傍鞍部の膜構造  吉田一成,堀口 崇
  ■アウトライン
  ■髄膜の基本解剖
  ■Interdural approach
  ■Cadaverを用いた手術シミュレーション
  ■傍鞍部腫瘍の局在と髄膜および周囲構造物との解剖学的関係

 前床突起削除を想定した外科解剖  野口明男,塩川芳昭
  ■アウトライン
  ■前床突起を構成する骨構造
   上眼窩裂 superior orbital fissure
   optic strut
   視神経管 optic canal
   前床突起に関係するdural fold
  ■硬膜外前床突起削除
   ステップ1:硬膜切開
   ステップ2:上眼窩裂の開放
   ステップ3:視神経管上壁のunroofing
   ステップ4:前床突起中心部の削除
   ステップ5:optic strutの削除
  ■閉頭

 経蝶形骨アプローチに必要な外科解剖  堀口健太郎,佐伯直勝
  ■アウトライン
  ■鼻腔内解剖
  ■蝶形骨洞およびその近傍解剖
  ■硬膜内解剖

II 画像診断と周術期管理
 傍鞍部腫瘍の画像診断  鰐渕昌彦
  ■アウトライン
  ■読影のポイント
   視神経
   下垂体,下垂体茎
   内頚動脈
   海綿静脈洞,動眼神経,外転神経
   蝶形骨洞
   乳頭体,脳弓
   硬膜,鞍隔膜
  ■疾患の鑑別と症例画像
   下垂体腺腫
   頭蓋咽頭腫
   髄膜腫
   脊索腫
  ■筆者らが施行している最新の画像処理
  ■結語

 神経症候−視機能温存のために  高野晋吾,阿久津博義
  ■アウトライン
  ■傍鞍部髄膜腫
   症例1:回復良好群
   症例2:緩徐回復群
   視機能改善にかかわる因子
  ■海綿静脈洞部髄膜腫
  ■下垂体卒中pituitary apoplexy
   概念
   頻度
   誘因
   治療と予後
   経蝶形骨洞手術後の合併症
  ■眼球運動障害を起こさないために

 モニタリング−術中視覚誘発電位モニタリング,外眼筋モニタリング  後藤哲哉
  ■アウトライン
  ■VEPモニタリングの実際
   VEPモニタリング方法
  ■VEPモニタリング結果と術後視機能との関連について
   対象と方法
   結果
   症例提示
  ■VEPのまとめ
  ■外眼筋モニタリング

III 血管病変
 内頚動脈動脈瘤(海綿静脈洞)−内頚動脈閉塞+RAグラフト術  水成隆之
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
   術前検査
   術前の注意
   手術に臨む体制
   準備物品
   手術手技

 内頚動脈動脈瘤(C2)  飯原弘二
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
   傍鞍部脳動脈瘤の特徴と分類
   術前評価
   手術手技

 内頚動脈海綿静脈洞瘻−血管内治療  里見淳一郎
  ■本術式の特徴
  ■病態
  ■症候
  ■画像診断
  ■手術手技
   経動脈的塞栓術
   経静脈的塞栓術

IV 腫瘍
 髄膜腫−Medial sphenoid ridge  大宅宗一,斉藤延人
  ■本術式の特徴
  ■アプローチの選択・術前準備に関して
  ■手術手技
   開頭と硬膜外操作
   頭位,皮切・開頭
   硬膜外操作
   硬膜内操作
   腫瘍摘出
   閉頭・術後管理

 髄膜腫−Tuberculm sellae  後藤剛夫,大畑建治
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
   体位,皮膚切開,開頭範囲
   硬膜切開,嗅索剥離
   腫瘍露出
   腫瘍摘出
   硬膜閉鎖,閉頭

 髄膜腫−Cavernous sinus-orbit  齋藤 清
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
   術前準備
   手術手技
   合併症

 眼窩先端部腫瘍  長谷川光広
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
   重要解剖
   経眼窩アプローチと経副鼻腔アプローチ
   手術手技

 神経鞘腫  田宮 隆
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
   手術アプローチの決定
   術前準備
   手術手技
   合併症
  ■まとめ

 下垂体腫瘍−マイクロ,内視鏡,SRSの選択  丸山啓介,塩川芳昭
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
   術前準備
   手術手技(マイクロ操作)
   手術手技(内視鏡下手術)
  ■定位放射線治療
   治療適応
   治療手技

 下垂体腫瘍−拡大経蝶形骨洞手術  北野昌彦
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
   体位
   鼻中隔粘膜剥離
   側方への術野拡大
   前方への術野拡大
   下方への術野拡大
   腫瘍摘出
   創の閉鎖

 下垂体腫瘍−開頭術  南田善弘
  ■本術式の特徴
  ■開頭術の適応
   鞍上部進展が著明な下垂体腫瘍
   海綿静脈洞進展例
   硬膜内(被膜内)進展を伴う例
   線維性腺腫
   トルコ鞍が拡大していない例
   蝶形骨洞の発達不良例
  ■手術手技
   開頭術の基本原則
   到達法の選択
  ■終わりに
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