NS NOW No.19

下垂体外科Update

大きく変わった経蝶形骨手術

下垂体外科Update

■編集 寺本 明

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • A4判  168ページ  2色(一部カラー)
  • 2012年7月20日刊行
  • ISBN978-4-7583-1198-4

在庫僅少です。


最新の内視鏡下手術を中心に,術前後の管理から合併症対策まで,下垂体外科手術の最前線がわかる1冊

No.19では「下垂体外科Update」と題し,顕微鏡下手術から内視鏡下手術へと,手術法が大きく変わってきている下垂体手術の現状を取り上げる。
解剖学的な位置関係上,下垂体に到達するには,通常鼻腔に器具を入れて手術を行うが,従来の顕微鏡下手術では術野が暗く,どうしても死角ができてしまうという欠点があった。そこに内視鏡が登場し,術野を明るく,さらに今までの死角部分まで確認できるようになった。しかし,今までの顕微鏡とは手技や機器がまったく異なること,また,画像が3Dでないため立体視ができないことなどの欠点が内視鏡にもある。これらの問題については,機器の開発が進んでおり,近い将来解決されることが予想される。さらに,今年度の診療報酬の改定により,内視鏡を使用した下垂体手術が新設されたことも手伝って,今後は下垂体手術といえば内視鏡下手術となっていくと思われる。
Ⅰ章で今日までの下垂体手術の変遷を述べ,Ⅱ章では,モニタリングや術中・術後管理,合併症対策などの基本的事項を紹介している。具体的な各種術式はⅢ章で解説しており,最近のトピックである被膜外摘出や内視鏡下手術の利点を生かした拡大蝶形骨手術など,最前線の手術の実際を知ることができる。
すでに内視鏡下手術を行っている医師も,これから行おうとしている医師にとっても,本書を読むことで下垂体外科手術の過去から現在までのすべてを学ぶことができる1冊である。

■シリーズ編集委員
寺本 明/新井 一/塩川芳昭/大畑建治


序文

 この度,NS NOWのシリーズのNo.19として,『下垂体外科Update-大きく変わった経蝶形骨手術』を企画いたしました。
 経蝶形骨下垂体手術は,20世紀の初頭にそのプロトタイプが完成しましたが,10年間くらいでその流行は過ぎていきました。それを1960年代に,モントリオールの脳神経外科医であるJules Hardy が,X線透視装置と手術用顕微鏡を導入することによってこの手術を復活させ,下垂体外科の理論的基盤を築いております。時を同じくして,間脳下垂体内分泌学が飛躍的に発展し,その後CTスキャンやMRIの登場とともに顕微鏡下の経蝶形骨手術が一躍展開してきました。一方,1990年代半ばから内視鏡下の経蝶形骨手術が始まり,わが国でも最近10年間に広く用いられるようになってまいりました。内視鏡手術は術野が広くて明るいうえに,顕微鏡手術の死角部分である海綿静脈洞内や鞍上部分も確実に観察することができます。また,腫瘍の被膜外摘出や拡大経蝶形骨手術(頭蓋底手術)も可能となってきました。しかし,手術の守備範囲が広くなるとそれだけリスクも高まり,より高度な技術の習得や新たな機器の導入が必要となってまいります。
 本書では,まずこの内視鏡下経蝶形骨下垂体手術の歴史的な変遷に触れたのち,基本的事項をⅡ章の5つの論文で紹介していただきました。さらにⅢ章の9つの論文で,重要なトピックをそれぞれのエキスパートに解説して頂きました。最近の内視鏡手術の主な関心は,腺腫の被膜やその被膜外摘出に関する事項であります。もう一つの話題としては,内視鏡手術の利点を生かした,さまざまな腫瘍に対する拡大経蝶形骨手術があげられます。後者は,むしろ内視鏡下経鼻的頭蓋底手術といったほうが適切かもしれません。
 もとより下垂体外科を語るとき,内分泌学的知見は避けて通れないわけではありますが,本書においてはあえて手術に特化して,術式やそれに直結するトピックだけを選択いたしました。おりしも,平成24年度の診療報酬改定におきまして,内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術(K171-2)が新設されました。この改定により,内視鏡手術が一気に進展することは間違いないでしょう。
 本書の各論文には,わかりやすい記述とともに,解説図や手術写真がふんだんに盛り込まれています。すでに内視鏡下下垂体手術を始めている人,あるいはこれから学ぼうという人にとって本書が絶好の手引書となるものと信じます。

2012年7月
寺本 明
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目次

I 総論

経蝶形骨手術の変遷と今後の展開  寺本 明  
■アウトライン  
■下垂体手術の黎明期  
■顕微鏡下手術の誕生とその展開  
■内視鏡下手術の登場  
■今後の展開  

II 基礎知識・教育

内視鏡下下垂体・頭蓋底手術のトレーニング—耳鼻科と献体解剖から学ぶ  佐伯直勝 
■アウトライン  
■下垂体手術の歴史−耳鼻科医から学ぶ  
■鼻腔操作,腫瘍摘出を学ぶ  
■手術の難易度評価  
■献体解剖の重要性  
■まとめ  

内視鏡下経蝶形骨手術の術中モニタリング  川俣貴一 
■アウトライン  
■内視鏡下経蝶形骨洞手術と術中モニタリング  
■ナビゲーションシステム  
 序言  
 経蝶形骨手術におけるナビゲーションシステム  
■眼球運動モニタリング  
■血管Doppler  
■術中迅速ホルモン測定  
 術中GH測定の実際  
 術中PRL測定の実際  
■迅速組織診断  
■まとめ  

内視鏡下経蝶形骨手術の合併症  富永 篤 
■アウトライン  
■体位による合併症とその回避  
■アプローチにおける合併症とその回避  
 蝶形骨前面での合併症  
 蝶形骨洞内での合併症  
 腫瘍摘出の際の合併症  
 その他の合併症  
■閉創時の合併症  
 術後出血  
 髄液漏の対策  

術後髄液漏防止策—有茎鼻中隔粘膜弁法,バルーン法  堀口健太郎,佐伯直勝 
■アウトライン  
■有茎鼻中隔粘膜弁を用いた再建法  
 適応  
 手術材料  
 手技  
 術後  
■バルーン法  
 適応  
 手術材料  
 手技  
 術後  

経蝶形骨手術の術後管理  西岡 宏 
■アウトライン  
■一般的事項  
■下垂体前葉機能低下  
■尿崩症  
■遅発性低ナトリウム(Na)血症  
■術後髄液鼻漏  
■術後の鼻処置:出血など  

III 各術式

内視鏡下経蝶形骨手術:私の手技—片側鼻腔法  永谷哲也 
■本術式の特徴  
■手術手技  
 術前準備  
 手術手技  
■まとめ  

内視鏡下経蝶形骨手術:私の手技—両側鼻腔法  矢野茂敏 
■本術式の特徴  
■手術手技  
 術前準備  
 手術手技  
■本法で用いる器具の紹介  

腺腫の被膜外摘出  田原重志,寺本 明  
■本術式の特徴  
■下垂体腺腫の偽性被膜(pseudocapsule)とは  
■下垂体腺腫におけるpseudocapsulectomyの実際  
 Microadenomaの摘出  
 Macroadenomaの摘出  
 Liquefied adenomaの摘出  
 Fibrous adenomaの摘出
■偽性被膜(pseudocapsule)の病理  
■被膜外摘出と下垂体機能  
■まとめ  

腺腫被膜の病理  井野元智恵,長村義之 
■アウトライン  
■下垂体腺腫被膜の定義  
 硬膜(dura mater)と鞍隔膜(sellar diaphragm)  
 下垂体被膜  
 腺腫被膜  
■下垂体腺腫被膜  
 腺腫被膜の形成と腺腫サイズとの関連性  
 腺腫と腺腫被膜,周囲前葉細胞との関係  
■下垂体腺腫細胞の腺腫被膜への浸潤  
■硬膜への浸潤  

拡大経蝶形骨手術—巨大下垂体腺腫  大山健一
■本術式の特徴  
■手術手技  
 使用機器および術前準備  
 手術手技  
■症例提示  
■まとめ  
  
拡大経蝶形骨手術—髄膜腫  北野昌彦
■本術式の特徴  
■手術手技  
 術前準備  
 手術手技  
  
拡大経蝶形骨手術—頭蓋咽頭腫  小川欣一
■本術式の特徴  
■手術手技  
 視神経,視交叉  
 下垂体および下垂体茎部の処理  
 第三脳室底  
 第三脳室  
 閉創  
■術後  
  
内視鏡補助下の経蝶形骨手術  
—顕微鏡・内視鏡併用経蝶形骨手術  藤尾信吾,有田和徳
■本術式の特徴  
■顕微鏡下手術,内視鏡下手術の特徴  
■手術手技  
 術前準備  
 手術手技:顕微鏡下手術  
 手術手技:内視鏡下手術  
■術後の鼻腔内  
  
経蝶形骨手術・開頭術同時併用術  山田正三
■本術式の特徴  
■Combined approachの重要なコンセプトとは  
(何のためにこのアプローチを行うのか)  
■手術手技  
 適応症例  
 手術アプローチ  
 手術手技  
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