NS NOW No.20

ワンステップ上をめざした脳動脈瘤手術

この技術を身に付けたい

ワンステップ上をめざした脳動脈瘤手術

■編集 塩川 芳昭

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • A4判  200ページ  2色(一部カラー),イラスト100点,写真60点
  • 2012年10月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-1199-1

在庫僅少です。


大型動脈瘤や再発例など,治療困難な脳動脈瘤への対処法がよくわかる1冊

No.20では「ワンステップ上をめざした脳動脈瘤手術」と題し,術中破裂や大型動脈瘤など手技が困難化する「要因別」と,動脈瘤の「発生部位別」の2つに着眼点を分けて解説している。本シリーズでは,No.1「基本的テント上脳動脈瘤手術」において,動脈瘤手術の基本を取り上げたが,今号はその応用編として特に治療困難な症例を中心に述べている。
脳動脈瘤に対しコイルなど血管内治療が行われる症例が増えているが,瘤の性状,発生部位,コイル塞栓後の再発など,むしろ直達手術のほうが低侵襲に手術を終えることができる症例も存在し,その手技を学ぶことは大切である。
1章では,術中破裂や重症くも膜下出血,また大型,広頚,血栓化動脈瘤などの手術難度の高いものについて紹介している。また,穿通枝の温存やバイパス手術など,患者に重篤な症状が残存する合併症を防ぐための具体的方法についても述べている。また,脳動脈瘤は解剖学的特徴からその発生部位がほとんど決まっているため,2章ではその発生部位別の手術について,具体的な症例を提示しながら解説している。
血管内治療が増え,限られた症例数で直達手術の学ばなければならないなか,本書を読む事で,手術の手順や方法などの「引き出し」を増やすことができる1冊である。

■シリーズ編集委員
寺本 明/新井 一/塩川芳昭/大畑建治


序文

 脳神経外科の手術書シリーズであるNS NOWは,その最初のNo.1で「基本的テント上脳動脈瘤手術 ─ 安全に手術するノウハウはこれだ」を特集しています。シリーズ最後のNS NOW No.20でも,ふたたび脳動脈瘤手術をテーマに取り上げましたのは,単に動脈瘤閉塞にとどまらず,この手術がすべての脳神経外科手術の基本となる要素を多く含んでいるからに他なりません。ワンステップ上を「めざす」若手から,既に一定の手術経験をお持ちの中堅層にも,更なる高みを「めざした」テキストとして,本書では「脳動脈瘤手術 ─ この技術を身に付けたい」をテーマとしています。
 本シリーズの編集理念は,実際の手術や治療にあたって,これが基本中の基本,ここがコツ,そこが危ない,といったベテラン医師のホンネやコダワリを強く強調した手引き書を構想しています。脳動脈瘤を再びテーマとした本書は,脳動脈瘤手術について手技が困難化する要因と,動脈瘤部位ごとに留意すべき問題とに着眼点を変えた二部から構成されています。血管内治療が広く行われるようになって参りました現在においても,直達手術のほうが結果として低侵襲に脳動脈瘤を閉塞できる症例は確かに存在し,さらに血管内治療手技が進歩しても一定の割合の脳動脈瘤は直達手術の適応が残ることに異を唱える方はおられないと思います。しかしながらこれから脳動脈瘤クリッピング術を学ぼうとする世代には,直達手術の経験症例が少なくなりつつあるのも事実であり,限られた症例数でこのような治療困難例に対応できるようにならなければなりません。
 本書が,次世代の動脈瘤術者育成に少しでも貢献してくれることを,編者として願ってやみません。

2012年10月
塩川芳昭
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目次

Ⅰ 手技編  

術中破裂の予防と対応  井上智弘,長谷川洋敬 

■アウトライン  
■セッティング  
■開頭時の注意  
■脳室穿刺  
■硬膜切開と同時に破裂したら  
■術野の展開,バイパスの併用  
■動脈瘤剥離操作  


重症くも膜下出血の手術  瀧澤克己 

■アウトライン  
■手術手技  
開頭・脳室ドレナージ挿入  
アプローチ,合併する血腫の除去,くも膜下腔洗浄  
動脈瘤クリッピング  
クリッピング後から閉創まで  
■重症くも膜下出血の手術コンセプト  


脳動脈瘤手術における穿通枝の剥離・温存  佐々木達也,西嶌美知春 

■アウトライン  
■問題となる穿通枝  
■手術手技  
■オキシセルロースを用いた温存法  
■穿通枝温存の確認法  
Doppler血流計  
蛍光血管撮影  
運動誘発電位(motor evoked potential;MEP)  
■Clip rotationの問題
■血流一時遮断の問題  
■おわりに  


大型動脈瘤に対する手術セットアップ
― Suction decompression法とモニタリングを中心に  伊達 勲

■アウトライン
■手術手技  
大型内頚動脈瘤に対するsuction decompression法のセットアップ  
MEPモニタリング  
ICGモニタリング  
血流Doppler  
VEPモニタリング  
■まとめ  


広頚・大型動脈瘤の頚部形成的クリッピング  西 徹 

■アウトライン  
■手術手技  
画像の検討・手術のプランニング  
体位・頭位・開頭  
アプローチ・neckの剥離・クリッピング可否の見極め  
クリッピング  


血栓化脳動脈瘤の直達手術  大瀧雅文 

■アウトライン  
■手術手技  
テント上の小型(10〜15mm以下)血栓化脳動脈瘤  
テント上の大型・巨大(15mm以上)血栓化脳動脈瘤  
椎骨動脈の血栓化脳動脈瘤  
椎骨脳底動脈の血栓化巨大脳動脈瘤に対する超低体温循環停止法  


クリップ・コイル術後の再発例に対する手術  森田健一,飯原弘二 

■アウトライン  
■動脈瘤の再発  
■再発例に対する手術  
クリッピング術後再発例のコイル塞栓術  
コイル塞栓術後の再コイル塞栓術  
クリッピング術後の再クリッピング術  
コイル塞栓術後のクリッピング術  
バイパスを併用した血行再建術
■おわりに  


脳動脈瘤手術におけるバイパス手術  髙橋 淳 

■アウトライン  
■高流量バイパス(ECA-RA-MCA bypass)  
手術手技  
■低流量バイパス  
STA-MCA bypass  
OA-PICA bypass  
ACA-ACA bypass  
STA-SCA bypass/STA-PCA bypass  


次世代の動脈瘤術者育成のコツ  堤 一生 

■アウトライン  
■はじめに  
■クリッピング手術を極めるために必要なこと  
■最後に  


Ⅱ 部位別編

前交通動脈瘤 pterional approach
― 外側頭蓋底側からの視野を活用しよう  原田洋一 

■アウトライン  
■アプローチ法  
■Lateral approachの解剖学的考察  
■手術手技  
手術アプローチの決定:interhemispheric approachかpterional approachか
手術側の決定  
体位  
頭位  
皮切・開頭  
硬膜外ドリリング  
硬膜内操作  
クリッピング  


前交通動脈瘤 interhemispheric approach
― 特に高位からのアプローチについて  大熊洋揮 

■アウトライン  
■本法のコンセプト  
■手術手技  
体位
開頭部位と皮切
前頭部架橋静脈の流入位置と硬膜切開
くも膜切開と動脈瘤までのアプローチ
脳動脈瘤頚部の剥離・確保  
クリッピングの実際  
クリッピング後の処置  
閉頭  


中大脳動脈瘤  数又 研

■アウトライン  
■Broad neck,plaque,clip applicationについて  
■Complex aneurysmsへの対処  
Stepwise clipping method
バイパス術の併用  
■M1部動脈瘤への対処  
■一時遮断:Temporary clipについて
■中大脳動脈瘤の重要なコンセプトとは  


内頚動脈瘤(C2-C3動脈瘤)  鰐渕昌彦,三上 毅,三國信啓 

■アウトライン  
■はじめに  
■C2-C3動脈瘤での術前検討事項
近位側親血管の確保  
眼動脈の確認  
Sphenoparietal sinusの灌流パターン  
Anterior and posterior communicating artery(AcomA,PcomA)の発達程度
視神経と内頚動脈の関係  
前床突起削除の方法  
クリップの選択
■前床突起の解剖  
■海綿静脈洞前外側部の解剖  
■手術手技  
体位,皮膚切開,頚部内頚動脈の確保  
開頭
前床突起削除  
硬膜切開,distal dural ringの開放  
動脈瘤のクリッピング
硬膜閉鎖,閉創
■症例提示  
■結語  


内頚動脈瘤(後交通あるいは前脈絡叢動脈分岐部)  清水宏明,冨永悌二 

■アウトライン  
■手術手技  
画像読影のポイントと術前準備・手術計画  
体位  
皮切,開頭  
シルビウス裂開放  
側頭葉牽引の手順①  
側頭葉牽引の手順②  
側頭葉牽引の手術③  
瘤の剥離とクリッピング  
■まとめ  


脳底動脈先端部動脈瘤 pterional approachとその発展形  佐々木雄彦 

■アウトライン
■手術手技  
体位  
開頭  
術野拡大の手術テクニック  
クリッピングテクニック  
■まとめ  

脳底動脈本幹動脈瘤 transpetrosal approach  鮫島哲朗
■アウトライン
■手術手技  
Anterior transpetrosal approach  
Posterior transpetrosal approach  


椎骨動脈瘤  酒井圭一 

■アウトライン
■手術手技  
セットアップ(ポジショニング)  
皮膚切開〜筋層展開〜硬膜外椎骨動脈の同定  
開頭〜骨削除  
硬膜切開〜硬膜内操作  
閉頭
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