新NS NOW 15

脳幹・脳深部の手術

手術アプローチの基本と手術の考えかた

脳幹・脳深部の手術

■担当編集委員 斉藤 延人

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • A4判  160ページ  オールカラー,イラスト130点,写真130点
  • 2018年9月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-1575-3

深奥をたどるための知識と手技を

No.15では「脳幹・脳深部の疾患にいかにたどり着き治療するか」をテーマに取り上げた。脳幹・脳深部の手術が難しいと言われるのは,患部が脳表から遠くにあり慎重かつ繊細なアプローチと治療手技が必要とされることにある。
本書では各種手術に必要となるアプローチについて,解剖にも触れながら,正常組織を損傷することなく進入する手技を詳説。各種モニタリングの活用も併せ,脳幹・脳深部の手術に挑む医師の確かな助けになることを企図した一冊である。

■シリーズ編集委員
森田明夫/伊達 勲/菊田健一郎


序文

 解剖の教科書によると,脳幹とは外套(大脳皮質)をはずした残りの部分であり,中脳,橋,延髄ばかりでなく,視床や大脳基底核も含まれる。今回の新NS NOW『脳幹・脳深部の手術』ではそんな広義の脳幹の手術を対象としている。特に脳幹の内部にある腫瘍などの手術を対象としていて,神経鞘腫や髄膜腫など脳幹周囲の腫瘍は本書の対象とはしていない。
まずは中脳,橋,延髄に代表される狭義の脳幹にどのようにアプローチするか,代表的病変の手術を例示していただきながら,頭蓋底外科の手技も用いたその基本を解説していただいている。前方からアプローチは,正中から第三脳室や中脳にアプローチする方法としてtrans-lamina terminalis approachを,斜め前方からアプローチ法としてorbitozygomatic approachを取り上げた。側方からはtranspetrosal approach,後上方からは,occipital transtentorial approachを取り上げた。もちろん通常の開頭法としてsubtemporal approachやsuboccipital retrosigmoid approachなどもよく使用されているが,本書では個別項目としては取り上げていない。また,開頭としては通常の後頭下開頭法を使用するが,第四脳室にアプローチする方法としてcerebellomedullary fissure approachを取り上げた。この項目についてはcerebellomedullary fissureについての解剖の項と,経第四脳室アプローチでの手術の実際の項に分けて執筆いただいている。
 これらの部位での手術を疾患別に考えると,海綿状血管奇形や境界明瞭なグリオーマ,血管芽腫などが代表的な疾患である。海綿状血管奇形については前半部の脳幹へのアプローチのなかで疾患としては取り上げられている。グリオーマについては,基底核,視床,脳幹の部位別に執筆をいただいた。アプローチとしてはtranssylvian approachや経脳室アプローチなどが用いられる。脳幹については生検も重要な手段なので1項目として取り上げた。また,延髄血管芽腫については,腫瘍ではあるがAVMに似たところがあり,摘出の方法も特殊となるため,項目を割いて取り上げてある。いずれの場合にも脳幹・脳深部に切り込んで手術を行う際には術中モニタリングが必須である。その選択と実際について解説をいただいている。
 脳幹の手術に関しては,アプローチの選択ばかりでなく,手術適応の決めかたやどこまで摘出を行うのかなど,手術の考えかたが最も重要である。各項目で執筆者がそのような考えかたを披露していただいているので,その点も読み取っていただきたい。そのような観点からは,脳幹部に関してはガンマナイフ治療も有効な選択肢となりうるのでその適応を知っておくべきであり,その考えかたについて最後に取り上げた。
 末筆になるがご執筆にご協力いただいた諸先生に感謝申し上げ,本書が読者の皆様の日々の臨床に役立つことを願う。

2018年7月
東京大学大学院医学系研究科脳神経外科学教授
斉藤延人
全文表示する

目次

脳幹病変に対するoccipital transtentorial approach  本郷一博
中脳病変に対するorbitozygomatic approach  森迫拓貴,ほか
中脳病変に対するtrans-lamina terminalis approach  中冨浩文,ほか
第四脳室と小脳延髄裂の解剖  松島 健,ほか
橋・延髄病変に対する経第四脳室アプローチ  深見忠輝,ほか
橋病変に対するposterior transpetrosal approach  黒住和彦,ほか
延髄の血管芽腫の手術  中冨浩文,ほか
基底核グリオーマの手術 −レンズ核グリオーマに対するtranssylvian & transinsular approach−  隈部俊宏,ほか
視床グリオーマの手術  宮下勝吉,ほか
中脳神経膠腫(tectal glioma)に対する外科的摘出術  藍原康雄,ほか
脳幹グリオーマに対する生検術 −Biopsy for brain stem glioma−  北川陽介,ほか
脳幹・脳深部病変の術中モニタリング  岩楯兼尚,ほか
脳幹部病変に対するガンマナイフ治療の考えかた  長谷川洋敬,ほか

◆シリーズ わたしの手術記載
①症候性頚静脈孔腫瘍  鰐渕昌彦
②小脳橋角部腫瘍  甲村英二
全文表示する

関連する
オススメ書籍